【感想・ネタバレ】一九八四年[新訳版]のレビュー

あらすじ

〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは、真理省記録局で歴史の改竄に従事していた。彼は奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、伝説的な裏切り者による反政府地下活動に惹かれるようになる。

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「戦争は平和なり 自由は隷従なり 無知は力なり」
〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する近未来では、ありとあらゆることに統制が加えられる超全体主義的な社会が成立していた。真理省記録局で歴史の改竄に従事していた主人公・ウィンストン・スミスは、奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、反政府地下運動に惹かれるようになっていく…。

先の見えない不安な時代に売れると言われる本作品。トランプ大統領が就任した際、アメリカ国内での売上ランキングで1位となり話題になりました。また、ノルウェー・ブック・クラブの「世界最高の文学100冊」にも選ばれ、世界中で高い評価を得ています。こんな社会はありえないだろう…とページをめくっていくうちに、『一九八四年』的未来はSFにとどまらないのかもしれない…と考えはじめてしまうでしょう。現代を生きる我々に警鐘を鳴らす一冊です。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいねぇ、こんな恐ろしい、未来に実際にまぁまぁある意味そっちにどの先進国も落ち着いてる感じだよねって思えるようなものを、あんな昔に書いたんだからね。そりゃ衝撃的な作品だし、有名だし、話題になるし、今思い返してもう一度読むべき本にあげられて然るべきだよね。

ショックが強いよね。
最初の一部やや冗長的に見えるところも、あとをしっかり動かすための土台作りだし、この時代の欧米の作品ってその嫌いがすごくどの作品もある気がするし。
2人が一緒になってからの華やかな時間も、デストピアからの脱却、夢のある時間、の様でいて、乾いた心をしてくれるかと思いきやもっと恐ろしいデストピアのために重ねられた、2段目に過ぎないとも感じられる、今思えば。
最後はもう一気に読むしかないんだけれども、結局怖くないんだけど、怖いんじゃないか、怖いんじゃないかって思わされるし、中々そんな深いところまで揺さぶられない位深いところが、鷲掴みにされて、ぐらぐらグラグラずっと揺らされてる感じで、終わらない震度6の地震みたいな、読み終わってどっと疲れて暫くうぅ…ってなる感じかな。
この作品がまさしく今に通じるのは間違いなくて、民主主義と言いつつ、社会主義であるようにも感じられると言う点もそうだし、政府が言う事は全て2重の意味があり(本当の事は誰にも伝えられず、大衆用に用意されたわかりやすいストーリーで、自分を含む大衆がもはや納得して進むことに慣れているとか)、もちろん写実的にその通りになっているわけでは無いんだけれども、比喩的にはそうなっている点が多すぎて、監視社会もそうだし、どこで誰に見られているか、自分の行動言動全てに気をつけて生きると言うことが、人間に及ぼす酷い害は、もはや公害の様でもある。
人間がその中でも美しく生きていくと言う話ではないし、そんな話では無いからこそ長く読まれているのだと思うし、深い深い深い。逃げられないし、逃げられなかったられなかったし、逃げることができなそうであること。ただ少しの希望を最下層に託していること。
あと、やっぱり監視されてるって嫌だよねっていうこと。全部筒抜けって楽しくないし、誰にも聞かれない、誰にも知られないで、人とコミュニケーションを取る事は、失われた過去の当たり前ではあるんだけれども、それは本当に本当に尊いものなんじゃないかともう一度考えさせられる。自分たちが今置かれている状況を正しく把握している人は非常に少ないと思うけれども、苦痛だよね、不快だよね、息苦しいよね、怖いよね、誰も信じられないよね、ほらやっぱり誰も信じちゃダメだったよね、と言うような。怖い怖い怖い話。
色んなことを考えさせられる話と言えば陳腐だけれども、こうやって脳みそが必死に考えることも減ったなぁと思ったりしつつ、こう言うわからない問いについて、問いかける本がしっかり残っていると言う事は1つの希望でもあると思った。

