あらすじ
廃止予定の宇宙停留所には家族の星へ帰るため長年出航を待つ老婆がいた……少数者に寄り添う心温まる未来を描く短篇集、文庫化!
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Posted by ブクログ
すごく心地良い小説でした。
こんなに静かで温かくて穏やかで、純文学チックなSFがあるんだなあ。
今まであまりSF作品に惹かれてこなかったけど、このテイストならこれからも積極的に読みたくなりそう。
「確かにそれって不思議だよな…」という、現実からそう遠くない事象を起点にSFの世界が膨らんでいったり、宇宙規模だろうと変わらないかけがえのないものが描かれていたりのおかげで、すっとはいってきた。
フェミニズムとかマイノリティに関わる要素を含んではいるけど、作品の世界観を超えて作者の声で主張するような、ノイズ的メッセージがなくて上品なのも好み。
あくまで自然に、作品の世界を楽しめた。
現実世界を通すような直接的なアプローチではなく現実的世界を通して、穏やかな気持ちのまま大切なものを確かめたい時にまた読みたい。
Posted by ブクログ
7篇のSF短編集
韓国の作家さんを初めて読んだ
スペクトラムが1番好きだった
じわじわと心があったかくなるし寂しくなる
言語もなにも理解できないところから、少しずつ相手のことを知ろうとする
ルイが死ぬと次のルイがまた世話をしてくれる
記憶を受け継いでいく中で、守り続けようという意思が、途切れることなく続いていくのが素敵だった
相手のみている世界を、同じようにみることはできないけど、おもい続けていれば、わずかながらに想像できる日がくる
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めちゃくちゃ面白かった。
SF短編集なのですが、個人的には「館内紛失」が一番すき。
母娘関係を題材するとどうしても暗くて重たくなるんですよね。なぜなら、してもらえなかったことに言及せざるを得ないから。
それをここまでやさしく汲み上げたのはすごいなと思った。
どの作品もあたたかな読後感が素敵。
Posted by ブクログ
とっても面白かった!
キムチョヨプさんの小説は前から気になっていて、やっと読むタイミングをつくれました。
どれもこれからの未来、実現できたらわくわくするだろうと感じる科学の進化な反面、現代におけるそれぞれの問題提起の主題を孕んでいて考えさせられる展開。どんどん引き込まれた、、!
共生仮説と館内紛失がすき。
心の機微に寄り添える感性があるからここまでの描写ができるのだなと思うし、キムチョヨプさんの他の書籍も絶対に読むぞと心に決めました。
Posted by ブクログ
久々にいい本に出会った。
SFの題材になるような派手な出来事の中にも日常はあるんだな、としみじみ。
そして生きて出逢って愛して死んで、、そんな人間の時間とじっくり向き合う不思議な物語たち。
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SFでありながら、読み終えた後に胸に残ったのは不思議な「ノスタルジー」だった。
技術が光の速さで発展しても、誰かを思う人間心理や、ままならない人間関係そのものは変わらない。著者のその丁寧な眼差しが、未来の物語に温かさを与えているのだと感じた。
特に印象に残ったのは、表題作『わたしたちが光の速さで進めないなら』。
新しい技術の発見によって、家族との関係が引き裂かれてしまう理不尽さ。それが宇宙レベルにまで広がる「怖さ」と、それでもそこで待ち続ける「静けさ」に胸を打たれた。
また『スペクトラム』では、色彩言語や個体の入れ替わりといった、自分の想像の範疇にはない異星人の生態に最初は不気味さすら感じた。しかし、主人公が最後まで彼らの居場所を明かさなかった結末に、相手の世界を壊したくないという深い「愛」を感じた。
『館内紛失』や『共生仮説』など、私たちが常識だと思っている母性や記憶のあり方を問い直す視点も面白く、静かに熱く心に残る一冊だった。
Posted by ブクログ
SF 短編集。しっかりと SF らしく、技術的な革新があるもの、描かれるのは現代にも存在する社会問題をテーマにした心のうちの話であり、技術が進んだ世界でも根本の問題は変わらず、とても考えさせらる内容だった。
同時にとても静かできれいな世界観を感じられるような作品たちで、読後感がとても気持ちの良いものであった
Posted by ブクログ
期待以上に心揺さぶられた。
SFでも共感しやすいような話が多かった。
巡礼者たちはなぜ帰らない、共生仮説、わたしたちが光の速さで進めないなら が好みだったが、どんな視点でそんなお話が思いつくんだろう…と思ったら著者コメントですぐ答え合わせができてスッキリ。
そんなエピソードからそんなお話が書けるのね…と参考になった。
手っ取り早く近くにある別世界を覗いたような気持ちになれた。
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SFの短編集で設定もライトで読みやすかった。
何よりSFでありながらも、誰かを待つ、誰かの過去を知ろうとする主人公達の探究心がとても面白かった。特にスペクトラムと館内紛失の話が優しくて私は好きだった。
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『この世界からは出ていくけれど』に次いで著者を読んだのは2冊目かな。
