あらすじ
らんたんの灯を絶やさないで。それは教育という名の希望なのだから――。伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、米ブリンマー大学に留学、帰国後は津田梅子が創設した女子英学塾で教えた。良妻賢母ではなく、ひとりの人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりと奔走する。明治・大正・昭和の女子教育を築いた〈魂の姉妹〉(シスターフッド)を描く、輝きに満ちた大河小説!(解説・村岡恵理)
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった、、、史実を淡々と述べる作品でなくて、道とゆりの美しいシスターフッド、そして女性教育を解放して著名人の登場に度々胸が躍った。特に女性教育の始祖でもある梅子と捨松の死別シーンは本当に感動した。今私たちがこうして自由に生きられるのも、先人のおかげだと思うと、この自由を思う存分全うするのが、この時代に女として産まれたせめてものの使命なのかなと思う。
Posted by ブクログ
ちょこっと手間取ったけど読み終えたしラストまでじんわり沁みてらんたんの題名が素敵だな希望の光あるから読めた。柚木麻子さんは浅田次郎の小説みたいだとぶっ飛んでると思っていたし(私にふさわしいホテルとか butterなんか読み応えサイコー) 長い事日本のくだらない夫家長制度に振り回された女性が行動す歴史を垣間見て、道先生の立ち振る舞いも最後の最後までブレない たね子の生徒を亡くして何も出来なかった言葉に対して意味がなかったが最後まで続けましょうがグッときます。間違いもあるけど諌めるユリとのシスターフッドの関係も良いですし、病室で道とユリとクスクス笑ってたのが最後まで分かち合う気持ちなのだなぁと思った
Posted by ブクログ
困った時に助け合う、シェアの精神は私も生きていくうえでお手本にしたいと思った。シェアの精神を次の世代に引き継いでいくの大事。
いつの世も、女性のライフステージの変化による友情関係が変わってしまう悩みは一緒なんだなあと思った。
恵泉出身なので、恵泉のイベントがどのような経緯でできたものなのか知れて良かった。
厳しい情勢でも楽しむことは大事だし、きちんと自分の意見を言える自立した女性でいたい。
感話の文化があったからこそ、他人の意見を否定せず色々な意見を受け入れる風土ができたのだなあと実感。
Posted by ブクログ
私はシスターフッドものの物語が好きだ。
今までもいくつかそういった小説を読んできたが、恋愛感情抜きでお互いを支え合い共に歩むというのを体現したものはこの小説の他にないと思う。
読み進めるなかでわかったことですが、脚色されてはいるでしょうけど事実に基づいた話なんですね。自分の不勉強を恥じています……
この小説は著者の母校でもある恵泉女学園の創立者で、
明治の文明開化から始まり、昭和戦後に亡くなるまで女性の地位向上のために、時代の荒波に翻弄されながらも自分の理想を掲げ続けた実在の人物「河井道」先生の生涯を描いたものです。
数多くの今では歴史に名を残す人物たちとの出会いと別れ、同じ志を持ちながらも考え方の違いから対立する旧友たち、否応なく近づく戦争の足音。
数々の苦難に理想を阻まれつつも、持ち前の明るさや仲間たちの支えで信念を貫き通し、タイトルのとおり「らんたん」の灯を絶やすことなく、現代まで灯し続けている。
多くの助けがあったとはいえ、一人の人間がここまでのことができるんだと感激する一方で、今の自分はこれまで後世に残すようなことがなにかできているのだろうかと少し惨めになったりならなかったり……
現在でも日本では男女が完全に平等だとは言い難いのも確かだけど、
多分、道先生の尽力がなければここまで来ることもできなかったのであろう。
世の中の男性には是非この本を読んでそのことを知ってもらいたいが、
700ページにも及ぶ大作でなかなかとっつきにくいとは思うので、ここは朝ドラか大河ドラマの題材にしてもらって広く普及するってのはどうですかね?
