歴史・時代 - 講談社作品一覧

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  • 殺しの掟
    3.8
    江戸の暗黒街。昼間は実直な職人や清貧の剣客が、夜闇の中では金ずくで人を殺める殺し屋に変貌する。法の裁きの及ばぬ悪を闇から闇へ葬る裏稼業の男たちの非情さと日常に立ち戻った瞬間ふと見せる人間味を、練達の筆致で描く著者十八番の暗黒小説集。人気シリーズ“仕掛人・梅安”の原型をなす傑作9編を収録。
  • 今昔物語集 本朝世俗篇 (上) 全現代語訳
    3.0
    我が国最大の説話集であり、内容の多様さも文学的興趣も群を抜く「今昔物語集」。古来我が国で「世界」を意味した三国、天竺・震旦・本朝(インド・中国・日本)の一千を超える説話を収めた三十一巻(うち三巻を欠き、現存は二十八巻)のうち、本朝の世俗説話を収めた巻二十二~三十一。その平易で読みやすい全現代語訳をコンパクトに刊行。語注も充実。巻二十二~巻二十四。
  • 崑崙の玉/漂流 井上靖歴史小説傑作選
    -
    中国の古代から人々が執心してやまない「玉」の産地として聞こえた、誰も知らない崑崙山を目指して黄河の源流へと遡っていく一行に襲いかかる苦難の行方を描いた「崑崙の玉」。著者の独擅場とも言うべき西域・中国もののみならず、戦乱の世において非運に倒れた武将たちの運命を見据えた戦国もの等も収録。透徹した視線と自在な筆致が冴える傑作短篇集。
  • 呉越春秋 湖底の城 一
    値引きあり
    3.9
    春秋時代末期の揚子江流域で覇権を争う呉と越。越王勾践に覇を唱えさせた名将・范蠡(はんれい)の類稀な生涯を壮大なスケールで描く。春秋時代後期に覇権を争う、楚、呉、越。楚の人、伍子胥は堂々たる体躯で将来を嘱望される青年。伍子胥は、呉との国境近くの邑・棠を治める兄・伍尚を助けるため船に乗り、江水を往く。「人材こそ国と家の宝だ」伍子胥は、地位や身分を越えてさまざまな人と出会い、歩むべき道を探る。(講談社文庫)
  • 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)
    4.0
    江戸小伝馬町の牢獄に勤める青年医師・立花登。居候先の叔父の家で口うるさい叔母と驕慢な娘にこき使われている登は、島送りの船を待つ囚人からの頼みに耳を貸したことから、思わぬ危機に陥った――。起倒流柔術の妙技とあざやかな推理で、獄舎に持ちこまれるさまざまな事件を解く。著者の代表的時代連作集。
  • 後家長屋 町之介慕情
    5.0
    故あって武士を捨て、貸本屋となった町之介。なれない商売にとまどう町之介だったが、豪商・鴻池の女中頭を務めるお照や塗物屋の若ご寮人・お糸、薬種問屋の下女・お滝など、奔放に性を謳歌する大坂の女たちとの交わりを重ね、色好みの世界に引き込まれてゆく……。男女の喜びを大胆に描く、異色時代小説。
  • 御三家が斬る!
    3.0
    宝永地震に富士山の噴火。復興に苦しむお伊勢参りの要所・石部宿で、百姓衆の諍いを治めた旅の浪人徳田新之助は、圧政を敷く代官との交渉役を引き受けることになるが……。使い手の男前若侍と、色事好きのお節介な爺さん。ひょんな縁から行き会った三人の正体とは? 痛快世直し道中記開幕!<文庫書下ろし>
  • 裂帛 五坪道場一手指南
    5.0
    「義によって助太刀いたす!」長屋を改装した道場で子どもたちに剣術を教えている日比野左内は、事に応じてどんな者にも一撃必殺の技を授ける。大中小の三刀を神のごとく振るう中条流達人である左内には、自ら果たさねばならない宿命があった。居合道五段の若き俊英が放つ文庫書下ろし新時代小説開幕!
  • 五人女捕物くらべ(上)
    3.0
    朝の神田川に、女が1人釣り糸を垂れていた。「おおい、姐さん、御注進」。猪牙舟(ちょきぶね)が真一文字に近づいて来る。太公望のおせんと綽名(あだな)される売れっ妓は、老岡っ引小平次の手先として、恐るべき連続女殺しに取り組んでいく……。次々と、五人の女岡っ引が小平次と共に難事件に挑む、連作江戸推理作品集。
  • 五五五文字の巡礼 魏志倭人伝トーク 地理篇
    4.0
    『魏志倭人伝』を構成する漢字をひとつひとつ徹底的に解読・分解すると、今まで誰も気がつかなかった秘密が立ち上がる。たとえば(至)と(到)の使い分けから、途中経過地と目的地の違いを知ることができる。魏の使節団の倭人国への航海と陸行の足跡を、全く新しい手法で辿った仰天の異色歴史小説。<文庫書下ろし> (講談社文庫)
  • 西鶴人情橋
    4.0
    俳諧師から草本作家への転身をはかる井原西鶴。亡父ゆずりの豪剣をふるう磯部信十郎。二人の奇妙な友情を軸に織り成される人間模様の数々。米相場を左右する大阪商人たちの葛藤と幕閣中枢の暗闘には、謎の美剣士がからむ。――剣あり、恋あり、友情ありの、浪花元禄時代絵巻。第3回時代小説大賞受賞作。剣と恋がからむ西鶴と青年剣客の熱い友情を描いた、手に汗にぎる活劇ロマン!
  • 雑賀のいくさ姫
    3.8
    イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、乗り込んだ船での内紛と難破のはてに、紀伊雑賀のいくさ姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのためにジョアンらと南洋に向かうが、海賊や大名の思惑、そして過去の因縁に巻き込まれていく。雑賀、村上、毛利、大友、島津―戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する。戦国の海洋を縦横無尽に駆け巡る、傑作歴史ロマン!
