あらすじ
人工授精で、子供を産むことが常識となった世界。夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、やがて世界から「セックス」も「家族」も消えていく……日本の未来を予言する芥川賞作家の圧倒的衝撃作。
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Posted by ブクログ
人工授精で子どもを作るのが一般的になった世界で、ディストピア小説だと思うんだけど千葉県が出てきたり今現在の自分達が暮らす現実世界と重なるところが、でてきてフィクションだときり分けて考えることを拒否してくる。
こんな世界ありえないでしょ!とは一蹴もできなくてでも自分が見てる世界とは別物すぎる。
後半はエデンシステムで子どもは皆の子として扱われ特定の子に愛情をかけるのでなく、すべての子に「愛情のシャワー」を注ぐのが町民="お母さん"に課されていてその世界に違和感を感じながらもだんだんと順応していく主人公という構図なんだけど、この辺りすごく怖い。
もしかしたら一部(大半の??)の女性が抱えてる男性への不可解さってこういう感覚に似てるのかもとも思った。世界はそのようにできているのだから違和感があろうが従うしかないのだと諭されるような恐怖感
夫婦間で行うセックスは家族間で行うセックスだから近親相姦であり忌み嫌われてるという価値観のなか、ラストシーンの疑似親子で近親相姦は最高にキテる。
「家族であるはずの夫婦間のセックスが忌み嫌われてる世界を腹落ちできないのなら、最後にあなたの世界で忌み嫌われてる親子での近親相姦を見せてあげましょう。これと何が違うんですか?」と問われてる気分。ぐわんぐわん揺すられる。
この辺の価値観は揺さぶられるんだが、明確にその世界線は訪れないだろと思うのがディストピア世界なんよな。千葉県を実験都市として、すべての子どもは全ての大人のこどもであり、社会の構成員は皆"お母さん"と呼ばれヒトを生産するための社会。これは人間のキャパシティの問題で不可能と思う
一定数以上の人間に等しく愛情を注ぐなんてことヒトには不可能と思う。能力の限界を越えてる。だから自分の捉えうる範囲内を仲間として規定し、それ以外を排除する動きを起こすし、戦争だってなくならない。人間の性質的におそらく万人を愛することはできない。
千葉県のなかでは皆一斉に人工授精するんだけど、その日付が12/24なのもいい。「万人を愛せ」ってことよね。万人は愛せません。
Posted by ブクログ
私の気持ちが言語化されてて、ひどく共感した。
登場人物の中には、
恋愛をして子を産む人
結婚も子育てもせず生きる人
家庭を持ち子を育てるが外部で恋をする人
キャラクターに恋をしてる人、がいる。
恋を本能とし、家族がシステム化された社会の
これこそが私が追っていた価値観なのかも。
でもそれが正しいとされる世の中になった瞬間に
ヒトは赤ちゃんを産むだけの道具になる。って
この本を読んで初めて気付かされた。
今日も私を狂わせる
ホントに同世代ですか?
聞きたくなるくらい、ココロをかき乱してくる。解説にもあるが、まさにディストピア。爽快ではないのに、再読したくなる。
Posted by ブクログ
考えつかないような世界の話で、それがあたかも普通のように書かれていた。今のこの世界が間違っているかのような文章力、登場人物の会話に時々ついていけなくなっていた。まだのめり込むには難しかったがまた再読したい。
Posted by ブクログ
人工授精が当たり前になって人間は結婚と恋愛を全く別のフェーズでカテゴライズするようになる世界。
人間は人間に恋する必要もなくて、"ヒト"にも別次元を生きる"キャラ"にも恋をするし、"家族"をつくるために結婚する。
セックスは昔の文化になって、嫌悪感を抱く人や、ただ昔はそういうものもあった程度の認識を持つ人が大半。それでも一定数は恋人とセックスする人もいる。そして、夫婦間でのセックスは『近親相姦』と呼ばれる。
主人公はその時代に珍しく恋愛結婚した両親の性行為で生まれたことから、自分は恋人ができるとセックスしたくなること、その自分の中に秘める"本能"は両親と同じものなのか、自分はこの世界の正常なのか確かめるために生活を送る。
いつか自分の子供を持つために結婚した夫とは一緒に住んでいて、ふたりとも恋人とはセックスするが、ふたりの間には性愛はなくて恋愛相談し合ったり、失恋を慰め合ったり、友人や姉弟に限りなく近い支え合える存在だった。
そんなふたりが生きる時代に新しい試みとして実験都市なるものが誕生する。そこではその"家族"すら選ぶ必要がなくて大人は老若男女に関わらずみんな「子供ちゃん」の「おかあさん」で、子供はみんな「おかあさん」の「子供ちゃん」とする"楽園(エデン)システム"の下で生きる。男性や高齢女性にも人工子宮が与えられ、データベースにて管理された全ての大人から一年に一度選ばれた人間だけが受精し子供を産む。
同時期に失恋したふたりは恋愛から逃げ、実験都市へと駆け落ちし家族という概念のないそこで秘密裏にふたりだけの子供を育てようと計画を立て、子供を妊娠する機会が与えられるが、徐々に実験都市での"正常"に慣れだしたふたりの選ぶ世界は?
