あらすじ
お嬢さんたちの若い命が、新世界を担うのです。
どうぞ、健やかに過ごしてくださいね……。
喧嘩別れした親友が高校を退学した。
突然、山に施設を作った新興宗教・NI求会に入会したのだ。
親友を取り戻そうとする凜音。
東京から《特別》になるために来た初花。
大人が《楽園》と定めた場所に閉じ込められた子供たちは、
その聖地で、禍々しいものと対峙する。
町田そのこの新境地。
女子高生たちの、青春×スリラー開幕!
感情タグBEST3
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淡いピンクの表紙と帯にある〈女子高生の青春xホラー〉との文言が合わないなーと思いながらページを捲ると、うん、確かに女子高生が主人公で友達と喧嘩して青春してるし不穏な出だしでホラーだ、と納得。
しかし読んでいくと町田作品お馴染みの親に抑圧される子や、そんな子を思い遣るシスターフッド的な雰囲気も出てきながらも、半ば忘れられた伝説をなぞらえたような謎の連続死傷事件で街の平穏が乱されていく様子がさながらスティーヴン・キング作品のようだし、伝説が原因のようだと判明するくだりや呪いに襲われる様は慣れない人なら夢に見るような恐ろしさで、大変良かったです。
最終盤、現代を生きる凛音、美央、初花の友情と、怨霊となっていた律、絢音姫の友情が、抑圧する大人への怒りやお互いへの理解、二組の友情が理解しあう様はまさしく『光』としか言えない眩しさで心底震えてしまいました。
ところどころあるミステリー的な楽しみも成功してるんじゃないでしょうか。それにテンダネスも登場でファンはニッコリ。
可愛い表紙に反してサスペンス、ホラー成分が濃いので、そういう意味では確かに新境地作品だったな、と思いました。
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前半は辻村深月さんの「琥珀の夏」を思い出すような感じ。読み進めていくと小さな村の民間伝承を想起させるような民俗学ミステリ。どう決着をつけるのだろうと思っていると思いっきりホラー&女子高校生の友情物語。『めぇ、ちょうだい』怖いって。因縁や因習、祟り神、怖いよ。今まで読んだ本は毒親の出てくる作品や人間の持つ怖さや残酷さなどが際立つ内容が多かったが、こんな作品も書かれるのかという驚き。作中に出てくる伊坂さんの『楽園の楽園』は読んでないが読んでみようかなぁ。ところでビビって何者だったのだろう、謎でした(笑)
作者買いです。登場人物が10代の少女であることやストーリーからティーン向けの小説のような雰囲気があります。ホラー要素のある青春小説でしょうか。少女たちが新興宗教施設に囚われた友人を救うために奮闘する物語です。
伊坂幸太郎の楽園の楽園は読んでいないのですが、それに影響を受けて書かれたと思われる本作のようなので、ぜひ読んでみたいと思いました。
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姫塚山に妙な宗教施設ができた。反対運動もあったのだが、あまり盛り上がらず、気がついたら出来ていた。その山には祠があり、江戸時代の姫を祀っているのだが、その記憶は地域の住民にも忘れられつつある。その町で、目玉を抉られて死んでしまう事件が立て続けに起きる。
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この物語を一言で表すとすれば、「時を超えた友情物語」かな。
ホラー小説の面から見るとグロくて残酷で胸糞悪かった。日本の怖い話独特の後味悪い感じ。
友情物語の面で見たら、主人公たちの絆の強さに元気をもらえる。人は他人と自分を見比べるとき、相手の良い部分に目が行き過ぎて自分は何も持ってないように感じるが、その他人もまた同じように感じているのだなと感じた。でも自分は決して役たたずではなく、自分にしかできない強みがあるからそれでお互いを支え合っているんだな。
推理小説の面で見たら、読者が推理するというよりは、主人公たちが探索で少しずつ情報を集めて真相に向かっていくのを傍観しているイメージだった。わたしは展開の流れに身を任せて読むのが好きなので、読んでて楽しかった。
何気ない日常から急に非日常に放り込まれる世界観が、エモクロアTRPGに似てて、読んでてとてもワクワクした。
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面白かった!