  • 西郷隆盛
    -
    西郷隆盛は、1827年、鹿児島県に生まれました。7人兄妹の長男として西郷家をささえ、薩摩藩のために身をつくしますが、二度にわたり島流しにあいます。倒幕をめぐってはげしくゆれ動く世の中で、西郷は禁門の変や薩長同盟、江戸城明けわたしなどで重要な役割をはたしました。新政府の中心人物として、数々の改革を実現した西郷でしたが、「征韓論」で下野したのち西南戦争で城山のつゆときえました。
  • 斎藤道三
    -
    蝮と言われ、梟雄と呼ばれる戦国の怪物斎藤道三。彼はまさしく国を盗った。一介の素牢人が油売りから身を立てて、ついには美濃一国の主に成り上がったのだ。その智謀と武略、非情ともいえる自在な権謀術数は、さすがの戦国時代においても群を抜いていたといえよう。この一代の傑物の生涯を克明に描く好著。
  • 道祖土家の猿嫁
    3.7
    失われた故郷への鎮魂歌! 明治の中ごろ、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土(さいど)家に嫁いできた蕗。その容貌から“猿嫁”と揶揄されながらも、蕗は天真爛漫な性格で名家に溶け込んでいった。やがて日露戦争や太平洋戦争の戦渦は、道祖土家を巻き込み、各々の人生も翻弄していく。百年の時を通じ、日本人が来た道、行く先を描く壮大な歴史ロマン。
  • サイパンから来た列車
    -
    深夜の東京駅に突如訪れたサイパン玉砕の一個大隊。彼らが見た戦後10年の祖国の顔、そして家族たちは……、という表題作など、全5編。脚本家・倉本聰が手掛けて舞台・テレビドラマ化され、笠智衆など出演で映画化もされた傑作。
  • 坂本龍馬(1) 黒船の巻
    4.0
    坂本龍馬、19歳。ふるさと土佐をあとに江戸は北辰一刀流の名門千葉貞吉の道場で修業中の身だ。1853年夏、ペルリ来航し江戸の町は大騒ぎ。黒船撃退を叫ぶ仲間たちの激論珍論をよそに、龍馬はひとり茫洋と構え、その天稟の資質にまだめざめない。望郷の念にかられ、高知に帰った彼の身に何かが起こる。
  • 坂本龍馬 幕末風雲の夢
    -
    坂本龍馬――幕末激動の中に多くの夢をのこして、並みはずれた発想と行動力を示しつつ、懸命に、しかも足早に駆けぬけた風雲児。薩長同盟の締結、大政奉還の実現のために活躍した土佐の風雲児・龍馬は、藩という枠を超えて生きた幕末の自由人でもあった。資料をふまえ、龍馬のロマン、心情、人脈、魅力を探る歴史読物。
  • 逆ろうて候
    3.0
    「信長に仕えるくらいなら、浪人したほうがましや」。美濃にその人ありと知られた武将・日根野弘就(ひねのひろなり)は「信長を討つ」という決意のもと、新たな主を求め東国に向かった。が、苦労して仕官した今川家での待遇は、美濃の五千貫文に対してわずか百貫文。弘就の波乱と忍耐の人生が始まった。〈『浪々を選びて候』改題〉(講談社文庫)
  • 相楽総三とその同志
    3.0
    作家・長谷川伸は幕末の「赤報隊」隊長・相良総三の軌跡を追い、草莽の志士たちの生死をたどることで「歴史」というものの姿をあらわしました。明治維新について記された書物はあまたありますが、その叙述の志の高さにおいて本書をこえるものはまずないでしょう。軽薄で声高な「改革史観」がはびこりつつある昨今、「偽官軍」の悲劇をあますところなく描いた本書がふたたび多くの読者に迎えられることを切望します。(講談社学術文庫)
  • 昨夜は殺れたかも
    4.1
    今日も二人は"殺し愛"夫と妻の視点に分かれ気鋭の著者二人が競作する、予測不能なラブサスペンス!平凡なサラリーマン・藤堂光弘。夫を愛する専業主婦・藤堂咲奈。二人は誰もが羨む幸せな夫婦……のはずだった。あの日までは。光弘は気付いてしまった。妻の不貞に。咲奈は気付いてしまった。夫の裏の顔に。彼らは表面上は仲のいい夫婦の仮面を被ったまま、互いの殺害計画を練りはじめる。気鋭の著者二人が夫と妻の視点を競作する、愛と笑いとトリックに満ちた"殺し愛"の幕が開く!
  • 佐々木小次郎(上)
    -
    自分の力を試したい。家柄が物をいわず、己れ一人の実力が頼れる世界に出たい――小太刀の名人に養育された孤児佐々木小次郎は、一剣に野望を賭け、恋人を捨て、故郷を捨てた。やがて、出雲のお国の舞い姿に啓示を得た無心の剣は、一閃、熊野に乱舞する飛燕二羽を斬り落とす。これぞ、秘剣つばめ返し! 恨みの白刃、恋のしがらみを振り払い、己れの恣意に生きる美貌の天才剣士の華やかな躍動感!
  • 佐助と幸村
    3.0
    忍びの者・佐助は、武門の誉れを振りかざす武家を軽侮するが、ただひたすら死に花を咲かさんとする幸村と出会い、その孤高の佇まいに惹かれてゆく。迎えた決戦の時。幸村は己の美学を貫き、佐助は死中に活を求めて乾坤一擲の策を講じた――。史実と伝奇を織り交ぜた真田戦記外伝。《『真説 猿飛佐助』改題》
  • 定吉七番シリーズ 全6冊合本版
    -
    コードネーム"定吉七番(セブン)"――大阪商工会議所秘密会所に所属し、唯一「殺しの許可証」を持つ丁稚。元締である千成屋宗右衛門に呼び出された定吉は、唐桟のお仕着せに前垂れかけて、愛用の包丁「富士見西行」を懐に、関西経済界の破壊を目論む、悪の結社との戦いに挑む。伝説のスパイアクションコメディーシリーズ全6冊が、合本で登場!
  • 薩摩軍法
    5.0
    ひっそり暮らす田舎の老爺与茂作に、突然七十万石の太守島津家久から呼び出し命令がきた。「きっとあのことじゃ」と胸に覚えのある与茂作は腰をぬかしそうになる。40年も前の戦場で起きたあの出来事こそ、薩摩武士の酷薄な掟ゆえ秘匿された与茂作の秘密であった。士道の表裏を鮮烈に描く俊英の代表作品集。
  • 真田十勇士
    -
    武術、忍術にすぐれた佐助は、明るくてまっすぐ、ちょっとのんきな若者。真田幸村に気に入られ、家来となる。幸村の家来には、爆薬使い、鉄砲が得意、力持ちの兄弟など、強くて個性的な者たちがそろっていた。西国の様子をさぐる旅に出た佐助たちは、山賊の親分や、忍術使い、海賊の親分と出会い、次々仲間に引き入れていく。こうしてそろった十人の勇士たちは、幸村とともに、徳川との戦い――大坂の陣にのぞむ!
  • 真田と「忍者」
    5.0
    大好評のNHK大河ドラマ「真田丸」、その後半を楽しむカギは、ズバリ「忍者」だ!乱世を生き抜く術、叡智――すなわち軍略・兵法に長けた一族「真田家」。真田家を支えた裏方たち――「忍び」、そして「赤備え」。そのドラマティックな生き方を幸隆、昌幸、信繁の真田三代にわたって描き切ることに当代一の歴史作家が挑む!
