《過去と現在と未来。思考原野ではそれが同時に存在する。》p.259/闇堕ちしかけているアンガス、リバティを奪われ絶望的なアザゼル《希望と絶望は表裏一体。この文字は希望を裏返してしまう。》p.172/レッド《お前はオレの切り札だ。》p.14/セラ《無抵抗でいられる者ほど強い者はいないのですわ。》p.99/私《死ぬにはもってこいの日だった。》p.116/俺《それでも俺は決めたんだ。諦めないって。今、この時を生きようって。》p.204/ツァドキエル《手に入らないのなら、何もかも壊れてしまえばいい。》p.204/アンガス《でも殺さない》p.250/ジョニー《お前がいなくちゃ、愉快な仲間達は始まらねぇんだからな!》p.251/エイドリアン《新見聞を刷るぞ》p.274/アーク《ご主人様と一緒にいたい》p.285
■簡単な単語集
【アーク】解放された自動人形。アークエンジェル型で金髪美青年。背中に白い羽があるが「次元軸に沿って」収納できるらしい。起動してくれたアンガスを主と定めた。イメージ的にはC-3POだがけなげさはR2-D2。
【アイヴィ・アーチャー】腕利きの修繕屋。
【アウラ】盗賊団に襲われ滅んだ町。セラの故郷。
【アザゼル】ラピス族が「俺」に付けてくれた名前。
【アザゼル・初代】地上に降り大地の人に受け入れられた賢者。おそらく本とか文字とか歌とかを生み出した人物ではないかと思われる。
【アラウンド】カプト族の族長。「嵐のように泣いてもいい。雷のように怒ってもいい。けれど憎んではいけないのですわ」(第二巻p.276)
【アルスター・リーヴ】名修繕屋。エイドリアンとホリーの師匠。
【アルフレッド・スペンサー】世界で初めて地図を作った。
【アンガス】主人公。十七歳。白い髪と青い目の「先祖返り」。バンダナで右目を隠しており何らかの理由があるようだ。《僕の頭には、積み重ねてきた自分の記憶とは別の記憶があるんです。自分が学んだ知識以上の知識が、生まれつき備わっているんですよ》中央公論新社版第一巻p.105。非暴力主義者。《心を開いて、相手を受け入れてみてください。それは憎み合うよりも、ずっと難しいことだと思います。でも殺し合うより、ずっと幸せになること請け合いです》講談社版第三巻p.214。《僕に出来るのは信じることだけだ》講談社版第四巻p.49
【アンディ・パーカー】エイドリアンの部下。腕利きスタンプ職人。
【遺跡】天使達の住居跡と人は言う。
【ウェリタス】姫の身体を奪った者の名。
【ウォルター・ヘイワード】アンガス七歳のとき十二歳。初めてできた友人。ヘンリー・ヘイワードの息子で、食料などを運んでくれる。
【浮島】文字の力で浮いている。「滅日(ほろび)」でほとんどの島は落下し、今はラティオ島だけが浮いている。「聖域」のことだと思われる。
【ウリエル】四大天使の一人。「俺」に反感を抱いているようだ。常に美少女「夜の天使/レリエル」と美少年「昼の天使/シャムシエル」の二体の自動人形(ドール)を従えている。《彼女は幼い頃に遭遇した事故で全身が麻痺し、五感さえもほとんど失ってしまった。が、その精神力は飛び抜けて鋭く、精神ネットワークの隅々まで把握していると聞いている。》中央公論新社版第一巻p.80。
【エイドリアン・ニュートン】新見聞(ニュースペーパー)の考案者でデイリー・スタンプ社の代表。アンガスの師匠。愛称はエディ。
【エヴァグリン】→ネイサン・エヴァグリン
【エミリー・ロックウェル】マイケル・ロックウェルの娘。
【オフィーリア】ジョナサンの馬。アンガスの白い髪をかじるのがお気に入り。
【俺】もう一人の主人公。第一巻で飛び下り自殺している最中の男。赤ん坊の頃から他者にシンパシーを抱かせ(すぎ)る特殊な力を持ち危険視されていた。「悪魔の子」と呼ばれる。唯一平気だったガブリエルに育てられた。心臓に疾患がある。後にラピス族に受け入れられアザゼルという名前を授かる。
【解放の歌/リベルタカントゥス】力を取り出すために必要。
