あらすじ
「手のひらを太陽に」の作詞者でもある戦中派の作者が,自身の風変わりなホップ・ステップ人生を語る.銀座モダンボーイの修業時代,焼け跡からの出発,長かった無名時代,そしてついに登場するアンパンマン――.手塚治虫,永六輔,いずみたく,宮城まり子ら多彩な人びととの交流を横糸に,味わい深い人生模様が織り上げられていく.図版多数収録.
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Posted by ブクログ
最愛の奥様であった暢さんが亡くなって、死を身近に感じたやなせさんが書いた自伝「アンパンマンの遺書」。1995年に刊行されたものが、2013年2月(アンパンマンTVアニメと映画の25周年)に復刻。あとがきは当時94歳のやなせさんが書いたもので、同じ年の10月に亡くなられたことを知った。暢さんを失くしてから20年も走り続けてきたんだ!
アンパンマンに込めたやなせさんのメッセージ「正義とは何か。傷つくことなしに正義は行えない」
そして、自身のテーマ「何のために生まれて、何をして生きるのか」
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"家族を亡くし、戦争で飢え、漫画家の仕事が思うようにいかなかったりと、
人生に何度も向き合い 深すぎる人生を歩んできたやなせさんだからこそ、
大切な問いをもたせてくれる「アンパンマン」を生み出すことが出来たのだろう。"
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先日終わったばかりの
『あんぱん』の原作とも言える
「アンパンマンの遺書」
やなせたかしさんにとっては
アンパンマンが
自分でそして子供で
あったようです
激動の時代を生きて
なんのために生まれて
何をして生きるのか
生涯の問い
答えを探しながら
長い人生
生き抜いた
ひとりの人間が
何かを教えてくれているようです
朝ドラ『あんぱん』は
ほんとにおもしろかった
主人公が愛おしかった
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『あんぱん』がよかったので読みはじめたが、フランクな言葉でユーモアがあって読みやすくても戦前生まれの人の話は深みがある。50歳過ぎてアンパンマンが生み出され、70歳手前でアニメ放送開始とは遅咲きに思えるが、それまでもマルチな才能は発揮されていたようだし、なにより人に恵まれているのはやなせたかしの人間性の良さなのだろう。終盤はタイトルのとおり遺書のようで、とくに文庫のあとがき的な章は亡くなった年に書かれたものというのも感慨深い。
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朝ドラの影響もあって読み始めた。
漫画家を志して独立したやなせさんが、あらゆる仕事をして、一つに絞れないことを悩みながらもアンパンマンに辿り着く姿に元気付けられた。
自分自身が同じような状況にあるから。
手当たり次第とまでいかないが、垣根をつくらずやっていこう。
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やなせさんのちょっと自虐的で、素直な文章に心打たれました。
人生の付録が本誌より豪華なこともある。
本当の正義というものはかっこいいものではないし、そのために自分も深く傷つく。
…など、印象に残る部分がたくさんありました。
やなせさんは自分の容姿のことを気にされていたこともあったようですが、容姿も心も含めて、やなせさんという一人の人間、存在が、とても素敵だなぁと思いました。
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一気に読み終わりました。アンパンマンのことは自分の子ども時代から知っていたけれど、ハマる程ではなかった。子どもがアンパンマンにハマって、キャラクターの名前を覚えて発語するようになったので、私も興味を持つようになった。ちょうど同時期に朝ドラ「あんぱん」が放送開始になり、ドラマも欠かさず観ている。ドラマ放送開始に合わせて、MOEや芸術新潮でやなせたかしさんの特集が組まれていたのでそれもチェックし、やなせさんの人生年表を知り、幼年期から晩年期まで、密度の濃い人生を送られてきたことを知った。雑誌の特集でも、やなせさんの人生はまとめられているのだけど、ご本人の言葉で書かれた本も読んでみようと思った。
この本のあちらこちらに散りばめられている嘘のない言葉、ユーモアが心地よい。例えば、やなせさんはサンリオとの縁がとても深いけれど、文中では、前身の山梨シルクセンターについて何度も「変な名前の」と枕詞をつけている。
晩年期になってようやく、ご自身の納得のいくキャリアに到達され、それまでの苦悩もリアルな言葉で描かれている。幼年期の経験や青年期・壮年期の多彩な仕事ぶりが、結果的に全て結実した見事な生涯だったんだなと感じた。人生は、マイナスに思える出来事も何がどう結実するか分からないので、やはり一つ一つ真摯に向き合っていくことが肝要だと思わされました。
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いやー、思ったより、よかったです。
なんていうか、波乱万丈な方なんですね。
しかもまさかの、超遅咲き!
