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九十九81悪剣傳 殉死も悪いもんじゃねえ
男の話をしよう―。この世で最も強くて狡くて、愚かで淫らだった男。でも、ほんの少しだけ優しかった男の話を。 ここは龍に似た形の列島。ちょうど龍の前脚辺り巨大な首都・イド国が拡がる。そのイド国の奉行エイダの命令で、貧乏御家人の81(やそいち)と仮面の農夫メロスは、年貢が高いことで知られるアーロン国に出向く。アーロン国貴族は皆優雅に暮らせるが、民には生きていくことが困難な国だ。そんな国の王は病床に臥していた。その愚かな王に、一通の紙箋を突きつけるという使命を負う81とメロスだが…。クレイジーでパンクな侍、九十九(つくも)81ここに見参。 -
屍竜戦記
神は、竜を鎮めるために、自らに似せて人間を創った。竜の屍体を操る“屍竜使い”ヴィンクの壮大なる冒険。 我々の親兄弟を殺したのは、あの赤い竜だ。棘黒だ。私の人生は、あいつを倒すためにあると言ってもいい。それまでは死ねない…。竜の鱗には強い防御力があり、通常の魔法はほとんど効かない。竜に対抗するためには、死者を操る禁断の魔法「屍霊術」を増幅し、竜の屍体、すなわち「屍竜」を操るしか方法はなかった。“屍竜使い”ヴィンクは、ナフリ王国に派遣され、因縁の竜、棘黒と対峙する。 -
くちぶえカルテット
やっと見つけた…! これがわたしの「音」。 声がコンプレックスの星良は、楽器で自信をつけようと吹奏楽部の名門・志戸高校に入学するが、練習の厳しさや人間関係の難しさに続ける気力を失ってしまう。 親友の柚葉が励ます中で、星良は口笛が自分を表現する音になることに気づく。 吹奏楽部内で浮いてしまっている少女たちとも口笛をとおして心を通わせていくが、その活動が問題視されてしまい──。 Vtuber小説家による、爽やかな感動が駆け抜ける青春小説。 【目次】 プロローグ 第一章 カントリー・ロード 第二章 かえるのうた(輪唱) 第三章 スターティング・オーヴァー 第四章 スタンド・バイ・ミー 第五章 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン エピローグ -
隠れ町飛脚 三十日屋
「普通の飛脚屋では扱えない『曰くつき』の品であること」「お代はお客自身が決めること」そんな二つの条件に見合った品だけを届けてくれるというのだ。三十日屋を営むのは年増の女性・お静。とある過去を抱えているようで―― -
私はあなたの記憶のなかに
角田ワールド全開!「記憶」をめぐる小説集。 <「さがさないで。私はあなたの記憶のなかに消えます」と言って姿を消した妻をさがす旅に出る僕>――(表題作)。<初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた>――「父とガムと彼女」。<K和田くんは消しゴムのような男の子だった。他人の弱さに共振して自分をすり減らす>――「猫男」。<イワナさんは母の恋人だった。私は、母にふられた彼と遊んであげることにした――「水曜日の恋人」ほか4篇。角田光代の小説世界を存分に味わえる読み応えたっぷりの小説集。 ※この作品は単行本版『私はあなたの記憶のなかに』として配信されていた作品の文庫本版です。 -
父のおともで文楽へ
