• 荒海の槍騎兵5 奮迅の鹵獲戦艦
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    物量にモノを言わせ、押し寄せる米軍とじり貧の日本軍。史実では日本が大敗を喫したレイテ海戦も、
    歴史の歯車がほんの少し狂っただけで全く別の展開になっていたかもしれない。いつの時代も勝敗を
    分けるのは指揮官の判断力と時の運。ワクワク感満載の第5巻。第6巻が楽しみ。

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    2021年04月23日
  • スリーパー 浸透工作員 警視庁公安部外事二課 ソトニ
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    やはりソトニシリーズは面白い。一クセも二クセもある登場人物はそれぞれによく描かれて
    いて、だんだん誰が敵か味方かわからなくなってくる。最後に明かされる金剛山の「管理人」
    や楓の正体に思わず「あっ」となった。ソトニの面々と北朝鮮工作員の息詰まる駆引き、
    追跡劇は読みだしたら止まらない。
    本作はあくまでフィクションだが、何食わぬ顔で日本人になりすまし、諜報活動を行ってい
    る北朝鮮の工作員は実在するだろうし、中には日本の中枢に浸透して、国政を操っている大物
    スパイだっているかもしれない。そう思うと恐ろしい。つい先日も柏崎原発のテロ対策が全く
    いい加減で杜撰のきわみだったとニュースでやっ

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    2021年03月17日
  • ソトニ 警視庁公安部外事二課 シリーズ1 背乗り
    購入済み

    文句なしにすごい小説。中国スパイVS公安警察という単純な図式にはとうてい収まりきらず、二重三重
    にワナが仕掛けられた複雑なストーリー展開に息をのむばかり。ドンデン返しの連続で、途中から誰が味
    方で敵なのかわからなくなってしまった。こうなってくると、もはや誰も信用できない。実際の諜報戦も
    きっとこんな感じなのだろう。作者の力量にはただ脱帽するしかない。前作と同様、深夜にページを繰る
    手が止まらず睡眠不足になってしまった。警察組織の中枢に巣くう中国スパイ。十分ありうる話で恐ろしい。

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    2021年01月28日
  • 警視庁公安部外事二課 ソトニ イリーガル 非公然工作員
    購入済み

    竹内氏の作品は初めてだが、とても面白かった。すごい!の一言に尽きる。
    経歴を見るともともとTBSの記者で、ニュースキャスターを務めていたこと
    もあり、現在は同社の報道局長とのこと。権力に媚びる一方で視聴率や購読率
    を気にしてマトモな報道ができなくなったマスコミ人が多い中、現場第一主義
    の報道姿勢を貫く硬派のジャーナリストという印象。記者時代の取材経験を生
    かした文章は迫力があり、物語の構成も申し分ない。
    公安捜査員の彩音や外見とは裏腹に優秀な頭脳を持つ変わり種の朝倉、そして
    主人公で一匹狼の筒美がパズルの一片一片をつなぎ合わせるように真実に近づ
    いていくさまは緊張の連続で、ペー

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    2021年01月14日
  • 戦国を斬る
    購入済み

    さすが白石一郎、秀作ぞろい。海や九州を題材にした作品が多いが、本作にも加藤家の
    改易や、竜造寺氏と大友氏の覇権争いに巻き込まれる小領主の悲哀、鳥羽港の女郎宿に
    現れた変わり者の男の話など、読みごたえのある作品が並んでいる。狭い社会や組織の
    中での出世争いや権力闘争、くだらない形式主義や権威主義が幅をきかせるあたり、天
    下泰平の時代の武士なんて現代のサラリーマンと殆ど同じ。結局、人間、しがらみを捨
    てて好きなことをして暮らすのが一番だと思う。できればの話だが。。

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    2020年12月29日
  • ベイジン 完結上下巻セット【電子版限定】
    購入済み

    北京五輪開催に合わせて世界最大級の原発を稼働させようとする中国が舞台。日本人エンジニア、
    密命を帯びて赴任した中国の官僚、オリンピックの記録映画を撮ることになった気鋭の映画監督
    の三人の視点で物語が展開する。日本の常識が通用しない中国では、きっと多くの日本人ビジネ
    スマンが苦労したに違いない。それにしても中国の権力闘争はあまりにえげつない。腐った連中
    が富と権力を独占し、肥え太っていく様には怒りを通り越して恐ろしさを感じる。「諦めからは
    何も生まれない。希望とは自らが戦って奪いとるもの」という一節が心に残った。オリンピック
    開催直後に発生した原発事故は、まるで福一の事故を予言してい

