あらすじ
直木賞受賞! やさしく煌めく傑作短編集
コロナ禍のさなか、閉塞感と、婚活アプリで出会った恋人との進展しない関係に悩む綾。
月に一度、綾の早世した双子の妹の恋人だった村瀬と話すことで気持ちを保っている。
重い喪失感を共有する二人が、夜空を見上げた先には――(真夜中のアボカド)
どうしようもないことに対面した時、
人は呆然と夜空を見上げる。
いつか再び、誰かと心を通わせることができるだろうか――。
5つの優しい物語が光を紡ぐ 第167回直木賞受賞作。
【目次】
真夜中のアボカド
銀紙色のアンタレス
真珠星スピカ
湿りの海
星の随に
解説・ カツセマサヒコ
単行本 2022年5月 文藝春秋刊
文庫版 2025年2月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
星をモチーフとした短編集で、皆大切な人との別れを経験していた
主人公にとって星は、大切な人であったり、自分自身であったり、進むべき道を示す希望の光なんだなって思った
私は真夜中のアボカド、真珠星スピカ、湿りの海が好きだな
Posted by ブクログ
初めて読んだ窪美澄さん。しみじみと良かった。皆ままならず、それでも品がある。ぶわっと涙が溢れる瞬間がある。どの物語にもそれぞれ違った匂いを感じる不思議な体験だった。
「真夜中のアボカド」
綾と弓と村瀬君と麻生さん
「銀紙色のアンタレス」
真とばあちゃんと朝日とたえさん
「真珠星スピカ」
みちると父さんと母さんと尚ちゃん
「湿りの海」
沢渡と希穂と沙帆と船場さん
「星の随に」
想と父さんと母さんと渚さんと海と佐喜子さん
Posted by ブクログ
文章を読んで癒されていくというか心地よい小説
でした。 淋しさや哀しさ 終わりが見えない不安
コロナ禍の中で絵描かれた物語は そういった背景に 星の光が灯すような 細やかな優しさがある短編集でした。窪さんの作品をまた読みたいと思います。
Posted by ブクログ
切ない…読みながら何度胸がぎゅっとなったか…。
だけど寂しさの中に優しさを感じられるような短編集で、タイトル通り暗闇の中に光が射し込むような救いのある作品でした。
それと文章が澄んでて綺麗、他の作品も読みたくなった!
Posted by ブクログ
「真夜中のアボカド」は、婚活アプリで知り合った相手のことで悩む女性。人と関わりを深めることの難しさがじわじわと。自分の気持ちは、その時々で、自分が一番いいと思う方法で伝えていいのに。
「銀紙色のアンタレス」は、16歳高校1年男子の夏休み。同年代や大人の女性に向ける眼差しが、懐かしいような、こそばゆいような。この年頃の若者の発する言葉はストレートで残酷なんだな。
「真珠星スピカ」は、辛いことが身近で起こる中1の女の子。そばにいる人が鈍感なので、強くあろうと頑張ってしまうのが痛ましい。人は悲しい時には我慢しないでしっかり泣ききったほうがいい。
「湿りの海」は、妻子に捨てられ、知り合った女性とも何故かすれ違ってしまう男。わかっているようでわかっていないんだよな、この人は…という女性たちの声が聞こえてきそう。
「星の随に」は、親の離婚と再婚によって心が揺れ動く小4の男の子。何故こんなにも気を使うの。切なすぎて大人の身勝手さが悲しくなる。男の子が優しさを失わず少しずつ成長していってほしい。
Posted by ブクログ
4.0/5.0
恋愛、や子供からみた大人、を通してこの世の中で懸命に生きる人の苦悩と優しさが、決して大袈裟ではなく、等身大で描かれていると感じた。
Posted by ブクログ
昨日『秒速5センチメートル』を観たところで、なんだか星に縁があります。
コロナに寄せた話は映画も本もあまり得手ではないのですが、これはその寄せ加減が絶妙。尤も、いちばん好きだったのはコロナの「コ」の字も出てこない3つめの『真珠星スピカ』だったのですけれど。
いずれの話も主人公は大切に思っていた人をさまざまな形で失っています。なかなか歩き出せないのが伝わってきて切ない。本作を読んだら『秒速5センチメートル』を観ることをなぜだか薦めたくなりました。