Posted by ブクログ
下手なホラーよりホラー。今の価値観からみればこの話の世界は狂っているはずなのに、なぜかそう思う自分が間違っているような気持ちになる。それくらい、説得力のある書き方だった。最後の解説で、男女でこの世界への評価が分かれていると知り、面白いと思った。確かに現代の夫婦や家族の形に縛られないことや、いわゆるアニメキャラクターなどへのガチ恋の受容という点では理想的に思える。でも自分は男性が妊娠、出産するシーンが本当にきつくておぞましかった。怖かった。
Posted by ブクログ
独特の設定で狂気を感じるが、先が気になり読み進めてしまう。こんな世界になったら、人はどう感じてどう動くのか。二次元への恋心は常識的で、結婚相手との性行為は近親相姦。少子化が問題視される昨今を強烈に批判してるようにも感じた。子どもちゃんをみんなが母となりみんなで育てる社会。とても合理的。
Posted by ブクログ
「正常ほど不気味な発狂はない。だって、狂っているのに、こんなにも正しいのだから」
なにこの気持ち悪い世界と思うけど、それも今の常識からみた感想だから、正常の中にいたら何も疑わないんだろうなと思った。
主人公は正常が狂ってると、離れたところからみることができていた。
それなのに、合理的でクリーンな世界で過ごしていると、前はおかしいと思っていた世界と自分の境界がなくなっていった。この変わりように釘付けだった。
Posted by ブクログ
すごい気持ち悪かったけど面白かったです。
セックスがなくなって人工授精で子供を産むことが当たり前の世界というテーマでしたが、恋という概念すら薄くなり、家族というのが利害一致で生活しやすくするためのシステムに過ぎなくなってしまうという流れになっていくのが面白かったです。
家族というシステムが廃止されて街中の全てが母親となり、見た目や喋り方や性格も全て統一された「子供ちゃん」を工場のように生み出していく楽園システムがおぞましかったです。一番恐ろしいのは雨音がそのような世界に違和感を覚えながらも、やはり正常な存在として適応していくところです。
何を伝えようとした小説なのか、そもそも何かを伝えようとしているのかもわからない世界観でしたが、世界が変化した結果の一つの可能性として興味深かったです。変化、適応、正常ということについて考えてしまいました。
Posted by ブクログ
人工授精で出産することが常識となり、夫婦間の性行為は近親相姦と同じような感覚でタブー視され、恋愛は夫婦以外で恋人を作るか、二次元キャラに恋することが正常とされる世界のお話です。
著者の作品は毎回、今とは違う常識の世界を突きつけてきて、考えたこともない世界に投げ込まれ、否応なく考えさせる、というパターンなのだけれど、今回もまさしくそうなりました。
いろんな意味でより清潔な世界、に現代も向かっていると思います。
でも、その延長線上で性愛が不潔になったら、それは人間の根源が崩れていっている感じがして恐ろしくなった。
愛は不滅って思っていたけれど、例えば新興宗教にハマった人なんかは、愛の対象も幸せの感じ方も変わってしまうこともあるみたいだし、そう思うとあり得ない世界ではないかも・・・
などとつらつら想像して寒気を覚えた作品でした。。
Posted by ブクログ
『世界99』の後半と世界観が似ているように思った。
特に「世界」がクリーンになり均一化していくところ。
この作品でも「世界」というものによって「常識」が変わる。
SFのような思考実験的小説だと思う。
普段考えてもいないような「問い」が投げつけられ、私には正直難しかった。
また男女で感想がかなり異なるのではと思った。
とても読みやすいのだが、読み終わって少々疲れた。
Posted by ブクログ
私にとっては衝撃的な作品でした。
家族とは何か、ただの欲望を満たす存在なのか、子供でつながった存在なのか、心を許せる唯一の存在なのか、
人工的に受精することができ、男性も出産できるようになった世界で生きる主人公を通して、私たちが生きる現代の当たり前が今後変わっていくのかなと考えさせられました。
Posted by ブクログ
初めての村田沙耶香作品。読みやすかった。
夫婦での営みを近親相姦とすることで、性と愛が切り離された世界。愛にも穏やかで安心感のある家族愛と燃えるような恋愛があって、その二つも明確に切り離されている。うらやましいなと思った。愛と性欲が一緒に語られることが一般的に多く、それに違和感があったので、いいなと思った。