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    2020年12月28日
  • 風塵
    購入済み

    戦国時代から明治維新までを扱った時代小説短編集。いずれも格調高い文体で、過去の資料や記録を丹念に
    調査した上で書かれている。最初の「九思の剣」はあまりの展開にそこまでやるのか、と息をのんだ。最後
    の「風塵」は考えさせられた。今まで栄えていた国や人が歴史の大きな流れに翻弄され、滅び去っていく
    さまはコロナ禍に振り回される今の世の中そのもの。いつの世でも諸行無常というのは共通しているようだ。

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    2020年12月20日
  • デッドエンド
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    久々に柴田哲孝の本を読んだ。ハラハラドキドキが連続のノンストップアクション。
    ほぼ一日で一気読みしてしまった。
    高い知能で捜査陣を混乱させ、妻を殺し、娘を誘拐した巨悪に立ち向かう笠原武大。
    看護師の有美子を連れての逃避行はかつて読んだ「国境の雪」とオーバーラップする。
    脇役ながら娘の萌子がいい味を出している。この子がいなかったらどうなっていたこ
    とか。公安の田臥もなかなかいい。それにしても「カウボーイ」というヒットマンは
    いったい何者なのか?あくまでフィクションということだが、実際にこんな話があっ
    てもおかしくはない。この手の話にあまり深入りすると、今度は柴田氏自身が危ない

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    2020年10月12日
  • 幻影の天守閣 新装版
    購入済み

    上田秀人の作品は、文章が読みやすく、かつ迫力がある。剣の達人で
    御天守番の工藤小賢太が、見回り中に曲者を撃退したことから、家綱
    の後継者をめぐる政争に巻き込まれていく、というストーリーだが、
    次々と現れる強敵を倒していくさまは、子連れ狼の拝一刀を思わせる。
    天守台の秘密もさもありなん、と思わせる内容。奥義の技を尽くして
    の剣戟の描写は素晴らしい。上田氏の本業は歯医者さんで、作家は夜
    の副業ということだが、専業の作家でも成功する人は少ない。本業の
    傍らでこんな作品を書いているとしたらすごい才能だと思う。

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    2020年10月12日
  • 暗殺の城(下)
    購入済み

    歴史の教科書には長篠の戦いで敗れた武田家が、あっという間に滅亡したように書
    かれているが、実際は敗勢を立て直そうとする武田方と領土拡大を図る徳川方の間
    で壮絶な戦闘が何度も行われている。うのたち少数精鋭の忍者集団が、徳川方にさ
    まざまなゲリラ戦を仕掛けるところは痛快だが、これは現代戦における特殊部隊の
    不正規戦と何ら変わらない。
    それにしても当時の忍者は本当にそんなに凄い能力を持っていたのだろうか?すさ
    まじい修練や訓練を積めば、超人的な能力も備わるのだろうか?
    常に死と隣り合わせで生きていた戦国時代の人たちは、やはり現代人とはどこか違
    っていたのかもしれないが、それでも愛する

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    2020年10月06日
  • 暗殺の城(上)
    購入済み

    面白かった。津本陽の作品は、いろいろな資料を丹念に読み込んだ上で書かれている
    ので真実味がある。また、他の作品と違って家康、勝頼、信長など、登場人物がそれ
    ぞれの方言で話しているのも面白い。たぶん実際はこんな話し方をしていたのだろう
    なあ、と考えると余計に現実味がわく。あっという間に読み終えてしまった。家康に
    父親を殺された女忍者の復讐劇ということだったが、上巻は殆ど武田と徳川の合戦ば
    かり。激戦につぐ激戦で戦闘の様子も生々しく、それはそれでなかなか迫力があって
    よかった。上巻の後半でようやくヒロインうのの登場。はたして彼女は家康を討てる
    のか、下巻が楽しみ。

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    2020年10月06日
  • ダブルエージェント 明智光秀
    購入済み

    明智光秀が好きで、光秀と名のつく作品は片っ端から読むようにしている。
    本作も書評を読んで「面白そう」とワクワクしながら購入したが、残念ながら
    期待したほどではなかった。作者はビジネスパーソンとして成功をおさめた人
    らしく、描かれている光秀も戦国武将というよりは、むしろビジネスパーソン
    という感じ。多くの競争相手がいたにもかかわらず、光秀が異例の出世を遂げ
    たのは、彼がそれなりの人物だったからだろう。戦国時代も現代のビジネス
    の世界も弱肉強食、権謀術数がはびこる世の中。最後まで生き残り、勝ち組に
    なるのは容易なことではない。光秀がどうやって成功を収めたのか、歴史上の
    事実を踏まえ

