小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ひとりきりで世界を旅する紅(べに)という魔女がいた。
魔女は人間よりも驚くほど長生きで、自由気ままに生きていて、外見を好きな年齢のままで止められるという。
紅は旅先で、病気の母と暮らす少年や、夫を5年前に亡くした妻や、居場所をなくした2人の女子高生たちと交流し、彼らに生きる希望を与える。
そして紅もまた、自らの「生きる意味」を探している途中なのだ。
どこへたどり着くかもわからない。それは同時に、どこへでも行けるということ。
未だかつて出会ったことのない魔女という存在に、どんどん親しみが湧いてきます。
この作品は、『雲雀坂の魔法使い』の姉妹編で、翠が営む『雲雀坂魔法店』も登場します。
前作同様 -
Posted by ブクログ
「やさしさには温度の違いがある」
特別な誰かと仲良くならないことで、みんなに同じようにやさしくできる「冷たいやさしさ」と、
逆にみんなを受け入れる「温かいやさしさ」
の二種類、、
この表現に心の殻から何かが生まれ出たような腹落ちする理解が出来た。
5つの物語の主人公はみんな小学生だ、
彼ら(彼女ら)が日々の日常の中で友達から、大人から何を感じて成長していくのか?
その背景に「やさしさ」があることを作者の真下さんは強く信じている。
だからこそ物語の中の子供達の心情や成長が生き生きと際立っているように思える。
友達からの言葉そして態度、大人からの言葉そして態度、これらを積み重ねて優しい人間が育っ -
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バッタ博士こと前野ウルド浩太郎氏の「私は、あと何回フラれたら、運命の人に出会えるのだろうか。あと何回ラブソングを歌えば、想いが届くのだろうか。たった一人、たった一人の相手に出会えたらとがんばってきたのに、なぜこんなに婚活は難しいのか。」という本である。
様々な失敗談を披露しながら、自省しツッコミを入れつつ、第5章に至っては、「トイレットペーパー理論」なる独自の自説を展開する様はムネアツである。次第に熱を帯び、動物の場合、また特異な虫さんの「メスの好み」が必ずしも生存や繁殖の役にたつ特徴とは限らないことなどを指摘する様はもはや何言ってんだおまえ。そんなことより早くカップリングしろよとツッコミたく -
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芥川賞を受賞して華やかに作家デビューするはずが、自分以外の人があれよあれよと変化していき巻き込まれていく。変化があったのは自分のはずなのに、周囲が変わってしまったように感じられる。手の平を返したかのように態度を変える人もいれば勝手に期待して勝手に失望して勝手に離れていく人もいて、その渦の中で苦しい表情を見せないようにして何とか息継ぎしている感じ。頭の中の自分と作家の自分とが同時に存在して本当の自分が分からなくなる感覚の描写がリアルで、劇中劇みたいに「これも高瀬さんの体験談かも…」というメタ視点になってみたりした。
高瀬隼子さんの作品の中でも特に好きかもしれない。 -
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ある日、不運な交通事故に遭い、首から下が全く動かなくなったひまり。商社勤務で外国語も扱う彼女にとって、突然の人生の転換。
家族にも介護をしてもらい、懸命にリハビリをするが歩くことは全く叶わないという絶望の状況下の中、リハビリセンターの中でも、障害の具合は人それぞれ、少しでも動く部分があるだけで、他の人への苛立ち・嫉妬があったりと、本当に細かな人間模様が窺える。
自暴自棄になっていたある日、幼なじみのレオと再開し、ひょんなことから弁護士を目指すことになる。
この弁護士を受けようと思ったのも、体は動かないが口は動く、また他の一般職に引っ掛からななったからという、非常に不純な理由であった。
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ネタバレ100万回も生まれ変わり、無くなるたびに人々に悲しまれた……そんな色んな人生を生きた猫が野良猫に生まれ変わる。野良猫になってから自分の人生を生き、最愛のパートナーに出会う。そして、最愛のパートナーと満たされる日々を送る。しかし、その楽しい日々にも終わりが来る…最愛のパートナーを看取るという初めての悲しみ。彼は100万回も泣いた。そして、彼も眠りにつくんだった。
何故彼がこれ以上生き返らなかったのか、答えが具体的に書いてないため、考えさせられます。初めて自分の選んだ人生だからかな、最愛のパートナーと一緒にいたいと願ったからかな…真相は分からない。また、本を閉じた先にある裏表紙の最愛のパートナー