父と私と文楽。共感度100%の家族小説。 母の3回忌の法要で、佐和子は実家を訪ねた。久しぶりに顔を合わせた父・敬一郎から文楽を観に行こうと誘われる。仕事が休みの土曜日、小学生の娘・梨々花は別れた夫・義彦との面会日で家にない。「面白いぞ」と敬一郎は言うが、半信半疑で国立劇場へ向かった。 演目は『心中天網島』だった。天満で紙屋を営む治兵衛が曾根崎新地の遊女と恋仲になり、妻子を捨てて心中するという筋書きだ。治兵衛は、妻のおさんへの未練も断ち切れず、遊女の小春との心中も踏ん切りがつかない。佐和子はまったく共感できなかった。そんな佐和子に、「また付き合え」と敬一郎は言った。 ニューヨーク州の弁護士資格も持ち、アメリカで仕事をする予定の義彦が、梨々花を連れていきたいと言い始めた。佐和子は梨々花を手放したくないが、契約社員としての収入は多くなく、夫からの養育費に頼る身だ。そんな中、敬一郎から検査入院をすると連絡が入る。 37歳でシングルマザー、派遣社員の佐和子には、精神的にも経済的にもゆとりは少ない。公私に亘って、課題が山積みだったが……。 -
花咲小路三丁目北角のすばるちゃん
たくさんのユニークな人々が暮らし、日々さまざまな事件が起きる花咲小路商店街。 にぎやか商店街の裏には、真っ赤なシトロエンが看板代わりの駐車場<カーポート・ウィート>があるのです。 若社長・すばるちゃんが営むカーポートを訪れるのはいろんな車。ときには厄介ごとも乗せてきて―― -
危いハネムーン〈新装版〉
事件記者の浜中悠一は、七年越しの婚約者である亜紀とついに結婚式を挙げる。 昼も夜もない因果な仕事に別れを告げ、妻と家庭を大切にする新生活を始めようと心に誓ったのだ。 ハネムーンはドイツへ。 ところがその機上で自殺騒ぎが起こる。 乗り合わせた浜中の遠縁の高校生・村川昌子の活躍で事なきを得るが、フランクフルト、ローテンブルクと彼らの行く先で次々と事件が……。 ノンストップ傑作ミステリー! 【目次】 1 バージン・ロード 2 仲人 3 逃走 4 新しい暮し 5 出国 6 離陸 7 怪しいメモ 8 ひとこと 9 乾杯 10 ありがた迷惑 11 華やかな夜 12 くたびれた夜 13 アプショオナル・ツアー 14 城壁の黄昏 15 夜はふけて 16 木彫りの家 17 遺言 18 再会 19 嘆きの声 20 脅迫 21 真夜中 22 犠牲 23 旅立ち -
うちの作家は推理ができない
また解決方法、忘れちゃいました! 解決パートのシナリオを忘れてしまう悪癖をもつ、現役大学生ミステリ作家が唸る結末を考え出して、やりこめたはずだったのに……手のひらで転がされていたのは、また担当編集者のわたしでした――。 現役大学生作家・二ノ宮花壇。圧倒的な筆力と構成力、瑞々しい文体をもつ売れっ子作家だ。……が、担当編集者のわたし、左京真琴からしてみれば、とんでもないガキである。彼が〆切を守ったことは皆無だし、生意気だし、口を開けば皮肉ばかり。その上、「いま書いている物語の推理パートを忘れてしまう」という悪癖まで持っている。わたしはそのたびに彼の物語を推理して、つじつまの合う結末を考えるのだが…… いつか・装画 -
大江いずこは何処へ旅に
旅をとおして心の再生に出発! マルコ・ポーロにいざなわれ、京都、春日井、若狭、伊豆、尼崎へ。 今日はいずこへ明日はいずこへ。大江いずことマルコ・ポーロのぶらり珍道中。 別れた彼氏のことを引きずる大江いずこ。普段の仕事でも集中力を欠く日々が続く中、帰りがけに呼び止められた道端のアクセサリー売りから思いがけず安物のペンダントを買ってしまう。その夜、マルコ・ポーロを名乗る不思議な声が聞こえ……姿を現した自称マルコと、ドタバタとやりとりしながら、日本各地を旅するいずこ。行く先々で出会う人々と、旅ならではの出来事をとおして、次第に自分を取り戻していく。 大宮いお・装画 -
恋する弟子の節約術
貴方が初恋の相手なんです 師匠(お金に頓着がない元御曹司)と弟子(知恵と工夫のサバイバー女子)のボタニカル倹約生活!? 仕事と家を失くした日に、昔、自分を救ってくれた青年・宗隆と再会した文緒。怪我をさせた代わりに弟子として彼の家に住み込み、身の回りの世話をすることに。「幻香師」という耳慣れぬ職を生業とする宗隆だが、移動はタクシー、食事は出前、しかして今月の収入はゼロ! 浮世離れした経営ぶりに、文緒は貧乏暮らしで磨いた生活力を遺憾なく発揮する。あたため続けた初恋が再燃しているのは隠しおおせている…はず!? 和遥キナ・装画 -