乗り越えなくてもいいし、忘れる必要もない。心の傷を糧にして、揚げたてコロッケにビールで乾杯。
Posted by ブクログ
重松清さん大ファンの私だが、
大人版重松清さんというか、
結局解決はしないけれど、主人公たちが心のどこかで救われていく感覚がとてもよかった。
特に最後の片親の男の子の話は
本当に本当に切なくて
『みんな大好きなのに、なんでこんなに苦しんだろう』という気持ちが痛いひど伝わる文章だった
全て夜空、星がモチーフになっている。
Posted by ブクログ
単純ですが、ところどころ星に関する内容がちりばめられていて、好きな本でした。恋人や家族、同級生との人間関係について、婚活、いじめ、離婚、子育てなど、主人公たちの複雑な生活が描かれていて、心が鈍く痛んだり、どこか温かく感じさせてもらったり、200ページちょっとながら充実していて、読めてよかったです。個人的にはハッピーエンドが好きなので、もやっとした終わり方の短編もあったことを考慮して独断と偏見で星4つ(笑)。「星の随に」(読めない、、、)は、自分に刺さるフレーズがいくつも出てきて、一番好みでした。
Posted by ブクログ
著書初読み。
「真夜中のアボカド」がとっっっても好きなお話だった。胸にぐっときて泣きそうになった。
双子じゃないから、双子の妹を亡くす辛さはわからないけど、小さい頃から一緒に育ってきた自分の半分のような存在が突然いなくなってしまったら相当な辛さだろう。
弓ちゃんの死を受け入れられない主人公と村瀬さん、その対比のように描かれるアボカド。
「あれが双子座の星だよ。あの星は弓ちゃんと私」
そう思えた主人公は村瀬くんとの別れとともに、弓ちゃんの死を受けいれて、成長できたんだと思う。
弓ちゃんの分まで生きて、結婚して子供も産むという主人公に対して、「そんなことは考えなくていいの。綾は綾の人生を生きなさい。どんな生き方をしてもお母さんはいつも綾の人生を応援するよ」という母の言葉がジーンときた。
他のお話は苦しい話が多かった、読むのが苦しかった。
別れが書かれていて、別れを通して成長していく姿がよかった
コロナ禍に書かれた作品のため、「コロナの時はこうだったなあ、息苦しかったなぁ」と思い出した
各話で星座が話に絡んでいて、暗く苦しい時でも、星は輝いていて、夜空を見上げるとそこにしていれる安心感があるんだなぁと思った。
「星の随に」の佐喜子さんがすてきだった
「どんなにつらくてもいきていればいいこともあるから」
「どんなにつらくてと途中で生きることをあきらめては駄目よ。つらい思いをするのはいつも子どもだけれどね。それでも、生きていればらきっといいことがある。私はあなたにこのマンションで出会えて良かった。いつか忘れてしまうかもしれないけれど、なるべくあなたのことは忘れないようにするね」
雲に隠れていたって、星と星とは見えない糸でしっかりと結ばれてら星座の形を保っている。僕の家族だって、きっと同じだ。
「真夜中のアボカド」「真珠星スピカ」が好きだった
Posted by ブクログ
星にまつわる短編集。
一番ぐっときたのは、最後の「星の髄に」。
離婚した両親、弟を産んで間もない継母、近所の老婆との日々が小4男子の視点で描かれている。
今後悲しいことが起きても大丈夫なように、僕はもっと強くなりたい、という小4の言葉に、胸が痛くなった。
強くなるべきは僕の周囲の大人たち。
戦時中とコロナ禍をうまく絡めていてよかった。
「真夜中のアボカド」は窪美澄さんらしい展開。
この男もしや、という読みが当たった。
Posted by ブクログ
窪美澄さんの作品は初めて読みましたが、文体が好みでした。
1話目のアボカドの話を読んで、号泣してしまいました。何故か私にはものすごく胸に迫るものがあり。
解決しない、どうにもならない、孤独であっても、生きる。
静かな文章に胸の隙間が暖められた気がしました。
Posted by ブクログ
最初の話がよかった。亡くなった人の兄妹の悲しみは親御さんのそれに比べて注目されることが少ないけれど、そういうところにも思いをいたすことができる自分でありたい