【鍵の歌/クラヴィスカントゥス】楽園を取り戻すために必要。
【カクメン】山岳地帯にある村で村人たちが次々に崖から身を投げた。
【カネレクラビス】生首の胴体があるらしいが、ここに暮らす「ネイティブ」たちはとても排他的らしい。オルクス族、コル族、カプト族、メンブルム族の四つの部族がいる。
【ガブリエル】かつて神童と呼ばれ精神感応力と自己防壁の高さに秀でていた。「俺」を育てた。「ガブリエル」は聖域での本来役職名みたいなもので司法の長に与えられる。
【歓喜の園】天使たちがいるらしい場所。おそらくアンスタビリス山脈のどこかにある。地図屋のヘンリー・ヘイワードが一度たどり着き逃げ出したがふたたび行こうと探している。
【クールウォーター】エイドリアン愛飲の煙草。ベンジャミンからもその匂いがした。
【クロウ】ラピス族の道化師(ヘヨカ)。みんなを笑わせる以外にはこれといった仕事をしなくてもよい特殊な位置づけ。《憎しみで生きる者は何も生み出さず、憎しみで歌われる歌は世界を滅ぼす》p.95
【ケイト】フリークスクリフで暮らす女。ジョナサンに色目を使う。「ダイヤモンド・ケイト」の異名を持つらしい。
【ケヴィン・ケネス】アンガスの兄。ダネルとホリーの長男。天使還りと言われ嫌われていたアンガスを愛した。
【ゴート】ラピス族の医術師(メディスンマン)。《生きるのに資格も価値も必要なかろう》第二巻p.21。《人は誰でも死ぬ。その時が来れば、大いなる意志が導いてくれる。だからそう死に急ぐもんじゃない。生きるってことはな、これでなかなか面白いことなんじゃよ》第二巻p.22
【刻印】「鍵の歌」によって思考原野からエネルギーを取り出すことが可能。文字(スペル)のことか?
【思考原野】個人とは別に誰もが共有するもの。ぼくらの世界で言うところの「集合的無意識」とかあるいは「アカシックレコード」とかに該当するのかもしれない?
【ジミー】滅びたフォンス村の少年。ピット・ケレットの息子。
【十三聖域】「俺」のいる聖域。
【修繕屋】本を修繕する職人。
【ジョナサン・ラスティ】レッド・デッドショットの兄。通称「ジョニー」。泣きぼくろがないので弟と区別できる。名修繕屋ロバート・ラスティの息子にして弟子。アンガスの旅の仲間となる。
【シルバーアロー】カネレクラビスのメンブルム族の歌姫。十六歳の少年。
【信じる】《僕は臆病だから、大切な人のことまで疑わなきゃならなくなったら何も信じられなくなる。誰も信じずに生きていけるほど、僕は強くないんだ》講談社版第三巻p.21
【スカイラーク】カネレクラビスのネイティブの予言者。男だが「歌姫」でありローンテイルの婚約者でもある。
【スタンプ】QRコードみたいなものか。視覚に作用しビジョンを見せる。特に危険なものではなく看板や広告に使われるが慣れないと多くのスタンプのある場所では酔う。本の技術を応用している。
【スペル/文字】《文字の力とは、この揺るぎない意志の力だ。》中央公論新社版第一巻p.16。《大陸中に散らばった四十六の文字。その中でも「滅日」以降に出現した文字は、悪意に満ちた波動を放出し続けている。》中央公論新社版第一巻p.79。《この世界には四十六の文字がある。そのうち二十二個はすでに活動を停止している。問題は残りの二十四個。これらの文字は今も生きていて、悪しきエネルギーを放出し続けている。それに触れると、人は狂気に取り憑かれる。》中央公論新社版第一巻p.104
