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Posted by ブクログ
河井道の史実を元にした小説
柚木麻子さんの母校 恵泉女学園中学・高等学校の創立者 河井道
その道とシスターフッドとして支え続けた一色ゆりとの絆を描いた、ある意味で女子大河小説
柚木麻子さんは、実際に在学していた90代の方々にも取材をしたそうな
そして皆、戦時中でも学校が「楽しかった」という
そんな学校の設立の経緯と運営のあれこれ
河井道と一色ゆり
冒頭は、一色乕児が渡辺ゆりにプロポーズするところから始まる
河井道とはシスターフッドなため、自分と結婚するという事は河井道とも一緒に暮らすということ
そんな条件を受け入れて結婚した乕児も、当時としてはかなりの変わり者のように思える
シスターフッドとは、イエス・キリストのもとに集う姉妹、つまりは血縁関係を持たない女性同士の絆の事
そんな二人が理想の女学校を立ち上げた経緯と、その後の運営のあれこれが描かれている
河井道は三重県生まれで神職の娘
父が友人への資金トラブルで信頼が失墜し、北海道に移住
父がキリスト教に傾倒して改宗
そこで出会った新渡戸稲造に見出され、アメリカ留学のため、女子留学を支援するという津田梅子の元に行く
ブリンマー大学卒業後は津田梅子の女子英学塾時代で勤務
そこで、生徒であった一色ゆりと出会い、押しかけ女房的に同居する事になる
主人公は河井道だけれども、実在する関係者も多数登場するし
河井道が津田梅子の一番弟子のような立場のため、日本に於ける女性の自立に関するエピソードが多数
津田梅子の学校の生徒達で有名な人もいるし、他にも実在の人物が多数登場する
平塚らいてう
山川菊栄
神近市子
伊藤野枝
広岡浅子
村岡花子
市川房枝
柳原白蓮
それぞれで本になる、むしろそんな本が存在しているような面々
正に、日本のフェミニズムのアベンジャーズのような作品
男性でも、新渡戸稲造、有島武郎、野口英世、ロックフェラー、ボナ・フェラーズ、太宰治、白洲次郎など
河井道はとにかく目的意識がはっきりしていて、そのためには諦める事がない
お金はないし、時には計画性もない
だが情熱はある
女子教育という灯りを絶やさない決意を感じる
戦時下でも強かに学校を存続させる対応をする
国策と女子教育との狭間で、のらりくらりと抜け道や言い訳で生徒達の安全と生活を守ろうとする
「学園だけは楽しく」「それが私たちにできる戦い」だと生徒達を励ます
題名の「らんたん」は津田梅子も留学していたブリンマー大学の行事に由来する
先輩が後輩にランタンの火を継承する儀式
上級生から下級生に知識の象徴として継承されるランターンの火
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らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから──。
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光をシェアして社会を明るく照らしていこうという指針
当時、女学校と言えば良妻賢母という教育が基本だった中
ひとりの人間として生きるための女学校が必要だと尽力した河井道
作中で、度々シスターフッドの理念が出てくる
「女が手を取り合わなければ、男たちはすぐ戦争を始めてしまう」
「女たちが手を取り合えば男たちは戦争ができなくなる」
多分、こういった事が一番言いたかった事なのかと感じた
執筆の経緯としては、近所の屋敷からそこに住む老婦人の話を思いついて執筆したのが「マジカルグランマ」
そしてその屋敷は、実は母校の創立者である河井道と一色ゆりの暮らした一色邸である事を知る
そこで河井道についての話を書こうとして母校の資料室に出入りしていたが、コロナ禍のためそれもできなくなる
しかし、母校に入れなくなっても、他の偉人の記録を調べると河井道の記述が見つかるという
あと、子供を連れて行ける取材先がないけれども
「子どもが泣き声を出せない場所は、どこかいびつで変なのよ」という作中の言葉の通り、母校では子供の泣き声が迷惑ではないという理由もあったようだ
解説は村岡花子の孫の村岡理恵
作中に登場する関係者に解説を依頼できるのも、史実を元にした小説ならではですね
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この灯は、「妻」や「母」ではなく、「私」のためにある。
明治・大正・昭和の女子教育を築いた女性たちを描く大河小説!
世界中が熱狂する『BUTTER』著者の原点がここに――。
らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから――。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉を描く、輝きに満ちた大河小説!(解説・村岡恵理)
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Posted by ブクログ
素晴らしいです!柚木さん、恵泉の中高で立大出身なのか。ご自身の母校の創始者をこんなに素晴らしい小説で描き切って、道先生も喜んでるだろうなぁ。なんでBUTTERとかいう小説の方が人気あるのかわからん、どう考えてもこっちでしょうー!あの激動の時代を生きたこれだけの歴史上の人物たちをいきいきと交差させて道先生はじめ多くの教育者たちの苦労と功績をよくこんなにも立体的に情感豊かに描いたものだと感服した。実際にそんな会話を交わしていたんじゃないかと思うほど読んでてワクワクした。伊藤野枝の人生が火傷しそうな熱さなら、河合道先生の人生はキラキラしていて颯爽としていて眩しくて目が眩むよう。堂々たる体格で自信と慈愛と行動力にあふれ、誰とでもすぐに仲良くなりどんな世の中もかき分けて進んでいく道先生、誰もが慕いたくなるそんな先生が老いて病んで小さくなり長年の親友に甘える姿に胸がギュッと締め付けられた。こんなに愛と希望と活気に溢れる学校で学べた女生徒たちが心底羨ましい。恵泉よ永遠なれ。
Posted by ブクログ
河井道さんがNHKの朝ドラ「あさが来た」と「花子とアン」、「ばけばけ」を横に縫いとるような、大河小説でした。
暗くて重い時代も、あたたかくおいしいものや明るく女学生の笑い声とともに響くような、女性のしなやかさ、やさしさ、強さ、朗らかさに包まれて光を失わずに進んだ、という恵泉女学園のお話。
女性の放つ光を外から見るような、なんともあたたかく、でも気持ちのいいお話でした。
柚木麻子さんの心はここからできているのか、となんだか納得するような気持ちになりました。
歴史観や宗教観はそれぞれだけど、女性のもつ光、という点でとても良かった。
津田梅子、広岡朝子、白州次郎や、有島武郎に太宰治…、戦後復興の話はもっと知られても良いなあ、と思います。
いつかドラマか映画になったら必ず観ます。
Posted by ブクログ
読み応えありました。700ページ越えにこれは中々読み終えるのには日数がかかりそう…と思いましたが、面白くて先に先にと読み進めてしまいました。読み終えてしまったのがもったいない。シリーズ化にして欲しかったです。もっと主人公の人生と周りにいる人達の人生を読んでみたい。
主人公は明治〜昭和を生き、話しに出てくる人達は有名な人ばかりでそれもまた読んでいて楽しいです。
もし子供の頃にこの本と出会えていたら、学ぶとは何か自分の国はどんな国なのかを考える事が出来ただろうな、そうしたらもう少し勉強頑張れただろうなと思ってみたり。
長いお話ですが、子供にも読んでみてほしい本です。
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