Posted by ブクログ
他人の人生を少し覗き見たかのような短編の集まり。どの話もそのまま続けられそうなのに、ふと終わる。その先がどうなったのか知れないのはすこしものたりなくも感じるけど、わたしは結構好きなタイプの短編集だった。
人の心の機微に触れるような、心の中の言葉にならない気持ちみたいなものを感じた。多分また読み返すだろうな。
Posted by ブクログ
読みやすい本であった。物語はずっと寂しい感じがする。何か希望が見えないが、力強く生きていく。物語全体が星 夜空を見るっていうか見上げる事が多い。自分は満月の時位で空はほとんど見ない。今度はなるべく空を見上げてみようと思った 下ばかり見ないで上を見上げる事は何か感じることがあるかも知れ無い。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作の本作は、全5篇からなる短編集。
どの物語も“大切な人との別れ”や“もう会えない寂しさ”を静かに描いており、読後には胸の奥にじんわりと温かくも切ない余韻が残ります。
始まったばかりのコロナ禍を背景にしたエピソードもあり、あの頃の先の見えない不安や孤独を思い出しながら、登場人物たちの感情に自然と寄り添ってしまいました。
それでも彼らの心の奥には、希望のような小さな光が確かに灯っており、その光こそが“星”として描かれているように感じます。
タイトルの通り、物語の中には星座や夜空が繰り返し登場します。読んだあとには、ふと空を見上げたくなる。
そんな静かな力を持った作品で優しさと哀しさが共存する一冊です。
Posted by ブクログ
人は人との繋がりの中でがむしゃらに生きているんだなと感じた。
人はずっと変わらない関係を築けなくて、たえず変わっていく関係の中で自分の立ち位置を探し続けている。
不安定な人間関係の中で安心するために。人との繋がりを感じた記憶をつくっていくのかもしれない。
Posted by ブクログ
ちょっぴり切ない5話からなる短編集。
ただ生きているだけで、思いもよらない哀しみがやってくる。
・真夜中のアボカド
ーーー婚活アプリで恋人を探す。
フリーでプログラマーをしているという麻生さんは、妙に女慣れしていなくて、前に出会った人みたいに食事の後すぐに、ホテルに行こうとも言わなかった。
・銀紙色のアンタレス
ーーー 16歳の夏。僕は田舎のばあちゃんちで、泣いてるような顔で赤ちゃんを抱えたあの人に出会う。
幼馴染の朝日は言う「水着着たわたし、かわいかった?」
ーーー真珠星スピカ
酷いイジメにあっている私は、今日も保健室にいる。
亡くなった人は話すことができないのだと知ったのは、死んだ母さんが私の前に現れるようになってからだ。
・湿りの海
ーーー遠いアリゾナで新しいパートナーと暮らす妻とそのパートナーをダディと呼ぶ娘。彼女らが去った後も、僕はまるで彼女たちがまだこの部屋にいるように生活していきたかった。
そんな僕の日々の中に現れたのは、幼い娘さんを連れ隣に越してきた船場さんだった。
・星の隨に
ーーー渚さんを「お母さん」と呼ぶのに、僕はまだ少し頑張らないといけない。
渚さんとことも生まれたばかりの弟、海くんのことも僕は好きだけど、本当のお母さんほどではない。
ある日、学校から帰ると玄関の内鍵がかかったままで僕は家に入ることができなかった。
共感できる話はなかったのだけど、辛い時にふと星空を見上げてしまうことはあるなと思う。
傷付いた彼らがこの先、幸せでありますようにとそっと本を閉じた。
今年の16冊目
Posted by ブクログ
別れや喪失感をもつ人たちのストーリーに星座をからめた短編集。
全て切ない話だけれど主人公が前向きで、悲しみすぎないちょうど良い加減の描写だった。
Posted by ブクログ
2022年上半期、直木賞受賞作。
コロナ禍。様々な理由で大切な人を失った人々が、夜空の星に勇気をもらいながら、人生の新しいチャプターへ歩み始める様子を描いた短編集。
