あらすじ
結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされて――。今を精一杯生きる全ての人に贈るハートフルストーリー。
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Posted by ブクログ
ときめきはないけれど穏やかな婚約者との日常に、突然現れた見ず知らずの「兄」。本作は、封印していた過去の記憶に、他者との出会いを通して新たな光を当てていく物語です。婚約者が見せる、静かでありながらも確かな優しさが、頑なだった主人公の心をゆっくりと解きほぐしていく。そんな温かい心の機微が、深く胸に響きました。
特に、かつて住んでいた土地を婚約者が表現する場面は最高に良かったです♪主人公自身、そんな風に感じたことすらなかったその場所が、他者の視点を経ることで、かけがえのない大切な場所へと生まれ変わっていく。重苦しいだけだと思っていた過去の記憶が、未来を照らす温かい光へと変わっていくその瞬間は、読み手の心をも揺さぶる感動がありました。
これは単なる恋愛や家族の物語という枠には収まりません。自分一人では気づけなかった世界の輝きを、なりふり構わない優しさを持つ人々の眼差しを通して再発見していく、誠実な心の記録です。過去に囚われて一歩を踏み出せない時、誰かの温かい眼差しが、自分のいる場所をかけがえのない場所に変えてくれるかもしれない。そんな静かな希望を与えてくれる一冊だと思います。おススメ!!
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「思い描いたとおりに生きなくったっていい。つらいのなら他の道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが一番なんだから。」というセリフにぼろぼろ泣いてしまった。思い通りに行かなくてもがいてる時にスッと心に沁みた。大好きな作品。
ほわわん
結婚を目前にしたさくらの前に突然現れた、兄と名乗る年若い男の子。見覚えのないお兄さんは、さくらのことを何でも知っていて、何かとさくらにおせっかいをやく。普通ならストーカーか?と恐怖を感じるところだが、読み始めた時から、霞のようなほわほわしたものに包まれていた。無条件に優しい人がいて、その優しさに触れ、優しさとは美徳だなと思う。
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始めはおにいさんが気持ち悪くて、ゾワゾワしっぱなしでした笑。登場人物みんなが特に疑いもせずおにいさんを受け入れていき、いやいやありえないでしょと思いながらも私も自然におにいさんに慣れていきました。特に山田さんがすてきで、さくらはいい人とご縁があってよかったとしみじみ思います。最初から最後まで温かい空気が流れているお話です。話も短く、とても読みやすかったです。
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結婚を控えたさくらの元に、自分の兄だと名乗る年下の男の子が訪ねてくるお話。今まで読んだ瀬尾まいこさんの小説で一番好きかもしれない。小説から溢れだす春の空気感に思わず深呼吸したくなった。表紙も、読み終えたあとに見ると温かい気持ちが溢れて、涙腺が刺激されてしまう。お兄さん、好きだなあ。忙しないのに一緒にいると暖かくなる、春のようなひと。
自分を蝕んでいくような記憶は根こそぎ封印したくなるけれど、その閉じ込めたなかには貰ったままの優しさもたくさんあったこと。「一度出会ったら、人は人をうしなわない。」という言葉を思い出す。いつの間にか疎遠になっていたひとや、いつも不安定で気掛かりだったあのひと。もう会うことはないかもしれないけれど、わたしはずっと幸せを祈っている。
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家族じゃなくても家族と同じように大事に思ってくれる人はいる
傷ついた事に蓋をして思い出したくないけど
同じ所に次の自分へのヒントもある
そんな優しい瀬尾ワールド
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結婚を数ヶ月後に控える36歳のさくらの元に、突如兄を名乗る年下男性が現れるところから物語が始まる。
おにいさんは何者なのか。
というのが物語の中心かと思いきや、二人やそれを取り巻く人たちとの関係を見ているとそんなことはどうでも良くなってくる。
ほとんど善人しか出てこなくて、元気が出る物語だった。
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真実がわからなくても、今自分が知っているその人がどうか、自分がその人に何を思い何をしたいと思うかの方が大事なのかもしれないと思った。
山田さんのように、事実がわからなくても、目の前の人をおおらかに信じられる人になりたいなと思った。
そして、おにいさんの率直な優しさがさくらの心を解いたように、大事な人にしてあげたいと思うことは行動や言葉にしていこうと思った。
さくらが蓋をしていた記憶が、振り返ってみればそう暗いことばかりではなかったことは、わたしの思い出したくない記憶も少し明るくしてくれた気がする。
