【感想・ネタバレ】小説 立見尚文 闘将伝のレビュー

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リーダーとはかくあるべし

2020年05月28日

戊辰戦争から始まる立見尚文の生涯。中村彰彦の作品は、関連資料を丹念に調べた上で書かれている
ものが多いので信憑性が高く、かつ描写が丁寧でわかりやすい。「勝てば官軍」といわれるとおり、
戊辰戦争は明治新政府軍(官軍=薩長土肥)の視点から描かれたものが圧倒的に多く、ともすれば勝
者の歴史観が独り歩...続きを読むきしてしまいがちだが、本作では敗者となった側にスポットを当て、旧幕府軍に
身を投じた人々の気概、苦しみ、怒り、生き様がよく描かれている。
立見尚文は幼少の頃より文武両道に秀で、戦術家としても優秀、かつ豪胆さも兼ね備えていた人だっ
たらしいが、もし、彼が現代に生きていたらどんな活躍を見せてくれただろうか?昔は今よりもはる
かに立派な人が多かった気がする。

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Posted by ブクログ 2011年12月13日

■歴史小説として面白いオススメ〇
■東洋一の戦術家と言われたほぼ不敗の名将についての小説。全体的に戦闘描写が非常にわかりやすく特に戊辰戦争における北越戦争は完成度が高い。

・抜刀切り込みについて、一般に手薄なところへ突っ込んでいき、左右の敵に背後へまわりこまれるよりも、初めから敵の密集したところを...続きを読む狙った方が効果は上がる。その集団が敗走すれば左右もそれに続いてしまうし、あえて立ち向かおうとする者がいたとしても、その視界には自分の背後に悪鬼のような表情で続く味方も映っているはずだから、どこか腰が引けているものだからだ。
・「知行合一」=知識と行動との合致を尊び、信じて断行する時には結果を恐れてはならないとする教え。
・指揮官として〇〇せよと命じるよりも、身をもって行動した方が全軍に指揮官の意思が伝わりやすい。
・西南戦争において、政府軍が警視庁抜刀隊を募集した際に、約一万三千人が応募したが、そのうち福島、三重の二県からの応募は約一割以上にも達した。ここからも、賊徒朝敵とされた者たちの恨みの深さが察せられる。
・西南戦役における政府軍の編成の特徴は、一鎮台を一旅団とした「建制旅団」はひとつもなく、そのすべてが各鎮台から選ばれた兵や徴募巡査を混じえた「混成旅団」だったことにある。理由としては、建制旅団を編成すると薩摩人が中枢を占める大隊、連隊が多くなってしまい、ひいては旅団ごと薩摩に寝返ってしまう恐れがあると考えての苦肉の策だった。
・西郷隆盛は身長180.3cm、体重146.3kgであった。
・作者の真意は、これまで歴史小説の主人公にも文献史学の研究対象にもほとんどならず、今なお歴史の闇のかなたに埋もれている日本人に何とか光が当てられないのか、という一点である。
・立見の陸軍における昇進を何かと邪魔をする山県のこだわりは、戊辰戦役における長岡攻防戦での盟友時山直八の死からであったといわれる。
・戦国時代以来、日本人は夜襲を普通とし、逆にロシア人は日中の平原会戦を普通としていた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月18日

立見鑑三郎のちの立見尚文の物語である。

戊辰戦争では、会津藩が朝敵とされたものとすぐに頭に浮かぶが、桑名藩もまたそうである。桑名藩主の松平定敬は会津藩主の松平容保の実の弟になる。立見は桑名藩の主戦派を従え、雷神隊を組織し、官軍に徹底対抗したが、会津が降伏したことで刀を納める。その後、朝敵として冷や...続きを読む飯を食わされるわけだが、それでも雷神隊の立見は官軍からも恐れられていたので、西南戦争が起こった際には少佐として新撰旅団という攻撃兵の指揮官に抜擢された。

鳥羽伏見や会津戦争、西南戦争と激動の中を戦の第一線で戦ってきたにもかかわらず、不敗の将軍として日清日露戦争までにも及ぶ戦歴は他に例を見ない。

もっと立見尚文の伝記があっても良いものだが、見かけないのは、やはり、徳川方は悪、官軍は善という意識から、尚文の事を記した書類等があまり残っていないからなのだろうか。

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Posted by ブクログ 2014年03月10日

戊辰から西南戦争、日清日露と戦い続けた立見尚文に驚きます。小倉出身の奥ヤスカタと立見尚文は戊辰でやられてから巻き返しがいいですよね。
北越戦争は河井継之助だけでない、と。土方みたいな喧嘩上手はまだいますね。

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Posted by ブクログ 2012年01月28日

幕末から明治時代・日露対戦までを戦い抜いた立見鑑三郎(のちに尚文)のお話。

幕末の小説はまさに激動の時代で、タイムマシーンで突然50年も100年も先の未来に人物たちをつれていってしまったかのような感さえ覚える。
立見鑑三郎も、武士としての刀・銃の混じる戦(いくさ)すがたから、明治の日露戦争では外套...続きを読むにシガーをくわえくゆらせる姿へと変ってゆく。

物語を通して一貫しているのは、彼の中に流れる武士のこころなのでしょうね。戦争を讃えるのではなく、幕末を生き抜いて、開国後に大国ロシアを破るもののふの芯を見た気がします。

しかし幕末の戦闘風景の描写は凄惨を極めるな…。

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