小説・文芸の高評価レビュー
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前からタイトルが気になっていて、ようやく読むことができた、町田 そのこさんのデビュー作品で、5編の連作短編集。
『52ヘルツのクジラたち』や『宙ごはん』、『星を掬う』同様に心にズキズキと突き刺すような描写が多いけれども、決して嫌な読後感にならないのが、魅力の作家さんです❗️
また『うつくしが丘の不幸の家』のように、少しずつ物語が繋がっていて、読後にはこう繋がっていたんだと、ちょっと驚いてしまうのも魅力のひとつではないでしょうか⁉️
個人的に好きな話しは、『波間に浮かぶイエロー』と『溺れるスイミー』ですが、特に『波間に浮かぶイエロー』は群を抜いてお気に入りの作品です❗️
時々読み返したい -
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今までありそうで(あったかもしれないが)見つけられていなかったテーマ。いろんな分野の先頭を走る研究者が各々愛する論文を語るという、極めて興味深く面白かった本。各々の研究テーマが違うのはもちろん、各々の研究者の感性や語り口がそれぞれ全く違っていたのも面白かった。一般向けに少し噛み砕いてくれている人もいれば、専門用語もりもりで愛が溢れている人もいた。どちらも素晴らしいと思う。いわゆるオタク文化にも通ずるところがあると感じた。専門家から見た「私見を含んだ」サイエンス的エッセイは非常に面白かった。
大学時代を振り返ると、論文を読むのは嫌いではなかったし、面白かったがやはりどこかタスクの一つになっていて -
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文京区本郷、ビルやマンションが立ち並ぶ先の路地裏に、キッチン常夜灯(じょうやとう)はあります。開店は夜の9時、閉店は朝までです。
オーナーシェフは城崎 恵(きのさき けい)さん、ソムリエは堤 千花(つつみ ちか)さん。二人で店を切り盛りしています。
常夜灯には、例えば残業の挙句に終電を逃してしまったお客さんがやってきます。彼ら彼女らは疲れ果てて常夜灯にたどり着きます。そして夜中にもかかわらず飛び切りのフレンチを味わい、心も身体も癒すのです。夜遅くに入ってもラストオーダーに追い立てられることはありません。
お客さんたちは、狭い店の中でお互いのことを見るともなしに見て、自分だけが独りぼっ -
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人間の汚い部分を、よくもここまで表現したなぁ、という感想。
目を背けたいが、その汚い部分を、自分も含め、皆、何かしら持っているのは認めざるを得ないだろう。
差別、優越感、周りへの呼応…
卑しい、こんな人間になりたくない、と思いながら、一方で、自分の内に潜んでいる、それに似通ったものと対峙しながら読み進めることになる。
図星だからこそ、気分が悪い。
しかし、自分の内なる汚さに無自覚になるのは、一番危険なことだと思うから、この作品の、いやぁ~な気持ちになる箇所は特に丁寧に読み込む必要があるのかもしれない。
“自分の力で、世界を素晴らしいものにしてやる” なんて思っている権力ある人たちは、自分の汚 -
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ネタバレ歴史関係に全く疎く、そのテの時代小説も避けてきた。ただ、本作はミステリ、米澤穂信、そして直木賞受賞ということで、読んでみるかぁと手に取った。
時代小説特有の言い回し、序盤はやはり苦手だったけど、最初の事件が発生してからするすると読んでしまった。それぞれの事件もちゃんとミステリだし、気になっていた火鉢の描写もちゃんと伏線として回収されたし、さすが。明かされた真相、犯行理由がこの時代、背景ならでは。ミステリとしてだけでなく、作品として最高に面白かった。
陳腐なことしか言えないが、黒田官兵衛の遺訓も心に残った。よもやこんな結末になるとは。言葉で表現できない自分の国語力が悔やまれる。残酷な時代に救いが -
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1964年元旦、俠客たちの抗争の渦中で、この国の宝となる役者は生まれた。
男の名は、立花喜久雄。
侠客の家に生まれながらも、その美貌を見初められ、
上方歌舞伎の大名跡の一門へ。
極道と梨園、生い立ちも才能も違う俊介と出会い、
若き二人は芸の道に青春を捧げていく。
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映画が大ヒットしてて気になったから、
ミステリー以外の分野を久しぶりに読んでみた。
めちゃよかった。
読み始めた時は、名前がいろいろと出てきて、誰?誰?ってなったけど、わかれば読みやすく、物語の進み方も真横で自分 -
- カート
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