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直木賞受賞! やさしく煌めく傑作短編集
コロナ禍のさなか、閉塞感と、婚活アプリで出会った恋人との進展しない関係に悩む綾。
月に一度、綾の早世した双子の妹の恋人だった村瀬と話すことで気持ちを保っている。
重い喪失感を共有する二人が、夜空を見上げた先には――(真夜中のアボカド)
どうしようもないことに対面した時、
人は呆然と夜空を見上げる。
いつか再び、誰かと心を通わせることができるだろうか――。
5つの優しい物語が光を紡ぐ 第167回直木賞受賞作。
【目次】
真夜中のアボカド
銀紙色のアンタレス
真珠星スピカ
湿りの海
星の随に
解説・ カツセマサヒコ
単行本 2022年5月 文藝春秋刊
文庫版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
職場に 「忌引休暇」って制度があって たとえば配偶者が亡くなったときは何日、父母の場合は何日、兄弟は何日って就業規則で決められているんだけれど、まぁ 身内が亡くなると 葬儀のあとも役所に届けを出したり 遺品を整理したり あるだろう、とは言え 本人任せで際限なく お仕事休んだら収拾がつかないし きりがないでしょ、ってことで日数が機械的に決められているんだろうなって 頭では理解している。文句を言おうと思ってはいない。
思ってはいないけれど、なんだか違和感というかモヤモヤは ずっと感じている。人が 大切な誰かを亡くしたときの 喪失感・精神的なダメージというのは 人それぞれで 親が亡くなっても葬儀終わったら出勤したい人もいれば、幼なじみの突然の死に2週間休みたい人、あるいは 飼っていたにゃんこやわんちゃんが亡くなって クリニックに行って薬もらわなきゃいけないほどの喪失感を感じる人もいるわけじゃないですか?
そういう風に、本来 人それぞれであるはずの 「喪失」が 制度として むりくり その「重さ」や「尺」を決めつけられているように僕にはどうしても感じちゃうわけなのです。
あれ?これ 本のレビューとぜんぜん関係ないですね すみません
窪美澄さんの「喪失」「別れ」をめぐる超絶 読みやすい文体で書かれた短編集、ぜんぶ素敵だけれど個人的には 「湿りの海」と「星のまにまに」が 特によかった。数年内に再読することになるだろうと思う。
Posted by ブクログ
第167回直木賞受賞作品。孤独とか誰かを失うとかの主題としている、ひっそりとした短編集。
第1話 綾には弓ちゃんという双子の姉妹がいた。でも脳出血で亡くなってしまった。今、綾には麻生さんという彼氏がいる。弓ちゃんにも村瀬くんがいた。
第2話 真は高校1年生の夏、おばあちゃんのうちに行った。母は父の単身赴任先の京都に行こうと言ったが、京都には海がない。海で思い切り夏を満喫したいのだ。お隣の相川さんの娘さんが離婚して赤ちゃんを連れて帰ってきている。幼馴染の朝日もやってくる。
第3話 みちるのおかあさんは亡くなっているが、しゃべれないけどいつもそばに居る。おとうさんには見えないみたいだ。おとうさんと2人だと、沈黙が痛い。おかあさんは家から出ないので、みちるは1人で学校に向かう。
第4話 希里子が希穂を連れてアリゾナに行ってしまった。きっかけは希里子の浮気だったのに。後輩の園部と女性との2×2の飲み会にでかける。結婚指輪のあとを指摘されてしまう。隣にシングルマザーが越してきた。
第5話 想は父と渚さんと、弟の海くんと住んでいる。学校から帰ってきても、5時まで家に入れてもらえない。下の階の佐喜子さんの部屋で油絵を描いているのを眺めながら過ごすようになった。本当のお母さんにはなかなか会えない。
Posted by ブクログ
まず、タイトルが素晴らしい。
罪悪感や執着、初恋、過去といった、心に抱えた余計なものを手放し、まだ届かないけれど「希望という名の星」に向かって進もうとする強い意志が感じられる。
まさに、この作品のイメージそのものだと思った。
なかでも特に心に響いたのが『湿りの海』
心にぽっかり空いた穴を埋める何かを、人はどうしても求めてしまう。
過去を取り戻すことも、一度受け入れてしまった決定を覆すこともできない。
それでもなお、あの懐かしさの「代わり」を求めてしまう切ない心情が痛いほど伝わってきた。
主人公とは性別も違うのにすっかり感情移入してしまい、読んでいる間は、まるで周囲の音が消えたかのように引き込まれてしまった。
虚構だと頭の片隅でわかっていても、そのまま身を委ねたくなるほどの深い喪失感があった。
続く『星の隨に』では、子ども目線の純粋な愛情がまっすぐに伝わってきた。
表紙で本を読んでいる男の子は、きっとこの作品の主人公なのだろう。
ちょっと心と体が疲れちゃった大人たちに翻弄される物語なのだが、彼らを過剰に糾弾する展開にはならない。
登場人物の誰も突き放さず、みんなに優しい目線を送っている作者の温かい筆致が伝わってきた。
読後の余韻がいつまでも心地よく残る、まさに納得の直木賞受賞作品だった。
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