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    2020年09月22日
  • 頂上至極
    購入済み

    初めて読む作家さん。幻冬舎のキャンペーンでたまたま購入したが、内容にのめりこみ、
    一気読みしてしまった。
    木曽三川分流工事(宝暦治水)の責任者で薩摩藩家老の平田靱負を中心に描いた作品。
    今まで宝暦治水がこれだけの大プロジェクトとは知らなかった。ブルドーザーやパワ
    ーショベルのような土木機械もなく、人力だけで川筋を変え、堤防を築くなど、考え
    ただけで気が遠くなる。さらには幕府や地元の役人、尾張藩、強欲でしたたかな農民
    からの圧力、いわれなき誹謗中傷、いやがらせにも耐えなければならない。
    東日本大震災をはじめ、台風や豪雨などの災害復興プロジェクトでも国や地元の利害が
    複雑に絡み合い

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    2020年09月21日
  • 再生ボタン
    購入済み

    初めて読む作家さん。幻冬舎のフェアをやっていたのでたまたま見つけて購入。
    中にはあまりぱっとしない作品もあったが、全体的にはなかなか面白かった。
    とくに「幻日」は秀逸。さすがにデビュー作だけのことはある。阿刀田高の作品
    や「笑うせーるすまん」にも似たような話があって、読んでいるうちに次の
    展開が見えてくるが、それでもストーリーに引き込まれてしまう。「骨」も
    よかった。こんな話は実際にありそうで怖い。福澤さんはいろいろな職業を
    転々としてきた人らしいが、そうした過去の苦労や体験が物語に色を添え、
    引き立たせているような気がする。

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    2020年09月18日
  • ミッドウェー戦記(上)
    購入済み

    太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦の真相に迫るドキュメンタリー。戦後も存命中だった
    多くの関係者のインタビューを通じて、圧倒的に有利だったはずの日本海軍がなぜ敗れたのか、おぼ
    ろげながらわかるような気がする。いくつかの不運な偶然が重なったのは事実かもしれないが、
    真の原因は日本側の驕りや慢心ではないのか?根拠のない自己過信や相手に対する過小評価がとんで
    もない結果を招くというのは、戦争に限らずよくあること。試合でもビジネスでも、ここ一番の大勝負
    で勝敗が決まるときはあまりにもあっけない。そして負けたほうは悲惨だ。

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    2020年09月16日
  • ミッドウェー戦記(下)
    購入済み

    関係者の証言でよみがえる海戦当時の生々しい情景。飛龍とイ168号潜水艦の奮闘、活躍で
    何とか一矢報いたのはよかったが、勝って当然の戦いで敗れたのは痛かった。最大の敗因が
    連勝つづきによる気のゆるみや慢心、敵の過小評価にあったことは当時も認識されていた
    らしいが、それにしては判断を誤った山本長官はじめ、海軍首脳部の責任追及が今一つ十分
    ではなかったような気がする。
    その一方で第二航空戦隊司令官の山口多聞、飛龍艦長の加来止男が飛龍とともに失われた
    のは残念だ。艦長がフネと運命を共にするのは責任の取り方の一つかもしれないが、これで
    は艦が撃沈される度に有能な人材が失われてしまう。あくま

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    2020年09月16日
  • ハンターキラー 最後の任務 下
    購入済み

    手に汗にぎる

    上巻より面白かった。物語の展開スピード、迫力、ともに申し分なく、どんどんストーリーに引き込
    まれていく。老朽化した原潜で次々に発生するトラブルに全力で立ち向かう乗組員の姿に感動した。
    とくに危険な原子炉内での修理作業では思わず力が入ってしまった。これだけ原潜について詳細に
    書けるのはさすがだと思う。苦難、逆境を乗り越え、たとえわずかな可能性しかなくても決してあき
    らめないところが素晴らしい。続編も出ているようなので、ぜひ読みたい。
    どうでもいいことかもしれないが、作品には「コーヒー」という単語があちこちに出てくるのはなぜ
    だろう?作者はよほどコーヒー好きなのだろうか。