  • 真田幸村の妻
    3.0
    関ケ原の戦いで敗北した真田昌幸・幸村父子は、信州・上田を追われ、高野山に蟄居となる。だが、高野山は女人禁制の地、妻子は高野山口の九度山に居を構える。妻の眼から見た閑居の日々、やがて迎える凄惨な大坂の陣――綿密な取材と膨大な史料をもとに、時代に翻弄された正室・竹林院を活写する、長編歴史小説。
  • さむらい山脈
    -
    丹波亀山5万石は当主・伊勢守忠光が3年前に病死したため、弟の忠之が家督を継ぎ、後室・お茂の方は、深川・小名木川ぞいの小宅に住んでいる。お茂の方はまだ若く、すぐれた美貌だったため、その美しさに執心した忠之が、里方へ帰さなかったからだ。当主の邪恋の隙を狙ったのが、側用人・黒崎重四郎。江戸藩邸に黒崎党をつくって、一手に藩政をおさえようと野望に燃える。かくて、亀山家はお家騒動になるが、ここに敢然と立ち上ったのが青年創士・鶴田礼三郎だ。礼三郎は家老の息子だが、藩の危機を救うため、浪人の身となって、騒動のまっただなかへ乗りこんでゆく。剣が走り恋が咲く時代長編。
  • 侍ニッポン
    -
    大老井伊直弼の落胤新納(にいろ)鶴千代。悪旗本から一条卿の姫を救ったことが発端となり、転変波乱の修羅の巷に引きこまれる。二人の美女に惑乱され、封建社会の枠にもはまれず、勤皇佐幕の波にも乗れず、幕末動乱の浮き世をさすらうニヒルな侍の孤影――人を斬るのが侍ならば恋の未練がなぜ斬れぬ。阪東妻三郎主演、西条八十作詞、松平信博作曲の映画主題歌が津々浦々に流れ、一世を風靡した名作。
  • 猿ケ辻風聞
    -
    動乱の幕末、尊攘派の公卿姉小路公知は、京都猿ケ辻で刺客に襲われ、非業の死をとげた。刺客の持っていた刀が薩摩の田中新兵衛の差料だったことから彼が容疑をかけられるが、刀は盗まれたものと主張して自決する。複雑な政治状況のもとでの暗殺事件はついに謎のままか? この事件の謎や風聞を巧みにからめた表題作など、歴史秀作10編収録。
  • 山河在り 全三冊合本版
    -
    戦争前夜の日本と中国、荒波を生きる青年! 25歳の華僑青年・温世航は、関東大震災で被災。失踪した仲間を追う。巨匠が描く日中近代史ーー華僑貿易商の一族として、上海に生まれ日本で育った温世航(おん・せいこう)。25歳の時、関東大震災に遭う。未曾有の天災に、緊張状態にあった日中関係も良好になるかと思われた。だが朝鮮人虐殺の報は、両国関係に再び暗い影を落とす。仲間の青年の失踪事件を追って、世航は旅立つ。日中十五年戦争前夜を描く大河小説!  『山河在り(上)』『山河在り(中)』『山河在り(下)』全3冊合本版
  • 山月庵茶会記
    4.3
    かつて政争に敗れた柏木靫負(ゆきえ)が、千利休の流れを汲む高名な茶人となって国に帰ってきた。孤狼の心を胸に秘めた男は、家督を養子に譲り、山裾の庵で隠遁生活を送る。今日も山月庵に客を招く。派閥抗争の最中に喪った、妻の死の真実を知るために。これぞ直木賞作家の真骨頂! 静かなる闘争の記。
  • 三国演義 第一巻
    4.0
    本当の面白さが味わえる決定版「三国演義」!劉備は単なる"仁"と"義"の人ではなかった――。中国人の生活と発想の根底に横たわる、道教の視点を導入し、物語の歪みを糾(ただ)す初の試み。これまでの儒教臭の強い描写を改め、英雄豪傑が等身大の姿で、生き生きと甦える。これぞ痛快無比の三国志の世界。
  • 三国志(一)
    値引きあり
    4.2
    日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う。――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである。
  • 三国志 英雄ここにあり(上)
    4.0
    後漢・霊帝の皇基衰えて天下は乱れ、劉備玄徳は、関羽、張飛と義を結んで、黄巾賊討滅に起き上がった。都の洛陽で大将軍何進の後を襲うは、曹操か、袁紹か? 河南では大軍を擁する菫卓が、はるか洛陽の空を望んでいた。治乱興亡――国造りの戦国絵巻を雄大なスケールで描く、興趣横溢の長編小説。吉川英治文学賞受賞作品。<全3巻>
  • 三国志演義 (一)
    5.0
    西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。(講談社学術文庫)
  • 三国志演義 全四冊合本版
    -
    西暦220年、後漢王朝の崩壊後、群雄割拠の時代の中から魏、蜀、呉の三つ巴の戦いへと発展した。その約1000年後。複数の「三国志」の物語や資料を整理・編纂し、フィクショナルな物語世界を構築してたのが、本書『三国志演義』です。中国文学に精通した訳者が、血沸き肉躍る、波乱万丈の物語を、背景となっている時代や思想にも目配りしたうえで、生き生きとした文体で翻訳した決定版です。(講談社学術文庫)
  • 三国志 柴錬痛快文庫
    3.0
    正義のために立つ! 後漢末、劉備(りゅうび)は、桃園で誓った竜虎2人、関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)を従え、天才・孔明を軍師に、蜀(しょく)の国を興す。広大な大地に、どんな英雄豪傑たちのドラマがあったのか? 張飛と呂布(りょふ)の壮烈な一騎討ち、関羽の千里行、魏(ぎ)の曹操(そうそう)を打ち破る赤壁の戦い……最高に面白く胸躍る名場面を1冊で楽しめる「はじめての三国志」。
  • 三國志人物事典(上)
    -
    友を信じ、明日を誓う、劉備・曹操・孔明・周瑜……2世紀末、中国後漢末期、政治は腐敗し、黄色い頭巾を巻いた黄巾賊が、各地で反乱を起こし、民衆は貧困に喘いでいた。世を救うため、青年・劉備は仲間とともに立ち上がる。英雄、智将、猛将、1800年の時を超えてなお、愛され続ける三國志の登場人物たち。そのすべての生涯を50音順にまとめた「読む人物事典」。<上中下・全3巻>
