【感想・ネタバレ】血の轍のレビュー

あらすじ

元刑事が絞殺された。警視庁捜査一課の兎沢は、国家を揺るがす大事件の真相に元刑事が辿りついていたという糸口を掴むも邪魔が入る。立ちはだかったのは公安部の志水。兎沢に捜査のイロハを叩き込んだ所轄時代の先輩だった。事件の解決を急ぐ刑事部と隠蔽を目論む公安部の争いが激化。組織の非情な論理が二人の絆を引き裂く……。胸打つ警察小説!

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ネタバレ

「轍が違うんだ。公安と刑事の轍が交わることはない。」

莫大な税金を使い、矜持を賭した刑事と公安の壮大な内輪揉め。同じ日本国の安寧を目指しつつも、立場の違いによる正義は決して重なることがない。最後にいいとこ全部持って行く監察官の格好良さよ。

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2024年09月17日

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他人になりすまし(背乗り)裏取引を仕切り凶悪犯となる。表の顔は上場企業の役員として公安部の中枢に潜り込み極秘情報を盗み出す。その公安官僚との縁のきっかけはPCにある個人情報が抜き取られ、弱みを握られたことで縁が経ちきれなくなったことが原因と、ある。現代でも金で操られる公職は改竄は愚か、データーの漏洩にも手を犯す。気を付けたいのは「個人情報」をどの端末・アプリにどれだけの情報をインプットしているかだ。責任は全て個人に返ってくることだ。

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2021年12月24日

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文句なく面白い。

警察OBの殺人事件を受けて、刑事部の兎沢と公安の志水2人の主人公が互いの正義を掛けて一生懸命にはたらく物語。

以前読んだ「KID」に出てくる公安の人間も志水って名前だったので、おそらく同じ人物だろう。その志水が公安に入るきっかけが描かれている。

かつては同じ所轄で先輩、後輩だった2人が違った道を進み、一つの事件で互いに対立する。決して交わることがなかったはずの二つの轍がふたたび交差するのか。
事件の真相を互いの角度から明らかにしていく過程がスリリングでとても読み応えがある。

刑事部の殺人犯は許さないという正義、公安の国家の安全を守るという正義。お互いの正義がぶつかり合い、時には足を引っ張り合う。正義に対する熱い思いは同じなのに目指す結果が異なってしまう。そんな対立行動をかつて同じ職場で心を許した主人公2人に投影し描いていく。ダイナミックでスリリングな物語で飽きずに読める。

公安のスパイ組織さながらの捜査手法に感心しながらも、刑事の経験と足で進める捜査にも頑張れと声援を送りたくなる。

警察ものの小説だけど、とても面白く続編があれば読んでみたい。

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2020年09月26日

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公安部と刑事部、良くある対比ですが、最初の方はわかりにくいし、長いし投げ出しかけました。
 後半から双方の面子を掛けた諍いになり、スピード感が出て来て俄然面白くなります。
 それにしてもこのお話はフィクションであり、またそうあってほしいと思いました。

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2020年07月11日

ネタバレ 購入済み

秀逸な警察モノ。読みごたえあり

文句なしに面白い。登場人物の心理描写が巧み。過去と現在を行き来するストーリー展開にぐいぐい引き込まれてしまう。「KID」を読んでから
相場さんの作品にはまり、これが4冊目だが、全くハズレがない。刑事部と公安部、それぞれの主義・主張もわからないではないが、それでも対立、
確執がここまでひどいと警察とはつくづく恐ろしい組織だなと思ってしまう。昔は固い絆で結ばれていた捜一の兎沢と公安の志水。過去の不幸な
出来事がきっかけとなって、お互い敵同士となってしまった二人の壮絶なパワーゲームから目が離せない。