    0
    2020年09月16日
  • ハンターキラー 最後の任務 上
    購入済み

    「ハンター・キラー 潜航せよ」の前日譚。「潜航せよ」が面白かったので、さっそく購入した。
    こちらもなかなかスリリングな味わい。南米の麻薬王と米海軍の対決は見もの。本作に登場する
    「スペードフィッシュ」は老朽化した原潜だが、麻薬組織との闘いに、退役直前の老朽艦を投入
    するあたりが、いかにもエンターテインメント作品らしい。人、モノ、カネ。全てがそろってい
    る米軍が本気になれば、麻薬組織など簡単に殲滅できそうなものだが、現実は異なる。科学技術
    の進歩と潤沢な資金で、最近の麻薬組織は、高度なハイテク技術を駆使し、元特殊部隊の兵士を
    傭兵として使うなど、かつてないくらいに進化をとげた強敵。さ

    0
    2020年09月11日
  • ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話
    購入済み

    ★★きったん★★

    山にまつわる様々な怪異をまとめた本。「遠野物語」の現代版みたいな感じ。昔から語り伝えられ
    てきた民話や伝説に近い話もあるが、科学技術の発達した現代でも説明がつかない話もいろいろ出
    てくる。やはり山には何かがいる、というのは本当かもしれない。都市部に住んでいると、なかな
    か実感がわかないが、実際には日本の国土の7割以上が山地で、殆ど人が住んでいないエリアも多
    い。文明の恩恵に胡坐をかき、キツネや火の玉をバカにしていると、とんでもない災厄に見舞われ
    そう。自然をおそれ、敬う気持ちを持ち続けたい。

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    2020年08月26日
  • 新撰組秘帖
    購入済み

    明治維新を舞台に活躍した新選組隊士の群像。中村氏の作品は史実を丹念に調査
    して書かれたものが多く、情景描写が巧みで読者を飽きさせない。また、武術の
    造詣も深く、各流派の特徴や技についても詳しく書かれているのには感心させら
    れる。「明治四年黒谷の私闘」の主人公、水野八郎はあまり好きになれないが、
    古武術の薙刀の技が詳しく書かれていたのが興味深かった。新選組は、ともすれ
    ば幕府方の剣客集団として描かれることが多いが、構成メンバーの出身はまちま
    ちで、いろいろな考え方や価値観の人たちがいたことがうかがい知れる。要領よ
    く立ち回り、生き残った者もいれば、最後まで信念を曲げず、志なかばで斃

    0
    2020年06月24日
  • 裏関ヶ原
    購入済み

    はじめて読む作家さん。関ヶ原の戦いに直接かかわっていない武将たちの物語。心理描写も巧みで
    生き残りをかけたそれぞれの思惑がよく描かれている。ほぼすべての作品に石田三成が登場するが、
    黒田如水の語る三成像が斬新で興味深かった。マイナーな佐竹や最上を登場させるあたりはなかなか
    だと思う。

    0
    2020年06月15日
  • 横浜1963<文庫版>
    購入済み

    戦後はまだ終わっていない

    伊東潤氏の現代ものを初めて読んだ。横浜が舞台の警察小説ということで、はじめは
    森詠の「横浜狼犬シリーズ」みたいな作品を想像していたが、全然違っていた。
    伊東氏の文章は読みやすく、また多くの史実を丹念に調査して書かれているものが
    多いので殆どハズレがない。本作はオリンピック直前の横浜で発生する連続女性殺人
    事件を追って、ハーフの日本人警官(ソニー沢田)とアメリカ軍のSP(ショーン坂口)
    が活躍するという筋立てだが、戦後約20年を経過しても日本に駐留を続けるアメリ
    カ軍兵士に、日本人がどのように映っていたのかがよくわかった。そして、その傾向
    はおそらく今も変わっていない。アメリカ人(

    0
    2020年06月14日
  • レッド・メタル作戦発動 下
    購入済み

    久々にみる軍事スリラーの大作。迫力とスケールの大きさに圧倒され、あっという間に読み終え
    てしまった。
    ポーランド軍が、電撃作戦を終えて退却するロシア軍を、第四の都市ヴロツワフに誘い込んで殲
    滅を図った市街戦は壮絶。どんなに犠牲を払っても自国の尊厳と独立を守ろうとするポーランド
    の人々には敬服した。たとえ国土が蹂躙され、国民に犠牲者が出たとしても、日本ではまず同じ
    ことは起こらないだろう。
    アフリカでも米・仏軍とロシア軍が激突。双方の知力、死力を尽くした戦いぶりはすごいという
    ほかない。用意周到、緻密な作戦計画も、想定外のハプニングが重なれば一挙に崩壊してしまう。
    まさに「千丈の

