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「リフレッシュ休暇をもらったが、もはや私にはリフレッシュする気力自体が残っていなかったのだった。」
入社希望の学生のSNSチェックに疲れ果てた会社員。代々続く母と娘の台所戦争。遅れても許せてしまうことが美点のロバによる配送サービス……。膨大な情報の摂取と判断に疲れてしまった現代人の生活に寄り添うやさしさと、明日を生きるための元気をくれるユーモア満載! 味気ない日々をゆるゆると肯定し、現代人の張りつめた心をゆるめる短編集。
「もう何もしたくないという切実な本音に寄り添ってくれる稀有な小説」――金原ひとみ
本屋大賞2位『水車小屋のネネ』、Xで何度もバズった芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』など、
書店&SNSで話題を集める著者による、「脱力系」日常譚の真骨頂!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
津村記久子さんの物の見方好きだわあー
相変わらず文章が軽妙でなんとも言えない温度感。これが合わない人もいるだろうなとは思うけど、私は大好き。なんか深夜ラジオのトーク聞いてるみたいで。読みながらクスクス笑っちゃう。
8編ある中で「レコーダー定置網漁」「現代生活手帖」「粗食インスタグラム」がお気に入り。
特に「現代生活手帖」はハイテクなんだかアナログなんだかよくわからない世界観なのに、受け入れてしまう不思議さがあった。
机をこすればスマホ以上になんでもできるのに、宅配便がロバだったり、ご近所とおかずを交換できるサービスがあったり…それを支えてる原理って人情とか思いやりのような、AIやらデジタルと結びつかなさそうなもの。このちぐはくな感じが妙におかしい。
感覚としては明治時代の人が想像する未来、みたいな。
これから津村記久子さんの本、たくさん読んでみたくなった!
Posted by ブクログ
次は何を読もうかと、積読本たちをあれでもないこれでもないと10数ページ読んでは辞めてを繰り返して、壮大な長編小説も重い話も読む元気がないな、なんか気楽なのがいいな、と手に取った。
1話読んで、これだわ、ってなった。
全く劇的な事は起こらなくて、明るいわけでもないただ日常の生活を切り取ったようなゆるい空気感で、それでいてユーモアで心をほぐしてくれるような話たち。温かい梅昆布茶でも飲んでいるような感じで癒される。
8話あってそれぞれ20~50ページ弱なので読みやすい。
どれも良いけど特に好きだったのは以下3話
・レコーダー定置網漁
仕事で、SNSだとか膨大な量の情報に触れて疲れきってしまった女性が、2週間のリフレッシュ休暇中に、たまたま録画されたテレビ番組たちを見ながら、本当に少しずつ、回復していく様子を描いた話。
クイズ番組の「六歳の男性」って言い方でなんかふふっとして、靴下の毛玉取りのゆるさが良い。
週刊ムーンTV自分も見たい。
あとフライパン焼き鳥食べたい。
・粗食インスタグラム
読んでると落ち着く。
主人公がsad desk lunchを見て落ち着いているのと同じような感覚で、この話を読んでると落ち着く。
・イン・ザ・シティ
関係性がすごく良い。
サッパリしてて、でもちゃんと心があって。
青春。キヨもアサも加藤も、みんな幸せに生きていけますように。
この話たちは、活力みたいなものがないときでも寄り添ってくれる感じがする。元気づけてくれるじゃなくて、寄り添ってくれる。
ちょっとだけ前向きになれるみたいな、安心できるような本だった。
好き。
いつかまた読むかも。
Posted by ブクログ
津村記久子さんの現代社会をテーマとした短編集。
金原ひとみさんの「もう何もしたくないという切実な本音に寄り添ってくれる稀有な小説」という帯文に惹かれて手に取りました。
仕事で疲弊している私にとって、『レコーダー定置網漁』と『粗食インスタグラム』は痛いほど共感する内容でした。膨大な情報に晒されていると、選択することが億劫になる。そんなときは、思い切って情報から距離をおき、心の赴くままに過ごしてみようと背中を押されたような気持ちになりました。
『イン・ザ・シティ』では、「キヨはますます人間というか、人情が嫌いになった。そしてそうやってはっきりと嫌いなことが増えると、自分という人間が一歩あるべき姿に近付いた気がして、後ろ向きなことのはずなのに心強く思った」という一文がありますが、嫌いなもので自分が確立していくというこの描写に、「津村さん最高!」と感嘆してしまいました。
津村さんの作品は『水車小屋のネネ』以来でしたが、また違う作品も読みたくなりました。
Posted by ブクログ
身の丈に合わない難しすぎる本にようやく踏ん切りをつけて、楽しみのための読書として手に取った。全8遍の短編集で、タイトルの通り現代生活の一コマをいろいろなタッチで描く作品が並ぶ。不思議なSF調のものもあれば、翻訳文学的な口調のものも。
私は最初のレコーダー定置網漁、がすごく気に入った。苦行のような読書から解放された喜びもあってか、毎ページ滋味深く愉しみながら読んだ。
主人公は会社で入社希望の学生のSNSチェックをくる日もくる日も続け情報の洪水に疲れ切ってしまった会社員。
疲れすぎて何もできず、横になって延々とインスタをスワイプし続けてしまうことがある。見終わると不毛感と自己嫌悪でさらに疲れてしまうあの感じ。
それが続きに続いて動けないくらい疲れてしまった主人公が少しずつ少しずつ回復していく様子をユーモアと冷静な目で綴った話だった。
SNSの中の、盛り、映えを意識した、他人の目を意識して演出されまくった情報の嵐の中にいると、その人たちの「わたしを見て」「これが正解」という強い気に当てられて精神的に疲れることがある。
普通に別にいけてもないけど自分の実感をベースにした生活に戻ってくるまでの様子が栄養のあるスープのようにじんわりと効いた。
粗食インスタグラム、メダカと猫と密室、もよかった。
津村記久子は大阪出身の人で、同じ大阪人としての思い込みかもしれないけれど、何か格好つけること、自分の生活の美しさを発信していく文化に対する、照れというか、気恥ずかしさという感覚がある気がする。そこから出てくるユーモアや批評を汲み取れるかどうかでこの作品の滋味を味わえるかどうかが変わってくるのではないかと思った。
Posted by ブクログ
生活に疲れた人たちを描いた短編集。
津村さんってなんでこんなに世の中を解像度高く見られるんだろう。
自分がモヤモヤと考えていたことがドンピシャで書かれていて、そうそう!と共感しながら読みました。
どの話も面白かったですが、特に『粗食インスタグラム』と『イン・ザ・シティ』という話が良かったです。
『粗食インスタグラム』は「食べる以前に選ぶのがしんどい」という、何を食べるか決めることに疲れてしまった主人公の話です。
主人公は自分の貧しい食生活の写真を撮って保存していきます。
選択と決断にも結構な心理的コストがかかるんですよね…疲れてると毎日何を食べていいのか分からなくなる気持ちがよく分かります。
あと、写真や絵のない字だけのメニューを嫌だと思うのも(これも地味にストレス…)。
『イン・ザ・シティ』は、主人公の中学生キヨが、架空の地図上の国の地理的条件や人口、産業、特産物などを決めて、週に1回の他のクラスとの家庭科の合同授業の時間にアサに話すという物語です。二人の女子の友情がとても良い。家庭の鬱屈やままならない日々を架空の国をつくることで束の間忘れられるのです。
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小説・文芸
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