途中まではなんかホラーもの?伝記?としゃくぜんとしなかったが、コンビニ『テンダネス』が出てきたり、ドーナッツ屋のお兄ちゃん、森美美憂がイケメンだったり、いつもの子ども関係の暗めの話とコンビニの話が合わさった明るさもあり半分からはスラスラあっという間
内容は地方の伝説がベースの怨霊モノ?NI求会、宗教団体らしきものが生贄用の養殖場とは酷い。基本は友情話
まめもち= 真目餅 とは!!
伊坂幸太郎の「楽園の楽園」がベース、五十九彦、三瑚嬢、蝶ハ隗… ? 色々な作家が作品を出した、と言うのを聞いて、其々読んでみたいと思った!面白い企画だ!
終わりが明るいのがやはりこの作家さんの好きなところ、新しい試みとても良かった!
あの子たちも、律と変わらない。力のある大人に振り回されて、人生を奪われている。あたしたち子どもは、大昔から奪われ続けているのだ。こんなことがいつまで続いていくのだろう。
繋がれてきたものには、意味がある。何だかとても心に残る言葉だった。
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ホラーとか、ミステリとか期待して読むとうーん…となるのかもしれませんが、青春や友情、家族愛とかに焦点を当てて見たら私は胸が熱くなるものがありました。自分はこんなに誰かを思ったり、友人の為にここまで頑張れたことはないから、そこまでさせる存在がいる主人公を羨ましくも思いました。
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町田そのこさんの新刊ということで。
著者新境地! 女子高生たちの青春×ホラーって気になり過ぎる。
北九州の片隅にある南半里町。真ん中に位置する姫塚山に突然できた宗教施設。凛音は大喧嘩をしたまま宗教施設に入居してしまった親友・美央を連れ戻すため奔走するが、町では若者の不審死が連続し…
何も知らずに読み始めたけど、作中に伊坂幸太郎さんの『楽園の楽園』が出てくる。少し前に、あの本、読みました?で伊坂幸太郎デビュー25周年スペシャル企画のときに話が出ていた、螺旋プロジェクトに続く楽園プロジェクト?の作品なのかな? 町田さんの作品の中に伊坂さんの作品が出てくるだけで、なんかワクワクする。笑
内容としては、著者新境地!と謳うだけあって、これまで読んだ作品とはだいぶ雰囲気が違う。不穏で不気味、ちょっと怖い。けれども、主人公たちの友情や絆が爽やかに描かれているところは、やっぱり町田さんだな〜と思った。
印象に残った言葉。
「大人は大きな人間。子どもは、小さな人間。いくら大きくて経験が多いからって、子どもを人間として扱わないのは間違ってるよな。子どもの人生を歪めたり搾取したりなんてのは、もってのほかだ。子どもにも大人と同様に当たり前に世界があって、友がいて、物事を考えてるんだ」
うん。そのとおり。
Posted by ブクログ
ジャンルでいうとホラーになるのか、グロテスクな表現があるので読む人は選ぶかもしれない。
誰かを思う気持ちや、同時に生まれる嫉妬や不安がうまく描かれていたと思う。
読後切なさが残るけど、それと同時に他人にも優しくありたいと思わせてくれる作品だと感じた。
Posted by ブクログ
新興宗教2世たちのドラマ、町田その子さんっぽくない展開だったが、舞台はちゃっかり九州だった。
途中で、カギとなる新興宗教の教本が「楽園の楽園」であるくだりが出てきたときは、まさかと思ったけど、そのまさかだった。
これは、絶対「楽園の楽園」を読んでから、読むべき。
Posted by ブクログ
『楽園の楽園』を読まずに、手を出してしまったが失敗だっただろうか?カルトや信者に興味があったので、手にしたが、地域の言伝えの方が色濃く、現実離れした感じが、自分には合わなかった。
いつもの不運だったり、不器用な生き方しかできない人たちの気持ちに寄り添ったお話の方が好み。
Posted by ブクログ
冒頭の、「スピババアがいなくなった」
から始まるストーリー
スピババアって何だろうと思ったが、