この本がデビュー作なので、順番としては逆転してしまったけど、テーマを考えると『この世界からは出ていくけれど』から読むのもそんなに間違ってなかったのかな、とか思ったり。
『この世界からは出ていくけれど』は、他者との間にあるどうしようもない断絶を(どちらかと言えば)悲劇的に書かれていることが多かった印象。
対して『わたしたちが光の速さで進めないなら』は、この理解できない他者がそれでも「愛すべき誰か」であった、という部分に善性が感じられて非常に良い。
時が変わっても場所が変わっても、何かを愛する人間性というものは共通しているはず……というささやかな信念が感じられてほっこりしました。
たまにはこんな光のSFもいいですね。カシワイ氏のカバーデザインも相まって良質な一冊でした。
Posted by ブクログ
しっかりと練られたSF世界が舞台でいながら、そこに暮らす人々への眼差しは公平で優しい
作者の作品は2冊目だけれど、人間の弱さを静かに愛おしむ姿勢がとても好き
どちらも短編集だったので、今度は長編も読んでみたい
Posted by ブクログ
設定からはSFのエッセンスを十分に感じるのに、謳い文句にある通り、包容力のある優しさを感じる作品だった。ハヤカワ文庫SFではなくNVに分類されているのも頷ける。
「スペクトラム」で描かれた異星人との心の繋がりと、「共生仮説」のSF的でありながらもハートフルでありどこか寂しさも感じる文章が特に印象に残った。
Posted by ブクログ
評価の高いSF小説という事で手に取りました。7編の短編が収録されてます。
SFではあるんだけど、ガチのSFというより、SFを背景にした、日常の一コマを切り取ったような、そういう感じ(言語化放棄・・!)の作風です。一気に読み進められました。
各話、余韻を残して終わる結末が多く、感傷的とでもいうのか、私の語彙では表しにくい、ちょっと変わった雰囲気のお話たちでした。
Posted by ブクログ
とりまく世界がどんなに変わっても、ひとは。
ひとは、愛するし、淋しさの理由をさがすし、ことばの奥をまさぐるし、細い細い道に息を詰めて進んだりする。
星空を見上げたり、複雑な電子回路を想像したり、まっくらやみの海の底を思うとき、そこへ行き、それを操り、そこで生きることができるようになったひとたちの、孤独や祈りや、そのやわらかなままのこころを想像する。
慕わしい、はるかな痛みがここにある。
Posted by ブクログ
遠い未来や宇宙を舞台にしながら、描かれるのは派手な出来事ではなく、誰かを待つ時間や、届かない距離の中で生きる人々の姿。
SFという枠組みを通して、人の感情や選択を静かに見つめる短編集。
SFは考えずに楽しむもの、という印象が強かったが、ここまで静かで余白の多い作品は初めてで新鮮だった。
SFというフィルターを挟んでいるはずなのに、かえって感情が生々しく立ち上がってくるのが不思議だった。
時間と距離の隔たりが身体感覚として伝わり、説明されない部分に想像が自然と入り込む。
いまだかつて見たことのない世界に思いをはせる、その時間そのものにロマンを感じる一冊。
Posted by ブクログ
少し切なくあたたかい。SFで近未来的な内容が多いなかで原始的な人とのつながりにフォーカスしているこのバランスが好き。私たちが見る社会や他者を別の角度から捉え、向き合うヒントを与えてくれる作品。
一番は「スペクトラム」あとは「共生仮説」「館内紛失」あたりが特に好き。
Posted by ブクログ
今までSF作品はあまり読む機会がなかったけれど、人類の優しさとか愛とか孤独、それからSFとを楽しめる作品だった。どんな技術が進んでも今と同じように人間は苦しんだり悩んだり、孤独を感じたりしながら生きていくのだろうなと思いをめぐらせた。
Posted by ブクログ
youtubeチャンネル出版区でおすすめされていたので購入。
特に好きだったのは共生仮説と館内紛失。
共生仮説について:
大半の人間が生育過程で得る倫理性・利他性、幼少期頃の記憶を忘れてしまう理由、知らない景色にデジャヴを感じ感動や郷愁を抱く瞬間など、自分だけでは説明できない身の回りのことに絡めた内容で、しかも辻褄が合うように話がつくられている部分に、研究者たちと同じように気味悪く思い大発見したかのように興奮した。秘密裏に行われていた交流のあたたかさ、別れの寂しさが心に染み入り、最後にリュドミラの裏の連作についての伏線もしっかり回収され大変美しい話だった。
館内紛失について:
「それでも母は紛失しただろうか」、というあり得ない文法表現は何回読んでも慣れず変な気持ちになる。それはそれとして、最後の一言を読んで私も泣いた。その一言は生前のキム・ウナが欲しかった言葉かはわからないが、第三者である読者の私からはジミンが母に歩み寄るための大きな一歩に見える。私自身、母に向かって酷い言葉を使ってしまった経験があり、すでに謝罪済みなものの未だに悔いているのもあって、それを思い浮かべたし自分の母に会いたくなった。母キム・ウナがもう死者であることは悲劇に思えるが、生きていたら歩み寄りの機会はない、あるいはもっと先だったに違いない。
キム・ウナが苦しんでいた鬱病というものは脳の病気で、あらゆる物事への認識や考え方が歪み、言動もおかしくなってしまう。彼女の言動は病気で歪んでしまった可能性が高く、狂ってしまった人生に同情する。彼女が静かに安らかに眠れるように、彼女のマインドが穏やかに過ごせるように祈る。
Posted by ブクログ
初SF作品です。小難しさもなく気軽に楽しめる作品です。中盤の作品群はセンスオブワンダーに満ちていて、想像しながら読みすすめることができました。
宇宙は好きなのでもっとSFでもいいかなって!