  • 三国志 曹操伝(上) 落暉の洛陽
    4.4
    幼い皇帝を巡り、宦官(かんがん)と外戚が熾烈(しれつ)な権力争いを繰り広げていた後漢末の中国。後宮では巫蠱(ふこ)という呪術が流行し、民衆の間では新興宗教・太平道がのさばり始めていた。混乱の都・洛陽を掌握したのは、冷酷な将軍・董卓(とうたく)。青年・曹操(そうそう)は、この乱世を虎視眈々と見つめながら、「姦雄」として歩み出そうとしていた。
  • 三人の二代目 上 上杉、毛利と宇喜多
    3.0
    闘将・織田信長は大軍を率い、「天下布武」へ向け着々と歩を進めていた。強大な信長軍に、どう立ち向かうのか。偉大な祖父・毛利元就から大藩を受け継いだ輝元。戦国の世を成り上がった宇喜多直家の嫡男・秀家。そして上杉謙信没後、景虎との家督争いを制した景勝。「三人の二代目」は家の存亡を懸け、信長軍との対峙を強いられる。和平か、それとも合戦か。家臣・親族の意見に翻弄されながら、二代目たちは苦難の道を行く――。
  • 三人の二代目 上杉、毛利と宇喜多 上下巻合本版
    -
    闘将・織田信長は大軍を率い、「天下布武」へ向け着々と歩を進めていた。強大な信長軍に、どう立ち向かうのか。偉大な祖父・毛利元就から大藩を受け継いだ輝元。戦国の世を成り上がった宇喜多直家の嫡男・秀家。そして上杉謙信没後、景虎との家督争いを制した景勝。「三人の二代目」は家の存亡を懸け、信長軍との対峙を強いられる。和平か、それとも合戦か。家臣・親族の意見に翻弄されながら、二代目たちは苦難の道を行く――。
  • 三百六十五日
    -
    見かけは優しいノンキ者の浪人・風雷太郎は、腕がめっぽう強く、天秤棒を振って相手をキリキリ舞いさせる。……浅草の観音さまで敵討の大望いだく町娘・お加代を戒めての帰途、観音さまのお告げだと言いはる拾い屋の忠六のすすめで、花川戸の質屋・倉橋屋の色後家・お浦の用心棒となって、悪旗本・大河原一味をやりこめる。倉橋屋の内部事情は複雑で、先代の息子で今は人別帳から抜かれてしまった兇状持ちの伝吉が、ごろつき浪人を語らっては押しかける。お浦と夫婦になった雷太郎に近づく、料亭・つるやの看板娘・お加代と、女掏摸・裸弁天のお雪など……江戸の四季をいろどる、剣と恋の物語。
  • ザビエルとその弟子
    -
    日本に初めてキリスト教を伝道したフランシスコ・ザビエル。中国への布教を熱烈に夢見ながら、目前のサンチャン島で熱病に斃れた彼の最晩年を、3人の弟子を通じて描く。貴族出身で現世的なフェレイラ、日本人のアンジロウ、そして最期を看取ったアントニオ。聖ザビエルの激しい魂が活写された、衝撃作。(講談社文庫)
  • ザンギリ愚連隊
    -
    慶応4年5月の上野彰義隊の闘いは、政権奪取をはかる薩長土に抗して、江戸の侍たちが誇りと意地を貫いた負け戦であった。新政府の下の、江戸っ子たちは変心していった……。元旗本直参で生き残った彰義隊士・奥野左京らは切歯扼腕の毎日を送っていたが、薩長の目にあまる横暴に我慢できず、怒りはついに爆発した。歴史をあざむく権力者たちに挑んだ若者の悲劇を描く、長編時代小説。上野彰義隊の残党が大あばれ!
  • 刺客の花道
    -
    忠臣蔵の死に損ないが江戸の闇を斬る! 吉良家の用心棒であった朽木主膳(くちきしゅぜん)は正念場の赤穂浪士討ち入り当夜、女の家で一夜を過ごし、武士の面目を失った。賭場の主小吉に拾われた主膳には、闇の刺客の道しかなくなった。対するは、娘を庇う手負いの大道武芸者を餌食にする棒術の悪僧、生類憐みの世に人喰い犬を嗾(けしか)ける悪旗本。主膳に死に場所はあるか? (講談社文庫)
  • 信長私記
    4.3
    なぜ織田信長は母を――史上最凶の日本人、その実像。俺は屍を越えてゆく。なぜ瓢箪をぶらさげたのか。なぜ合戦に強かったのか。なぜ道三の娘を愛したのか。なぜ父親の葬儀に遅れたのか。なぜ鉄砲を集められたのか。なぜ秀吉を重用したのか。なぜ弟を殺したのか。なぜ地獄をも怖れなかったのか。全ての点が線になる、花村文学だから成しえた衝撃作。
  • 太閤私記
    3.0
    1~2巻1,771~1,925円 (税込)
    我、信長を籠絡せり。主君の力量を見極め、弱点を探り、全力で取り入る。猿面の下に隠した野望。太閤秀吉、史上最大出世の秘密。猿に似た醜い容姿。武勇に優れるわけではない。智謀に長けているわけでもない。そんな秀吉が、なぜ信長に重用されたのか。そしてなぜ天下人になり得たのか。信長自身が信長の人生を語る――驚きの着想で好評を博した『信長私記』に続く第二弾。今度は秀吉が自らの謎を明らかにする!
  • シギラの月
    -
    南海の楽園で展開する壮大な歴史ロマン。太陽の島が知っている――「真に蜜牙古島(みやこじま)の安穏を考えるのであれば、琉球と事を荒立ててはなりません。誇りのために、蜜牙古島を滅ぼしてしまうかもしれないからです」……不思議な自然現象によって海の女神が現れるという伝説を軸に展開する、若者たちの愛と戦いの物語。ベストセラー『宇宙皇子』の著者が放つ、壮大な歴史ロマン大作。
  • 始皇帝
    4.3
    「永遠の命」を除く、この世のすべてを手に入れた狂気の王!戦国七雄が割拠する紀元前3世紀。他国へ遣られた人質の子として生まれながら、大商人・呂不韋(りょふい)の深謀遠慮によって、わずか13歳にして秦王に即位。政敵を倒し、3度の暗殺未遂を乗り越え、権謀術数と軍事力によって全中華を制したファースト・エンペラー。権力をほしいままにした男の49年の生涯を描き切る! (講談社文庫)
  • 士魂商才 五代友厚
    4.0
    薩摩藩士の気概と商人の精神で、近代日本の礎を築いた風雲児、大阪商工会議所初代会頭・五代友厚。勝海舟、高杉晋作、グラバー、モンブラン伯爵……。人との出会いで彼はどう変わるのか。渡欧し大国と渡り合う小国ベルギーを見て、何を学び、何を日本に取り入れようとしたのか。痛快無比の活躍を描く歴史小説!