このスピババア、後々重要になってくる。
喧嘩別れをした親友が、突然高校を退学して
山に施設を作った新興宗教、NI求会に家族で
入会してしまう。親の意向で東京から「特別」に
なるためにNI求会に来た初花とともに
親友を取り戻すため、凜音はNI求会に立ち向かう。
目を抉り出され殺されるという不審な事件、
結構ホラーな描写だったが、その謂れは
残酷で悲しいものだった。結局、初花は彩音姫に
目を与える代償として、南半里町での記憶を失ってしまう。だが、律と彩音姫の強い絆のように凜音、美央、初花達もまた、強い絆で結ばれている。
たとえ記憶は消されても、心の記憶は決して
消えることはない。
NI求会の教本が、まさかの伊坂幸太郎さんの
『楽園の楽園』
えー?!と思ったけど最後に、ちゃんと
参考文献として載っているし、一体どういう
経緯でこうなったのか興味津々。
本作を読む前には、伊坂さんの「楽園の楽園」を
読まれることをお勧めする
久しぶりの町田その子さん、
いやー面白かった
まさか、ホラーだとは。
いや、ホラー&青春かな?読後感が
ホラーのわりに良かった。
町田その子さんの新境地、すごいです
Posted by ブクログ
町田さんの新刊だ!と前情報何も知らずに読み始めてびっくり。そうかこれホラーだったのか。そして楽園の楽園って聞いたことあるな、何だっけと思ってはいたものの読み終えて参考文献見てびっくり笑。ケイ、お前だったのか状態(気づくの遅い)
以下ネタバレ
や、わたし楽園の楽園全くハマらなかったんだよな…伊坂作品の苦手な方で。でもそれをこの作品うまーく活かしてた。次はホラーじゃない町田さんの作品が読みたい、個人的にこれは別に面白かったけど、町田さんにホラー作品は期待してない。
あ、ファンタジーは苦手なのでそれは多分読まない。
Posted by ブクログ
町田そのこさんの新作。面白かったです。
青春ホラー。怖さもありながら、最後は心温まるラストで感動もあった。ボリュームも適度。
強いて言えば、作中に伊坂幸太郎さんの「楽園の楽園」の本の内容を匂わせるくだりがたびたび出てきますが、私はその本を読んでいないので、その部分が少し気になりました。
それを差し引いても面白かったです。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
お嬢さんたちの若い命が、新世界を担うのです。
どうぞ、健やかに過ごしてくださいね……。
喧嘩別れした親友が高校を退学した。
突然、山に施設を作った新興宗教・NI求会に入会したのだ。
親友を取り戻そうとする凜音。
東京から《特別》になるために来た初花。
大人が《楽園》と定めた場所に閉じ込められた子供たちは、
その聖地で、禍々しいものと対峙する。
町田そのこの新境地。
女子高生たちの、青春×スリラー開幕!
【個人的な感想】
他にも町田その子さんの本を読んだことあるけど、これまでの世界観とはまた全然違った。
読み始めはゾクゾクして引き込まれた。
最後の終わり方は友情を強調し過ぎで、ハッピーエンドが強くて好きになれなかった。
Posted by ブクログ
登場人物の中に『ビビ』という情報収集能力に長ける少年が出てきます。
テンダネスというコンビニが出てきた時点であそこのお店の店長の弟さんと繋がりがあるのかも?と想像を膨らましておりました。
町田そのこさんの『コンビニ兄弟』を知ってるか知らないかで、作風が変わるかもしれませんね。
Posted by ブクログ
あなたは、仲の良かった友達が『新興宗教団体』に入ってしまったとしたらどうするでしょうか?
『新興宗教』という言葉にはきな臭さが付き纏います。思い返せば、あの団体、この団体とここ数十年でも『新興宗教団体』が巻き起こした出来事は枚挙にいとまがありません。『施設内の居住区で暮らす決まり』がある、『未成年者は施設の外に出られない』、そのような独自の決まり事の先に友達が突然いなくなってしまう、そのような出来事が身近に起こったとしたらあなたはどのようにその現実と向き合っていくでしょうか?