もちろん、なんだかんだ、ずっと才能はある意味では認められていたんでしょうが、なんというか、最初っからバリバリやってた人ではない。
そして、戦争を経験されている方だけに、やはり人生がなかなかに、もう、読むだけで重みがあるというか。何でもない1人生が、今の私らから見ると、なんか根底から違うというか。
そして、ずーっと、アンパンマンの歌が、重いなコラ、と思ってたけど(笑)、なんとなくその理由も分かったよ。ずっと、大人向けを描き続けてきた人で、その中でたまたまアンパンマンが生まれ、たまたま周りによって「子ども用」と認定されたんだね。
最後、死期を覚る感じも、なんだかとても興味深かったです。ホントのおじいさんおばあさんの感覚を活字で読むことって、実はあまりない気がします。
そして最後の衝撃は、高知のミュージアムが、公立だったことだ!
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アンパンマン作者の自伝。生まれ~学生~戦争~社会人~約70歳でアンパンマンがヒットするまでと、復刻時に追加された94歳時の近況が語られる。
戦争後に色々なものがリセットされ、その後勢いよく成長するエンタメ分野の潮流に乗って仕事をされていたこともあり、歴史書めいた内容に感じた。オーディブルで聴いたが、ナレーターがばいきんまん役の中尾隆聖氏で、これははまり役だなと思った。
現代ではほぼ専業化している看板、雑誌、漫画、ラジオ、テレビ、アニメなどの仕事がもっと近い位置にあり、伝手でそれらを横断して経験を積まれたのであろう辺りが個人的には面白かった。何回もなぜこの仕事が回ってきたか分からないと書かれていたが、実際信用がある仕事をされていたからその仕事が回って来たのだろう。
遅咲きとは聞いていたが、この遺書を書かれた70歳ぐらいの時期からさらに20年ぐらい活躍するわけだから、起承転結のその先を行かれた人だったのだなァなどと思った。
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やなせさんの「正義」の定義がわかる本。
本物の正義とは、傷つく覚悟をした献身と愛。
捨身、献身の心なくしては正義は行えない。
正義とはかっこいいものではない、
そして必ず自分も傷つく。
そういう思いがあって
アンパンマンは生まれた。
正義は信じ難い。
「日本は負けた」その日から
好戦的な武闘派は影が薄くなり、
文化的な兵隊が脚光を浴びるようになる。
逆転しない正義は献身と愛。
アンパンマンの歌詞
何のために生まれて
何をして生きるのか
こたえられないなんて
そんなのはイヤだ
ものすごく深い歌詞であることに
改めて気づく。
信念とは、経験と考え抜いた先に形成されるものだと
わかった。
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戦争や葛藤や謙遜を抱えながら
時代の移り変わりを彷徨ってきた
人間やなせたかしの人生が、
子どもだましの甘さを嫌う彼らしく
軽妙に綴られている。
名を連ねる往年の著名人との交わりとともに。
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やなせたかしという人物は謙虚さの塊で愛に溢れた方なんだなとこの本を通して感じた。
何かを続ける、貫き通すというのは非常に難しい。
だっていろんなところに逃げ道はあるし、
自分を守るためには必要な手段だとも思うから。
だけど彼は最期まであきらめなかった。
多分、彼は自分軸ではなく他人軸を大事にし、
誰かを喜ばせることに全振りされているのだろうな
だからこそ、亡くなった後も彼の築いた作品の数々は廃ることなく輝き続けている
きっとこれからも。
作品は嘘をつかない、
思いの籠った作品は受け取り手にしっかり伝わる。
朝ドラを通じてやなせたかしという偉大な人物を知ったように、これからもたくさんの素敵な作品に出会えますように
Posted by ブクログ
「アンパンマン」の作者やなせたかし氏が75歳の時にかいた自叙伝。最後の章は亡くなる1年くらい前に「おしまいのあいさつ」として老いと戦い、受け入れながらも彼らしい表現で綴られた言葉で締め括られている。
94歳まで生きたやなせたかし氏の人生は青春時代には戦争に駆り出され、アンパンマンの最盛期時にはすでに70歳近く。お子さんはおらず、家族や沢山の知人を天国に見送った。
彼が作詞したアンパンマンのテーマソング
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
わからないままおわる
そんなのはいやだ!