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2026年04月07日

Posted by ブクログ

一九八四年の、というより大作家のすごいところだが、それは人間が生きて書けているという事だ。
潰瘍の描写がその際たるものだが、人間が生きているという事に付属するものというか、生きた人間を書こうと思えば、こんなふうに本題といっても差し支えのない社会とその社会への目線というのから離れた個人的な事情である身体である痛みや匂いを書くというのがどれほど効果的なのか、それがよく伝わる。
さて、本作が描く世界がこうも現実的に恐ろしいと感じるのは、何故だろうか?僕が考えるにそれは、我々でも想像ができる範囲での身体、そして内心を強く縛られる社会を書いているからだろう。
長谷敏司のプロトコル・オブ・ヒューマニティにある描写で、居酒屋でのアルバイト中、常に監視カメラに見つめられて、気を抜いている時間を働いていないと判定し、その時間分の給与をカットするというような描写がある。
僕も、社会人のみなさんも、働いている時間と、気を抜いている時間。上役の目があるためにアリバイ的に手を動かす時間、こういった時間を経験した事があるだろう。そして、それがかなり悪辣な形で進めばそうなり得るだろうという想像ができてしまうのだ。
そして資本家は基本的に無自覚的に悪辣だ。革命後の社会が資本主義の社会と同じ道を辿りえるのをオーウェルはこうも徹底的に皮肉的に書く。(つまり、革命後社会の欺瞞というか、落とし穴。)動物農場にも見られる同一のテーマといっても問題はないだろう。
僕たちは、資本主義の敷かれたこの世界で、プロパガンダ的に刷り込まれイメージされる社会主義の社会と同じ目に遭いかねないことを感じ取り恐怖しているのではないだろうか?

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2026年04月03日

Posted by ブクログ

ありとあらゆることに通ずることだが、違和感や矛盾点に気がつけることが一概に良いとも言えないのかもしれない。「2+2=5」と疑念なく答えられるくらい狂ってしまえる方が世の中は幸せである。

何よりも、今から70年以上前にこの世界観を創出していることに驚きを隠せない。いや、当時の世界情勢だからこそ書けたとも言えるのか。

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

ジョージ・オーウェルの代表作のひとつにして、世界的に有名な小説。
1949年発表。
日本では村上春樹『1Q84』のオマージュ元としても知られる。

舞台は1984年のロンドン。イングランドはアメリカ、オーストラリア、アフリカ南部から成る超大国「オセアニア」に併合されている。
オセアニアは、同じく超大国のユーラシア、イースタシアと戦争状態にあり、ビッグ・ブラザーが率いる「党」が絶対的な権力を握る。

「党」は、党員をテレスクリーンによって常時監視し、家族を引き離し、あらゆる手段をもって思考を把握し、少しでも反抗意志を持つ人間を容赦なく粛正する。

主人公のウィンストン・スミスは、「真理省」の下級官吏として、過去を改竄する業務に従事する。

ウィンストンは、以前から「党」に不信感を持っており、過去が改竄されていることに気付いていた。
しかし、行動・思考が1日24時間監視される中においては、それを隠して生きるしかなかった。

ある日、ウィンストンは同じく下級官吏の若い女性ジュリアと出会う。やがて二人は恋に落ち、秘密の逢瀬を重ねるようになる。
しかし、男女の性愛すらタブーとされる世界において、それは破滅の道だった。

さらに、ウィンストンは「党」体制の転覆を目指して活動する「ブラザー同盟」と接触し、反抗の意志を更に強くしていくが、、、

上記があらすじ。

名作と語り繋がれるだけのことはあり、非常に濃厚な小説だった。
世界には、まだこんな素晴らしい作品があったのかと感動すら覚える。


作者のジョージ・オーウェルは、1903年に英領インドのベンガル地方(現バングラデシュ)生まれ。
名門イートン校で教育を受けた後、植民地警察としてビルマに赴任したが、帝国主義に幻滅し1927年に辞職。最底辺生活を体験するためパリやロンドンで放浪し、その後、作家に転身した。

彼の思想を体現するように、本作では全体主義国家への批判が終始描かれる。

独裁的寡頭政体が社会のすべてを握り、国民を監視し、恒常的戦争状態を創り出し、科学と技術の進歩を止め、貧困と不衛生に喘ぐ社会。まさにディストピアだ。

オーウェルは、この描写を通じて、いかに全体主義が悲劇をもたらすかを伝えようとする。
その狙い通り、小説でありながら、後世の政治学・監視社会論に多大な影響を与えている。

