小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
「ジロー、知っとるか?この世は色と光と音のためにある。」
本作でも一番好きなキャラクター、中間さんのセリフです。
正しいとされていること。
正しくないとされていること。
みんなが綺麗というもの。みんなが汚いというもの。
ドロドロぐちゃぐちゃな臓物で出来た赤茶色の世界の上に、二重三重にアルミホイルを敷いて、ぐっちゃぐっちゃと汚らしい音を響かせながら、まるで銀色にキラキラ輝く道を澄まし顔で散歩しているような人たち。
そんな人たちに嫌われないよう、サランラップよりも薄っぺらい笑顔を貼り付けて、同じように生きる、子供よりも子供みたいな自分。
もしもこの世が色と光と音のためにだけあるならば、それ -
Posted by ブクログ
圧巻のラスト。今も強く残る余韻がすごい。
辻村深月作品で文句なし、断トツのナンバーワンだと思う。
学校での居場所をなくし、家に閉じこもっていた安西こころがやってきた城。
そこで出会った、境遇の似た仲間たち。
7人それぞれの事情が少しずつ明らかになる中、
城の終わりの日が刻々と近づいてくる。
鍵は見つかるのか、果たしてこの中の誰の願いが叶うのか。
ここまで上巻と下巻で評価が変わる作品は初めてだった。
正直、上巻を読んだ時点では普通。それ以上でもそれ以下でもない。
だが、下巻は違った。特にラストの集約は驚愕した。
上巻でわかりやすい展開が容易に想像できたが、
その遥か上を行く仰天の展開。
さす -
Posted by ブクログ
グレッグさん(あえてそう書かせていただく)の小説トラジェクトリーを読んだ時に、「外国出身なのにこんなに日本語が堪能なんてすごい!」という(意図せず日本語を母国語とする者の上から目線な感じの)文脈で見ていた自分が恥ずかしくなるくらい、グレッグさんが日本の言葉や文化を何十年も熱心に研究してきたということがよく分かりました。少なくとも彼にとって日本語は「ビジネススキル」というようなレベルのものではなく、生きることそのものに直結しているように見えます。
以下の抜粋の部分を読むと、「外国出身の人にとって日本語がどのくらい難しいか?」などという個人の問題よりずっと高次の、「日本語を操る外国人」として見ら -
Posted by ブクログ
一年目よりも文章が面白くなってる!!!
パクソが前よりめっちゃ悪者になってる!
お姉ちゃんの貯金箱からお金盗んで飲み代に使って、借りただけ!と逆ギレしたり、
にしおかさんが家族のためにつくった作り置きタッパーを流しにひっくり返して逆ギレしたり、、
他にも色々
それはあかん、、なエピソードありすぎて、
感情移入してパクソにイライラした。
ママとお姉ちゃんとにしおかさんの3人のエピソードはほっこり温かいです。
にしおかさんが帰ってきたら嬉しそうに2人で、
すみちゃんだ!すみちゃんが帰ってきた♪
ってはしゃぐのめちゃくちゃ可愛い。
なかなかお風呂に入らない2人から
お風呂の清掃業者入って綺麗にな -
Posted by ブクログ
ハードカバー版も読んでいるので、再読になる。
自分自身も、ロシアンブルと同じで心配症。不安は9割起きないとか、嘘だと思ってる。
伊坂幸太郎本のバディたちの”会話”が大好きだ。檸檬と蜜柑、 成瀬と響野。
「小説より奇なり」という言葉があるけれど、やはり世の中は“物語=現実”なのかもしれないと思う。
もし誰かが書いたシナリオの上を歩いているのだとしたら、結末はすでに決まっているのだろうか。
どこかに分岐点があるのでは、と不安になることもある。
けれど、わたしは物語と現実を重ねることはしない。
自分で決めたことは、最後までやり切りたいと思っている。 -
-
Posted by ブクログ
事件の報を聞いたときは、本当に「なんてことをするんだ」と思った。
些少ながら、京アニに寄付をした。
本書を読んでいる最中も、所々で悲しみに襲われた。
なぜこんな事件が起きたのかを知りたいと思って読み始めたが、犯人の偏ったものの見方による影響が大きいと感じた。
犯人にも人生の分岐点が幾つかあったようだが(それこそ犯行の直前も)、結果的に事件を起こしてしまった。
何か一つの原因があるわけではなく、再発防止といっても難しいところがあるが、「無敵の人」をできるだけ作らない、人生のレールを踏み外した人を安易に排除しない、といったところから始めていくしかないのだろう。 -
Posted by ブクログ
時間って何だろう 恥ずかしいことに、この年齢になって初めてこの本を手にしてみた。愛読書にしている人も多い位に有名で、良書だということは聞いていたので、期待はしていたのだが、いい意味で期待を裏切られた。
もっと児童書っぽい、童話的な内容かと思っていたが、現代社会への風刺を含んだ社会性のある、だけど一方でワクワクさせてくれる、でも心温まる本当に素晴しい本だと思う。
昨今、働き方革命との掛け声の下、効率追求の風潮がもてはやされる社会だが、一歩間違えると決して人々の幸福につながっていかない状況に陥ってしまわないか、ふと考えさせられた。
自分の時間にもっと真剣に向き合いたいとも思わせてくれた。 -
Posted by ブクログ
2025/12/16 川田稔「陸軍作戦部長 田中新一」
陸軍で世界戦略を構想できたのは、武藤章と田中新一、そしてその師匠は永田鉄山と石原莞爾。彼らが幕僚から外れ、最終的に東條英機が全権を掌握するも、佐藤賢了軍務局長らは国家戦略の構想なく、ただ「持久戦」方針の下、『場当たり的対処=作戦至上主義』で犠牲を累増させた。「一撃決戦論」は敗戦の先送りでしかなかった。
終戦シナリオなき戦争運営はいたずらに犠牲を増やす。1944年サイパン以降、膨大な1年間の戦死者は無駄な犠牲者でしかない。それが国家戦略を苦手とする日本の国家的課題であり現代も全く変わらない。高市総理の「台湾有事の存立危機事態」発言は、場当た -
Posted by ブクログ
第2号に続いて発売後まもなくの3号を手に取りました。「うまいなあ」というのが実感ですね。
うまいなあその1。黒色が基調だった前号とは打って変わっての表紙の色合いの美しさ。日光に反射してキラキラしています。今号の特集が「美」というのも頷けます。
うまいなあその2。各短編がみな読み切りになっているということ。他の文芸誌を読んでいて困ったのは、好きな作家の作品が連載の途中だったりしたんですよね。その点、こちらは読み切りなのでスッキリ。さらに、続きが語られる作品はウェブ上で連載が始まるという。上手に読者を小説の世界へと誘っています。
うまいなあその3。映画好きの自分としては、まもなく公開される映 -
Posted by ブクログ
面白かった!SFは苦手で避けていたが、これはもっと前に読んでおけば良かったー!SFが苦手な人でも楽しめると思う。妙な宇宙人が出てきたりしてバトルにならないのがいい。ユーモアと知識で困難をクリアしていくサバイバル小説。
化学や物理の知識があればもっと楽しめたと思うが、そこらへんは全くダメな私でも、すっ飛ばしながら読んで全然OKだった。
火星にひとりぼっちで取り残されるとか、絶望的なほどの孤独と死への恐怖しかないと思うのだが・・とにかく、主人公ワトニーが、思わず声に出して笑っちゃうくらい明るい。そして前向き。これでもかというほどのいろんなハプニングが起きるが、その困難に対して悪態をつきまくった