家族というものの価値観もさまざまになってきてるけど、雨音は家族のつながりを宗教とまで言っている。家族がいるから大丈夫だ。と言い聞かせているみたいにも思えて、不気味にも感じた。
千葉に行ってからの嫌悪感の正体が2周したが、あまりつかめていない。個が消えた全体主義だからか? それとも全員に母性を求められるからか? なんでおかあさんなんだ? 母=子宮、だと考えると本当に工場。
よく考えるとおかあさんにも、子供ちゃんにも名前がない。
p257
私たちは、男も女も均一に、人類のための子宮になったのだ。
Posted by ブクログ
もしかしたらこんな未来もありえるのかもしれないと思った。
恥じらいとされていたセックスが、セックスのない世界だと恥じらいではなくなるというのが印象的だった。
Posted by ブクログ
人工授精で子どもを産むことが当たり前になった世界。やがて世界から「家族」が消えていく。
極端なフィクションなのに、変わっていく家族の形や今の社会を見ていると、その延長線上にこんな世界があるようにも思えて恐ろしい。
強烈なディストピア小説。
Posted by ブクログ
アメリカのSFファンタジー小説翻訳部門で最終選考にノミネートされたとのニュースを見て、読んでみた本。
読む度に、私自身の内なるアタリマエがガタガタ揺さぶられ、恐怖心や羞恥心の根っこにあるものが見え隠れして、恐ろしいやらおかしいやら‥。村田沙耶香の世界観に今回も見事にやられました。
Posted by ブクログ
村田沙耶香さんだなー!!
久々読んだけど、村田沙耶香さんのディストピアほんと止まらんのよね。
うわぁ……って気持ちになるのに、なぜかすらすら読めちゃうんだよね。
そして、毎回の自分の常識がグラグラする。
映画化してるけど、どんな感じなんだろう〜。
Posted by ブクログ
巻末の斎藤環さんの解説がすごく良かった。。
今まで知らずに読んでたけど、村田沙耶香の書く小説は、どうやらフェミニストSFと呼ばれるジャンルが多いらしいことに気づいた(正直ボディホラー多いな〜と思ってはいた)。
結婚に暗に含まれる「性」と「愛」と「生殖」を解体して、夫婦関係という家族観を現実とは全く異なる形で描くアイデアが面白かった。
妻と夫は"家族"だから、そこに性的な関係があることは禁忌で、それぞれが家の外側に性的な関係を築く(恋人を作る)ことで、家の中では清潔で潔癖な愛を構築するっていう倫理観が画期的。
私も親しくなればなるほどあんまりそういう関係を持つことに意味や必要性を感じないタイプだから、そういう"結婚"の形に、ちょっとだけいいなと思ってしまった。性と愛は切り離して考えるタイプだったんだなーって自己分析にもなった。だからこそ、夫婦の愛=性愛=子供を作ること、っていう世の中の思想が、なかなか息苦しいとも思う。
雨音の言う「正常に発狂できたら楽」、つまり世界の常識になんの疑いもなく洗脳されることができたら楽なのに、っていうのはすごくよくわかると思ったし、村田沙耶香の小説において一本貫かれてる葛藤だと思う。
Posted by ブクログ
グロテスクという言葉しか見つからない。
安易に言語化しようとすると大事な部分が取りこぼされそうな気分。セックス、性欲を徹底的に排除し人間農場とでもいうような楽園で、みんながお母さん、子供ちゃんと名付けられたその奇怪な世界でいかにその正しさを受け入れるか。セックスと性欲、性欲と繁殖の関係性に正しく発狂した上でそれでもセックスを希求する人間的な営みが、1段階遅れた成長として描かれて居るのはなんだか世界全てを反転して1から作り直してるみたいな感触を感じて、気持ち悪いながらも価値観が揺さぶららる物語だった。やはりこの人からしか得られない栄養分があるなと思った。
Posted by ブクログ
コンビニ人間の時にも感じたが、村田沙耶香の描く物語はスノーボール的に後半にかけて加速度的に物語が展開していく印象で読み始めから一気に読み終えてしまった。読み手によってユートピアにもディストピアにも感じられるであろうこの作品。
特に終盤に至っては伊藤計劃のハーモニーとどこか近い、過剰に優しく守られた世界に感じた。
近未来SFとして過剰に演出されている部分もあるが、現代の生殖行為の 神聖/不純 に引き裂かれた二面性を鑑みると全くもって妄想であるとは言えないのではないかと感じた。
Posted by ブクログ