作中に登場し、「ブラザー同盟」が発行する「the book」は、人類史における階級闘争と過去の寡頭政体(ナチスドイツやスターリン体制など)を踏まえた上で、「党」を分析しており、示唆に満ちている。

「われわれはただ権力のみに関心がある。富や贅沢や長寿などは歯牙にも掛けない。われわれが過去のすべての寡頭政体と異なるのは、自分たちの行っていることに自覚的だという点だ。」といった具合に、政治、支配、自由、平等、思考、そして戦争を分析し、現状を描く。

このように、社会学的に興味深いだけではなく、エンタメとしての完成度も高い。

マッキンダー的世界観が現実となった社会が簡潔に描写され、抑鬱とそこからの解放、急落と絶望が読み応えのあるストーリーになっている。

拷問のシーンは凄惨だが、心理描写が上手いので、ある種の必然性を感じるようになっている。

また、主要キャラクターの設定も良い。

主人公のウィンストンは、平凡な人間だ。
飛び抜けて頭が良いわけでもなければ、体力があるわけでもない。意志の強さ、行動力も人並みだ。
そんな彼が、「党」への少しの反抗心によって悲惨な運命を辿ることになる。

この彼の凡庸さが普遍性、転じてこの世界の救いの無さを表現しているように感じた。

もう一人の主人公であるジュリアの方が、ウィンストンよりも頭が良くて、立ち回りが上手く、行動力も胆力もある。

しかし、彼女の「反抗」とは、自由奔放に生きることであり、それ以上でも以下でもない。体制を転覆させることなど夢にも考えないし、興味もない。

この女性特有のリアリズムというか、愚鈍さを上手く表現していると、個人的に感じた。

長くなったが、この小説がこれからも時代を超えて読み継がれる名著であることは疑いようがない。
一読の価値はある。

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2026年03月11日

Posted by ブクログ

昔は男が若い娘の肉体を見て魅力的だと感じると、それで話は終わった。ところが今は純粋な愛情や純粋な欲望を持つことができない。どんな感情も、すべてが恐怖と憎悪と混じり合っているために、純粋ではないのだ。二人の抱擁は戦いであり、絶頂は勝利だった。それは党に対して加えられた一撃、それは一つの政治的行為なのだ

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

ビッグ・ブラザー率いる一党独裁による監視社会。
映像作品はプロパガンダ、写真は修正され、書物は捏造、記録は廃棄され、日付も数字も党の都合の良いように改竄されるディストピアな世界が舞台。
国民は皆「2 + 2 = 5」と言われれば、疑問に思わず受け入れる思考が当然であるのです。
だから、"支配されている"という感覚すら無いのかもしれない。

テレスクリーンと呼ばれるテレビは監視カメラ同様の機能が付き、私生活は一言一句監視され、神経性の顔面チェックや顔に不適切な表情を浮かべるだけで「表情犯罪」として罰せられる。
縛られた環境下で過ごす国民は、党への疑念の余地さえ与えらない。
ビッグ・ブラザーを愛さない者は容赦なく捕らえられ、処刑または蒸発によって「非存在」、最初からこの世に存在していなかった人間として処理される。
監視をするのは党だけではない、そこらじゅうに密告者が埋めきあっているのです。

党外局員のウィンストンは、主に記録の改竄が仕事だったが仕事に勤しむのとは裏腹に、次第に"真実"を追うようになっていく。そんな折、同局員ジュリアと出会い物語は展開し始めるのです。
党に反感を持っていながら、政治に関心が薄い彼女の放った「次の世代なんか興味はない、興味があるのは今の私たち」は、案外多くの人が心根で思っているのではないだろうか。
真実を探り記憶を辿るウィンストンと一緒に高揚し、ページをめくる手に力が入る。
この本ならではの、二重思考、イングソック、ニュースピークの言葉と概念を整理しながら読み進めるのが良いでしょう。

1949年発行ながら、時代の流れに沿って、度々話題となるこの小説。
いつでも1984年はやってくるのだと思わせられる。

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2026年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2026.1.28
最初から最後までおもしろい
過去の扱い方がよかった
テレスクリーンの声が追随するところは天才だと思った

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2026年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