さてここに、『宮殿みたいな施設』が突如建設され、仲の良かった友達が家族そろってそんな施設に入ってしまったという事実を知った一人の女子高生が主人公となる物語があります。終始漂う不気味な雰囲気感に息が詰まりそうになるこの作品。まさかの”ホラー世界”がそこに顔を出すこの作品。そしてそれは、”あなたは、あたしたちが救い出す”と『新興宗教施設』に隠された真実と向き合っていく一人の少女のひたむきな思いを見る物語です。
『スピババアがいなくなった。思えばそれが、前兆だった』と思うのは主人公の神原凛音(かんばら りんね)。『九州の片隅にある我が南半里町の真ん中に位置する姫塚山の麓にある小さな和菓子屋「つかもり」の、店主』だったという『年齢も名前も不詳』の『スピババア』は、『スピリチュアルなことばかり言う』ためにそのように呼ばれていました。『つかもりの「まめもち」が大好物』だった『じいちゃんの祥月命日である八月十日』に『仏壇にお供えしようと』『つかもり』『に向かった凛音は、『閉店を知らせる紙が貼られ』いるのを見て、『スピババア』が『店を畳んで町からいなくなった』ことを知ります。やむなく『先月できたばかりの菓子店』へと赴いた凛音は、『長ったらしい行列』に並ぶ中、『夏休みに入る少し前に、友達の荻野美央(おぎの みお)と大喧嘩をした』ことを振り返ります。『高校の入学式で出会ったのをきっかけに親しくなってから一度も喧嘩をしたことがなかったのに、初めて衝突した』という二人。『美央との友情を失いたくない。あたしは美央が好きだし、美央と過ごす時間が好き』と思う凛音は、『つかもりの方角 ー つまりは姫塚山』に目をやると、その『中腹の辺りに白い建物の一部が見えることに気付』きます。『今年の春ごろから建設された』『何とかっていう新興宗教の本部施設だと聞いてい』た凛音は、『うつくしい自然の中からぬっと顔を出した無機質なそれは何だか、ゲームのバグのようだ』と思います。
場面は変わり、『二学期の始業式』が行われたその日、『なあ、神原。今日、二組の荻野って休みだろ?』と『津久見裕に小さな声で訊かれ』た凛音は、『美央?知らねえよ』と答えつつも『ほんとうは、来ていないことを知ってい』ました。『いまも仲直りできていないから、あたしはどうして美央が休んでいるのか分からない』という凛音に、『あいつの家ってあそこに入会したらしいじゃん』、『NI求会』と『声を潜め』る津久見。『何だそれ』と訊き返すと『新興宗教団体の、NI求会だよ。姫塚山に、宮殿みたいな施設ができただろ。こないだ、完成したんだ』と説明する津久見に『姫塚山のバグはそういう名前だった』と思う凛音は『美央の家がその……エヌアイキュウカイ?とかに入会したとかって話をどうして津久見が知ってんだよ?』と訊き返します。『学校に来てないから。NI求会に入った家は、施設内の居住区で暮らす決まりなんだって』と言う津久見は『退学するって噂』と顔を寄せます。『四組の小菅もいないし、一年はひとり、三年はふたり…』と学内の状況を説明する津久見は、母親が役場で働いていることもあって、『噂がどんどん入ってくる』と話します。『学校を辞めるなんて、そんな大事なことを教えてくれないはずがない。でももう一ヶ月以上連絡を取っていない』と思う凛音の不安は、『放課後、美央の家を訪ねたことで急激に広が』ります。『門扉に「売り物件」と大きな看板が立って』いて『中に入ろうにも、門扉に鍵がかかっていて動』きません。『美央、どこに行ったの?』と、『短いメッセージを、少しだけ悩んで送信した』凛音ですが、『既読はつ』かないという中、『NI求会に入ったひとたちは施設内で生活する』、『未成年者は、施設から出られない』という津久見の話を思い出す凛音は、『それがほんとうなら、あたしは美央ともう会えないってこと?』と思います。そんな時、『その家のひとは、もう引っ越してったよ』と『自転車に乗ったハタチくらいのお姉さん』に声をかけられます。『友達の家なんすよ。連絡がつかなくて、困ってて』と言う凛音に、お姉さんは『姫塚山の方を指』します。『やっぱり、NI求会ってやつなんだ。あのー、あそこに行ったら、会えるんすかね?』と訊く凛音に『やめときなー。あそこ、なんかヤバそうじゃん』、『やくざよりタチが悪いぜえ』と言うお姉さんは、自転車に乗ると去って行きます。そんな『お姉さんの先に、着物を着た女の子が立って』いるのを見る凛音。『うっわ、着物めっちゃかわいーじゃーん』と声をかけるお姉さんに『知り合いなのかもしれない』と思う凛音は、『荻野家に視線を戻』し、『美央…』と彼女のことを思いますが『考えなしに近づくべきじゃない』と『NI求会』のことを思います。