  • 子産(上)
    4.1
    信義なき世をいかに生きるか――春秋時代中期、小国鄭は晋と楚の二大国間で向背をくりかえし、民は疲弊し国は誇りを失いつつあった。戦乱の鄭であざやかな武徳をしめす名将子国と、その嫡子で孔子に敬仰された最高の知識人子産。二代にわたる勇気と徳の生涯を謳いあげる歴史叙事詩。
  • 獅子王アレクサンドロス
    3.4
    紀元前4世紀、わずか10年余でギリシアからインドに及ぶ大帝国を築き上げたアレキサンダー大王。その少年時の師は哲人アリストテレスであった。いかなる劣勢、いかなる謀略にも屈しなかった最強の武将の真の姿とは? 勇気と知性と一途な夢をもって駆け抜けた波瀾の生涯を圧倒的スケールで描く長編小説。
  • 獅子の廊下の陰謀
    -
    江戸期、長州7代目藩主となった毛利重就は、藩財政の巨大な赤字に驚く。そして隠棲していた、かつての能吏・坂時存を起用、財政建て直しを命じる。坂時存は奇矯にも、萩城内の本丸の廊下に机を据えて事務室を設置する。考え出した大胆かつ卓抜な秘策の経済計画とは何だったか? 特異な時代の人間像を描いた歴史秀作短篇集。幕末の長州藩を支えた巨富はどう作られたか?
  • 静かなノモンハン
    4.5
    昭和14年5月、満蒙国境で始まった小競り合いは、関東軍、ソ蒙軍間の4ヵ月に亘る凄絶な戦闘に発展した。襲いかかる大戦車群に、徒手空拳の軽装備で対し、水さえない砂また砂の戦場に斃れた死者8千余。生還した3人の体験談をもとに戦場の実状と兵士達の生理と心理を克明に記録、抑制された描写が無告の兵士の悲しみを今に呼び返す。芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞受賞の戦争文学の傑作。
  • 静かなる凱旋
    -
    秋田県鹿角の旧家の当主・青山吉之助は、日露戦争の講和が叫ばれる今、鹿角遺族会会長として遺族を引き連れ上京し、知遇を得た桂太郎と交渉して、講和阻止を申し入れるつもりだ。かつて鹿角が盛岡藩領だった頃、金で武士の株を買った金上侍と蔑まれ、戊辰戦争では奥州の争乱に巻き込まれ、日露戦争では大切な長男を失った。幕末から明治――時代が動き、社会が変わる時期を、壮大なスケールで描いた渾身の書き下ろし長編小説。
  • 私説聊斎志異
    -
    官吏の登竜門である科挙の試験に生涯落第し続けて、その鬱屈をバネに幻想怪異譚『聊斎志異』16巻を書いた、清代の蒲松齢。著者・安岡章太郎は、己れの屈折した戦時下体験をこの作者に重ね合わせつつ、回想小説風に筆を進める。時代と社会と個人の根っこの関係を自在に描いて、人間存在の不可思議な面白さを生きいき剔出する。後の『流離譚』などの作品とも通ずる名篇。
  • 漆花ひとつ
    3.9
    必死に足掻いて生き続けるのさ。この国の政がどうあろうともーー。 時は平安末期ーー。宮廷を覆う不穏な影。 猛き者たちの世へ時代が移ろう中で、滅びゆくものと、生き続けるもの。 直木賞受賞作家がつむぐ、至高の短編集。 「武者の世の訪れを告げる都。権力者に翻弄されつつ必死に生きる中・下層の人々を活写した、濃密で情感あふれる歴史物語」(創価大学教授/NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」時代考証 坂井孝一)
  • 桎梏の雪
    3.0
    【第15回小説現代新人奨励賞受賞作】 家元の誇りを賭け、青春を捧げ、戦う若き棋士たち。江戸の将棋家の興亡を鮮やかに活写する傑作時代小説。 「江戸時代の棋聖たちが鮮やかに甦る感動の将棋小説。今、若手がしのぎを削る棋士たちの源流がここにある!」―加藤一二三九段 「将棋に関する描写の的確さには感心した。定跡とか詰将棋とか、一行一行が深い知識に裏付けられていなければ、物語はたった一行で瓦解する。しかし作者の将棋への圧倒的な知識に、読み進めていくうちに安堵感に包まれていった。江戸期の将棋界。そこにこんなにも壮大なロマンが広がっていたことに、胸がときめく」―大崎善生(『聖の青春』著者) 「ミステリーの要素も加わり、読者の興味を離さない。真相の描き方も新人離れしている。とんでもない力量の持ち主なのだ。さらに個々のキャラクターも魅力的である」―細谷正充(文芸評論家) あらすじ) 文化六年(1809年)、江戸将棋界の重鎮・九世名人大橋宗英が惜しまれつつ世を去る。しかし、将棋三家、大橋家・伊藤家・大橋家の分家(宗与家)の間での名人後継ぎ選定は家元間の政争激しく、伊藤家の宗看が十世名人を襲名するまでには16年もの歳月を要してしまう。大橋分家七代目当主・宗与は、その間に生じた将棋家の衰退を憂いていた。自身は父宗英から棋才を継ぐことができなかったものの、鬼才・英俊を養子に迎え将棋家再興のため尽力する。養子ゆえの気後れを見せつつも、英俊は名人宗看に次ぐ実力者へと成長していった。妹で初段棋士の弦女も宗与家に活気を与える存在であった。まだ幼い宗与の嫡子・鐐英も、大橋家の弟子・留次郎(後の天野宗歩)と友情を分かち合いながら日々研鑽を積んでいく。しかし、それとは裏腹に本家と分家の間には確執が生じていた……
  • 失楽園の武者 小説・大内義隆
    -
    室町期に西日本きっての勢力を誇った守護大名・大内氏の31代当主・義隆は、とりわけ貴族趣味が強く、武力強化よりも京都文化の摂取に熱中する。山口を京都の街並みに模し、自ら公卿を真似、文化人を招いては宴を催した。その結果、家臣間に亀裂を生み、やがては救いがたい破滅への道をたどることになるが……。大名よりも公卿になりたがった大内氏の、栄光と失墜を鮮烈に活写する、歴史長編。大内義隆の哀しく数奇な生涯、哀切のロマン!