事実じゃなくて、自分が幸せと感じることが大事。周りの生活の変化や漠然と想像してた人生と今が違くても、今の幸せを見つけて人生を進めていきたいと思えた。
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さすが瀬尾まい子さん
こう言うストーリーは瀬尾さん独特な世界観ですね。
え、なになに?なんで?どう言う事?とどんどん読み進んで行きました。最終的には心温まる納得のいく作品でした。
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登場人物の受け容れる力がすごい。絶対不審な状況なのに読んでいるうちに暖かい気持ちにさせてくれるお話でした。素敵な人しか出てこなくてほんわかと読めました。
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何気ないやさしさが意図せず人を救済することもある…人は誰かから救済されると同時に誰かを救済する存在にもなり得ると感じた作品。季節の移り変わりとともに人の気持ちも移り変わっていく。そんなハートフルでじんわり心に沁みるストーリーをやさしい筆致で描いてます。
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結婚を控えたさくらに兄を名乗る年下の青年が現れるのですが‥
おいおい、突然に現れて皆んなと馴染みすぎーっとツッコミいれたくなってしまった(*≧∀≦*)
物語に出てくる人が皆良い人で気持ちがポカポカと温かくなります。自分が幸せに感じられる事が1番大切だとこの本に教えてもらいました。
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おもしろかった!お兄さんって誰なの?っていう謎が常にそこにあるのに、なぜか深刻さがなく、とてもポップに日々が進んでいく。結婚って題材として重くなりがちだけどそういうのがなくてよかった。出てくる人みんないい人。不思議な関係だけど、血のつながりだけがすべてではないし、こういうのもありだよね、って思う。
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すごく良かった。謎のお兄さんから始まるお話。
引き込まれてどんどん読み進んだ。
こういう内容って、それほど掘り下げなくてちょうどいい。
いろんな人がいろんな思いで過ごしていく日常を書かせたら問題なく瀬尾さんだなって思う。
Posted by ブクログ
2025年1冊目!
30代後半の主人公に20代前半の兄が突然現れるお話。なんやなんなと読み進めているとめっちゃあったかいお話だった。
なんとなく、お兄さんってもしや…?って推測ができたけど、近くも当たりはしなかった。でもそれがすごく良かった。
結婚したあとも、さくらとお兄さんの交流が出来ていたらいいなあ。
思い描いたとおりに生きなくたって、自分が幸せなと感じられることが一番。ホントその通りだと思った。今年1冊目に相応しい本だった!
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久しぶりに瀬尾さんの作品を読みました!
温かくて優しい作品でほっこり。
読みやすくてあっという間でしたが
ストーリーとしては微妙だったかな?
見ず知らずの男性をあっさり受け入れるはずないよな、、と思ってしまった
Posted by ブクログ
内容としては「ほんわか」。不思議な体験を自然と受け入れられる人は凄いな。心が広いというか受け入れるとしてもちゃんと理由もあって深い。信用問題なんだろうけど。大切な人はずっと見守ってくれている。人は誰かに助けられ、そして誰かを助けている。
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結婚を控えた36歳のさくらの前に、突然「兄」と名乗る年下の青年が現れる。記憶も名前も一致せず不思議な彼は、さくらの過去を深く知っている様子。やがて封じていた記憶が甦り、彼との関係と自分自身の心の傷に向き合っていく物語。
・・・
不思議なお話だった気がします。
このどう見ても年下の「兄」なる人。主人公のさくらは彼をあやしがりつつも受け入れる。それも驚きですが、さくらの婚約者やその両親、果てはさくらの妹までもが「兄」を自然と受け入れる。
私も、悪意も衒いもなく、そうやって他人をおおらかに受け入れられたらいいなあという漠たる願望はありますが、そうそう簡単に変われる年でもなく、自分だったらすぐ警察に通報だろうな、とか夢も希望もないことを考えてしまいました。
もちろん主人公さくらも「兄」なる人の調子の良さの裏に心の傷・やわらかで繊細な部分を察知したからこそ、つかず離れずの態度を取れたのだとは思います。
でそんな勘繰りを敷衍すれば、さくらの婚約者「団子屋」、そしてさくらの妹すみれも、きっと「他人事」として面白おかしく事態を眺めていただけかもしれません。
なんて書いたらとても冷たい人たちのお話になってしまいますが。
なお、結末ではさくらは自分で蓋をしていた心の傷を再度認識するという、一種のカタルシスを経験し、その後結婚に臨むというストーリーであります。