再度場面は変わり、家で『NI求会』について調べはじめた凛音は、『クラスのグループチャット』が盛り上がっていることに気づきます。『町内の胎内という地区で、若い女性の遺体が発見されたらしい』という話題の中に上げられた動画を見た凛音は、それが『今日訪ねたばかりの荻野家の近く』であることを知ります。『やばい、がちで殺人ぽい!しかも、猟奇的殺人の可能性大!』というコメントに驚く凛音。やがて『ビデオ通話』が始まり『ハロー、メンバー!中津寛太、ただいま現場到着でっす!』と『すぐ調子に乗るところがウザい中津の顔が、アップで映』ります。『亡くなったのはハタチの女らしい…血だまりの中に女は顔から倒れ込んでいて、母親がびっくりして抱きかかえると何と……、両目がない』と続ける中津の説明。
三度場面は変わり、『事件の翌日』学校が休校になったことでワイドショーを見る凛音は、『うそだろ!』と声を出します。『テレビ画面に映し出された権田桂里奈さんは』昨日、凛音が話をしたお姉さんであり『死亡推定時刻は、あたしと別れたあとのこと』でした。『彼女は、殺されたのだ』と思う凛音は、『NI求会に行こうとしたあたしを止めたから、と考えるのは短絡的なのか?』と考えます。『あのとき彼女は小声で話したけど、どこかで誰かが耳を澄ませていたかもしれない。誰かが聞いていて、それで…』と思いを巡らせる凛音。そんな凛音が『NI求会』に囚われの身となっている美央を救出すべく奔走する先に、驚愕な真実が明らかになるまさかの”ホラー”な物語が始まりました。
“喧嘩別れした親友が高校を退学した。突然、山に施設を作った新興宗教・NI求会に入会したのだ。親友を取り戻そうとする凜音。東京から《特別》になるために来た初花。大人が《楽園》と定めた場所に閉じ込められた子供たちは、その聖地で、禍々しいものと対峙する。町田そのこの新境地”と内容紹介にうたわれるこの作品。本の帯に記された”女子高生たちの青春×ホラー開幕!”というフレーズに町田そのこさんが”ホラー”?と興味がそそられます。
そんなこの作品は読めば読み進めるほどに今までの町田そのこさんとは一味違う新鮮さに満ち溢れています。まずは、物語に大きな比重をもって登場する『新興宗教団体の、NI求会』について見ていきましょう。
● 『NI求会』って何?
・『正式名称は『ネイチャーインテリジェンス求道会』。自然が本来持っている力を信じ、もっと広めていこうという考えの下、自然保護活動を積極的に行っている』。
・『創設は十五年前。主な活動は、登山客が汚した山の清掃活動』
・『ホームページ』には『文明に依存した生活スタイルを見直し、自然と生きる生活を心がけようということが、さまざまな言い回しで書かれている』
・『今年に入って急に』『九州の片隅にある』『南半里町の真ん中に位置する姫塚山』『に拠点を構えると決めた。山を切り開き、でかい施設を建て、そして会員をひとところに集め出した』
・『NI求会に入った家は、施設内の居住区で暮らす決まり』、『未成年者は施設の外に出られない。施設に独自の教育機関があって、そこで勉強する』
もう怪しさ満点ですね。これはヤバいです。某宗教団体を想起させもします。このような『新興宗教』を取り上げた作品としては今村夏子さん「星の子」が思い浮かびますが、どちらもとにかく不気味で読んでいて嫌悪感が湧き上がります。物語は、この『NI求会』の不気味さを煽るように描いていきますが、一方でそこに立て続けに事件が発生します。
● 『立て続けにひとが亡くなってる事件』とは?