沈黙の追跡者
大手観光会社社長の自家用機のお抱えパイロットをしている朝日奈順は、 九州から東京に一人で戻る途中、燃料洩れのため、海上に墜落してしまう。 運良く離島の漁師に救われ、助かるが、事故のショックから失語症になってしまった。 一カ月後、東京に戻った朝日奈は、衝撃の事実を知る。 すでに死亡届が出されており、 しかも同乗していなかったはずの社長が墜落死したことになっていた。 暗殺計画 近づく三人の女。 そこに隠された真実。 傑作サスペンス。 第一章 背を向けられた男 第二章 笑わない女 第三章 女たちの告白 第四章 影の気配 第五章 空と海に燃ゆ -
臆病同心もののけ退治
北町奉行所に勤める同心・逆勢華彦は、剣の腕はたつが、生来の臆病。 臆病がわざわいして捕り物でしくじり、尾田仏馬の組――通称「オダブツ組」に組替えとなってしまった。仏馬の組は、遠山金四郎が独自に設けたもので、出世の見込みもなく、「吹き溜まり」と称される。 意気消沈した華彦を待ち受けていたのは、オダブツ組の意外な仕事――江戸の町に現れる魑魅魍魎を見つけ出し、吟味し、退治すること――だった。 -
跡を消す
気ままなフリーター生活を送る浅井航は、ひょんなことから飲み屋で知り合った笹川啓介の会社「デッドモーニング」で働くことになる。そこは、孤立死や自殺など、わけありの死に方をした人たちの部屋を片付ける、特殊清掃専門の会社だった。死の痕跡がありありと残された現場に衝撃を受け、失敗つづきの浅井だが、飄々としている笹川も何かを抱えているようで――。 生きることの意味を真摯なまなざしで描き出す感動作! -
イヴの鎖
私たちは生まれ方を間違ったの? どこでなら生きていけるの? 名門私立女子学院の高等部を卒業し、国立大に進学後、弁護士となった有吉馨。彼女は、世間的には恵まれた境遇だと思われていたが、暗い過去と性の秘密を背負っていた。担当した離婚調停が不調に終わろうとしていたある日、同じ事務所に勤めている高校時代の友人・匡子とトラブルを起こしたことから、馨の周囲の平静が少しずつ狂いはじめる……。 授けられた性とは異質な精神を持つものたち「トランスセクシュアル」。この果てしなき迷宮からの解放とは? 性的マイノリティの懊悩を描いた長篇小説。「電子版あとがき」を追加収録。 ●榊原史保美(さかきばら・しほみ) 東京都出身。立教女学院を経て中央大学文学部哲学科卒。1982年『小説JUNE』創刊号の最優秀投稿作に選ばれ、「螢ケ池」でデビュー。1985年、初の単行本、『龍神沼綺譚』を上梓。以降、民俗学、宗教学の素養を生かし、形而上学的テーマを昇華させた作品『鬼神の血脈』『荊の冠』等、多数発表。美意識に貫かれた作風により、「耽美小説の草分け的存在」と称されることも多い。1995年発表の『蛇神 ジュナ』より、ペンネームを「榊原姿保美」から現在のものに改めている。趣味は、陶芸、写真、近代建築・ギャラリー巡り。 -
繋渡り
作家の父と弟と暮らす少年・未智留。 凡庸な両親に育てられた少女・残花。 自らをほんの少しだけ優れた、でも大したことのない存在と断じる二人は、取るに足らぬ同級生を見下ろしながら、卑俗で平凡な住民を横目に見ながら、生活するにはちょっと不便で色々と物足りないこの町で、ほんの少しの諦観とともに退屈で停滞したささやかな日々を過ごしていた。 けれど。 ある日の未智留の一言をきっかけに、二人の平穏な関係は唐突に終わりを迎える。 近親相姦、同性愛、虐待―― 少年が背負う過酷な真実が肌を晒した時、二人を中心とした歪な“家族”の物語が幕を開ける。 