戦争を経験し、激動な時代を1世紀近く生きたやなせたかし氏が自分に問いかけた言葉。
そう思うととても重みがある言葉に感じられた。
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2020年2月に買ってからずっと積読。朝ドラ「あんぱん」が終わったので読んでみた。朝ドラを見てたのでスッと読めた。生涯が1冊にまとまっていて、あんぱんの追体験をした感じ。
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やなせたかしが自分の人生を振り返る本。
漫画家になりたいのに、なぜか頼まれる仕事は漫画とは違うことばかり。それでも器用にこなして、ヒット作を生み出す。だけど、それで有頂天になるどころか「私はいったい何者なのだ?」と悶々とする日々。
名だたる人たちと一緒に仕事をし、そしてヒットするところを見ると、やなせたかしは紛れもなく「天才」なのだろうと思う。見よう見まねでシナリオ描いたり舞台演出するけど、それがちゃんと様になってるから、本当に頭がよくてセンスのある人だったのが伺える。本人は「なんか見よう見まねでやってみたら、偶然、うまくいってしまった」みたいに書いているが、これはぜひ、彼と仕事した人たちの声も聞いてみたいと思った。
権威を嫌い、好きなものは好きという純真な表現への想いや、彼の人間性に惹かれた。
私にとっての、やなせたかしは「アンパンマンの著者」だけれど、それ以外のことをたくさんやっていたことや、彼自身、絵本作家になるなんて全く考えてなかったということ。
本編の最後は「◯年◯月、やなせたかし死す。全財産はアンパンマンに贈る」で締められていたけど、そのあとで文庫版あとがきがついていて「まだ終わらなくてよかったね」と安堵した。
人生の最後までエンターテイナーだったんだなと感動し、人を喜ばせることが大好きなやなせたかしに感銘を受けた。
この本、著者が生きてるうちに読んでおきたかったと後悔した。
あと、終盤の詩に涙がでた。
「生まれた時はひとりだったし
死ぬ時もひとりだもの
今ひとりだってさびしくない
でも少し さびしい
なぜだろう?」
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朝ドラをきっかけにアンパンマンややなせたかしさんが好きになった。
ドラマは脚色の設定の中であっても、色んなエピソードが散りばめられていて、やなせさんの考えのいい意味での浅さも、ドラマの良さも改めて感じられてよかった。素敵な夫婦だなあ。
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今をときめく やなせたかし氏の自伝
朝ドラ「あんぱん」を観続けてきて、最終週が近づいてきたいま、この本を手に取ることができてよかった。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
アンパンマン マーチの歌詞は、子ども向けの童謡にはあり得ないような言葉が並んでいる。
やなせたかしの代表作は?と問われれば「アンパンマン」と答える人は多いと思う。私もそう思うが。しかし、アンパンマンが始まる前からやなせたかしの名前は知っていた。
やなせ氏は、どんな人生を送り、何をしてきたのか?
