あらすじ
多々良一学は、慶長・元和の戦国豪傑の気風を残す、武辺者だった。しかし、戦国の気風が色あせた寛永の今、この男は、周囲に、はなはだ迷惑な男であった。強姦同然で妻とされたおくにの苦労も、人一倍。そんな一学が、今度は主君のあとを追って、切腹! 「武士道友情」の悲哀と奇妙さを描き出す、絶品の表題作ほか、7編の秀作を収録。
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さすが白石一郎、秀作ぞろい。海や九州を題材にした作品が多いが、本作にも加藤家の
改易や、竜造寺氏と大友氏の覇権争いに巻き込まれる小領主の悲哀、鳥羽港の女郎宿に
現れた変わり者の男の話など、読みごたえのある作品が並んでいる。狭い社会や組織の
中での出世争いや権力闘争、くだらない形式主義や権威主義が幅をきかせるあたり、天
下泰平の時代の武士なんて現代のサラリーマンと殆ど同じ。結局、人間、しがらみを捨
てて好きなことをして暮らすのが一番だと思う。できればの話だが。。