あらすじ
大永(だいえい)四年。毛利本家を継いだ元就は、三人の重臣を前に異母弟・元綱の陰謀を打ち明けた。陰謀には重臣二人が加担し、背後に尼子氏の影がちらつく。元就は領内巡視の際、元綱誅伐(ちゅうばつ)を決行。謀叛人たちは一網打尽となった。十八年後、尼子氏との戦いで死地に追い込まれた元就を救ったのは意外にも……(表題作)。大国の狭間で苦闘する毛利。戦国武将たちの死生観を活写!(『奇謀の島』改題)
...続きを読む感情タグBEST3
戦国時代小説といえば、織田、徳川、豊臣ものが主流で、あとは武田、上杉ものくらい。中国地方の
毛利氏を中心に描いた作品は珍しい。短編集なので手ごろ感があり、文章も読みやすくてあっというまに
完読してしまった。当時は日本全国で合戦が行われていたようで、地元では有名でも、教科書にはほとん
ど載らないような小さな戦いも多かったに違いない。「奇謀の島」には陶晴賢や厳島合戦のことが詳しく
書かれていて興味深かった。
Posted by ブクログ
古川薫さんは、郷里下関市出身の小説家だそうです。
いままで知らなかったのだけど、
毛利の小説が読みたくてこの度手に取って知りました。
骨のある小説だと感じました。
舞台が地方だというのもあって、壮大さみたいなものはないけど、
緻密でとっても好感を抱きました。
どれも面白かったですが、「遠雷」が特に心に残りました。
関ヶ原を経ての、輝元、秀元、広家の確執、
微妙な立場になってしまった、広家の苦悩描かれています。
また、「小京都山口燃ゆ」は、
大内義隆、陶隆房の男色関係もうっすら背景にしながら、
滅びゆく大内家を冷泉隆豊の視点から切り取ってあり、
面白いです。