自伝の内容は、朝ドラの内容とオーバーラップし、現実のものとしてそこに描かれていた。
代表作のない漫画家?として、なんでもこなしてきたやなせ氏。
私たち普通の人も、自分に代表作なんてありゃしない。
そんなやなせ氏の自伝を今読むことができてよかった。
ああ アンパンマン やさしいきみは
いけ!みんなの ゆめ まもるため
「あんぱん」を観つつ以前から読みたいと思いつつ、手にして読み始めたのと偶然の最終のラストスパートのタイミング。
何でも屋やなせさんの文章はすっきしていて読みやすかったです。
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国民的人気作品アンパンマン 作者の紆余曲折の人生模様に驚き、アンパンマンが高齢者になってからの作品とは知りませんでした。
継続は力を実践した著者、大器晩成のお手本を見ているようでした。
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『若くから成功した方は、調子こいてる』イメージとは正反対の方とお見受けして、私もこの方のように謙虚な遅咲きで気づいたら結構、長生きしてた、みたいな人生憧れますけど、きっとこの本の中では全く感じさせない努力とか悔しい思いとか絶望とか敗北とか色々あっての、この遺書だったんだろうなと朝ドラ見ながら、この本読みながら感じてます。
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朝ドラ視聴者のあなたへ
今読めば、脚本の作り込みが手に取るようにわかります。
後で読めば、あの演出やこの演出の答え合わせができます。
その気になれば年齢なんて関係ない、と勇気をもらえる一冊です。
Posted by ブクログ
やかせたかしさんの物語。
アンパンマンは良く知っているし、子供たちもとても大好きでした。
しかし、やなせさんの事も、アンパンマンが生まれるまでの事も、何も知りませんでした。
幼少期の寂しい記憶、学生時代の経験、戦争の体験、前後の様々な職や人々との関わりがアンパンマンに繋がっていったんだなと感じました。
なんのために生まれて
なにをして生きるのか
アンパンマンのテーマソングでもあり、やなせたかしさんの人生のテーマソング。
Posted by ブクログ
audible90冊目。
やなせたかしさんの戦争体験から、自分を犠牲にして他者を助けるアンパンマンが生まれた…という部分だけは何かで聞いて知っていましたが、アンパンマン誕生に至るまでこんなにも長い年月がかかっていたなんて思っていませんでした。
国民的アニメの生みの親(藤子・F・不二雄さん、手塚治虫さん、そしてやなせたかしさんなどなど)の先生方は天才で、早くからその頭角を示し、人気を博していたのだと勝手に思い込んでました。
やなせたかしさんはいろいろな分野に才能があったんですね。そのために、逆に遅咲きになったようです。
奥さんとの馴れ初めが素敵でした。
遅咲きのやなせさんに寄り添い、支えてくれていた奥さんの存在がいかに大きかったか。
もう少し長く、やなせさんと一緒に、アンパンマンの成長を楽しんでほしかったです。
Posted by ブクログ
目の前のことを一生懸命こなしていくことが得難い経験であり栄養となって、アンパンマンは生まれたんですね。いろんな人々との巡り合わせと、やなせさんが長く元気で仕事を続けてこられたからこそ の奇跡にも感謝。
Posted by ブクログ
愛する妻を亡くしたやなせたかしさんが、死を身近に感じ、「アンパンマン」がどうやって生まれてきたのかが分からなくなると思ったことで書いた遺書。
遺書という名の人生を語ったエッセイのようで、やなせさんのあったかみの感じる文章に、とても穏やかで優しい気持ちになった。し、奥さんへの愛をたっくさん感じて、「のぶちゃん‥!」となった。
あとやっぱりあんぱんを見てたから、実際にドラマになった話が本当にやなせさんが経験したことをやなせさんの言葉で書かれていて、聖地巡礼してる気分だった。
あっ、これほんとに言われたんだ!みたいなのがすごく良かった。あんぱん見たいわぁ。
Posted by ブクログ
きっと朝ドラの参考文献の一つだったと思います。
私もおそらく雑誌の漫画の頃のアンパンマンに、子どもたちはアニメと絵本ですお世話になりました。やさしいライオンは大人になってから。
きっとどこかで、みなさんも見聞きされていると。大器晩成型だったし、いろいろなチャンスをモノにされて、アンパンマンは私たちのもとへ来てくれたんだと思います。語り口調で、映像のやなせさんを思い出しながら読みました。
私は個人的に漫画の画風の素朴なアンパンマンが好きです。
Posted by ブクログ
アンパンマンは気付いたらずっと存在してて、アンパンマンを通らずに育った子はいないぐらいの確立されたキャラクターだから、作者の人生は順風満帆かと思いきや。朝ドラの見方も変わるなぁ。