    0
    2020年06月11日
  • THE MIDAS CODE 呪われた黄金の手 上

    手に汗握る冒険小説

    前作の「ノアの方舟」が面白かったので二作目を購入。今回のテーマはミダス王の伝説。設定に多少難はあるものの、至るところに歴史や科学のうんちくがちりばめられ、アクションもそれなりに派手で面白かった。パルテノン神殿が現在のような姿になったのは、戦争で破壊されたからだということを初めて知った。単に面白いだけでなく、今まで知らなかったことをいろいろ学べるのも醍醐味。

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    2020年06月06日
  • 血の轍
    ネタバレ 購入済み

    秀逸な警察モノ。読みごたえあり

    文句なしに面白い。登場人物の心理描写が巧み。過去と現在を行き来するストーリー展開にぐいぐい引き込まれてしまう。「KID」を読んでから
    相場さんの作品にはまり、これが4冊目だが、全くハズレがない。刑事部と公安部、それぞれの主義・主張もわからないではないが、それでも対立、
    確執がここまでひどいと警察とはつくづく恐ろしい組織だなと思ってしまう。昔は固い絆で結ばれていた捜一の兎沢と公安の志水。過去の不幸な
    出来事がきっかけとなって、お互い敵同士となってしまった二人の壮絶なパワーゲームから目が離せない。

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    2020年06月06日
  • 悪道 五右衛門の復讐
    購入済み

    久々の森村誠一。江戸時代の歴史的な事件を巧みにつなぎ合わせて倒幕計画の一部として
    いるところが面白い。江戸はしばしば大火災に見舞われているが、今でも原因がよくわか
    っていないものも多く、これが意図的な放火だとすればまさにテロ。次々に襲い掛かる闇
    の勢力との戦いが果てしなく続く。

    0
    2020年06月04日
  • レッド・メタル作戦発動 上
    購入済み

    久々の骨太ミリタリー作品

    とても面白かった。近年のミリタリーものは、正規軍同士の戦いを描いた作品が少なく、
    テロリスト相手のものが主流だったが、久々に骨太の作品に出会えた感じ。スケールの
    大きさに圧倒された。クリスマスを狙ったロシア軍のヨーロッパ侵攻は、かつての「バ
    ルジの戦い」を連想させる。アフリカの鉱山一つを確保するために、わざわざ大国ロシ
    アがこれだけ大規模な軍事行動を起こすだろうか、という疑問もわくが、ともかく、早
    く下巻が読みたい。

    0
    2020年06月01日
  • 戦艦陸奥〈戦争篇〉~山田風太郎ミステリー傑作選5~
    購入済み

    陸奥の爆沈をテーマにした「戦艦陸奥」他の短編小説集。文章がややレトロ調で、時代がかって
    いる感はあるものの、戦時中の世相がよく描かれている。
    陸奥の爆沈の原因は諸説あるが、乗組員による放火、爆破説が有力のようだ。当時の海軍では
    下士官による水兵の私的制裁が日常化していたとか。これを恨んだ水兵が犯行に及んだのではな
    いか、という説が有力で、結局千人以上が亡くなった。小説では別の原因になっているが、死と
    隣り合わせの戦時下、ファシズムの嵐が吹き荒れる日本では、みんなまともな精神状態ではいら
    れなかったのかもしれない。

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    2020年05月30日
  • 小説 立見尚文 闘将伝
    購入済み

    リーダーとはかくあるべし

    戊辰戦争から始まる立見尚文の生涯。中村彰彦の作品は、関連資料を丹念に調べた上で書かれている
    ものが多いので信憑性が高く、かつ描写が丁寧でわかりやすい。「勝てば官軍」といわれるとおり、
    戊辰戦争は明治新政府軍(官軍=薩長土肥)の視点から描かれたものが圧倒的に多く、ともすれば勝
    者の歴史観が独り歩きしてしまいがちだが、本作では敗者となった側にスポットを当て、旧幕府軍に
    身を投じた人々の気概、苦しみ、怒り、生き様がよく描かれている。
    立見尚文は幼少の頃より文武両道に秀で、戦術家としても優秀、かつ豪胆さも兼ね備えていた人だっ
    たらしいが、もし、彼が現代に生きていたらどんな活躍を見せてくれた

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    2020年05月28日
  • 特攻の真実 なぜ、誰も止められなかったのか
    購入済み

    今も全然変わっていない日本

    上層部の無謀な作戦立案、保身と責任転嫁、データの改ざんと捏造、真相の隠蔽。。結局そのツケ
    を押し付けられたのは特攻隊員と大本営発表のデマを信じ込まされた一般国民。
    戦後75年たっても日本人の短所は、全く改善されていない。いったい日本人は歴史に何を学んだ
    のだろう?コロナの蔓延という国難に直面してもなお、自らの保身と利権を最優先させ、責任転嫁
    と愚策の連発で日本を破滅に導く政府がかつての大本営とダブって見えた。