圧倒的読み応え。まさに小説に求めているもの。この小説の政治性を完全には理解できていないかもしれないが、この全体主義を批判するディストピア的世界観は想像力をこの上なく刺激してくれる。何度か挫折しかけたけど、主人公が拷問の末ビッグブラザーを敬愛するようになるまで、あの伝説的ラストまで読むことができて本当に良かった。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFの古典として昔から知っていたが、なにやら暗そうだし避けていた。2026年の今日読んで本当に面白く恐ろしかった。しかし昔に読んでも面白いとは感じなかったかもしれない。現実の1984年はすでに冷戦は米国勝利が確定的となり、1985年から冷戦の終結に向かっていた。本書を共産勢力の全体主義の批判書とみれば「昔は怖かったね」で終わってしまうだろう。しかしジョージ・オーウェルが怖れていたのはそれだけではないし、2026年の英国を見ればまさに本書に書かれているような世界に足を踏み入れている。一部の特権階級が権力と財産を独占し移民に職を奪われ生活圏が脅かされている。怖い。
現実の1984年の英国は第71代英国首相マーガレット・サッチャーだった。保守党であり労働党の標基盤である組合を力を弱め、多くの工場が潰れた。産業革命の発生地である英国の製造業は既に英国病で力を弱めていたが、このころから壊滅していった。地方経済が没落しコミュニティも英国文化も崩壊しつつある。北海油田も枯れ、シティの金融業のみなんとか生き残っている。上層部たる英国議会が国民のネット発信を監視し、民意に反して大量の移民を入れ自国民の職を奪っているのは、不思議でも何でもない。英国上層部の行動原理は、「権力を手に入れ行使すること」であると考えると腑に落ちる。なぜなら、本書で言うように、「権力」とは「相手を苦しめることによってはじめて行使される」のだから。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

創作された概念が豊富で初めは読みづらいが、創造の世界が論理的かつ一貫性をもって描かれているため徐々に世界観に入り込める。ここまで緻密に構成された設定は珍しいと思う。
社会風刺的側面も非常に興味深い。スターリン政権を模しているとされる極端な監視社会は堕落のひとことであり、底知れない絶望を感じる。当時のアメリカ人なら反社会主義にとんでもなく感化されていたと思う。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この小説はSFに分類される。一九八四年が未来だった頃に書かれた。世界は三つに分かれ、絶えず戦争をしている。読んでいくと主人公は末端ではあるが、権力側の人間であることがわかる。しかし疑問を持ってしまった。これは許されない。2+2は5あるいは3であるのだ。
オブライエン先生の狂信的な思考が披露され、主人公とともに読者の私も叩きのめされて、何も疑問など抱かずに生きるのが幸せなのかなと思ってしまった。

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2025年12月10日

Posted by ブクログ

2+2=5

全体主義と監視社会で構築されたこのディストピアは作者の慧眼か、いつの世も人は変わらぬと言うことか。

二重思考、ニュースピークの設定も妙で、唸りながらの読書体験。

後半は酒を片手に読んでいたので、主人公と共に思考は回転、まるで自分もその場で話を聞いているような感覚に。

希望を手放すことで得られる自由、そんな逆説が冷たく胸に残る。

最後の附録はその先の光か。

さすがの名作。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

やっっと読み終わった。マジ何ヶ月かけたんだこれ読むのに。もーーほんっっとになんか色々忙しくてタイミングなかったんだよ。
まぁ、読み始めたのは9月ですね。旅行の飛行機で読もうくらいの感覚で買いました。あとまぁ、友達が村上春樹好きで、1Q84おすすめしてくれたからさ。
この感想書く前に、現状の私を説明していいですか。ありがとう。
まぁわけあってNPO属してみたわけですよ。理由はいっぱいある。
なんかワンチャン休めに海外滞在できそうってのと、他者とうまく協力する経験をもう一つやるかってのと、多分自分が嫌いなタイプだから一回属してみてから判断するかってのと。こんな感じで。
でそのNPO、まぁ、ボランティアとか率先してやるような奴らですからいい子たちなのよね。いい子だから、自分がいいと思ったことを人にもおすすめしちゃうんだよね、きっと。
それはいいとして、こいつらの何がきついかって、「自分がいいと思った考え方を人にもしてもらいたい」って思ってしまうみたいだ。まぁ、人間そんなもんだと思うけど、私の中でこういう、自分の都合の良いように人の考え方を矯正するってことは最も許せないことなんですよね。
おまけにもっときついのは、なんか大層なスライドとか作って、情に訴えるような強い言葉を無責任に使って、無理やり従わせようとしてるんだよね。
もう何が言いたいかわかった?
そう、タイムリー!!
この世界観!とても!今の私だーーー!!!
組織に属して違和感を持ちながら、違和感を持つことで抵抗する(流石にそこまで考えてないけどね)。今まさにここ!
このまま組織残ったら、拷問とかではないにせよ、情に訴えられる形で考え方矯正されるのかな?ちょっと面白いけどね。
ちょっとこのNPOの話は感覚によるところが大きいから話さないとして、なんか、こうあるべき!みたいな組織風土がきつかったんすよ!
なんか後半の怒涛の洗脳パートはすごかった。
ここは解説見てもっかい書きに戻ってくるよ感想(なお現在11/29)

