あらすじ
人工授精で、子供を産むことが常識となった世界。夫婦間の性行為は「近親相姦」とタブー視され、やがて世界から「セックス」も「家族」も消えていく……日本の未来を予言する芥川賞作家の圧倒的衝撃作。
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Posted by ブクログ
私の気持ちが言語化されてて、ひどく共感した。
登場人物の中には、
恋愛をして子を産む人
結婚も子育てもせず生きる人
家庭を持ち子を育てるが外部で恋をする人
キャラクターに恋をしてる人、がいる。
それぞれ宗教的に考えを持っていて
善悪と清潔感の基準が分かれてる。
恋を本能とし、家族がシステム化された社会の
これこそが私が追っていた価値観なのかも。
でもそれが正しいとされる世の中になった瞬間に
ヒトは赤ちゃんを産むだけの道具になる。って
この本を読んで初めて気付かされた。
Posted by ブクログ
初めての村田沙耶香作品。読みやすかった。
夫婦での営みを近親相姦とすることで、性と愛が切り離された世界。愛にも穏やかで安心感のある家族愛と燃えるような恋愛があって、その二つも明確に切り離されている。うらやましいなと思った。愛と性欲が一緒に語られることが一般的に多く、それに違和感があったので、いいなと思った。
家族というものの価値観もさまざまになってきてるけど、雨音は家族のつながりを宗教とまで言っている。家族がいるから大丈夫だ。と言い聞かせているみたいにも思えて、不気味にも感じた。
千葉に行ってからの嫌悪感の正体が2周したが、あまりつかめていない。個が消えた全体主義だからか? それとも全員に母性を求められるからか? なんでおかあさんなんだ? 母=子宮、だと考えると本当に工場。
よく考えるとおかあさんにも、子供ちゃんにも名前がない。
p257
私たちは、男も女も均一に、人類のための子宮になったのだ。
Posted by ブクログ
巻末の斎藤環さんの解説がすごく良かった。。
今まで知らずに読んでたけど、村田沙耶香の書く小説は、どうやらフェミニストSFと呼ばれるジャンルが多いらしいことに気づいた(正直ボディホラー多いな〜とは思ってはいた)。
結婚に暗に含まれる「性」と「愛」と「生殖」を解体して、夫婦関係という家族観を現実とは全く異なる形で描くアイデアが面白かった。
妻と夫は"家族"だから、そこに性的な関係があることは禁忌で、それぞれが家の外側に性的な関係を築く(恋人を作る)ことで、家の中では清潔で潔癖な愛を構築するっていう倫理観が画期的。
私も親しくなればなるほどあんまりそういう関係を持つことに意味や必要性を感じないタイプだから、そういう"結婚"の形に、ちょっとだけいいなと思ってしまった。性と愛は切り離して考えるタイプだったんだなーって自己分析にもなった。だからこそ、夫婦の愛=性愛=子供を作ること、っていう世の中の思想が、なかなか息苦しいとも思う。
雨音の言う「正常に発狂できたら楽」、つまり世界の常識になんの疑いもなく洗脳されることができたら楽なのに、っていうのはすごくよくわかると思ったし、村田沙耶香の小説において一本貫かれてる葛藤だと思う。
Posted by ブクログ
異質な世界観に引き込まれてあっという間に読んでしまった。
好き嫌いはかなり分かれる作品のように思った。
最初から、性行為がないのが当たり前の世界の中で、両親が性行為をして(現代と同じ形で)産まれた主人公。自分の中にある本能はなんなのか問いながら、確認作業として、世界からほとんどなくなってしまっている性行為をする。
終盤では実験都市に引越し、夫から先に染まっていき、ずっと違和感を抱いていた主人公も次第にその状況を受け入れ、当たり前になっていく。
最初から最後を通して、主人公がそれに染まっていくのが怖かった。終盤で母が訪れるが、読み手側の気持ちを表してるかのように思った。
ラストシーンで『子どもちゃん』と体を繋げているが、どれだけ異質な世界に染まっても、母が植えつけた呪いという名の本能には抗えないという表れでもあるのだと感じた。
冒頭で人類で最後まで性行為をしてるのは主人公だけ、主人公が生きてる限りはその行為は無くならないという部分があった為、このまま洗脳されて終わるの?!って思っている中でのラストシーンだったので面白いなと思った。
実験都市では順調に子供を育て、子供を増やす。実験都市以外でも、ほとんどが人工授精になり、効率重視で子どもを育てる。質のいい子供をたくさん作るという意味では、繁栄しているが、小説のタイトルは消滅都市なのが良いと思った。
この異質な世界を見て、怖いと思う気持ちが私に備わってるということが、本能そのものなのかもしれない。