異質な世界観に引き込まれてあっという間に読んでしまった。
好き嫌いはかなり分かれる作品のように思った。
最初から、性行為がないのが当たり前の世界の中で、両親が性行為をして(現代と同じ形で)産まれた主人公。自分の中にある本能はなんなのか問いながら、確認作業として、世界からほとんどなくなってしまっている性行為をする。
終盤では実験都市に引越し、夫から先に染まっていき、ずっと違和感を抱いていた主人公も次第にその状況を受け入れ、当たり前になっていく。
最初から最後を通して、主人公がそれに染まっていくのが怖かった。終盤で母が訪れるが、読み手側の気持ちを表してるかのように思った。
ラストシーンで『子どもちゃん』と体を繋げているが、どれだけ異質な世界に染まっても、母が植えつけた呪いという名の本能には抗えないという表れでもあるのだと感じた。
冒頭で人類で最後まで性行為をしてるのは主人公だけ、主人公が生きてる限りはその行為は無くならないという部分があった為、このまま洗脳されて終わるの?!って思っている中でのラストシーンだったので面白いなと思った。
実験都市では順調に子供を育て、子供を増やす。実験都市以外でも、ほとんどが人工授精になり、効率重視で子どもを育てる。質のいい子供をたくさん作るという意味では、繁栄しているが、小説のタイトルは消滅都市なのが良いと思った。
この異質な世界を見て、怖いと思う気持ちが私に備わってるということが、本能そのものなのかもしれない。
Posted by ブクログ
実験都市の千葉は気持ち悪いしこれが理想郷とは全く思わないけれど、読み進めるにつれて主人公の雨音と一緒に「正常」の価値観が少しずつ変化していくような感じがした。「正常ほど不気味な発狂はない」って言葉が印象に残った。
高校の友達の樹里の台詞が好きだった。あと巻末の精神科医視点の解説が面白かった。
男女の性行為が、古く時代遅れで意味のないものになってしまった世界。いつか人類の価値観が大幅に変わって本当にこんな風になってしまうんじゃないかとすら感じた。実験都市となった千葉で同じような子供が生まれ同じように育って、機械みたいだと思った。少し気味が悪かったけど話としては楽しめた。
Posted by ブクログ
全体的に無機質な雰囲気が漂っている中での生々しすぎる性描写に面食らう場面も多々あったし、独特すぎるお話だった。
人間を洗脳するのって意外とシンプルなのかも、と思った。洗脳というか、どのレールに乗せて、どういう走り方で、どこまで向かわせるのか、人間の持つ同調圧力だったりを利用すればスルスルとみんな向かって適応していくものなんだ…!
「子供ちゃん」と「おかあさん」の概念が面白かった。
Posted by ブクログ
最近よく考えるテーマと重なって興味深く読んだ。
実験都市含め制度や設定にリアリティを感じる部分もあり、あり得るかもしれないと思って読み始めたら、すいすい進んだ
Posted by ブクログ
とにかく気持ち悪かった。
非効率で本能があるからこそ人間なのではと思ったが、結局私たちはそうゆう世界の形の中で生きているからそれが正常だと思っているだけで、
もし生まれた瞬間から「こちらの世界」だったのなら何も疑問に思うことなく効率的に生きていたのかもしれない。
結局何を伝えたいのかはよく分からなかった。
けど、なんとなくずっと気持ち悪かった。
Posted by ブクログ
村田沙耶香が描くディストピアは、自由さと息苦しさが同居した妙なリアリティがクセになる。
加速した多様性、暴徒化した多様性、喪失される個性。
全員が同じ方向を向くことなんてできないのに、なるべく多くの人の便益を図ろうとするとそういった合理性だけでものごとがするすると進んでしまう。
それでいいんだっけ、と立ち止まらせてくれる本。
Posted by ブクログ
他者とどうしても比較して、胸の奥が痛くなったり、いろんな感情を受け入れていかなくちゃいけないけれど、この本みたいに、全てのしがらみをなくしたいと私は思わない。
Posted by ブクログ
当たり前正常っていうのも考えさせられた。今でこそ、性行為はプライベートのことであるが、この世界では性行為自体がなくなって、そのことが起因して、恋愛家族と言うものはなくなっていってる。今我々は発展途上、成長中、変化中であるが、当たり前などは変わっていく。順応するかしないか、個人の判断ではあるが、私は俯瞰した見方をしたい。そういう意味でこの本は俯瞰の視点を見つけることができたと思う。