・『これまでに四人で、ひとりは生きているけど意識不明のまま』
・『権田さんは事件性がないとのことで自死と判断され、ふたり目の男性は事故、三人目の女性は自殺未遂となった』
『立て続けにひとが亡くなって』いるのは事実としてもこれだけだと取り立てて問題視することでもないような気もします。しかし、これらの事件には不気味な共通点があるのです。
『全員、目を損傷してる。いまだに眼球が見つかってないひともいる』。
えっ!という声が聞こえました。そうです。この作品では、『目』という人のからだの大切な部位が重要な意味をもってくるのです。そして、問題なのはその描写の仕方です。このレビューを読んでくださっていらっしゃるみなさんのお好きなジャンルはさまざまだと思いますが、この作品では『目』に関してグロテスクな描写が登場するのです。これには驚きました。まさか町田さんの作品でこのような表現を目にするとは思わなかったのが実際のところです。グロテスクな表現なんて絶対嫌!とおっしゃる方もいらっしゃると思いますのでここではその詳細に触れることは避けたいと思いますが、この点ひと言お伝えできればと思いました。一方で、この作品のもう一つのポイントが、次の一文の先に展開する物語なのです。
『そのひとたちが亡くなる寸前、着物姿の女の子が目撃されてる』。
ネタバレになるのでこれ以上触れることは避けたいと思いますが、町田さんが描くまさかの”ホラー劇”がこの作品最大のポイントであり、物語では、上記した『NI求会』、『立て続けにひとが亡くなってる事件』という不気味な演出の上に鮮やかに展開していきます。私は町田さんの作品をコンプリートしていますが、こんな町田さんは初めてです。不気味な物語ではありますが、町田さんのこの新境地には思わず読む手が止められなくなります。やはり町田さん!さすがの町田さん!”ホラー”でも間違いなく読ませてくださる作家さんです。
一方で明るい話題を一点お伝えしたいと思います。この作品の舞台は上記した通り、『九州の片隅にある』『南半里町』です。作者の町田さんは九州出身、今も九州を本拠に活動されており、物語の舞台を九州に設定した作品もあります。ここでご紹介したいのはこの作品にこんな記述が登場することです。
『テンダネスってまだ、九州限定コンビニなんだよな。いい加減本州に進出してくんないかな』。
お分かりいただけるでしょうか?町田さんがシリーズものとして取り組まれていらっしゃる「コンビニ兄弟」の舞台となる『テンダネス』の話題が登場するのです。全体に暗い雰囲気感に包まれたこの作品ですが、この5文字がオアシスのように感じてもしまいます。思わずニンマリという形で幾度か登場しますのでこれから読まれる方には是非楽しみにされてください。
さて、そんなこの作品は〈プロローグ〉と〈エピローグ〉に挟まれた四つの章から構成されています。物語は神原凛音という女子高生が主人公を務めます。上記したダイジェストの通り、物語では『友達の荻野美央と大喧嘩をした』先に彼女が『NI求会』に囚われの身であることを知った凛音の姿が描かれていきます。
『美央との友情を失いたくない。あたしは美央が好きだし、美央と過ごす時間が好きだ』。
そんな凛音は『何かから見られているような気持ち悪さを感じる。誰かがこっちをじいっと見ている。でも、何もいない』という不気味な感覚の中、『花に囲まれた、白いお城』のような『NI求会』の建物へと単身訪れます。しかし、当然のことながら一人の女子高生の力ではできることが限られます。そんなところに『ドーナッツ屋』の森美美憂(もりび びう)という『二十代半ばくらい』の男性がやはり『NI求会』から知り合いを取り戻すべく訪れ、二人は知り合います。物語では、この二人がタッグを組んでいく様が描かれていきます。
『あそこで何かが起きている。そしてその姫塚山に、美央はいる』