【もちぎ先生より】 この小説の登場人物は必死に生きる、ダメな思考すら持ったただの人間です。 だからそんなダメな人間を指差して非難して笑った時、自分が運良くダメじゃないというだけの事実や、自分だってダメになってしまうという事実を無視して、もっと生きづらくなる世界を歩むことになると思います。 打算も優柔不断も、依存も懐疑も、冒涜も支配も、うまくいかないコミュニケーションも、後からどうとでも言えるたられば論も、本人の中で矛盾する感情も、全部指摘するのは簡単だけど、人生ってそう簡単じゃないんだなと思って書き上げました。 【担当編集より】 もちぎさんのこれまでの人生、多くの方々との関係性の中で築いてきた自らという素材を削り、煮詰め、端整に組み上げた、彼の分身のような本。 爽やかで心地良く教訓的で、読後に万人が幸せになれる話ではなく、本を開いた瞬間に読者の心を鷲掴みし、力尽くでページを捲らせ続け、容赦なく胸を抉り消えない痕を残すような鋭利な物語。 苛烈で激烈でもちぎさんにしか、そんな彼にも一生涯で一度しか描けない初小説。 どうか魂に刻んでください。 -
浜風屋菓子話 日乃出が走る 新装版
老舗和菓子屋のひとり娘・日乃出は、亡き父が遺した掛け軸をとりかえすため、「百日で百両、菓子を作って稼ぐ」という無謀な勝負に挑む。しかし、連れられたのは、客が誰も来ない寂れた菓子屋・浜風屋。仁王のような勝次と、女形のような純也が働くが、二人とも菓子作りの腕はからっきしで――。はたして日乃出は奇跡を起こせるのか?いつもひたむきな日乃出の姿に心温まる人情シリーズ第一弾! -
秘祭ハンター椿虹彦
さあ、秘祭を巡る旅に出発だ。 好奇心と探求心で突き進む小説家・虹彦とイマドキ(?)お嬢様大学生の潮が出会う不可思議探訪譚 隠されるほどに覗きたくなる理(ことわり)の謎 なんらかの理由で世間から隠され、ひっそりと行われている祭――それが秘祭。潮は大学で講義をしていた「秘祭ハンター」と呼ばれる小説家の虹彦に、幼い頃に見たであろう「桜の木に沢山の人がぶら下がっている祭」の捜索を頼むことに。体よく虹彦に使われながら様々な秘祭に同行する潮。そこで目にした現代とは思えないような神事と、祭と人々が秘めていた真実とは……? 摩訶不思議なお祭りミステリー開幕! 長谷梨加・装画 -
上野発、冥土行き 寝台特急大河~食堂車で最期の夜を~
最期の食事、誰と、何を食べたいですか 不登校の家業手伝い少年・未来来と、美形死神アレクセイが死者の願いを叶えます お花見弁当、BBQ、ハワイアンモーニング、ビーフポットパイ…あなただけの特別食堂車メニュー。 閻魔王が行う『五七日の審理』までに死者を無事冥土に送り届けること――。不登校で大叔父の営む食堂の手伝いをして暮らす未来来の前に突如現れた死神のアレクセイ。死者の未練を解消する任務のため、寝台特急「大河」の食堂車に未来来をスカウトしにきたのだ。上野の廃駅から彼らの望む人と望む場所へ――たった一晩の旅。「大河」と深い関わりがあるらしい未来来は、逝く人々の想いを伝える手伝いを始めるが…。 水引まぐ・装画 -
こわれもの
婚約者の死を「予知」したファンレターに人気漫画家・陣内は。大ヒット作『彼女は存在しない』の著者が贈る傑作メタミステリ! 売れっ子漫画家、陣内龍二の婚約者・里美が交通事故で死んだ。ショックのあまり、陣内は、連載中の漫画のヒロインを作中で殺してしまう。たちまちファンからの抗議が殺到する。だが、その中に、消印が事故の数日前という、里美の死を予知した手紙があった。手紙の差出し人を訪ねると、神崎美佐という四十八歳の落ち着いた女性だった。部屋には作中のキャラクターが飾られ、熱心なファンであることを示している。本当に、死を予知する能力が神崎にはあるのか?失われた恋人への狂おしい想いの果てに、陣内が辿り着く予測不能の真実! 最後の一ページまで見逃せない迷宮的ミステリー。 -