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2020年06月06日

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刑事部と公安部の公開殴り合いに発展する展開が凄まじい。特にプロローグでのやり取りが終盤で効果的に明かされる場面は鳥肌ものです。
元警官二人の殺人が不正な株取引や上席のスキャンダルを孕む展開でどんどん深みを増していくストーリー。兎沢の食券の件はちょっと脇甘過ぎで違和感があるかな。組織安泰の為に殺人犯を逃がす公安部は酷いが、公安のスキャンダルをネットに暴露する刑事部もやり過ぎですね。刑事部サイドは内田副総監の犯人との癒着スキャンダルの暴露で一石二鳥だったかもね。
警察の主要人物達が不幸に見舞われる中でのラストの志水と兎沢の掛け合いがとても印象的。ストーリー中の主人公2人が殴り合い要素がありそうなラストです。
もう一度読みたくなる複雑な展開です。

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2019年04月14日

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面白かった。刑事部と警備部の対立を中心に、それぞれがいろいろなものを抱えてエスカレートしていく。緊迫感充分。

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2018年02月17日

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公安と刑事、別の組織かといわれるくらいに水と油の両セクション。
こんなことが日々繰り返されているのかと思うと、怖さを感じる⋯

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2025年06月21日

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ネタバレ

登場人物の8割が、自分のことしか考えていない嫌なやつばっかりだった。正義って足の引っ張り合いをすることなのか?お話自体はテンポが良く、ドキドキハラハラで面白かった!

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2025年04月08日

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ネタバレ

素晴らしい。
山寺でのチェイス、対決は鬼気迫るものがあり、目に浮かぶよう。
過去と現在、二人の視点が交互に書かれているので、最初は混乱するが、徐々に慣れてくる。
辛い話が続くが、何故か痛快さを感じる。

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2025年01月11日

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2024.10.23
作者には男くさい小説が似合う。本作では「ワルい男」「イヤな男」しか出てこない。だから面白い。

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2024年10月23日

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タイトルほど、血まみれな感じはなかった。相場さんの、公安が出てくるタイプの警察小説。刑事と公安の派閥争いが、ヒートアップしていく。文量多め、中身濃いめ、読み応えあり。

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2024年09月01日

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ネタバレ

警察内部の抗争という点で横山秀夫の『64』を彷彿とさせる。
ラストは一応兎沢と志水の和解(とまでは分からないが)ということで、ハッピーエンドになるのだろうけど、まだ事件そのものは解決しておらず少々中途半端な感じがした。あと男どもは奥さんに優しくしてあげて…。
楽しめる点は公安部と刑事部の丁々発止にあるだろう。特に坂上の活躍はスピンオフ小説が出そうなくらいだけど、実際は志水が「KID」かな?出てるらしい。しかし公安も刑事部のも上層部がことごとくメンツと権力に拘泥する嫌なタイプで、作者の「権力嫌い」がちょっと顔を見せた感じもする。

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2024年07月22日

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刑事たちを突き動かすのは、正義か、威信か、それとも憎悪か-。

『震える牛』以来の相場英雄san。

ひさしぶりの警察小説でした。命を賭した、刑事部と公安部の壮絶な派遣争い。

妻の不倫現場を凝視させられながら公安捜査員として鍛えられる男のプロローグから、事件の解明と引き換えに悲しみを背負ってしまった刑事部の男のエピローグまで。

刑事部刑事の兎沢、公安部刑事の志水、捜査一課長の海藤たち。冴えない地域課の老巡査・安部が「こっちに来ないか?」とそっと公安の名刺を出し、志水に目利きの話しをしたシーンは素敵でした。

兎沢の娘・咲和子の病気を唯一治すことができる佐久間医師が、手術直前で逮捕・・・これは悲し過ぎました。<おとしゃん>

志水が兎沢に告げた”公安と刑事の轍が交わることはない”という言葉。これがこの物語の核心だと思います。

-BLOOD ON THE TRACKS-

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2024年05月31日

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よくある公安VS刑事の図式だが、キャラの過去、相関、心理がわかりやすくどんどん読み進めたくなる。
ただ、最後は差し違えてスッキリとはいかないところで唐突に終わってしまったのが残念。

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2023年05月27日

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震える牛が面白かったので、続けて読んでみた本。警察ものを読んでいて思うけど、警察内部で本当にこんな不毛なつぶし合いが起こっているのかなとか思ってしまう。公安、刑事部、監察、それぞれの正義とするものがあり、それぞれの思惑で話が大きく動くし、読み進めててドキドキが止まらなかった。