タイトルと、登場人物と、キーワードを。
「真夜中のアボカド」
綾、麻生さん、弓、村瀬君、マスク、マッチングアプリ。
「銀紙色のアンタレス」
真、ばあちゃん、朝日、たえさん、田舎、海。
「真珠星スピカ」
みちる、母さん、滝澤さん、尚ちゃん(船瀬先生)、三輪先生、いじめ、保健室登校、こっくりさん。
「湿りの海」
沢渡、希里子、希穂、園部、宮田さん、船場さん、沙帆ちゃん、合コン、ダディ、夜泣き、虐待。
「星の随(まにま)に」
僕(想)、母さん、渚さん、海君、佐喜子さん、中条くん、離婚、再婚、ドアガード。
前半四作は可もなく不可もない話だなぁと感じた。劇的な事件は起こらなくても、穏やかな日常の小さな歪みが気付かせてくれることは必ず何かかしらあってだな、というようなミクロな視点で描かれた作風の物語はかなり好きだけれど、それにしても、全部過去にどこかで読んだことがあるような感じがして、真新しさに欠ける印象を持った。
一方で、最後の「星の随に」はとても心に響いた。
両親の離婚で何の説明もなく母と離れて暮らすことになり、新しいお母さん(渚)と、新しいお母さんが産んだ赤ちゃんが登場し、戸惑う小学四年生の想。
想にきちんと現状を伝えることから目を背ける父。
離婚して一人になり、数年ぶりに再開した仕事でいっぱいいっぱいになりつつも、いつかまた想と一緒に暮らしたいと願う母。
産後の寝不足と精神的不安感から、想が学校から帰ってくる時間だとわかっていながら、夕方までドアガードをかけて眠ってしまう渚さん。
部屋の鍵が開くのを待っていた想を自室に招き、自身の戦争体験を語って聞かせる佐喜子さん。
登場人物たち全員の状況と感情がなんとなく想像できるから、彼らに寄り添いながら、少し苦しいような、温かいような、少し高いところから見守るような、そんな気持ちで読んだ。
実はこの「星の随に」だけ、しばらく前にどこかで、単発で読んだことがあるような気がする。
その時も、とてもいい話だなと感じた記憶がある。
2022年の直木賞候補作には、「このミステリーがすごい!」2023年版で第1位を獲得し、2025年10月に佐藤二朗・山田裕貴主演で映画化が決定している呉勝浩氏の『爆弾』も、ノミネートされていた。
そんな中で最終的に『夜に星を放つ』が受賞するに至った経緯を知りたくて、インターネットで過去の記事を検索して読んでみた。
選考委員の一人である桐野夏生さんの選評が印象的だったので、以下に引用させていただく。
---
「好感を持って読んだ。特に「星の随に」は、私好みだ。どれも上手く、文句のつけようがない。」
「ただ、ギラリとしたものを求める人には、少しシンプルに過ぎるかもしれない。」
Posted by ブクログ
娘が2週間ほど入院してしまい、入院付き添いの暇つぶしのために病院のコンビニで買った本。
コロナ禍における人の喪失感などを描いた短編集。
日常を取り戻してしまった今、このテーマはセンセーショナルでなくなっているし、映画ファンの私としては『あんのこと』で一通り怒り切ってしまっているので、序盤はありきたりな作品に思えてしまった。
しかし4話目、5話目は秀逸だった。
4話目「湿りの海」のじっとりとした孤独感は凄い。
5話目「星の随に」では人間の存在と関係性を星座に例えて表現した良作だと思う。
Posted by ブクログ
直木賞受賞作品。近年のものはなんだか合わないと感じていたけど、やっぱり合わない。
プロットは素敵。すべてのストーリーに星が絡んでいて、昔好きだった天体観測をまたしようかななんて思った。理由はないけど星ってやっぱり素敵。
ただ肝要のストーリーの中身は薄暗い雰囲気のものばかりであまり好みでない。唯一「銀紙色のアンタレス」は夏の甘酸っぱい真と朝日のストーリーが良かった。とりあえず星空に関する本を買おう。そんな風に思える本でした。
Posted by ブクログ
喪失と星をテーマにした作品でした。
双子の妹を亡くした女の子の話。
交通事故で亡くなった母が幽霊になってそばにいる話。
離婚によって両親と過ごす空間を失ってしまった男の子の話などなど。