吉原妖鬼談
花の吉原は化け物だらけ!? 怖がりでちょっと頼りない手習い所の師匠・六助にはある特殊な力が… 妙なる邂逅から生まれるあやかし人情物語 生者も亡者もすべて見える「トワズ」の血を濃く受け継いだ手習い所の師匠・六助。生真面目だけが取り柄の童顔晩生で妖怪変化の類は大の苦手、そんな六助が吉原で花魁の足抜けを助けている遼天に見込まれ、彼らの仲間に加わることに。大見世の花魁・銀華に心ときめいたり、小見世の女郎・茜に揶揄われたりしながらも、次第に自分の異能を受け入れていく六助。だが銀華の部屋替え先が化け物の巣喰う廓とわかり…。 禅之助・装画 -
二宮繁盛記
現役もご隠居もゆで玉子肴にビールを一本。 看板なし、愛想なし、メニューは卵料理のみ。 そんな立ち飲み屋で生まれるいいオトナたちのお節介と事件!? 新宿の片隅にある立ち飲み屋「二宮」。昭和の家屋を改築した店舗で酒以外に注文できるのはなぜか卵料理のみ。店主は無愛想でも居心地がいいらしいその店に、今日も早い時間から近所のオヤジたちが集いはじめるが、中には厄介事を抱え込んでくるお客もいるようで…? 団地住まいの大金持ち、未だ二宮を上司と慕う後輩、そして謎の家出少女…深い事情がありすぎる人々の陳情に、本日は無事開店となるや否や!? ma2・装画 -
警視庁特殊詐欺追跡班
警察小説、新シリーズ始動! 嘘を騙らせるな、真実を語らせろ」を合言葉に新設された警視庁捜査2課特殊詐欺追跡班。通称・特サには行動力の片桐冴子、特殊メイクの小野千紘、武術の喜多川春奈とAIロボットがいる。 この度、上司として本郷伊都美がやって来た。だが伊都美は警視とは名ばかりの頼りない人物だった。 原野商法、手話詐欺、銀詐欺……。新手の詐欺が多くの被害者を生む中、特サの女たちは――。 第一章 特サの女 第二章 騙らせるな、語らせろ 第三章 ハンドルネーム、天下人 第四章 ビッグ・ストア 第五章 銀詐欺 第六章 二度目の潜入命令 第七章 真実の行方 -
懐かしい人びと
勤め先の上司にほのかな恋心を抱いた子持ちの女性。定年を迎えた日に、別れた妻に花束を届け、感謝の気持ちを伝えた男。子供たちがいなくなった家で、インコをかすがいに生きる老夫婦――。さらにボタンを掛け違えてしまった嫁と姑や、孤独ゆえに心を寄せ合う隣人同士など、日常生活の中の何気ない一コマを描いた物語が、渇いた心にしみわたり、忘れていた人生の記憶を呼び覚ます。切なく、心温まる人間ドラマが満載された本書。読み進めるうちに、なぜか心の澱みが洗い流されたような気持ちになるのは、著者の端正な筆致ゆえか。生きることに疲れていても、本書を開くと、いつでもやり直しがきくような気がする。内海隆一郎の世界は、こんこんと湧く泉のごとく涼やかでありながら、その実、明日へのエネルギーに満ち溢れているのである。生きていることが、いとおしくなる24篇。解説は詩人で文芸評論家の安宅夏夫氏。内海文学の真髄を語り尽くしている。 -
アライブ がん専門医のカルテ
がんのスペシャリストたちの戦いと苦悩を描く、メディカル・ヒューマンドラマ 内科医と外科医、がん診療の最強タッグが贈る希望の物語 秘められた過去の真実、信頼と友情。 松下奈緒×木村佳乃、話題のフジテレビ系木10ドラマを完全ノベライズ! 【あらすじ】 すべての部位のがんを診断し、化学療法を中心とした治療とともに、真摯に患者に向き合う、横浜みなと総合病院の腫瘍内科医・恩田心。「オンコロ先生」と呼ばれ、誰からも信頼される女性だが、私生活では、3ヶ月前の事故から意識が戻らない夫を抱え、いまだに現実を受け止めきれていない。そんなある日、心の前に数々の手術を成功させてきた経歴を持つ有能な消化器外科医・梶山薫が現れる。内科医と外科医でありながら、がんのスペシャリスト同士である2人は、信頼を重ねあい、最強のタッグになっていく。しかし、その絆の裏には隠された秘密があった――。 2人の女医が“痛み”と“傷”を抱えながらも、人生を前向きに生きる姿を描く、メディカル・ヒューマン・ストーリー。 -