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    2020年05月21日
  • ロスト・シンボル(上中下合本版)
    購入済み

    面白いが難解

    他の作品と同じように、歴史や宗教の話がたくさん出てきて勉強にはなる。ただ、若干難しく、
    読むのにかなり時間がかかった。今回のテーマはフリーメーソンで、ワシントンを舞台に物語が
    展開。ハラハラドキドキの連続だが、残虐非道かつ狡猾な犯人は、悪魔の化身そのもの。得体の
    知れないCIAのサトウは、はじめは敵か味方かわからなかった。宗教と科学が一体となった純粋知性
    科学はどこまで研究が進んでいるのか知らないが、フリーメーソンには政府の要職を占めるメンバーが
    多数いるといわれるだけに、陰で世界を動かしているのはフリーメーソンだという陰謀論のほうが、む
    しろ現実味があると思う。

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    2020年05月19日
  • 影武者
    購入済み

    戦国時代小説といえば、織田、徳川、豊臣ものが主流で、あとは武田、上杉ものくらい。中国地方の
    毛利氏を中心に描いた作品は珍しい。短編集なので手ごろ感があり、文章も読みやすくてあっというまに
    完読してしまった。当時は日本全国で合戦が行われていたようで、地元では有名でも、教科書にはほとん
    ど載らないような小さな戦いも多かったに違いない。「奇謀の島」には陶晴賢や厳島合戦のことが詳しく
    書かれていて興味深かった。

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    2020年05月10日
  • オリンピックの身代金 上下合本版
    購入済み

    交錯するオリンピックの光と影

    初めて読む作家さん。昭和39年、オリンピック直前の東京。初めは古いタイプの推理小説かと思って
    いたが、全然違っていた。
    文章が読みやすく、飽きさせない。また、オリンピック開催の頃の当時の世相がよく書かれており、臨
    場感もたっぷり。インターネットも携帯もない、もう50年以上も昔の話なのに、今、すぐそこで事件
    が起こっているかのような新鮮さがある。同じ日の出来事を、警察側と犯人側の両方から描いているの
    で、それぞれの立場からみた展開が面白かった。
    東京に日本中の富が集中し、ハッピーライフを送る人間がいる一方で、疲弊した地方で生きる人々は貧
    困にあえぎ、夢も希望もない。オリンピック景気

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    2020年05月09日
  • クラッシュ
    購入済み

    やはりウィルスは怖い

    コンピュータ社会への警鐘ともいうべき作品。時代背景は少々古いが、本作のような
    サイバーテロは十分起こりうる。
    飛行機に関する専門用語が多く、最初は少し読みづらかったが、後半あたりから、
    がぜん面白くなった。
    航空業界のみならず、金融機関や製造業など、全産業で使用されているコンピュータ
    がウィルスに感染し、データやOSが消去されてしまったら社会は1日で崩壊する。
    いかに損害を最小限に食い止め、打撃から早く立ち直れるか。
    非常事態に問われるのはまさに国家の危機管理能力だ。コロナウィルスが世界中で
    猛威をふるう中、政府の対応をみるかぎり、日本は終わったなと感じざるを得ない。
    本作の

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    2020年05月02日
  • 君死に給ふことなかれ 神風特攻龍虎隊
    購入済み

    あまりに不平等な人生

    ドキュメンタリー風の小説。作者自身の体験がベースになっている。自分が最後に整備し、
    メッセージを残した練習機が特攻に使われたことを知り、本作がなかばライフワークの
    ような存在になったというが、たしかに行間に作者の気迫のようなものがが感じられた。
    ちょっとした偶然や行き違いがもとで、運命的な出会いや別れを体験するというのは
    よくある話。まして戦時中ともなれば、ワンタッチの差で生死が分かれてしまうことだ
    ってざらにある。生き残れるかどうかはまさに運次第。
    前途ある若者が、上層部の理不尽な命令一本で出撃を命じられ、あっけなく散っていく。
    一方で無謀な作戦を立案し、大勢の若者を死なせた指

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    2020年05月02日
  • 秘剣「出撃」
    購入済み

    炸裂!大森流居合術

    腕の立つ旅姿の浪人が、行く先々でバッタバッタと悪人退治。主人公の深田清兵衛に思わず三船敏郎を連想してしまった。剣戟シーンの描写が巧みで、臨場感満載。三日で読了。

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    2020年04月27日
  • 激動 東京五輪 1964
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    蘇る昭和の世界、味わいある七編

