不朽の名作、吉川三国志を一気に読める完全版。日本では卑弥呼が邪馬台国を統治する頃、中国は後漢も霊帝の代、政治の腐爛は黄巾賊を各地にはびこらせ、民衆は喘ぎ苦しむ。このとき、楼桑村の一青年劉備は、同志関羽、張飛と桃園に義盟を結び、害賊を討ち、世を救わんことを誓う――以来百年の治乱興亡に展開する壮大な世紀のドラマ。その華麗な調べと哀婉の情は、吉川文学随一と定評のあるところである(吉川英治歴史時代文庫)。
吉川英治の文のなんと素晴らしい事か。簡潔。漢字熟語の力がすごい。だからこそ、挿入される詩の良さも活きる。他の小説のおせっかいな説明のなんと多いことかに気づかされる。
今読んで、圧倒的に面白いのは最終巻だった。孔明が大魏に挑む壮大な物語。久々に本当に楽しめた名作。地図が付いていればより良かった。