【スペルの種類】刻印と文字(スペル)がおなじものだとしたら、1生命、2誕生、3呼吸、4共生、5繁栄Prosperity(ベルディス湖)、8自我、9勇気、10好奇心Curiosity(ウォラーレ湖)、11慈愛Affection、12尊厳Dignity(カネレクラビス)、13理性(「俺」の杖)、14英知Wisdom、15信頼Trust、16努力Effort(ビビタス湖)、17歓喜、18平和Peace、21自制Self-control(ミニョル湖)、22思考、23自由Liberty、24世界World、25傲慢Arogance、26憤怒Rage(プラトゥム村)、27Hate憎悪(ビッグフットのナイフ)、29忘却Oblivion(フォンス)、31無知Ignorance、32背信Betrayal、33破壊Destruction、34怠惰Laziness(ブロムペース)、35欺瞞Deception、36終焉End(カクメン村)、37嫉妬Jealousy(アウラ)、38荒廃Ruin、40強欲Greed、41妄執Obsession(テイラーの懐中時計)、42分裂Split(フォンス)、43暴力Violence、44滅亡Extinction(ヘルム村)、45後悔、46希望hope
【聖域】精神感応ネットワークの網が張り巡らされた理想郷。おそらく浮島のことだろう。
【セラ】盗掘団にいた少女。アウラの出身。口がきけない。呪文を唱えなくても本を読めるし、他者の読む本を一緒に読むことができる。普通は読んでいる者にしか見えない。アンガスに恋した? アウラ町長の娘セラ・フォスターと同じ名だが同一人物かどうかは不明。
【先祖返り】西部の一部地域では忌み嫌われている。
【ソリディアス大陸】舞台となる大陸。
【大賢人】解放の歌を産み出した。
【大地】姫「人の心と大地は密接な関係にある。人の心が荒廃すれば大地も枯れる」(p.87)
【ダニー】デイリースタンプの見習い印刷職人。十七歳。セラに惚れている?
【ダネル・ケネス】アンガスの父。腕のいい染色職人。天使還りのアンガスを忌み嫌った。
【地図屋】地図を作り、売る。名前がわかるまでのヘンリー・ヘイワードのことでもある。
【ツァドキエル】記憶と記録の管理者。近年まれにみる能力。見た目は地味な女。本を残すことを禁じられているとされているのに「ツァドキエルの本」というものがある。
【月】二つある。大きい月はカリタス、小さい月はオディウム。
【デイリースタンプ新見聞社(ニュースペーパー)】エイドリアン・ニュートンが率いる。
【テイルリング】オルクス族の族長。
【テイラー】ジェイムズ・テイラー。命令に忠実な連盟保安官。
【天使還り】凶兆、いつか人の世に滅日(ほろび)をもたらす者として嫌われている。アンガスがこれ。
【トークダム】先代の「大地の鍵」。
【トーマス・ヴィッカーズ】修繕屋の店主。愛称はトム。丸顔でにこにこしている。
【ドール/自動人形】アンガスについてきた生首はドールのものらしい。精神伝達物質により胴体がカネレクラビスにあると訴え続けアンガスを悩ませた。
【ドーンコーラス】カネレクラビスのコル族の歌姫。二十四歳の女性。
【ドラム】カネレクラビスのネイティブのメンブルム族の長。樽のように太った女。
【ドリーミング】ラピス族の老婆。
【トレヴィル砂漠】《昼の気温は五十度以上、夜は氷点下》中央公論新社版第一巻p.13
【トレド】トレヴィル砂漠の北にある町。全人口五百人。
【ネイサン・エヴァグリン】七人いる連盟保安官の一人で最も有名。巨漢だが《愚鈍な雰囲気は皆無》中央公論新社版第一巻p.231。荒川弘さんの作品に出てくるようなタイプのおじさん。出番を増やして欲しい。
【眠り病】思考原野の奥まで入り戻れなくなって権実の身体が眠ったままになること。
【ネルソン・オニール】ミースエストの市保安官。
【ハーヴェスト】アンガスの父が吸っていた煙草の銘柄。ジョナサンも吸っている。
【ハニエル】《胎児の俺を殺そうとして、出来なかった女だ。》中央公論新社版第一巻p.80
【バニストン】大都市。水蒸気関の発明者ウィリアム・ロックウェルが初めて鉄道を敷いた街。アンガスのホームタウンでもある。
【ハムレット】ジョナサンの馬。
【ハロゲン族】天使。第十七族元素。
【パロット】鳥。精神感応能力の高い者に懐く習性がある。
【ビッグフット】カネレクラビスのネイティブのコル族の長。大男。