  • 柴錬 大岡政談
    -
    八代将軍・吉宗の治世、陰陽易占が隆盛をきわめ、妖怪変化が跳梁するという江戸市中、さらに胆を潰す面妖な事件が、次々と起こる。天狗か怪盗・闇法師の仕業か? 大岡忠相の懐刀、八の字眉に眇眼、おまけに獅子鼻の与力・石子伴作と、白面の素浪人・蝋燭ざむらいの推理合戦!! 奇想天外、一味も二味も違う大岡政談。
  • 柴錬剣豪譚 剣鬼 宮本無三四
    -
    贋(にせ)むさし、武蔵の奇計に敗れる! ――名を捨て、師も中条流も愛も捨てる。世界は、武蔵と二人。俺は、宮本無三四だ。剣鬼となって、武蔵を斃(たお)すことを悲願とした天性の兵法者、その贋むさしが、本物の老練な奇計に敗れるまでを描く表題作ほか、平手造酒(みき)、塚原彦六など、剣に天稟(てんぴん)を持ちながら、その技ゆえに名もなく散った、異能の剣客たちの、凄絶な気骨溢れる連作6編。
  • 柴錬三国志 英雄・生きるべきか死すべきか(上)
    4.0
    蜀はいま、先帝・劉備が逝き、豪雄の関羽・張飛もいない。しかし軍師・孔明は、魏の政変を好機と、武力を誇る宿敵を叩き討つべく、若き劉禅を奉じ立ち上がった。迎えるは、大軍率いる名将・仲達(ちゅうだつ)。二人の知能の限りを尽くした、壮烈な戦いの火ぶたが切られた。中原に夢を馳せた英雄たちの栄光と挫折を、雄大なスケールで描く。<上下巻>
  • シベリア抑留
    -
    酷寒の異境、広大なソ連邦の全域に広がる収容所(ラーゲリ)に、日本兵と民間人六十万が虜囚として強制労働に服した。その隠された実態を、新資料を駆使し、また「最後の証言者」を訪ねて明かす。死者・生者ともに心癒やされぬ歳月と空白の現場が、ついにあらわれる。民族の悲劇に新しい歴史の光をあてたドキュメント。
  • 私本太平記(一)
    3.8
    ※本作品は 2011年1月31日~2014年8月31日まで販売しておりました『私本太平記』全13巻を、全8巻に再編成した作品です。 巻の切れ目が違うのみで、本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 大作『新・平家物語』を完成した著者は、息つく暇もなく、南北朝を題材とする『私本太平記』の執筆にかかった。古代末期から中世へ――もはや王朝のみやびは影をひそめ、人間のどす黒さがあらわに出てきた時代、しかも歴史的には空白の時代である。史林の闇に分け入るとき、若者は使命感と創作意欲の高まりを禁じえなかった。開巻第1、足利又太郎(尊氏)が颯爽と京に登場する。
  • 私本太平記全八冊合本版
    4.5
    講談社吉川英治歴史時代文庫を底本にした、一気に読める全八冊合本版。古代末期から中世へ――もはや王朝のみやびは影をひそめ、人間のどす黒さがあらわに出てきた時代、しかも歴史的には空白の時代である。史林の闇に分け入るとき、若者は使命感と創作意欲の高まりを禁じえなかった。開巻第1、足利又太郎(尊氏)が颯爽と京に登場する。
  • 囚人道路
    3.0
    明治24年、1000人の囚人達の手で人跡未踏の網走・旭川間に巨大道路が建設された。180キロにも及ぶ当時は不要不急の道路のために政府はなぜこの難工事を強行したのか。また完成後生き残ったはずの700人もの囚人はどこへ消えたのか。塀の中を知る著者だから気づいた歴史の闇。近代史の謎に挑む。(講談社文庫)
  • 終戦のローレライ(1)
    3.9
    昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞受賞。【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)
  • 修徳記 直参松前八兵衛
    -
    「雷小僧」綱吉に仕える御側用人の牧野成貞と、江戸町奉行の北条氏平を叔父に持つ旗本の松前八兵衛嘉広は、御目付に抜擢されて、無軌道なご政道と陰湿な策謀を目の当たりに。豪商が幅を利かせる一方で困窮する御家人を憂う八兵衛は、幕政を担う武士たる者として泥沼に飛び込む覚悟をつける。
  • 執念の家譜
    3.7
    三浦光村は元服して初めて、三浦一族と北条氏との40年にわたる暗い宿縁を知る。同じ関東の豪族でありながら三浦氏は、鎌倉将軍家補佐の任を北条氏に奪われ続けたうえに、北条氏は、鎌倉幕府存続のために、地元の豪族・三浦氏を巧妙に利用してきたのだ。だが、三浦氏の北条に対する反撥は、何度かの争いを経て増幅されてゆく……。という表題作のほか、曽我兄弟仇討ちを扱った「裾野」など、精緻な歴史小説の短編6作を収める。
  • 襲来 上
    3.0
    安房国の港町・片海で漁師をしていた見助は、京の寺々に遊学していたという僧侶と出会う。僧はやがて日蓮と名を改め、鎌倉の松葉谷に草庵を構えて辻説法を始める。見助も鎌倉まで従い、草庵で日蓮の身の回りの世話をするようになる。その後日蓮は、他宗派への攻撃を強め「立正安国論」を唱える。幕府がこのまま邪宗を放置し法華経を用いなければ、国内の災難が続き他国からの侵略を受けると主張した。そして見助は日蓮の予言に伴い、九州の対馬に一人で赴くことになる。日蓮の目となり耳となるために。鎌倉から京の都までは陸路、京から博多さらに壱岐・対馬までは海路だ。遥か遠国の地への、見助の苦難の旅が始まった。
  • 秋蘭という女
    -
    学問の家の神童若江薫子(わかえにおこ)は、紅白粉(べにおしろい)には見向きもしない学者に育ち、攘夷派の浪士たちと悲憤慷慨、新政府に建白書攻勢をかける。時代に逆行する情熱家は危険人物として幽閉され、晩年は失意のうちに放浪したが、その醜貌の下には、女ほんらいの、暖い心が隠されていた。幕末の女志士を描く傑作他8編を収録。
  • 朱元璋 皇帝の貌
    3.8
    内乱が続いた元朝末期、困窮する民を救うために孤児から身をたてた朱元璋は、叛乱軍のなかで頭角を現していく。武勇の誉れ高き功臣や智謀に長けた軍師らも惹きつける魅力をいかにして伸ばしたのか。悪相といわれた男が、皇帝としての風貌を備えるに至った、史上最大の“成り上がり”半生を描く中国歴史長編。
  • 手跡指南 神山慎吾
    3.0
    公金横領の罪で父が切腹、失意のうちに故郷を捨て、江戸で手習師匠となった神山慎吾。だが幽閉された当主の丹波守から遣わされた使者・加奈の言により、心ならずも暴政吹き荒れる修羅場へ舞い戻る羽目に。奸計、嫉妬の渦巻く中、奮闘する慎吾の前に明らかになった父の死の意外な真相とは!? 痛快時代長編。(講談社文庫)
  • 出世長屋 十時半睡事件帖
    3.0
    息子の不始末から福岡・黒田藩の総目付を辞職し、隠居生活を楽しんでいた半睡。だが、同藩江戸藩邸の風紀の乱れが甚しくなると、その取り締まりのため、白羽の矢が立った。江戸に移り住んだ半睡が、次々と起こる難問を見事に裁く。所変われど、そのキレ具合は衰え知らず。おなじみの十時半睡シリーズ第5弾。NHKでドラマ化もされた名シリーズ!
