小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
『ひかりの魔女 にゅうめんの巻』を読んで――巡りゆくあたたかな愛の循環
『ひかりの魔女 にゅうめんの巻』を読み終えたあと、胸の奥がじんわりと温かくなる感覚が残りました。それはまるで、丁寧に取ったお出汁でいただく、一杯の「にゅうめん」を食べたときのような優しさでした。
物語の中で描かれるひかりさんは、疲れたり、自信をなくしたりして元気を失っている人々にそっと寄り添い、包み込むようなあたたかさを届けていきます。
ひかりさんの魅力は、無理に相手を変えようとしないところです。見返りを求めずに純粋な愛を注ぐからこそ、受け取った側の頑なな心がふっと解きほぐされ、自然と「自分も愛を返したい」という気持ちになっていく。そうして広がっていく「愛の循環」こそが、この作品のいちばんのあたたかさなのだと感じます。
誰かを力づくで引っ張るのではなく、日々のささやかな優しさや言葉で周りを明るく照らせる存在でありたい。
ひかりさんのようなあたたかな灯火を目指して、私も目の前の人へ優しい気持ちを届けていきたいです。
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Posted by ブクログ
冒頭から重篤犯罪の現場。しかも、この犯罪に関わっているのは主人公のようだ。かつてダークヒーローものは読んできたつもりだが、類を見ないサイコパスぶりに慄く。
御子柴礼司シリーズの存在は知っていたものの、読む機会を失っていた。もっと早く読めばよかったと後悔するほど、目が離せない。御子柴自身の境遇や心理もさることながら、弁護士としての手腕、裁判の行方、そしてこの窮地からどうやって無罪を勝ち取るのか。さらに殺人事件への関与まで疑われる御子柴が対峙するのは、本音の見えない被疑者、切れ者の検察官、そして渡瀬刑事。やっかいな相手ばかりだ。
「どうせ、ブラック・ジャックみたいな感じでしょ?」と高を括っていたが、そんな単純なものではなかった。
一冊読み終えても、まだ御子柴の深いところは見えてこない。むしろ、もっと知りたくなった。これは……シリーズを読まなくては。 -
Posted by ブクログ
1155円
379p
スペイン長編文学の『ドン・キホーテ』本当面白い。第33章の「軽率な好奇心の男」に出てくるカミーラが好き。完全に善良で受け身な女性より、欲望やずるさを持つ女性に魅力を感じる。愛と裏切り、被害者性と加害者性が同居する人物像が面白いと思う。
「幸いわたしはまだ若いから、命さえあれば、まだまだやり直しはきくというものです。ですが騎士の旦那、あなたがこの哀れな連中を助ける施し物をお持ちだというなら、それはありがたいことで、神様はきっと天国でその善意にお報いになるでしょうし、わたしらはこの世であなたのために心してお祈りしますよ。あなたが、その立派な外見に似つかわしいほどの健やかな長寿と息災を享受しなさるように、とね。」」
—『ドン・キホーテ 前篇二 (岩波文庫)』セルバンテス, 牛島 信明著
「ところが、そうした配慮にもかかわらず、ある日の明け方、邸を出る男の姿がロターリオの目にとまることになった。男に見覚えのなかったロターリオは、とっさに幽霊ではないかと思った。しかし、男がマントの襟を立てて注意深く顔を隠しながら、足早に立ち去るのを見ると、幽霊だなどという他愛ない考えは消えうせ、新たな考えにとらわれたが、それは、もしカミーラが巧みにとりつくろわなかったら一同の破滅を招きかねなかった考えであった。つまりロターリオは、そんなに朝早くアンセルモの家から出ていった男がレオネーラとの 瀬を楽しんできたものとは思いもよらなかったばかりか、この世にレオネーラという女性が存在することすら失念していたので、ただただカミーラが、自分に対して軽々しく身をゆだねたように、誰かほかの男にもそうしたに違いないと思いこんでしまったのである。それも道理であって、世の女の不貞というものは決してそれだけですむものではなく、不貞をはたらいた女は、口説かれ泣きつかれたあげく身をまかせた男にさえ、貞操感のない、ほかの男にならもっと簡単に身をまかせる女という烙印を押され、彼女にまつわるいかなる疑念もたしかなこととして信じこまれてしまうのである。それにしても、この時のロターリオは持前の分別をすっかりなくし、いつもの明晰な論理を欠いていたとしか思われなかった。彼は明晰どころか、まともな論理ひとつめぐらすことなく、またアンセルモが起きるのを待とうという配慮もなく、ただただ嫉妬に目がくらみ、瞋恚の炎に胸を焼かれて、別に彼を侮辱するようなことを何ひとつしたわけではないカミーラに復讐したい一心で、アンセルモのところにとんでいき、こう言ったのである 」
—『ドン・キホーテ 前篇二 (岩波文庫)』セルバンテス, 牛島 信明著
スペイン長編文学の『ドン・キホーテ』本当面白い。第33章の「軽率な好奇心の男」に出てくるカミーラが好き。完全に善良で受け身な女性より、欲望やずるさを持つ女性に魅力を感じる。愛と裏切り、被害者性と加害者性が同居する人物像が面白いと思う。
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ネタバレ『世界のどこかで生きていると思うだけで心の支えになる存在』そんな友人が私にもいるので、結珠と果遠の感情が少し身近に感じた。
小学生~高校生は果遠の一途すぎるまでの結珠への感情と行動力が目立ったけど、大人になるにつれて結珠の果遠への感情が前面に出てきた印象。
きっとふたりはふたりで一緒にいられる時間がなによりも幸せだけど、色々な事情がそうさせてくれない。子供時代はもちろん大人になっても。学生時代はもどかしいし苦しいし、だけどどうしようもなかった。けど大人になったあとは親の管理下を外れ車という物理的な手段を使って今度こそはどこまででも追いかけていく。その姿に拍手しそうになった。
果遠の性格がさっぱりしてて特に好きでした。
映像化するのかなぁとか考えたけど、口に出さない内に秘めた感情がありすぎて難しそう。
一穂ミチさんの作品を初めて読んだけど、読みやすかった!けど結珠と果遠の感情の描写が美しくて大切すぎてめちゃくちゃ丁寧にゆっくり読んだので丸2日くらいかかって読破。
2つの鼻血の場面がとくに印象的かも。 -
Posted by ブクログ
『やっと二人っきりになれたと思ったら、あたし一人きりなんだもの。』
泣いた。
解説を読むまで、本作品は全くのフィクションだと思っておりました。阿部定事件も、評伝小説という言葉も知らず、知識がないため、すべて創り物だと思いながら読んでいました。実際の事件を小説としているのですね、、たまげた。すごい作品に出会ってしまった。
上巻に続き、わからない読めない言葉がたくさんありました。勉強になります。
純愛です。ほんとに。
この猟奇殺人の事件について、予備知識もなにもない私には、まっすぐな恋愛小説のように感じました。
彼女が望んだのはずっと二人キリでいられること。
叶えられない現実に、より彼の沼に溺れ狂わされてしまう。
ただ、二人キリ、それを願って、
気づけば、彼のいない、二度と彼に会うことのできないたった一人キリの人生に。
2026.9.5-2026.9.8
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