小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
金田一耕助ものの有名作は概ね犯罪悲劇の傑作だ。本作はそのなかでも一、二を争う犯罪悲劇だろう。金田一耕助は「旧来の(旧弊的な)価値観」と「新時代の価値観」の両者を映し出す鏡のような存在であり、さらに「新時代の価値観」を作品から読者に媒介する役割を持っている、とわたしは考える。本作がこれほどの犯罪悲劇にもかかわらず、読後感がどこか開けているように感じられるのは、横溝自身が当時における若い世代に抱いていたほの明るい希望と期待からだということは、ほかの作品からも伺えることだ。
横溝の筆について触れると、横溝の書く文章の内容は頭のなかで映像として浮かばせやすく、映像喚起力が高い。花子の遺体のシーンは、それこそ暗く耽美なシーンとして浮かばせやすい。また、金田一がときおり「あっはっは」と笑うのも、作品の一服の清涼剤となっている。普通なら「耕助は笑い」などですませられる描写だが、実際に笑い声を描くことで作品内容の暗さを緩和している。
連城三紀彦はフォークナーの『八月の光』と本作を同等に読むと述べており、作品に書かれていることは「氷山の一角」でありその下部構造の大きさは計り知れない、といった旨のことを述べていたが、まさにその通りだと思う。わたし自身は本作とジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』を同等に読むが、これらの作品の破綻のない緻密な構成は読む者を圧倒する。 -
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金田一耕助ものの有名作は概ね犯罪悲劇の傑作だ。本作はそのなかでも一、二を争う犯罪悲劇だろう。金田一耕助は「旧来の(旧弊的な)価値観」と「新時代の価値観」の両者を映し出す鏡のような存在であり、さらに「新時代の価値観」を作品から読者に媒介する役割を持っている、とわたしは考える。本作がこれほどの犯罪悲劇にもかかわらず、読後感がどこか開けているように感じられるのは、横溝自身が当時における若い世代に抱いていたほの明るい希望と期待からだということは、ほかの作品からも伺えることだ。
横溝の筆について触れると、横溝の書く文章の内容は頭のなかで映像として浮かばせやすく、映像喚起力が高い。花子の遺体のシーンは、それこそ暗く耽美なシーンとして浮かばせやすい。また、金田一がときおり「あっはっは」と笑うのも、作品の一服の清涼剤となっている。普通なら「耕助は笑い」などですませられる描写だが、実際に笑い声を描くことで作品内容の暗さを緩和している。
連城三紀彦はフォークナーの『八月の光』と本作を同等に読むと述べており、作品に書かれていることは「氷山の一角」でありその下部構造の大きさは計り知れない、といった旨のことを述べていたが、まさにその通りだと思う。わたし自身は本作とジェイムズ・エルロイの『ホワイト・ジャズ』を同等に読むが、これらの作品の破綻のない緻密な構成は読む者を圧倒する。 -
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江戸時代末期の話ですが
石見銀山で銀掘として働く男たちや
こどもを産み育てる女たち
女郎屋で生きる女たち
の姿が 動きや匂いをもって
描かれ、時代にタイムスリップして
傍観しているような
気持ちになりました。
ウメが喜兵衛を思う気持ちは
名前はなくても
生涯を通じて 道筋であり光であり
師範であり続けました。
父親のように 伴侶のように
慕う 大きな憧れのような
喜兵衛という存在
ウメを思い守りぬくと誓って
銀掘として生き銀掘として
逝った 隼人
どちらもが、 ウメのため、その先の人生のために
選んだ決意に胸が締め付けられました。
人を愛するってそういうことなんですよね。
ウメは 匂いや暗闇、音に 目、耳、鼻が効き
上橋菜穂子さんの香君のアイシャの様な能力があるなと思いました。
石見銀山にはこんな歴史があり、悲しみが
雪のよう溶けたりぬかるんだり凍ったりまた積み重なったりしてきた人たちの
生きていたた街がある
ということを知れて良かったです。
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Posted by ブクログ
トクリュウ、ナチュラルについてはこの本で初めて知ったもののとても興味深くグイグイ読んでしまった。
犯罪者、スカウト、半グレなどと聞くと粗暴で不良上がりのような、そういったイメージがあったがひっくり返された。(もちろんそういう人達もいるのだが)
頭が良く、一般企業でも重宝されるような、とても能力の高いメンバーが多数所属し、徹底的に管理された強い組織として犯罪行為を行っているという現実が、今の日本社会への不信や報われなさを表しているような気もした。
売春だけでなく様々な社会の負のニーズに上手くフィットして多額の儲けを得続けるこの組織はなかなか取り締まり切ることも難しいのだろうし、今の社会ではこう言った組織が増えてくるのではないかという予感も感じた。
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Posted by ブクログ
解説含め全6編、全て面白くて読む手が止まりませんでした。
「籤」
人生でハズレ籤を引いてきた女性が主人公。自分との共通点が多く、自分に置き換えて読んでいました。優しい人、できる人、女の人が損をする世の中に直面して、読んでて苦しくなりました。
それでも物語最後は、ハズレ籤を引いた人生の中でもがき、工夫し、今の自分を認めてあげる。
亡くなった母の言葉を思い出して、これが自分の人生なのだと受け入れて前に進む姿に救われました。
全体的に出てくる男性がどうしようもない人が多く、「男って…」と思ってしまった…。
男性=弱い、女性=強いというイメージを持ってしまう。
読んでいて、昔バイト先の主婦さんがイライラした雰囲気を纏っている男性店長のことを見て、
「男性って理不尽を受け入れられない人が多い」
と言っていたことを思い出した。
私が女性だからそう思うのかな…。
次読むときは男女の偏見なしで物語を楽しめるようになっていると嬉しい。
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