ガリヴァーの帽子
もういちど、ガリヴァーを呼び戻すために――。 名手・吉田篤弘が贈る、おかしく哀しく奇妙で美しい、色とりどりのおもちゃ箱のような短編集。 それは、「テントン」と名乗る男から来た一本の電話が事の起こりだった。男の誘いに乗り、新聞記者のSはある島へ向かう。出迎えたのはミニチュアの家が連なる街と、赤児ほどの背丈しかない男。「ようこそ我らの王国、リリパットへ……奇妙な味わいの表題作「ガリヴァーの帽子」 元作家と元シェフが暮らし始めた洋館に現れた王子の奇妙な顛末を描く「孔雀パイ」 奇妙な夢の中で、川を下りながら鰻屋を経巡る「ご両人、鰻川下り」 シャンパンの泡たちの短い一生を描いたおかしな寓話「かくかくしかじか」 ほかに、コーヒーカップを持つと手がなぜか震えてしまう「手の震えるギャルソンの話」、彼女の残していったトースターをめぐる奇妙な出来事を描いた「トースターの話のつづき」など。 読む人々を、不思議な世界へといざなってくれる、物語好きの大人のための8編。 -
そして、ユリコは一人になった
第18回『このミステリーがすごい! 』大賞、U-NEXT・カンテレ賞受賞作! 私立百合ヶ原高校には奇妙な伝説がある。代々、ユリコという名を持つ生徒は「ユリコ様」として絶対的な権力を持ち、彼女に逆らう者には必ず不幸が訪れるという。ただしユリコ様になれるのは一人だけ。ユリコが複数人いた場合、彼女たちにも不幸が起こり、一人だけに淘汰される。図らずもユリコ様候補となった新入生・矢坂百合子は伝説を聞いて戸惑うが、才色兼備の親友・美月になだめられ、単なるオカルトと思い込もうとする。しかしその矢先、ユリコの名を持つ生徒が一人、屋上から転落死した。そして、それを契機としてユリコが次々と殺されていく――。誰が彼女たちを殺したのか、ユリコ様とは何なのか。学校の伝説を隠れ蓑にして、人々の悪意が、恐るべき殺戮劇を繰り広げる! -
甘酒の神様~京都伏見の甘酒処・笹壽庵の神様奇譚~【電子限定版】
甘酒スイーツ、取り揃えてます 青笹酒造を護る白蛇神・瀬名+龍神の生まれ変わりの自覚なし(!?)店長・璃空。京都で話題の和カフェ・笹壽庵に秘される永い絆の物語。 京都伏見――老舗酒蔵・青笹酒造十六代目の弟・璃空は事業展開した甘酒カフェ・笹壽庵が大繁盛。猫の手も借りたいほど忙しい時、ふと手伝いに現れるのが辰巳瀬名。実はこの瀬名、創業時から連綿と酒蔵を護る白蛇神で人の姿は仮のもの。酒と酒粕が大好きなありがたい神様ではあるものの、璃空を雨や水を司る龍神の生まれ変わりと信じていて…。龍神の転生を待つ瀬名と目覚めの時を待つ青年璃空の、お酒と絆の物語。 電子限定SS「天翔けしおろち」を収録した電子限定版! 新井テル子・装画 -
上機嫌な言葉 366日
人生で一番すてきなものは、上機嫌! 生きること、恋、人間の面白さ――田辺聖子が生んだ数々の作品から、珠玉の言葉たちをぎゅっと凝縮。 人生を面白く愉しむ達人・お聖さんのチャーミングな366の〝上機嫌な言葉〟。 「コセつかず、咎めだてせず、目を三角にしないこと」 「相手の知らぬことを言うときは、羞じらいをもっていうべき」 「男は犬に似ている」 「人間を洞察すると、ゆるすほか、なくなる」 「一月 人生をおいしくする」など、月ごとのテーマと、1日ひとことの言葉は、日々の暮らしを豊かなものに見せてくれます。 白黒つけない曖昧な部分にこそ宿るオトナの智恵が、硬い頭と心を解きほぐしてくれる、常に傍らに置きたい一冊。 ※この電子書籍は2009年4月に海竜社より刊行された単行本を、文春文庫より2019年10月に文庫化したものを底本としています。 -