お待たせ、待ってないよね。(12/2)
さぁ、二重思考的表現で再会しました。
お察しの通り解説を読んだわけだが、まぁとても面白い。読んでいる時は「二重思考なんてそんなバカな笑笑(いや、流石に笑ってはないか)」とたかを括っていたのだが、思い返してみると、あれもこれも、自分が意図して発するユーモアも二重思考で溢れているではないか。
今現在私が入っているNPO、入った理由は、「考え方の違う奴らと責任あるものを一緒にやるという経験を重ねるため」。つまりは、もともと嫌いな奴らの中で、いかにも「私は君たちが好きだ」という態度を出して行動するために入ったのである。
入ってからは、メンバーの奴らを「なんでこんなことを言ってしまうんだろう」と腹では小馬鹿にしておきながらも、こんなことを言うってことは(バカにしながら)こいつらはすごいやつなんだろう、私が先立って動く必要はない、などとまさしく二重思考に陥っていた。
しかし、私はこれを愛したい。大いに開き直っているが、構うものか。
矛盾こそ人間で、人間とはそういうものであり、そう受け入れることが豊かさだと私は信じている。この人間らしさに、おかしさを感じるのだ。
折に触れて言うが、私は面白いものが大好きで、面白いと思うことはなんだってできる。
だからこそ私は私を面白いと思っており、誰しも平等に人を扱うのである。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

ディストピア作品の傑作 ありえたかもしれない監視社会。
近年、アメリカのトランプ大統領による政治を踏まえ再注目されている本作。しかし書かれたのは50年以上前の1949年である。本作の魅力と人の停滞を痛感する。

我々の基準で言えば有り得ない世界であるが、歴史上はこのイデオロギーに近い人達もいたわけで。どこかで間違えたらあったかも、そしてあるかもしれない。世の中の在り方について考え直すための傑作。
歴史上、このような社会の創設は失敗しているが、現在の進歩した科学技術を用いれば、より容易に成立してしまうのではないかと恐ろしくなる。そうならないためにも、皆が政治社会の在り方を他人任せにせず、関心を持つべきであろう。

本作は巨大な統治者「ビックブラザー」が存在するが、村上春樹の「1Q84」では対照的に、人々の意識の集合体として「リトルピープル」が存在する。どちらも巨大な力を持ち、人々を屈服させる点で共通している。現実問題として顕著なのは後者だと思うが、改めて読み比べてみたい。

wiki曰く、候補とされていた題名に「ヨーロッパ最後の男」があるらしい…なるほど。

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

もしもこんな世界があったらと考えられても、設定を細部まで落とし込めるジョージ・オーウェルが恐ろしい。

言語を削ぐことで思考を狭めて、党の支配力を維持するのは面白かったが怖くもあった。
言語化は思考力だと実感。

トマス・ピンチョンの解説も希望があり最高だった。

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なーんてこった状態。

1章は世界感、主人公にフォーカスした話
自分たちの生きている世界の曖昧さを痛感する。なにも疑問なく受け入れていることは果たして真実なのか。権力者によって自由と思わされているかもしれない。支配とはまさに。
2章でつかの間の幸せとスリル。ここからの加速が楽しい。
3章で絶望。
を言っても否定されて、もう諦めて楽になろ…てなる。
話が通じない、わかり合えない、正しいだけでは勝てず、しかもそれを正しくないとされて頭おかしくなりそう。
感情としては悲しいより悔しいが強いかも。
そして本当に恐怖するものを前にすると、愛する人も差し出せてしまう。それが精神の最後の砦で、自分というものを見失わないためのものだったのに。
罪悪感と自分への失望。完全敗北。

