あらすじ
あの日、それぞれの「関ヶ原」があった。黒田如水佐竹義宣細川幽斎真田昌幸最上義光織田秀信東軍と西軍、徳川と豊臣などではない。ただ、己の「家」の意地と志をもって、全国で戦った武将たちの関ヶ原を描いた物語。
...続きを読む感情タグBEST3
はじめて読む作家さん。関ヶ原の戦いに直接かかわっていない武将たちの物語。心理描写も巧みで
生き残りをかけたそれぞれの思惑がよく描かれている。ほぼすべての作品に石田三成が登場するが、
黒田如水の語る三成像が斬新で興味深かった。マイナーな佐竹や最上を登場させるあたりはなかなか
だと思う。
Posted by ブクログ
裏関ヶ原のタイトル通り、通常焦点の当たらない人物に光を当てた短編集。派手さはないものの、それぞれ興味深く読んだ。黒田如水、最上義光の動きは知っていたが、佐竹義宣や織田秀信の戦いなどは初めて知った。
中でも細川幽斎の『細き川とて流れ途絶えず』が一番良かった。歌人である幽斎らしく関ヶ原の戦いを切り取る所が新しく、実に風流。幽斎と忠興、細き川が徳川という川に流れて力を与え、生き永らえる、そんなタイトルが非常に趣深い。
全体を通して、石田三成への作者の好評価を感じられ、三成好きとしては非常に嬉しい。特に三成に敵対した如水が彼を評価する場面から三成の政治家としての有能さを評価していることが窺えた。作者の『治部の礎』は未読で大事に積読していたが読んでみたい気持ちになった。