  • 修羅の絵師
    -
    三河の家康信仰の因縁がまつわる出生に、漂泊貧窮の幼児期を過ごし、屈辱の青春時代を凌いだ男は、ついに、豪快な筆法をもって鳴る、江戸荒事歌舞伎絵看板の創始者となり、浮世絵界に不滅の流派を築き上げた。過酷な運命と闘い続けた男は、人生の仕上げに、命がけの大勝負に挑んだが……。鳥居流元祖・清元の生涯を描く傑作長編小説。
  • 春秋戦国志(上)
    4.0
    中国故事名言の9割以上を産んだとされる春秋戦国時代は、また、国家形態の原型が造られ、諸子百家などすぐれた思想家を輩出させた、世界的に稀有な時代でもあった。その550年を軽妙につづる、出色の歴史物語。本巻は東周王朝成立から、管仲、鮑叔が大活躍する斉桓公の「覇王時代」までを描く。(全3冊)
  • 春風まぼろし谷(上)
    -
    江戸の謎といわれる笠松屋敷に奉公した孤独の美女・お信乃は、偶然にも禁制の離れをのぞいてしまった。世にも怖ろしい光景が、お信乃の眼前に展開する。妖気をはらむ屋敷の主(あるじ)笠松半太夫とは何ものだろう。さらに、彼をうかがう若い素浪人、怪童、乞食大名、女忍者との激烈な争いは? 事件の一切の鍵は、伝説の秘境・まぼろし谷と、そこに住む霧姫さまの上にあった……。<上下巻>
  • 春風仇討行
    3.5
    丸亀藩に仕える足軽が斬殺された。娘のりやは、剣の腕を磨き、父の仇を討つべく江戸へ。供の村瀬藤馬と助け合い、ついに藩主の御前で仇と相まみえる……、という表題作のほか、関白・豊臣秀次と剣豪・富田景政の悲しき別れを描く「一の人、自裁剣」など、深い余韻が残る傑作4篇を収めた時代小説集。<『こんぴら樽』改題作品>
  • 将棋大名(上)
    -
    安永年間の江戸、ある日、奇人の蘭学者・平賀源内ご自慢の舶来遠眼鏡に映し出されたのは、妖艶な裸の女性がむごたらしく殺される場面だった。死体につけられた「死人詰」という一風変わった詰め将棋の図を手がかりに犯人捜しが始まるが、やがて捕り手の柳造が、次にはその娘も残忍に殺され、二人にもまた、同じ「死人詰」図がつけられていた。源内の弟子で柳生流の達人・高島春作は、江戸を揺るがす連続猟奇殺人となったこの事件に、彼を慕うお千代とともに巻き込まれていく。伝奇小説の産みの親が描く時代ミステリー長編、映画化もされた傑作。<上下巻>
  • 証言 零戦 生存率二割の戦場を生き抜いた男たち
    4.0
    1941年12月8日、真珠湾攻撃に参加し、1945年8月18日の日本海軍最後の空戦まで戦い抜いた歴戦の搭乗員は、その日、まだ25歳だった。戦死率8割という消耗戦を生き残った若者たちは、あの戦いの最中に何を思い、戦後の混乱のなかでどのように生き抜いていったのか。150人以上の搭乗員たちにインタビューしたジャーナリストによる、平成の若者の祖父たちの激闘と苦闘の記録である。
  • 証言 零戦 大空で戦った最後のサムライたち
    -
    連合軍戦闘機を圧倒し、「無敵零戦」神話の立役者の一人となり、戦後、郷里の群馬県上野村村長として、村内の御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機の救難活動にあたったことでも知られる黒澤丈夫さん。零戦初空戦に参加し、教え子たちから「零戦の神様」と呼ばれた岩井勉さん。海軍戦闘機隊指折りの名パイロットながら、米軍捕虜となって生涯そのことを背負って生きた中島三教さん他、7名の零戦搭乗員の生々しくも貴重な証言集。
  • 証言 零戦 真珠湾攻撃、激戦地ラバウル、そして特攻の真実
    -
    零戦初空戦を指揮して敵機全機撃墜、味方の損失ゼロという一方的勝利を挙げ、真珠湾攻撃でも戦闘機隊を指揮した名飛行隊長、進藤三郎さん、海軍屈指のベテラン搭乗員で、フィリピンでの特攻作戦で直掩機として戦友の突入を見守り続けた角田和男さん。「搭乗員の墓場」といわれたラバウルで、二度にわたって被弾負傷しながら最も長く戦い続けた中村佳雄さん他、最前線で敵機と渡り合い続けた6人の元搭乗員が見た戦場の真実とは?
  • 証言 零戦 搭乗員がくぐり抜けた地獄の戦場と激動の戦後
    -
    4度の特攻を生き延びた男は、あの空で何を見たのか? 戦後70年を超えて消えつつある、若きパイロットだった者たちの肉声は、日本の未来への貴重な遺産である。 『証言 零戦』シリーズ第4弾!