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2023年04月16日

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刑事と公安の蹴落としあいを中心に話が進んでいきます。警察って部署が違うだけでこんなに協力体制ないんだろうかって現実の警察組織のことを考えてしまいました。

率直に言って面白い作品だと思います。話の展開も、えっ??そこ??って思うようなどんでん返しもあるので読み応えはありました。フィクションって感じがするところが逆に良いって思える作品でした。でも、話の伏線がちょっと物足りないというか・・・そういう印象を持ってしまいました。

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2020年12月20日

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ネタバレ

登場人物や肩書きがややこしくて最初戸惑う。
しかも現在と過去が断りもなく入り乱れるのでますますわかりにくくなる。

しかし話が動き出すと連続殺人事件と、過去の恐喝事件、そして警視総監襲撃事件が見事に一本の糸に収束していく過程は面白い。

しかもそれだけでも一本のボリュームがあるのに、そこに刑事課と公安の確執を描きこみ相対する主人公達の立ち位置が丁寧に描かれて、本作のテーマである「立場の違いによる正義」が見事に描かれる。

それぞれの思いを引きずりながらも捜査に打ち込む主人公達の姿はひたすら熱い。

ただ、兎沢の娘が白血病で亡くなり、その医者を公安が捕まえてとか、米村の奥さんの浮気相手が兎沢の上司とか、練ってはあるのだが却って安っぽいくなる枝葉はいらなかったかも。

この相場英雄は「震える牛」の人。どうりで上手いはず。他の作品も読まないと。

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2020年04月12日

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警察ものドラマとして面白かった。
スピード感あるシーンもあり、ドラマ化された映像も見てみたくなった。
公安の職務に全てを捧げる志水と、刑事の兎沢、それぞれの人生がせつない。

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2018年11月17日

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過去と現在、視点や時系列がコロコロ切り替わるので若干読み難かったが「震える羊」同様に読者を引き込むステリーテラーぶりはお見事。一気読みしてしまった。兎沢・志水両名の意地の張り合いは男として理解出来てしまう悲しさ。肝心なことが置き去りにされ、誰も救われないのも現代の世相でしょうか…。

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2018年06月20日

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元刑事が絞殺された。警視庁捜査一課の兎沢は、国家を揺るがす大事件の真相に元刑事が辿りついていたという糸口を掴むも邪魔が入る。立ちはだかったのは公安部の志水。兎沢に捜査のイロハを叩き込んだ所轄時代の先輩だった。事件の解決を泣ぐ刑事部と隠蔽を目論む公安部の争いが激化。組織の非情な論理が二人の絆を引き裂く…。

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2018年06月17日

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ネタバレ

公安VS刑事課、警察小説でよくある対立軸を煽ったパターンの小説である。
小説としては力ずくでグイグイ読ませるタイプ。浅めの伏線張っておいて回収シーンでグイグイアクション押しするタイプというのかな。俺はこういうのも結構好きである。

ただ、荒っぽいの好きとはいえ、さすがに荒っぽすぎる伏線もあって、冷静に思いだすと「それはやりすぎだろ」ってのもいくつかあるよなぁ。
左翼ビラ巻いたヤツを見せしめとはいえ、あのタイミングで拘束せんやろし(戦中の特高とダブらせてる?)、公安側主人公の奥さんも浅はか過ぎて、あの対応は女性蔑視と取られても仕方ないんじゃないかなぁ。

深く考えずに読んだら楽しい読書時間が過ごせるけど、主要テーマを大げさにとらえ過ぎると浅薄な小説に思えてしまう。この小説は問題提示などしておらず、警察権力抗争をイメージした純粋なアクション謀略小説だと割り切って読むべきである。

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2017年06月13日

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これは警察小説だがメインは犯罪行為でも犯人逮捕でも無い。
刑事警察VS公安警察の血みどろの抗争の物語。