あとがきもなるほどーと思えて面白かったです。
Posted by ブクログ
SF短編集。
重厚な内容というわけで無く、どの短編も人に寄り添うような人情味のある物語でした。
SFらしさを期待すると肩透かしを食らいますが、これはこれで好き。
韓国語からの翻訳ですが、文章にクセがなく待ち時間などでサラサラ読めます。
Posted by ブクログ
私は宇宙が怖い。もし放り出されたらどうしていいか分からない(当たり前)。上も下もない無重力空間で地球を見失ってしまったら、もう二度と戻れない。ただただ広い空間にひとり…怖すぎる。
地球外生命体がいる星に放り出されるのはもっと怖い。知識も経験も通用しない場所で赤ちゃんからやり直すようなものだ。その星の「当たり前」に順応できなければ即死……怖すぎる。
けれど得体のしれない怖さを感じる宇宙に、本作では温かさやノスタルジー、言葉にできない美しさを感じた。どれだけ願っても触れられないほど遠い場所に大切な人がいる。だからこそ生まれる物語があるんだなぁ。
なかでも私が好きなのは「スペクトラム」。
ヒジンが出会った景色や地球外生命体たちは、読んでいる私の頭のなかで静かに、けれど確かに存在していた。文字で読むからこそ広がっていく想像の世界はとても魅力的だった。映像化したら感じ方が変わりそうでそれはそれで楽しみでもある。
SF作品も海外文学もほとんど読んだことがなかったけれど、本作が良かったから他の作品も少し親しみを持って手に取れそう。
Posted by ブクログ
SFの中では読みやすく、フェミニズムな要素もあり、韓国文学って感じだった。けどやっぱりSFは得意じゃないなぁ。完全なる好みの問題。
巡礼者たちはなぜ帰らない
成年の儀式にまつわる謎について。
話は分かったけど、別にわざわざ周りに迷惑かけて一人で先に旅立つ必要なくない…?みんなと一緒に行ったらダメなの…?と思ってしまった。情緒のなさ。
スペクトラム
言葉の通じない見えている世界も違う地球外知的生命体との交流の話。生命体に情が芽生えていく過程がすてきだった。
共生仮説
ニューロンパターンの解析により被験者が考えていることを解析する研究が進んでいる世界。大人やペットなどでは解析の精度が上がってきたが、赤ちゃんを対象とした解析では思うような結果が出ない。なぜなのか。
この短編、かなり好きでした。SF的な世界観だけでなく、謎を解き明かしていく展開も面白かった。郷愁、のようなものを一緒に感じた。
わたしたちが光の速さで進めないから
会話劇。こちらも会話のなかでどんどん情報が開示されていく展開が面白かった。老人の想い、作中の現代人との感覚の乖離、物悲しい。
感情の物性
感情そのものを造形化した製品『感情の物性』にまつわる話。なぜマイナスな感情の製品も売れるのか?人々はこの製品で現実逃避しているってことなのか?分かったような分からないような……
館内紛失
こじれた母娘の関係。大人になって妊娠して母の軌跡を追うことで初めて母の立場や気持ちを想像できるようになった娘。
娘は妊娠してマインドが変わったが父と弟は引き続き母を理解しようとせず、結局自分が似た立場にならないと歩み寄りは起きないんだな…とやるせない気持ちになった。
わたしのスペースヒーローについて
マイノリティの女性の生き様とそれに屈しない強さ、が描かれたSFだった。