鬼の当主にお嫁入り~管狐と村の調停お手伝いします~
「好きです、夫にします」 斎藤綾乃十八歳。許嫁と名乗る人からの手紙で高校を中退し、東京から遠く離れた田舎のとある村に移住しました。 私は貴方の許嫁です――母を亡くしたばかりの綾乃のもとに届いた一通の手紙。部屋の退去勧告を受け進退窮まっていた綾乃は、迷わず差出人・冬晟の元へ向かう。予想より若く、柔和な若隠居といった風情の冬晟は、村の揉め事を調停する大事な役割を担っていた。許嫁らしい決め事もなく、家事を引き受け慎ましく暮らす綾乃だが、調停を手伝い村人たちと関わることで、結婚の約束には深い理由があると知ることに…。 わみず・装画 -
遠い旋律、草原の光
軽井沢フィルを率いる美貌の指揮者・火渡樹理(ひわたり・じゅり)と難病を患う新進画家の緑川弦(みどりかわ・げん)が出会ったとき、三代にわたり二家を縛る不思議な因縁が露になる。第二次大戦中に起きた樹理の祖父の割腹自殺と弦の祖母の密室での縊死事件。短歌と楽譜、そしてロシア文字に隠された美しくも哀しい暗号とは? 樹理と弦にのみ聴こえるヴァイオリンの旋律が二人を真実の高みへと導く……。 現代のサナトリウム文学的恋愛音楽ミステリ。 ●倉阪鬼一郎(くらさか・きいちろう) 1960年、三重県伊賀市生まれ。早稲田大学第一文学部文芸専修卒。同大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期中退。在学中に幻想文学会に参加、1987年に短篇集『地底の鰐、天上の蛇』でデビュー。印刷会社、校閲プロダクション勤務を経て、1998年より専業作家。第3回世界バカミス☆アワード(2010年)、第4回攝津幸彦記念賞優秀賞(2018年)。ホラー、ミステリー、幻想小説、近年は時代小説を多数発表、オリジナル著書数は170冊を超える。 -
世界の終わりと噓つき少女
遠河れんは幼馴染の彼――平間律と海を見ながら昼休みを過ごすのが日課。彼さえいればいいと他人と距離を取り、ある嘘をついていた。が、不思議な空の写真を見て以来、同じ高校で撮影者の黒百合とそれに感化された赤穂と一緒に過ごすようになる。黒百合は幻と現世の境、“現実から外れた”瞬間を写真に収めていた。やがて彼らの関係が変わり、嘘が暴かれて……。どうしようもない喪失に心が震える、青春の煌きと幻想を描く衝撃作。 -
これからは別れのお時間です~薬屋兄弟と疫病神の縁直し~
病神体質が死にたがり兄弟を救う!? 態度が大きくて怖い小学生、イケメンだけど得体の知れない恐ろしさを醸す店主、そして人間じゃない客が来る薬処――。 別れはね、すべきときに、しなくてはいけないんですよ――。関わる人に不幸を招く疫病神体質で、大学進学を機に親戚宅を出た譲吉。だが上京当日に下宿は燃え、再会した幼馴染のすず子の家は突風で半壊してしまう。途方に暮れる譲吉が紹介されたのは作家・七雲静宅。出入りする小学生の舞人は静の兄だというし、副業の薬処の客は人じゃない。譲吉を招き入れたのは「不幸を呼び込んで静を死なせてほしい」から――!? 佐倉ハイジ・装画 -
花咲小路三丁目のナイト
たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起こる花咲小路商店街。今回の舞台は商店街唯一の深夜営業店<喫茶ナイト>。すっかり夜ならではの相談所になっている店を手伝いながら、その相談事を店主の仁太が突拍子もない方法で何とかする様子を、居候の甥っ子・望が語っていく。前三巻でおなじみの人物も多数登場! -
花咲小路二丁目の花乃子さん