そんな思いの先に美央を救うべく大胆に行動を起こしていく凛音。物語は、第二章でもう一人の女性に視点を移動させます。それは、『NI求会』に連れ込まれた田原初花という女子高生です。複雑な思いの中に『NI求会』にやってきた初花の存在は物語世界を広げていきます。一方で、『めぇ、ちょうだい』、『ねえ、おねがい。めぇ、ちょうだい』という不気味な言葉が物語のそこかしこに顔を出すようになる物語は一気に”ホラー”な色彩を強めてもいきます。そして、そんな物語が至る結末、そこには物語冒頭からは全く予想だにできなかった、それでいて物語のそこかしこに埋め込まれていた伏線が丁寧に回収されていく町田さんらしい圧巻の物語が描かれていました。
『この日が、すべての始まりだった。振り返れば、だけれど』
そんな風に過去を振り返る主人公の神原凛音。そんな凛音が『NI求会』という怪しげな組織に囚われの身となった友達の美央を救出するために危険を冒しつつも『NI求会』の背景に隠された真実を追い求める姿が描かれていました。『新興宗教』の怪しげな存在が物語を薄暗くしていくこの作品。そんな『新興宗教』の裏側に驚愕の真実が隠されてもいるこの作品。
グロテスクな表現と、まさかの”ホラー”な物語世界に、町田さんの新境地を見るインパクトある作品でした。
Posted by ブクログ
喧嘩別れした親友の美央が高校を退学した。
何も告げずに家族で、姫塚山に突然にできた宗教施設「NI求会」に入会したらしい。
家に行くと門扉に売り物件の看板が立っていて、自転車に乗ったお姉さんにその家の人は、引っ越して行ったと言う。
そのお姉さんは着物の少女に話かけていて…
翌日には猟奇的殺人事件の被害者になっていた。
それから、目を奪われて殺される被害が続出するのだが、凛音は美央をはじめとする、NI求会に入会した5名が全員退学したことも気になり、その施設に赴くのだが門前払いにあっているところにドーナッツ屋のお兄さんも友人と連絡が取れないとやってくる。
施設から逃げ出してきた初花とドーナッツ屋と凛音たちは、NI求会がやっていることと「目」を奪っていく事件との関連を探る。
今までの町田そのこさんの書いてきたものとは趣きの異なる感じに戸惑ったが、呪術というホラーものに謎解きをする女子高生とドーナッツやのお兄さんという…また違った意味でわくわくした。
ホラー色強めというわけでもなく、純粋に友情を大切にする話でもあったと思う。
守ろうとする誰かがいれば、きっと繋がれていく。
何も、失われない。
だからきっとまた、あなたに会える。
Posted by ブクログ
町田そのこさん初のホラー小説とのことで読ませていただきました。
物語に出てくる宗教団体の思想の元になる「楽園の楽園」という小説について描かれているか所で「ん?」なんか知ってる。。伊坂さんのじゃない?と思って検索して初めて伊坂幸太郎さんの螺旋プロジェクト第二弾に参加している作品なのだと知りました。
それも踏まえて、ホラーテイストも新鮮だったし、町田そのこさんならではの人と人とのつながりが描かれていて、エンタメとして楽しめました。
Posted by ブクログ
ホラー。
人間をえぐる視点が浅い。
人物造形で善悪がはっきりと分けて描かれすぎている。
唯一、感じが悪いところから、善く描かれていた初花の変転も腑に落ちなかった。
現代の友情が、過去世代の友情にリンクするところは面白いと思う。
友情に亀裂が入るところの描写は読ませるものがある。
テンダネスが出てくるのが胸熱。
Posted by ブクログ
読み進めて、びっくり。えっ、ホラー要素あるの?!というかホラーだね?!??!あまりホラー小説を読まないのでドキドキしながら読んだけど、友情メインで女子3人のやり取りにほっこりしながら、ホラー要素は弱めで良かった笑。
Posted by ブクログ
いつもとテイストが違って、想定外のグロさでちょっと困惑。
昔も今も喧嘩した友との仲直りで着地。
伊坂幸太郎の「楽園の楽園」が出てきてびっくり!こんな使われ方をされてるとは!オッケーなのか?