Posted by ブクログ
新潮文庫特有の「500に見えて700ページ」本です。
ただ、内容は、大正から昭和に架けて激動の日本を舞台に、女性が活躍する姿が描かれていました。終始朝ドラ感がある進行で、とても読みやすく、かと言って登場人物一人一人に個性があったり、北海道や東京、大阪だけでなく、サンフランシスコやシカゴなどアメリカの描写がとにかく簡潔で読みやすいことこの上なかったです。
戦争、関東大震災そして、戦争。焦土の日本の台地で、命の灯火を絶やさない一輪花。水も乾き、干上がった荒野でも、堂々と咲く彼女の意思に励まされ、次第に皆が花の名を宣う。無償の無尽の愛を注ぎ、人々を愛した女性の名を。
天真爛漫に生きた彼女が施した、女性の自立。フェミニズムなどでは語られない、男性の意識さえ変えさせてしまう真の教育。
これは朝ドラにしたら視聴率取れちゃうよ。NHKがんば。
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ずっと読みたいな、と思っていた柚木麻子さんの作品。
まさか初めて手にとるのが歴史小説になるとは思っていなかった。
らんたん。
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日本社会は提灯型の社会。
自身の足元を照らすので精一杯。
現代に至っても、まだ日本人は足元を照らしているようなイメージがある。
女子大は今、窮地にある。
関西女子大の雄、武庫川女子大は共学化が決まっている。
個人的にもあまり必要だとは思っていなかった。
でもただ均質にするのも違うような気がしてきた。
新しい時代の「男らしさ」「女らしさ」というものが、もう少し議題として深まればいいのにな。
Posted by ブクログ
ゆりさんと道さんを中心にして、明治・大正・昭和の時代の女子教育を辿る物語
女は男の従属物のような時代
留学の機会を得た女性たちを中心に
必要な教育を受けた女性の目が開いていく
国にも夫にも盲目的に従わなくても良いのだと解り自分の世界に光が射す想いがしただろうか
新しい価値観の世界に踏み込むにはたくさんの勇気が必要だったろうか
道さんと出会えてよかった
Posted by ブクログ
戦前から戦後まで、一貫して、男女の対等な社会を目指して女子教育を切り開いていった河井道先生の一代記。現代にも通じる内容でもあり、道先生の気合の入った信念に敬服する。
Posted by ブクログ
アンソロジーでは読んだことはありましたが、長編では初めての柚木麻子さん。また大河小説そのものも初めてでした。
河井道が日本女性に教育を、男女平等に…と強い発信をしてきた女性を、この『らんたん』で初めて知りました。
道が生涯を全うするまで、関東大震災、第二次世界大戦と明治・大正・昭和と激動の年を駆け抜け、今の日本女性が教育を受けられるのも、仕事も男性と一緒に働けるのも、道とその周りにいる女性たちが国と戦い続けてきた証なんだと感銘を受けた。
道の子どもへの教育の仕方は印象深い。各々の意見を持ってて問題ないような『多様性』を重視されていた。ここまで人間を客観的な目線で寛大な心を持ってるのは、令和にいないのではないかと。もし道が現在生存していたら何を思うのだろう…。働きやすい環境ではあるけど、少子化も進んだ現在を見てどう感じるのだろう?と考えてしまった。
道は偉大であり現在へとしっかり引き継がれている。
戦時中のような状態が今でも続いているのであれば、日本女性は苦しい思いをしていたに違いない。
私たちに希望の光となる「らんたん」が灯してくれた。彼女の思いを信じて、しっかり日々を過ごしていきたいと思います。
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ようやく読み終わった!まさに大河小説。胸が熱くなる場面が多くあり、自分も日本で生きる女性として「らんたん」の光を受け継いでいかなければと強く思った。
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河井道さんという女性を主人公にした史実を基にした小説。
当時の有名人いっぱい出てくる!