兎沢は言った「志水さん、俺、今度父親になります」
志水は言った「本当か?今何カ月だ?」
先輩後輩として暖かい心の交流を続けていた2人。
「あんたたち見た目は違うけど兄弟みたいだねえ」と定食屋の女将は笑った。

時は経ち兎沢は捜査一課、志水は公安総務に奉職している。公安のメンツを保つ為だけの或る逮捕劇が、彼らの絆を徹底的にずたずたに引き裂いた。
元々は同じ方角へ迷いなく進んでいた轍。いつしか大きく軌道を外れ、激しくぶつかり合う。
それは彼らだけではなく、血を分けた兄弟であるべき組織同士が、鉤爪を立て牙を突き立て合う、血みどろの争いであった。
正義はどちらの側にあるのか?誰にとっての正義なのか?


いやあ汚い汚い、なんて薄汚い世界なんだろうか。冒頭から謀略の為に個人の人生を引っ掻き回して組織の部品として育て上げる。なんて薄汚いのでしょうか。そして・・・・とても面白い。
これまでに警察内部の軋轢を書いた小説は有りましたが、ここまで二転三転してシーソーゲームとなる小説が果たして有っただろうか。
相手の足元を掬い、一発一発パンチを交換し合うような攻防から目が離せなかった。



それにしても兎沢のエピソードは同じく娘を持つ身としては身につまされたなあ。かわいそうなの本当に。これは読まないと分からないから!
公安警察って本当にこんな感じなのかな?完全に悪者というか、うちらの思っている警察とは全く別物なんでしょうね。大概悪者として登場する事が多いので、全くもっていい印象無いです^_^;

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2015年09月21日

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ネタバレ

刑事vs公安が題材。正義は一通りではなく、視点によって変わることを改めて感じた。立場、考え方の違いから生じるいがみ合いによって生じる足の引っ張り合いが醜く、本来の目的からかけ離れた結末に呆然。人の良心に過度に期待しちゃいけないと感じた。エンタメ小説として面白い。

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2024年03月22日

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組織対組織
どーなるんやろ?って思いながらそーなるんやって。なんか落とし所がちょっと好きではないかな

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2021年07月23日

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ネタバレ

二つの視点とも臨場感があって面白い。それぞれの正義のために自分を犠牲にして活動する刑事に頭が下がる思いで読んだが、公安側の理由が下らなさすぎて、フィクションであってほしいです。

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2020年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

周到に準備された仕込みは、悪意以外のなにものでもない...。水面下の暗闘から互いに露骨に打ち合う怒涛の後半は、そこまでやるか、の応酬で途轍もない。タイトルに納得。最後のシーンに少し救われる。

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2019年07月08日

Posted by ブクログ

ストーリー展開が非常に面白い。
どれが本当でどれが嘘なのか、化かし合いと
思いながらも裏をかかれてくっそーと思うことしばし。

ラストは…
描きにくいんだろうなぁ。

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2017年06月25日

Posted by ブクログ

なんとも入り組んだ内容。複雑。警察同士で足を引っ張り合い貶め合い、池井戸潤の銀行員同士の諍いに近い状態で、一つの事件を皮切りに公安と刑事のやり合いの数々。

これがホントなら怖いな。と、心底思われる作品です。

正義を振りがざした儲け話しが警察でもまかり通るということに肌寒い感が否めない。

とにかく、心理の探り合い、騙し合い、掛け合いの中ストーリーがどんどん進む。気になる。

長編ですが中だるみもなくジッと探っていく臨場感がリアルです!!!!

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2017年03月23日

Posted by ブクログ

何とも息が詰まりそうになる刑事小説でした。

刑事と公安の対立をかいた小説ですが、いやぁ、
警察ってワルだなぁ。
特に公安のえげつなさが光る一冊。
本当にこんな事してるのだろうか。
恐ろし恐ろし。

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2016年05月31日

Posted by ブクログ

初めのうちは又、刑事部と公安部の対立ものかと読んでいたが、一言で言えばそうなんだけど、これはすごい。お互いの矜持あり、私怨もあり、どんでん返しもあり、読み応えありです。

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2016年03月24日

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