・・・
ということで久しぶりの瀬尾作品でした。
やや捉えどころのないお話に感じました。それにしても、やはり小学校の先生、それも他県からやってくると大変なのですかね。
人を率いるお仕事をされる方にはつくづく敬服いたします。
Posted by ブクログ
兄の正体が分からなくて、最初はもやもやしながら読んでいた。
でも登場人物はみんな良い人でほっこり。
なんだか不思議なお話。
「思い描いたらようにいきなくなっていい。つらいのならほかの道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが一番なんだから」
Posted by ブクログ
人ってあったけぇ…
結婚という人生の岐路に立ち、漠然とした不安を抱える主人公さくら。
なぞのお兄ちゃん、結婚相手の山田さん、母、妹、幼い頃亡くなった優しい父…いろいろな人とのエピソードに温かみが散りばめられていた。
とくに良かったのは、母、妹と父の命日にそばを食べながら、思い出話をするところ。
さくらには、こんなに素敵な大事な人たちがたくさんいるのだから、きっと大丈夫だよ。
お兄ちゃんのネタバラシは、ちょっと無理があるというか…それにしても気持ち悪くないかい?という感想。
Posted by ブクログ
前半はずーっと得体の知れない年下のお兄さんに薄気味悪さを抱いたまま読み進めることに。
全体像が見えて初めて心が緩んで安心して、最後には温かな気持ちで読み終えられた。
理想に囚われず、今ある幸せを大切に。
Posted by ブクログ
さくらも山田さんも落ち着いていていい人で、とても安心して読める。
お兄さんはほんとは誰なのか最終的にはわかるけど、やっぱりあの突拍子もない登場の仕方や言動は好きではないなー。
謎の人物にしておきたいのだろうけど。
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自分より12歳年下のお兄さんが目の前にあらわれる。当人のさくらはすぐに受け入れられないのに婚約者の団子屋の山田さんや家族はありのまま受け入れる。多分、私はできないから山田さん一家を羨ましく思う。見たままを心で感じ、まあいいんじゃない、と感じる軽やかさがすてきだった。和菓子、特に大福ときなこのおはぎが食べたくなる。
Posted by ブクログ
読後、特別な何かが残るわけではなかった。
でも、読んでいる間ずっと穏やかな気分でいられた。
突拍子のない「おにいさん」と赤いニットの「お父さん」がすごく好き。
謎を紐解くヒントが過去の記憶にあっても、今を楽しく思えた主人公は幸せだと思う。
表紙が良い!
Posted by ブクログ
■2025年11冊目(購入)
読み終えてから表紙をみると
なるほど登場人物たちが並んでる…!
さくらのお父さんも見守ってるのすごく素敵☺︎
Posted by ブクログ
瀬尾まいこワールド全開!な本でした
いろんな説明を端折って雑に言うと、やばい人が出てきても主人公以外は動じずに受け入れるところあたりがあぁまいこさんの本だ、と思う
だから最終的に悪いことにはならないだろう、という安心感のもと読めました
Posted by ブクログ
絶対読んだことある(笑)
記録にないからと思ってもう一回読んだけど、
何度もいうけど瀬尾まいこ本当に言葉が柔らかい!!!
1番の癒しで心が落ち着く
さっきまで気持ちがザワザワしてたけど、若干落ち着いた
精神安定剤まである、素晴らしいいつもありがとうございます
Posted by ブクログ
結婚間近のさくらにいきなり、「兄です」と名乗る年下の男が現れる。
戸惑うさくらを尻目に、「おにいさん」はぐいぐいさくらに近付き、夫となる一家の営む和菓子屋にまで出入りする。
不審者としかいえない設定の男に周りはなぜか惹かれていき、夫家族、さくらと妹の関係までほのぼのとしていく。
終盤で明かされる「おにいさん」の過去とさくらの封印された記憶。
「思い描いたように生きなくったっていい。つらいのなら他の道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが1番なんだから」
この言葉には心がほわっとした。
Posted by ブクログ
一回りも年下の男の子が兄と名乗る...
ちょっと意味不明だし、兄の正体がわかるまでなんかもやもや。
最後には正体もわかり、瀬尾まいこさんらしい終わり方なのかなとは思ったけど、あんまりハマらなかったかな。
短いお話なのでサラッと読めた。
Posted by ブクログ
結婚を控えた36歳のさくらの前に突如現れたひとまわり年下の男。男はなぜか、さくらの兄であると公言し、花嫁修業に協力するという名目でさくらの周辺に出没するようになるのだが……。
人の「縁 ( えにし ) 」を描くハートウォーミングコメディ。
* * * * *
ファンタジーかミステリーかだろうかと戸惑いつつも、軽いタッチに惹かれて読み進めることになりました。
人間には必ず、黒歴史となった過去を乗り越えるべきときが訪れるものです。そして、そのときに改めて気づくのです。自分はいかに多くの人に支えてもらっていたのかということに。
細部ではリアリティに欠けるところはあったけれど、瀬尾さんらしい、人生に対する希望を感じさせてくれる筋立てで、春の暖かさを感じる作品でした。