多崎礼のレビュー一覧
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レビュー件数、評価ともに高く、重厚な装丁。かなり本格的なファンタジーかと思い手に取ったのだけれど、思いのほか薄かったかな。
でも、おかげで最近どういう作家さんが評価されているのか分かってきた。
この作品はいわゆる歴史伝記モノ的雰囲気のファンタジーなのだろうけど、それにしては歴史のダイナミクスに乏しい、冒険活劇としてはキャラクターも筋もおとなしい。
そこら辺で、守り人シリーズをはじめとした上橋菜穂子さんの作品や十二国記あたりに及ばないかなと。
文体的には冷めた語り口が主体ではあるけれど、本来は韻文が好きで美しい物語が好きな作家さんなのかなと感じた。
トリスタンに関する描写にそのような印象が強 -
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『黒猫を飼い始めた』のシリーズ。「新しい法律ができた」で始まる掌編がたくさん入ってお得。
圧倒的に面白かったのは白井智之「ぜんぶミステリのせい」
こんなにソフトな話書いてここから入る人いたらどうするつもりなんだろう。この短さで犯人当てに挑戦してミステリに向き合ってて好き。
大沼紀子「もう、ディストピア」も反転がうまくて面白かった。
五十嵐律人「革命夜話」はさすが得意分野って感じでこれがラストで締まってよかった。
退屈する話も特になく、各作者の色が出ていて軽く読むのによかった。赤川次郎の赤川次郎らしさたるや。
『異セカイ系』の名倉編が参加してて嬉しかった。また長編書いてほしい……! -
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Posted by ブクログ
ネタバレ「神殺しの救世主」があまりにも微妙だったので、ドキドキしながら開いたレーエンデ。
想像していたよりもずっと楽しめた。
「神殺し〜」でハードルがかなり低くなってたせいもあるけど、ちゃんと一つの物語として成り立ってた。
とはいえ、世界観の作り込みが甘い部分があったり、会話が上滑りしてたり、思い込みで突っ走る登場人物に違和感を覚えたり、どっぷり浸って夢中になって読めるほどではなかったなー
一番引っかかったのは、ベクトルがトリスタンだけに頼りきりだったこと。
完全プライベートを装ってユリアを連れて旧友を通してトリスタンに案内役を依頼する。
最初の部分は分かる。
でも途中から交易路を作る公共事業を指揮 -
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感想
惑星の話を島に凝縮したようなファンタジー。魔物が一つのキーになっている。魔物が対象者を食べると記憶を受け継ぐので、誰が誰か分からなくなってくる。
あらすじ
ナイティンゲイルとトーテンコフが、イズー島を中心とする島群に伝わる物語を語り合う。
冬至の夜に煌夜祭が行われる。それはこの夜にだけ人を食べる魔物を鎮めるための儀式。魔物は何をしても死なない。そして、この夜だけ人から魔物に変わる。それを防ぐために語り部が夜通しで物語を聞かせる。二人は魔物となった島主の息子や娘の話をする。
やがて魔物は島主の家系から出ることが明らかになり、イズーの王を継承する戦いに発展する。トーテンコフ、ナイティ -
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Posted by ブクログ
ネタバレユリアたちの時代から時が経ち、後世の物語。
搾取されるだけの土地になったレーエンデをめぐり、一人の少女テッサと仲間が立ち上がる物語。
レーエンデの様子はすっかり変わってしまったが、ところどころでユリアやヘクトルの名前が出てくるのが、たしかに歴史は続いていると感じられるところ。
五巻もある物語の、まだまだ序章。ここでハッピーエンドになる必要はないとは言え、つらめの終わり方。
憎しみは連載するっていうけど、ルーチェたちを見てると、まさにそれを体現してるなと思った。裏切られ、相手を憎み、全てに怒り、怪物と化す。地獄をつくる側の、生きる地獄。 -
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