こんな未来に希望持たれへん終わり方ってあるんや。しかも相手が圧倒的にすぎて、こらもう無理や…と納得してまうという。

そしてこれがフィクションと言い切れない恐怖。
ほんで最後のニュースピークの説明よ。

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2026年03月23日

Posted by ブクログ

世紀末文学の白眉、「1984」を読んだ。
ウィンストンという真理省党員の目を通しての、ビックブラザーに支配されるオセアニアの姿を描く。
解説ピンチョンいわく、元トロツキスト、バーナムがとく日本のイースタシア、ロシアのユーラシア、そして英米連合のオセアニアが舞台。ビックブラザーと抵抗勢力のゴールドスタインはスターリンとトロツキーを思い出されると。時代背景でいけば、当時はそんな対比が考えられたのも頷けるが、現代では中国の体制が近いように感じる。しかし、さらに直近で思い当たるのが、SNS。姿が見えないビックブラザーは巨大SNSを自分の意のままに動かす人物にあたり、人の記憶を塗り替えでしまうのは、まさにこの本が言う二重思考にあたるのでは?
ただ、付録にある「ニュースピークの諸原理」が、過去形で表されているのが、1984年より更にさきの未来はまともになっているのではという、救いが見えた。

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2026年03月21日

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緻密な世界観と詳細な表現のおかげで、本にどっぷり浸かることができた。

嘘を嘘だと理解しながらも本当だと信じる、それが狂っていることだと私が認識するのは、私が生きている世界の価値観に基づいたまで。他の大多数と同じように狂ってしまった方が幸せなのかもしれない。

物語を読むことで、ウィリアムの感情の遷移を追体験できるのが良かった。
拷問の最後に"本当の意味で"ジュリアを裏切った瞬間は、心底絶望した。その後の最後の章では、2人が再会した時にもう同じように愛せないのは明白だったし、その他ウィリアムがカフェで過ごす様子、最期の時などを読んでも心が動かないというか、驚かなかった。ウィリアムと同じように私もビッグブラザーに屈したというか、諦めたというか、大多数の一部になってしまったんだろう。

こんなディストピア世界ができるわけないなんて楽観視してしまいがちだけど、いつでもそんな世界になる危うさがこの現実世界にはあるという危機感をみんなが持たないといけないと思う。

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2026年03月19日

Posted by ブクログ

2章までは空き時間に少しずつ。3章からは一気に読み終えてしまった。キャラクターや世界観は魅力的だったし、いい読書経験だったけど、読み終えた後あとはちょっと気楽なエッセイとかで口直ししたくなる。

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2026年03月07日

Posted by ブクログ

終わり方が好みだった。世界観が面白くてなかなか没入出来て楽しかった。出てくるキャラクターも結構好き。洗濯物を干しながら歌を歌うおばさんの描写と死刑囚と主人公の目が合う場面が好き

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1年前に購入して50ページほど読んで積読状態になっていたが、
読書熱が高まって再開、2、3日で読み終えた。

監視社会、過去改竄、全体主義と救いのない世界。その中でもニュースピークという言語の置き換えが恐ろしく感じた。

民族と言語は不可分。それを破壊されるということは民族としてのアイデンティティを失うこと。為政者が支配をより強固にするために、過去の改竄とともにニュースピークの推進によってどんどん言葉が減らされる。減らされるだけでなく一つの言葉に多様な意味を付与される。言葉を減らし、思考を制限し支配を永続的なものにしていく。

独裁国家の支配下でなぜ国民が安易に国家に反逆できないのか、社会を変革できないのかこの日本に暮らしているとなかなか理解の及ばない部分があったが、この作品を通してその理由が分かったような気がした。