Posted by ブクログ
「月とアマリリス」ではサスペンス(素晴らしかった!)、
今回はなんと、青春&土着ホラーもの
またまた新境地で、町田そのこさんの引き出しの多さを実感
途中で五十九彦…ん?なんか引っかかると思ったんだけど話が面白くて一気に最後まで読んでしまった
ホラーだけど、少女たちの友情が美しく、町田さんならではの心にじんわりくる感じが良かった
で最後にパラリとページをめくったら…
参考文献に伊坂幸太郎さんのあの作品名が真ん中にドーン
読んでいたのに…しかもタイトル…
気づけよ、私
星は4に近い3です
Posted by ブクログ
町田そのこさんの青春ホラー小説。地元に伝わる伝承とそれを利用する宗教団体の話に、コンビニ兄弟(私自身は未読)との接点?もありつつ展開されていく。個人的にはホラーと言われると、少し微妙に感じるところではあるが、他の方の感想にもあるとおり一気読みできるのが町田そのこさんの小説と言える。
Posted by ブクログ
今年3作目の町田そのこ作品は青春ホラー小説。前作は町田カラー全開だったので、一転今作にはびっくり。町田そのこさんがホラー??
伊坂幸太郎さんの「楽園の楽園」が、ほぼそのままの形で新興宗教として登場する。N Iは教義となり、楽園の楽園はまさかの聖典だ。ここは読んでいるかどうかで受け止め方に少し差が出てきそうな気もする。もっとも宗教はテーマではない。友情を支えに、女子高生がそこそこ血塗れでオカルト的なものと戦う物語である。コンビニのテンダネスが登場するちょっとしたサービスあり。
一気に読ませてしまうのは、さすがの町田作品である。ただ町田作品にホラーは求めていない‥かも。宗教を描くなら宗教がテーマの作品を読んでみたかった。次作はファンタジーとのこと。それもきっと読む。読むけれど、その次は町田さんの描く巷に生きる人々の物語が読みたい。
Posted by ブクログ
町田さんの書き下ろしホラーということで気になって本作を手に取りました。土地にまつわる言い伝え、宗教団体など設定としてはホラー要素がふんだんに含まれていると感じましたが、町田さんの作品としては好みではなかったかなと思いました。
本作はとある九州の街に現れた宗教団体への入信をきっかけに、友人と会えなくなってしまうことから物語が始まります。何でも、その宗教団体はいわくつきの団体であることを知り、主人公は友人を助けに向かうというストーリー。
ホラー描写としては、目を抉るなどの描写はありましたが、本格ホラーものと比べると少し優しいかなと。しかし、女性同士の友情や絆の描き方、心理描写などは町田さんらしく丁寧で、主人公周りの登場人物の掛け合いは読んでいて好感が持てたように感じました。
個人的には本作の展開が王道に寄りすぎていて、町田さんらしいホラーとは何なのかなと思いました。あくまで個人的な感想ではあるのですが、町田さんの場合、幽霊や人外の生物よりかは、どちらかといえば、町田さん作品でたびたび登場するクズ男の方が、怖さが際立ってる気がします。
Posted by ブクログ
古くから伝わる恐ろしい出来事に宗教が加わり、恐怖が加速する。ハラハラしつつも、伊坂さんの小説を参考にしているので知っている名前が出て来たり、著者の別の小説に登場するコンビニの名前が出て来たり、と少し気持ちが落ち着く場面もありました。友情はどこまで信じて良いのだろうか。ラストは町田さんらしい感じが出ていました。
Posted by ブクログ
町田さんの新しい世界。ホラーファンタジー。
どうも幽霊とか怪奇現象とか信じないタチなので、評価低めです。特に律がみんなの前に現れた時、北山が話しているのか凛音が話しているのかわからなくなって何度か読み直しました。
町田さんにしては珍しく思いました。