【ピット・ケレット】滅びたフォンス村の男。ジミーの父。妻のデイジーは忘れ病で亡くなっている。空飛ぶ機械(オートジャイロ)を作っている。息子はジミー。
【姫】本のかたちをしている。あるいは本に宿る人格。記憶と身体を奪われアンガスとともに探索の旅をしている。生きた文字(スペル)に触れた者は姫の姿が見えるようになるが、そうでない者には見えない。
【ファルコン】カネレクラビスのネイティブのカプト族の長。精悍な顔立ち。
【ファング】オルクス族。
【フィン・リボルバー】賞金首。罪状は保安官射殺。賞金三十万ギニー。現在のフリークスクリフではトップ。
【フォンス村】西部の村。奇妙な病気で人が亡くなり続けている。
【ブラックホーク】ラピス族の族長。
【プラトゥム/平原】村。ネイサン・エヴァグリンの故郷。
【フリークスクリフ】悪党たちの根城。
【ペルグリン】ラピス族の女。「俺」を迎え入れるのに反対した。
【ヘルム】南部の村で五百人以上の住人が一夜にして消失した。
【ベンジャミン・ファーガソン】西部の測量士。天使を信仰している。
【ヘンリー・ヘイワード】地図屋。アルフレッド・スペンサーの一番弟子。ウォルターの父。歓喜の園を探し求めている。強烈な寒波の夜中に夜着のまま家を出て行方不明になったヘンリーをアンガスが捜し二重遭難しかけていたとき本に出会う。
【ホーネット】カネレクラビスのネイティブの一人。
【ホーリーウイング】カネレクラビスのカプト族の歌姫。十三歳の少女。
【ホリー】アンガスの母親。いいとこのお嬢様。アルスターのところに弟子入りしたが無骨な染色職人、ダネル・ケネスに惚れて出奔。
【滅日/ほろび】《一人の天使が「文字の精霊」を解放し、浮力を失った楽園は地に落ちた。》中央公論新社版第一巻p.13
【本】《本はね、遺跡から発掘される天使の遺産なのよ。》中央公論新社版第一巻p.12。形はぼくらの知っている本だが、むしろスマホに内蔵された書籍データって感じ。ラジエルの作った本はほとんどバーチャルリアリティ。ただし呪文により自己催眠をかけて受け入れやすくしないといけない。
【モルスラズリ/青い石】アンガスが生まれた町。インディゴ染めが地場産業。
【四大天使】「聖域」の幹部的存在。《防衛の長であり『理性の剛腕』と呼ばれるミカエル。医療の長であり『理性の心臓』と呼ばれるラファエル。思想統一の長であり『理性の頭脳』と呼ばれるウリエル。そして司法の長であり『理性の良心』と呼ばれるガブリエルだ。》中央公論新社版第一巻p.56
【楽園】ツァドキエルが構築したエリア。
【ラジエル】聖域では著名な本づくり作家。シェークスピアの役割のようだ。十大天使の一人。
【ラティオ島】《「滅日」の際、落下を免れた唯一の浮島》中央公論新社版第一巻p.85。いまだ天使が住まうと言われている。アンガスはいつかは赴くつもり。
【ラピス族】「俺」を救い受け入れた一族。イメージ的にはネイティブ・アメリカン。《腹がいっぱいってことは、幸せってことだ。》第二巻p.58。《大地から少しずつ力を分けて貰う。》第二巻p.61。
【ラファエル】四大天使の一人。「俺」はラファエル候補だったが心臓疾患のせいで落選。選ばれたのは遺伝子操作で生まれた少年だった。
【リグレット】→リバティ
【リバティ】ラピス族の若い女。歌姫。ブラックホークの娘。自分の名前はリグレット(後悔)だと言う。真名は「エマ」、「世界」を意味する。
【リベルタス】リバティが「俺」に対して呼んだ名前。「自由」という意味。
【レッド・デッドショット】賞金首の一人。史上最悪の悪名も高く賞金二百万ギニー。世界を滅ぼそうとしている。
【レミエル】十大天使の一人。「俺」の教育と養育の管理者。百三十歳を越えた婆さん。
【ローンテイル】カネレクラビスのネイティブ、オルクス族の長。豪胆でシャープそうな女性。人の心を少しだけ読むことができる。
【ロックウェル】マイケル・ロックウェル。バニストンの大立者。
【忘れ病】記憶を失っていく病。ホリーがかかった。