元「怪盗紳士」がご隠居として暮らし、非番の日にご近所の相談ごとで引っ張りだこの若手刑事も住む花咲小路商店街。ここにはたくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起こる。今回の主人公は「花の店にらやま」を営む花乃子さんのもとに居候中の十代の女の子。人々の慶びごとにも悲しみにも寄り添う花屋の仕事を手伝うなかで、ある日ちょっと気がかりなお客さんが来店して――。 -
真名の系譜
魂は睡を包み、睡の中に浮かぶは言。 この身ひとつの二郷一領 両目に「魂昇瀬」と呼ばれる異能を宿す荻乃は兄・藤生を頼り東京へ。だが荻乃を出迎えたのは、尽興と名乗る巨躯の坊主で……。 《荻乃、おまえはこれから、東京のおけぁさんのとこへ行きなっせ》――両目に「魂昇瀬」と呼ばれる異能を宿す岸本荻乃は、育ての綾婆に「拭き返され」て自身が異能の一族・伍賀家の荻乃であることを思い出す。さらに東京にいる兄・藤生のもとへ向かうよう追い立てられるが、そこで出迎えたのは尽興と名乗る巨躯の坊主で……。伍賀、雛、一統、有叉――異能の血族を巡る企みの深淵とは。大型伝奇ファンタジー。 烏城あきらの初期作品、こづみ那巳名義で刊行された第2回角川ルビー小説賞ティーンズルビー部門奨励賞受賞作が復活! -
鬼切りの綱
頼光四天王筆頭の美中年×名刀「鬼切」に宿る鬼 怪異は「境界」に生じる 鬼神、怨霊、妖物、狐狸猪…平安イケおじヒーローが人外美形とともに鬼を切る! 鬼を切り、時に切らない――不思議な縁によって源頼光より預けられた名刀「鬼切」の使い手にして、才色兼備・文武両道の武闘派貴族・源綱。妻を失い、四十路にして乳母不在に悩みながら一人息子の授を養育中であり、後進に道を譲りたいと思う傍ら平安京を跋扈する鬼たちを、鬼切に憑いた妖艶な鬼・薔薇とともに鎮めている。王朝絵巻の裏で繰り広げられた怪異と人のかかわりを描く、うつくしく匂いやかな伝奇物語。 佳嶋・装画 -
妖狐甘味宮廷伝
ある時は甘味職人、ある時は皇帝の妃、そしてある時は皇帝の愛犬!? 悪辣道士に脅されて、今日は後宮、明日は炊司部――謎多き皇帝相手に目が回るような一人二役の隠密任務開始!? 祖父母の遺した甘味屋「白尾」を営む翠は、見た目は年頃の娘ながら実は妖狐。とはいえ慎ましく暮らしていたある日、莱彪牙と名乗る道士に捕まり彼の野望の片棒を担ぐことに! 後宮に寄りつかない皇帝を莱家の姫の元へ手引きするため、昼は宦官、夜は貴妃となり搦手での籠絡作戦が無理矢理開始される。すると皇帝が無類の甘い物好きという一条の光が見えてくるのだが…。妖狐翠が八面六臂の大活躍をする後宮ラブ 仁村水紀・装画 -
トレース~科捜研の男~
科捜研のリアルな現場を描く、錦戸亮 主演、月9ドラマのノベライズ版。 鑑定から得たわずかな手がかりをもとに、“科捜研の男”が事件に隠された真実をあぶり出す!! 実際に起きた事件をベースに、リアリティたっぷりの現場を描いた本格科捜研サスペンス! 「真実のカケラは被害者が残した思いなんだ。それを見つけ出すのが科捜研の仕事――」。科学捜査研究所の真野礼二は、幼少期に家族が殺されるという壮絶な過去をもつ。冷静沈着で、鑑定結果が示す客観的真実のみを信じ、主観や憶測で操作をする者には、容赦なく反論する。とりわけ、勘を頼りに捜査するベテラン刑事、虎丸良平とは犬猿の仲だった。新人研究員の沢口ノンナは、そんな二人の板挟みになりながらも事件と真摯に向き合うようになる。 エピソード1は「バラバラの遺体」、エピソード2は「血痕」、エピソード3は「タバコの吸い殻」…ほか、科捜研が被害者の思いすくいあげ真実を明らかにする! 原作は古賀慶の『トレース 科捜研法医研究員の追想』(ゼノンコミックス)。
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