    東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。

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    2020年04月26日
  • 御用船帰還せず
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    北町奉行所VS微行組

    荻原重秀のことは本書で初めて知った。早くから貨幣経済の本質を見抜くなど、相当な切れ者だったようだが、若くしてあれだけ出世してしまうと周囲の反発や嫉妬も相当なものだったろう。敵も多かったに違いない。新井白石の気持ちもわかる気がする。北町奉行所VS微行組の対決は、相場さんの警察ものに出てくる捜査一課VS二課、公安を連想させる。それぞれが信じる正義のため、死力を尽くしてぶつかる諜報戦が面白かった。

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    2020年04月25日
  • あたっくNo.1
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    太平洋戦争中の潜水艦の青春群像

    太平洋戦争中の潜水艦を題材にした物語ということで、当初は福井晴敏の「終戦のローレライ」や池上司の「雷撃深度一九・五」のような戦記物かと思っていたが、かなり内容が違っていた。潜水艦に乗り組んだ若者たちの内面が丁寧に描かれている。もともと劇場で上演され、好評を博した作品ということもあって、戦時中の海軍にしては描写がかなり民主的というかユルイ印象で、どちらかといえば登場人物の内面描写にウエイトが置かれている。ガチな戦記物ではなく、戦時を生きた若者たちの青春群像として読むとよいと思う。

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    2020年04月24日
  • シグマフォースシリーズ12 スミソニアンの王冠 【上下合本版】
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    エイリアンのようなスズメバチ

    今回の敵は日本版ギルド。大日本帝国の再興を夢見る大富豪の老人が率いる秘密結社を相手にシグマが激闘を繰り広げる。忍者を模した秘密結社が出てきたり、日本の歴史にも触れるあたり、毎度のことながらロリンズのリサーチ力には驚かされる。ロリンズの物語には奇想天外なアイテムがいろいろ出てくるが、その多くが事実をベースに基づいている、というのが醍醐味。スミソニアン博物館の祖ともいうべきジェームズ・スミソンと、恐ろしいスズメバチがどうつながるのか、など興味は尽きない。登場する古代のスズメバチの生態は、まるで映画「エイリアン」に出てくる宇宙生物のようで、こんなのがまだ生きていたらと思うとゾッとする。

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    2020年04月20日
  • THE ROSWELL 封印された異星人の遺言【上下合本版】
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    エイリアンついに登場なるか。。

    以前からUFOや地球外知的生命体(エイリアン)には興味があり、衝動的に買ってしまった。本作でタイラー・ロックものは4冊目だが、今回はエイリアンの宇宙船墜落説がいまだに囁かれるロズウェル事件に端を発し、ニュージーランド、オーストラリア、イースター島、ナスカ、アメリカ本土と舞台が目まぐるしく変わっていく。いつもどおり、スピード感があってアクションも派手だが、結局ロズウェル事件の真相はさもありなん、という感じ。さすがに本物のエイリアンが登場するとは思っていなかったが、もう少し含みのある別の展開があってもよかった気がする。

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    2020年04月16日
  • 首都感染
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    とてもフィクションとは思えない

    先日、ついに非常事態宣言が出た。コロナで毎日世界中で感染者や死者が増えていくのを目の当たりにすると、あまりに現実とダブる部分が多く、とてもフィクションとは思えない。同時に、小説に描かれた世界と現実のギャップを感じた。未曾有の国難に不退転の覚悟で立ち向かい、リーダーシップを発揮する瀬戸崎首相とその息子でWHOにいた感染症のスペシャリストの優司、首相の親友で医者でもある厚労大臣の高城と登場人物は非の打ちどころのないキャスティング、この手の小説にありがちな悪玉も出てこない。現実のコロナ対策ではすべてが後手後手で、水際作戦では失敗し、オリンピックや経済優先で首都を封鎖することもできず、この期に及んでま

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    2020年04月12日
  • 国連航空軍 最終兵器 下
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    いよいよクライマックス

    朝鮮半島で北朝鮮軍を相手に奮戦する米軍の地上攻撃機、南シナ海上空では「ユニコーン」とテロリスト集団の戦闘機隊が激突、米中の戦闘機も参戦して壮絶な空中戦が展開される。攻撃されても反撃してこないという理由で、北朝鮮が日本を核攻撃するというのはたしかにありうる話。危機管理能力ゼロの日本はあまりになさけない。意外などんでん返しもあるが、それぞれの使命感、プライドを胸に、登場人物が次々に散っていくラストが哀しい。

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    2020年04月09日
  • 国連航空軍 最終兵器 中
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    東アジアでついに戦争勃発!

