あらすじ
結婚を控えたさくらの前に、兄を名乗る青年が突然現れた。どう見ても一回りは年下の彼は、さくらのことをよく知っている。どこか憎めない空気を持つその“おにいさん”は、結婚相手が実家で営む和菓子屋にも顔を出し、知らず知らずのうち生活に溶け込んでいく。彼は何者で目的は何なのか。何気ない日常の中からある記憶が呼び起こされて――。今を精一杯生きる全ての人に贈るハートフルストーリー。
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Posted by ブクログ
2025年1冊目!
30代後半の主人公に20代前半の兄が突然現れるお話。なんやなんなと読み進めているとめっちゃあったかいお話だった。
なんとなく、お兄さんってもしや…?って推測ができたけど、近くも当たりはしなかった。でもそれがすごく良かった。
結婚したあとも、さくらとお兄さんの交流が出来ていたらいいなあ。
思い描いたとおりに生きなくたって、自分が幸せなと感じられることが一番。ホントその通りだと思った。今年1冊目に相応しい本だった!
Posted by ブクログ
結婚を控えた36歳のさくらの前に、突然「兄」と名乗る年下の青年が現れる。記憶も名前も一致せず不思議な彼は、さくらの過去を深く知っている様子。やがて封じていた記憶が甦り、彼との関係と自分自身の心の傷に向き合っていく物語。
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不思議なお話だった気がします。
このどう見ても年下の「兄」なる人。主人公のさくらは彼をあやしがりつつも受け入れる。それも驚きですが、さくらの婚約者やその両親、果てはさくらの妹までもが「兄」を自然と受け入れる。
私も、悪意も衒いもなく、そうやって他人をおおらかに受け入れられたらいいなあという漠たる願望はありますが、そうそう簡単に変われる年でもなく、自分だったらすぐ警察に通報だろうな、とか夢も希望もないことを考えてしまいました。
もちろん主人公さくらも「兄」なる人の調子の良さの裏に心の傷・やわらかで繊細な部分を察知したからこそ、つかず離れずの態度を取れたのだとは思います。
でそんな勘繰りを敷衍すれば、さくらの婚約者「団子屋」、そしてさくらの妹すみれも、きっと「他人事」として面白おかしく事態を眺めていただけかもしれません。
なんて書いたらとても冷たい人たちのお話になってしまいますが。
なお、結末ではさくらは自分で蓋をしていた心の傷を再度認識するという、一種のカタルシスを経験し、その後結婚に臨むというストーリーであります。
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ということで久しぶりの瀬尾作品でした。
やや捉えどころのないお話に感じました。それにしても、やはり小学校の先生、それも他県からやってくると大変なのですかね。
人を率いるお仕事をされる方にはつくづく敬服いたします。
Posted by ブクログ
兄の正体が分からなくて、最初はもやもやしながら読んでいた。
でも登場人物はみんな良い人でほっこり。
なんだか不思議なお話。
「思い描いたらようにいきなくなっていい。つらいのならほかの道を進んだっていいんだ。自分が幸せだと感じられることが一番なんだから」
Posted by ブクログ
自分より12歳年下のお兄さんが目の前にあらわれる。当人のさくらはすぐに受け入れられないのに婚約者の団子屋の山田さんや家族はありのまま受け入れる。多分、私はできないから山田さん一家を羨ましく思う。見たままを心で感じ、まあいいんじゃない、と感じる軽やかさがすてきだった。和菓子、特に大福ときなこのおはぎが食べたくなる。