  • 小説 海舟独言
    3.0
    迫る官軍、備える幕府。明日にも江戸突入かという騒然たる中、相対する勝海舟と西郷隆盛。江戸焦土作戦との取引説もある、江戸城無血明け渡し。これは海舟の最大の功績とも言われる。反面、幕府を売った――とも。海舟はなぜ江戸城を無血で明け渡したのか? この真相を解現代日本のポスト・リストラの道筋を明らかにする長編小説。
  • 小説十八史略シリーズ全6冊合本版
    -
    夏に先だつ幾千年、中国中原に君臨した神々。時代は下り、やがて殷へ。暴君紂王を倒して次なる世界を開いたのは、周だった。その周も大動乱をへて、秦に統一される。――英雄は激動の時代に生まれる。大陸も狭しと濶歩したあまたの梟雄豪傑たち、そして美姫。その確執葛藤の織りなす人間模様を活写。 『小説十八史略(一)』『小説十八史略(二)』『小説十八史略(三)』『小説十八史略(四)』『小説十八史略(五)』『小説十八史略(六)』全6冊合本版
  • 小説 蜂須賀重喜 阿波藩財政改革
    -
    江戸時代は宝暦年間、9代将軍・家重の世。阿波藩の峰須賀家に入った重喜は、火の車であった藩財政の改革に着手し、画期的な提案を行う。ところが、ことごとく陋習に縛られた重臣たちの反対にあう。さらに、江戸幕府・田沼意次の陰謀も進み、平島公方の騒動も無視できない。阿波藩の経営改革を追う、長篇歴史小説。
  • 諸葛孔明――「三国志」とその時代
    4.0
    連戦連敗の将として死んだ諸葛亮。無謀な北伐を繰り返しながら後に義の人として絶大な人気を博した「三国志」の英傑。その思想と行動を中国史研究の先駆者が幾多の文献を用いて描き出す。なぜ彼が後世、称賛されるに至ったのか。その評価はどのように変遷したのか。一九四〇年の初版以来、改訂を重ねて読み継がれてきた「三国志」研究の重要古典。
  • 初期植物シリーズ 全3冊合本版
    -
    二枚目だが色事に疎い旦那、彼に出会い恋を知った女房。 江戸の花師夫婦のさざ波を、やわらかく凛々しく描いた「職人小説」。 花競(はなくら)べ――最も優れた名花名木に与えられる称号・玄妙を目指し、江戸中の花師が育種の技を競い合う三年に一度の“祭”。恩ある人に懇願されて出品した「なずな屋」の新次は、そこでかつて共に修業した理世と再会する。江戸市井の春夏秋冬をいきいきと描く傑作「職人小説」。 『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』『ちゃんちゃら』『すかたん』3冊合本版。
  • 白洲次郎 占領を背負った男(上)
    値引きあり
    4.2
    日本でいちばん格好いいといわれている男・白洲次郎。明治35年に兵庫県で生まれ、英国へ留学。戦後、吉田茂の側近として日本国憲法制定の現場に立会い大きく関与した。しかし、彼は表舞台には立たずに、在野精神というダンディズムを貫き通すのであった。初めて知る方にもお勧めの白洲次郎評伝決定版。(講談社文庫)
  • 白石城死守
    3.8
    戦地へと向かった伊達軍、その留守を狙い、白石城は上杉の猛攻を受ける。主君・政宗の命は「攻撃を受けた際にはすみやかに岩手沢に撤退せよ」というものだったが、浜田治部介と家来五十一騎は、籠城に出る……。なぜ主君の命に背いて籠城をするのか。表題作「白石城死守」のほか、五篇を収録。命を賭して己の意義を貫く生き方を端正な言葉で描き出した傑作。
  • 城盗り秀吉
    -
    大大名出世の陰に風魔忍者! 「天下をとる」と予言した藤吉郎の出世、幸運の裏にある意外な謎とは……? 三郎太ら山の民の陰の援助と、自らの才覚で出世した藤吉郎は、風魔の雷太やお桂も味方につけ、情報戦を勝ち抜く。信長の上洛、姉川の合戦で功をたて、墨俣城と横山城を得る。さらに浅井長政を自刃に追い込み、小谷城の城主となる。秀吉の「城盗り」の未知の部分を、斬新な解釈で、「本能寺」前夜までを描く時代小説!
  • 新顎十郎捕物帳
    5.0
    旗本木村軍之助の屋敷でばくちに負けた大工の棟梁が、美しい娘を借金のかたに奪われた。娘の連れ戻しをたのまれた顎十郎こと仙波阿古十郎は、客を装って旗本屋敷に乗りこむ。しかし、なぜかその旗本が殺されて……。久生十蘭の名作「顎十郎捕物帳」を名手都筑道夫が書き継ぎ、現代に顎十郎をよみがえらせたユニーク捕物シリーズ。
  • 真・甲陽軍鑑 武田信玄の秘密
    -
    直木賞作家が書き下ろす、新境地の時代小説。名将・武田信玄に重用され、武田四名臣の1人に数えられた高坂弾正忠昌信。美童の頃から仕え始め、宿老として息を引き取るまで武田家に人生を捧げた高坂が、今まで守り通してきた信玄の恐るべき秘密をここに明かす――エンターテインメントの巨匠が満を持して放つ、異形の新戦国時代小説。<文庫書下ろし>(講談社文庫)
  • 新・三銃士 ダルタニャンとミラディ〈少年編〉
    3.5
    大人も楽しめる新解釈!「私の名はダルタニャン。私の剣を受けてみろ」。パリへの途上、決闘を挑んだダルタニャン。それを見つめる女スパイ、ハニートラップの名手ミラディ。やがてダルタニャンは三銃士と会い、フランスを揺るがす陰謀を巡り、ミラディと対峙する。不朽の名作を独自の視点で、濃密かつ綿密に描き出す。
  • 駕籠屋春秋 新三と太十
    3.5
    「いつの時代でも《新三》と《太十》のように“粋”でありたい」 ――歌舞伎俳優・片岡愛之助さん推薦! お節介が気持ちいい。男も惚れる駕籠舁き、江戸を駆ける! 「取次屋栄三」「剣客太平記」「居酒屋お夏」の大人気作家の新しい人情時代小説シリーズ誕生! 講談社文庫創刊50周年書下ろし作品 江戸の町を駆け廻る美男の駕籠舁き・新三(しんざ)と太十(たじゅう)。 悩みを抱えた客が駕籠にひとたび乗れば、二人のお節介で心が晴れると評判だ。 ある日、武家屋敷近くで瀕死の若侍を助けた二人は、大名家の騒動に巻き込まれ……。 若侍の志に心打たれた駕籠舁きの思わぬ行動とは? 優しさと爽快感が心に響く人情時代小説開幕!
  • 新釈・皇妃エリザベートとふたりの男たち
    -
    「本当は恐ろしいグリム童話」などで著名な作家・桐生操が、ヨーロッパや宝塚歌劇団などで人気のある「エリザベート」(19世紀、16歳でオーストリア皇后になり、旅のはてに暗殺された皇妃)を、新解釈し書き下ろした野心作。その数奇な運命と、オーストリア皇帝・フランツ・ヨーゼフと、ルートウイヒ2世というふたりの男たちとの葛藤、息子ルドルフの自殺、暗殺までを、「生身の女」として小説に書き下ろす。
  • 神州日月変(上)
    1.0
    江戸で評判の美女が次々神隠しにあった。娘達はすべて十八歳で人気絵師清春の姿絵になったという共通点があった。事件を追う同心古河雷四郎を取巻く妖気の正体は。(講談社文庫)
  • 神州天馬侠(一)
    4.0
    大正末から昭和初めの「少年倶楽部」の目ざましい躍進期に、その中心読み物となったのが、佐藤紅緑の諸作と「神州天馬侠」である。織田・徳川の連合軍に滅ぼされた武田勝頼の遺子・伊那丸が、忠義の士に護られて、健気にもお家の再興をはかる。しかし、戦国群雄の圧力の前には――。当時、子供も大人もこの小説に熱狂した。今も、その底力を保ちつづける大衆児童文学の記念碑。

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