小説本編は最後まで救いがないが、附録・解説・訳者あとがきまで読み、そこに救いが見出せるのか感心した。少し希望が見えた。

ネズミ怖い…、中国は昔からそんなことやってたんだな。

ジュリアエロいですね。あのシチュエーション…。
そこだけウィンストン代わってくれ笑

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2026年02月15日

Posted by ブクログ

もう、怖すぎる、不気味すぎる。
しかも今の世界情勢を予言してるし。
(でも、これは読む時代に関わらず、10年前、20年前でも、今を予言してる!となるらしいが)
今回の選挙で壊滅したかに見える左派への一定のアンサーがピンチョンの解説で見えたのも興味深い。(ピンチョンの解説が秀逸でした。)
第一部から不穏すぎて、気持ち悪かったが、第三部では(激しい拷問描写は気持ち悪かったが、)ウィンストンが人間性を取り戻すシーンで一息つけた。
人間らしさがこんなに恋しく思う小説って。なんとも言えない後味の悪さだけど(出口のない悪夢という点でSFというよりホラーやん)、訳もいいのか、すらすら読める。

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2026年02月13日

Posted by ブクログ

めっちゃ面白いやん。
自分の現状も疑ってしまう。
自分は自由なのか、幸せとは何なのか。
フィクションなのかどうかも疑わしくなるほどリアルで、真理があるように思える。
素晴らしいよ。

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2025年12月06日

購入済み

はじめて読み終わったときはそこまで大好きな作品にはならなかったけど、読めば読むほど夢中になる小説だった。

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2021年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白い!長いけど!
中盤のジュリアとの逢瀬のくだりがとても美しい(ちょっと長いけど)のと、終盤の怖さ、哲学的な深みがとても良かった。
エンタメ性はそこまで感じなかったけど思いの外表現とかがすごく好きだった。
オチは知っちゃってたけど、それでも十分面白かった。
でもちょくちょくよくわかんなかったとこがあったから大人になってからまた読み直したい。

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2026年03月29日

Posted by ブクログ

1949年に書かれたこのディストピア小説から、その後の歴史から現在までにおける政治や社会においてなされているトップの考え方、人民への統制、マインドコントロールについて、大袈裟ではあると感じるものの一つの見方として確かにそうだと感じられる、考えさせられるような本であった。
ただ単に読む面白さと、いとつの社会の中で解釈して読むことでもっと学びになると思った、また改めて読み返してはみたい。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

徹底した管理社会の中で生きていく様と、それに抗う様子を、心理面と肉体面の両方で描写しきっているのがすごい
話の内容自体に救いがないが、最後のニュースピーク解説ページがある事で、管理社会の終焉と新時代が始まっている事が読み取れるので、本編後に救いがあるような書き方
先にここを読んでしまったので、感想が中途半端になってしまったのが残念

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

作者の独特の世界観に脱帽です。しかも1949年の作品だなんて驚きです。オーウェルさんはちょっとした予言者?
面白かったのですが、途中の禁書が長過ぎて読むのが辛かったです(汗)そして、ディストピアは重かった。
語り継がれるべき作品なのは重々承知の上で、自分的評価は★★★
よほど何かない限り再読はしないです

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2026年01月21日

Posted by ブクログ

モラハラ男と喧嘩したときの、絶対に自分が悪いとは認めない自己矛盾に満ちた主張を聞くような不快感が満載のディストピア小説だった。政治とか思想とか、難しく語られても分かんないけど、モラハラ家庭はこれの縮図かなって。そう思ったら、抗いたいよな。

この本自体がわたしの思考を制限しようとしてるのか!?ってくらい読むのが難しかった。3日かかった。英国での「読んだふり本」第一位らしくて笑った。翻訳だから読みにくいのかな?と思ったけど、原文でも挫折されてるのかな?

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2026年01月19日

Posted by ブクログ

難しくてあまり理解が出来ていないと思う。
この当時の社会情勢も含めて
読んでいかないと本質の部分が理解できないのではないかと
読んでいる最中に思った。
昨今、オールドメディアや印象操作という事が話題にあがるが
今の時代に当てはまる部分があると節々で感じた。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ビッグブラザーが統治している国。個より全体を重んじる世界で違和感を持っている男性がある女性と関わり始め、物語は予定調和とも言える終焉を迎える。期待と諦めを持って読み進めるが、どこで展開が変わるのかそれともこのまま終わるのか、最後まで諦めずに読み進めてしまう。

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2026年03月10日

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