    シベリアから発射されたICBMがワシントン近郊に着弾し米国が報復。この機に乗じて南進を開始した北朝鮮軍とこれを支援する中国軍。スケールの大きいミリタリーもので読み応えがあるが、各国の利害や思惑が複雑に絡み合い、全体像が掴みにくいところもある。最近は国対国の正規戦より、テロリストやゲリラ組織などが相手の不正規戦のほうが発生頻度は高い。また潤沢な資金、高度なスキルをもつテロリスト集団も存在する。ブラックマーケットに流れた旧式の核兵器や、盗まれた細菌兵器がそんなテロリストの手に渡ったらどうなるか。果たして日本はまともな対応ができるのか?そんなことをふと考えてしまった。

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    2020年04月09日
  • 国連航空軍 最終兵器 上
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    スケールの大きいミリタリーもの

    登場人物が多く、それぞれの視点で同時並行的に物語が展開する。時代背景が2000年前後と若干古いがスケールが大きく面白かった。シリーズ第一弾ということだが、その前の話もあるようで、こちらも読んでみたい。日本の安全保障のあり方を考えさせられる一冊。

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    2020年04月08日
  • THE NESSIE ザ・ネッシー 湖底に眠る伝説の巨獣 下
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    ネッシー登場!

    後半でいよいよネッシーが登場。UMAや古代の遺物が出てくる作品は総じて好きだが、モリソンはディテールにも気を配る人のようで、登場するメカや生き物、事件の舞台となる場所なども具体的で詳細に描かれていて、自分もその場に居合わせているかのようだ。おそらく現地に足を運んで十分な調査をしているのだろう。こういった作品では、冷酷非情なテロリストは、必ずといっていいほど悲惨な最期を迎えるものと相場が決まっているのだが、まあこういう終わり方もあるのかと。あとエピローグ的な最終章「ハイ・プレッシャー」は別になくてもよかったと思う。

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    2020年04月05日
  • THE NESSIE ザ・ネッシー 湖底に眠る伝説の巨獣 上
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    スリル満点

    いつもながら、このシリーズは面白い。ネッシーとナチスの大量殺戮兵器がどう結びつくのか、や、謎解きの設定に若干無理があるようにも思うが、圧倒的なスピード感とテロリストとの息詰まる対決の連続で、細かい点はあまり気にならずにどんどん読めてしまう。果たしてタイラーたちはこのピンチを切り抜けられるのか?下巻が楽しみ。

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    2020年04月05日
  • ゴーストリコン ワイルドランズ ダークウォーターズ
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    特殊部隊の精鋭が活躍

    初めて読むシリーズ。昔から特殊部隊が出てくるミリタリーものが好きだったが、今までの作品とは違った味わい。「ゴースト」を構成するメンバーは、いずれもデルタやシールズなどの特殊部隊から選抜された百戦錬磨の精鋭。今回登場する4人のバックグラウンドが幕間で語られるところがユニークだった。不利な状況下で過酷なジャングル戦を戦い抜き、ミッションを成功させるあたりはさすがに戦闘のプロというべきか。戦闘でも仕事でも大切なのはお互いの信頼関係だということを実感した。

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    2020年03月28日
  • えれじい
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    読み応えのある一冊

    あらすじに麻薬中毒者による立て籠もり、女性警官射殺、中学生による乱射事件云々とあったので「面白そう」と購入を決定。予想したよりも立ち回りは少なかったが、巧みなストーリー展開でなかなか真犯人にたどり着けない。ふと気づくと主人公の佐倉と一緒になって犯人を追っていた。「うだつをあげない」ヤクザの跡見はスジが通っていてかっこいい。成果主義や拝金主義がはびこる世の中では「偉くなったヤツ、カネを稼いだヤツが結局は勝ち」というのはたしかに現実。だが、本当にそれでいいのかを考えさせられた。

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    2020年03月23日
  • THE MIDAS CODE 呪われた黄金の手 下

    ノンストップアクション

    下巻は息詰まるアクションの連続。冷酷非情のマフィアと現代版錬金術で一攫千金を目論む悪党、ロックたちの三つ巴の戦いが展開される。一難去ってまた一難。次々に襲ってくる危機にどう立ち向かうのか?007の「ゴールドフィンガー」ではフォートノックスの金貯蔵庫が狙われたが今回は?一度読みだしたら止まらない。誤植が多いと聞いていたが、さほど多くはなく、全く気にならなかった。

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    2020年03月22日