女子教育から女性の地位向上を目指す。
いまの私たち女性が自由に動き回れるのもこの時代の方々が頑張り踏ん張ってくれたおかげですね。
当たり前に享受できていることも昔は女性だからできなかったこともある。
未来のためにも今度は私たちが奮闘する番だと思った。
なにかできることはないかとおもふ。
Posted by ブクログ
シスターフッドという概念が共感でした。
道とゆり
だけでなく
津田梅子と大山捨松
村岡花子と白蓮
といままでにない視点でおもしろかった。
広岡朝子も
朝ドラで主役だった女子達いっぱい登場
Posted by ブクログ
柚木麻子さん。たぶん初かなあ。BUTTERも気になるけど前々からお気に入りにいれていたこちらから。電子書籍はボリュームがわかりにくいのよね。読み始めたらけっこうな大作でびっくり。恵泉女学園を創設した河井道という一人の女性教育者の一生、実に濃いし熱いしドラマティックだから、丁寧に描けばそりゃ長くなるわね。登場人物も知っている(ドラマとか本で)人たちばかりで、イメージしやすくて読みやすかった。
男女別学がどんどん減っている昨今だけど、女子校育ちの身としては、河井道が言っていたような女子校の良さというか意義は、やっぱり今も変わらずあると思うけどな。でもあるってことはまだまだってことでもあるな。
Posted by ブクログ
恵泉女学園創設者、河井道の物語。
恵泉女学園とは、明治以後、日本全国に作られた外国人宣教師主導のキリスト教系学校とは異なり、河井道と一色ゆりが奔走して作ったキリスト教系女学校(著者柚木麻子も同窓生)。
そのため、河井道というカリスマ性を持つ女性の理想とする個性的な教育を施していた。
例えば、園芸に非常に力を入れており、戦時中に農芸専門学校を作り、のちに園芸短期大学になっている。
歴史上の数々の有名人がところどころに出てくるが、どこまでが作者の創作なのだろうか?
平塚らいてうなど女性解放運動に携わっていた数多の著名人も出てくるのだが、それぞれ主義主張が違い、決して一筋縄ではいかなかったのもよくわかった。
文庫本で700ページ超えという長い話に付き合ってきたため、恵泉女学園に少し思い入れが生まれ、それ故に、2023年に学生数減少のため大学が廃校となると発表されたことは残念でならない。
Posted by ブクログ
寅に翼を始めとする近年のフェミニズム作品のおかげで日本女性がどのように人としての尊厳と地位を確立してきたのか、断片的には知っていたが、この作品によって明治大正昭和とその流れをしっかりと知ることができた。
この作品では女子教育を主軸に置きつつも、女性は苦しみ我慢をすることが美徳という、まじあり得ないが当時は浸透していた考え方をおかしいと主張することの当時の大変さを、ひしひしと伝えてくる。
100年近くたった今でも女性の生きづらさはなお存在しているが、道たちのように女性一人一人の力で、次の世代のために変えていかなければ。
Posted by ブクログ
河合道先生の目まぐるしい人生と、女性の教育や権利の為にものすごく多くの女性たちが力を尽くしてくれた事に驚き通しの一冊でした。
内容は、文庫本の裏表紙のあらすじに、"大河小説"とありますが、まさに大河ドラマとして一年通して見てみたいと思わせるボリュームです。
そのせいか、読んでいて出来事や人物を追いかけているだけのような感覚になったのが、少し残念な点ではありましたが。
河合道先生の人生を描くなら、一冊では足りないのは納得です。こんなに素敵な女性を知る事が出来て、読んでよかったと思いました。
Posted by ブクログ
恵泉女学園の創設者河井道の半生を描いた大河小説です。
津田梅子、野口英世、平塚らいてう、安中花子など偉人が次々出てきます。
登場人物を一人ひとり調べながら読むのも物語を面白くします。
「ババヤガの夜」など最近話題のシスターフッドですがこの小説でも描かれています。
恵泉女学園を創設するような女性が子供の頃は勉学が嫌いだったとは意外だった。
Posted by ブクログ
この人はバターがめちゃくちゃ面白くて、ちょっと期待値上がりすぎちゃったかも。書くのは本当に大変だっただろうな、と読んでいて思った。途中までは結構面白かったけど、いかんせん長すぎたのかな。丁寧でよかったけど、途中から読むスピードが遅くなっちゃった。でも面白かったし為になった!朝ドラとかの元ネタになってほしい。