あらすじ
「見送る者は無言の自然のみ。行く先は何処ぞ……」。1941年、行き先も目的も知らされないまま、家族に別れも告げられず、11人の男たちは潜水艦に乗艦した。船酔いに苦しむ大滝、人間関係に悩む二本柳、接吻に憧れる北、軍規に反し日記をつける勝杜……。著者の伯父の日記を元に、明日をも知れぬ男達の真実の姿を描いた感涙の物語。
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太平洋戦争中の潜水艦の青春群像
太平洋戦争中の潜水艦を題材にした物語ということで、当初は福井晴敏の「終戦のローレライ」や池上司の「雷撃深度一九・五」のような戦記物かと思っていたが、かなり内容が違っていた。潜水艦に乗り組んだ若者たちの内面が丁寧に描かれている。もともと劇場で上演され、好評を博した作品ということもあって、戦時中の海軍にしては描写がかなり民主的というかユルイ印象で、どちらかといえば登場人物の内面描写にウエイトが置かれている。ガチな戦記物ではなく、戦時を生きた若者たちの青春群像として読むとよいと思う。