1番好きだったのは、母が幽霊になってしまった「真珠星スピカ」
せっせと父にご飯を作る娘に、目やジェスチャーで「これは入れた?」「もっと細かく切って」のように料理の指示を出して近くで見守る幽霊の母。
喋ることは出来ないが、何かを訴えかけたり優しく微笑んでずっとそばにいてくれる。
そんな幽霊になった母の存在を父は知らない。
亡くなった人がこんな形でそばにいてくれると想像したら、どんな気持ちになるだろうなと思って胸がいっぱいになりました。
悲しくなる話ばかりでしたが、儚く、尊く、綺麗なもの、になぞらえて星をテーマにしているのかなと思いました。
Posted by ブクログ
窪美澄さんの直木賞受賞作。
巧く作られた話だし、丁寧な描写で読みやすいし、だけどもなんだろう、最終話にはしんみりしたが、「窪美澄さんの直木賞受賞作」ってことで私の中ではかなりハードルが上がったのか、全体的にはもうひとつガツンと来るものがなかった。
■夜中のアボカド
コロナ禍のさなか、婚活アプリで出会った恋人との顛末&早世した双子の妹の彼氏との交流の行く末。
そっちから電話かけてくるなんて珍しいじゃないと言いながら、どんな生き方をしてもいつもあなたの人生を応援するよと言ってくれる母親の存在がありがたい。
麻生さんがベッドの中でおどおどしていたのは何がなせる業だったのだろうかとか、亡くなった彼女の双子の姉ってどのように見えるのだろうかなど、色々気になった。
■銀紙色のアンタレス
海の近くに住んでいる祖母の家で過ごした夏休み、そこで出会った人妻のことが気になる中学生。
なんで?朝日ちゃんがいるじゃないか。
■真珠星スピカ
学校でいじめを受けている女子中学生と交通事故で亡くなった母親の幽霊との、二人だけの秘密の同居生活。
こっくりさんで娘をいじめている女子を懲らしめたり、幽霊が見えない父親の思い出話の最中に腕をからめたりする、母親の幽霊がお茶目でいい感じ。
■湿りの海
離婚してアメリカに移り住んだ幼い娘とパソコン画面上での面会を心待ちにする一方、隣の部屋に越してきたシングルマザーの家族との交流に希望を見いだそうとする男性。
心情的には分からなくもないが、どちらかと言えば「勝手なもんだ」という感想のほうが勝ってしまう。
■星の随に
父の再婚相手との微妙な溝を埋められない小学生の寄る辺なさ。
なんか、ひどいなあ、自分たちの事情を説明しない両親もだが、とりわけ生まれたばかりの子どもに手を取られ連れ子の想くんのことを考えられない新しい母親も、どうして、こんな子どもみたいな大人が増えたのだろう。
佐喜子さんのようなお節介な人はもはや希少だし…。
自分はどういう親だったのか、息子たちを育てた昔のことを思い出して切なくなった。
Posted by ブクログ
出会いや別れにちなんだ短編5話
どれもすごく明るい話って感じではなくて
上手く行きそうと思ったら別れがあったり、上手くいかなかったり…
結構リアルな話だった。
自分はあまり人に裏切られるような経験をした事がなく(気づいていないだけかもしれないけど)初めに読んだ時は、素敵な人だなぁとか、この人が主人公にとってかけがえのない人になるのかなぁなんて思ったら裏切られ… まさかと思ってしまったりした事もあったけど、色んな人がいて目に見えてるものが全てじゃないんだなぁと思い知らされた
Posted by ブクログ
2026/06/29
大切な人が自分の元から去ったり、先立ったりした人々の話。その時点で切ないのに、コロナ禍の描写が、残された人(遺された人)の孤独感を増幅させていた。
大切な人がいなくなった人の悲しみは深く、どうしようもないが、その悲しみを癒すのも、また人でしかないんだなと。
毎話泣いた。改めて人は、人の優しさや温かさに生かされていると感じた。
Posted by ブクログ
孤独でも、今が望んでいない姿でも、どうしたって生きていくしかない、人間らしいなあ。
綺麗な二足歩行を求めないで、這ってでも、わずかに進んでいればいいなと思う。
たまに立ち止まって、過去を振り返って、喉の奥にある言葉と感情を吐き出して、いつか何かに届けばいい