小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ著者は、犯罪被害者代理人の役割とは単なる法的手続きの代行ではなく、被害者の「心の回復」を支える伴走者であると主張している。
本書は、従来の「被告人の権利」中心の司法制度において、被害者が置き去りにされてきた構造的な問題を指摘している。
著者は、被害者参加制度の活用こそが、司法の「正義」と被害者の「納得」のギャップを埋めるための重要な手段であると結論づける。
本書は、性犯罪被害者や遺族にとって、金銭的賠償の請求は「汚いこと」ではなく、正当な権利回復の手段であると強調している。
著者は、メディア報道が「凶器(二次被害)」にも「武器(世論喚起)」にもなり得るため、代理人による戦略的なコントロ -
Posted by ブクログ
ネタバレマヤ文明、生贄、国の滅亡と重いテーマではあるけれど、登場人物みんな魅力的で、それぞれの関係性や繋がりも深掘りされていてのめり込んでしまいました。
だからこそ旧知の仲だったり、かつては同志だった人たちがそれぞれの考える正義や信じる道を選んだ結果争うことになってしまうのがとてもやるせなかった。
和解してほしい人たち、この人は生き延びてほしいと思った人がどんどん命を落としていく…
生い立ち、立場、選択、何かがどこかで違っていたら全く違う人生を歩んでいたかもしれない。
ファンタジーだからといって死んだと思っていた人が終盤になって実は生きていました!と登場するなんてご都合展開もなく、命を落とした人はそれ -
Posted by ブクログ
下巻も非常に面白かったです。
研究の世界では先取権、誰よりも早く発表することを意識することが多いみたいですが、意外と埋もれてしまうこともしばしば、というのがショックでもあり驚きでもありました。
またガモフのおふざけのせい?で過小評価されてしまったアルファーの無念は心に来ました。
それとハッブルがノーベル賞を取ることができなかった話も、とても印象的です。物理的な解釈を避けるその態度が個人的に好きだったのですが、そういった立場故にノーベル物理学賞から遠のいてしまう、という話は悲しいですね、仕方ないと言えばそうですが。
物理では有名なフェルミとチャンドラセカールが、規約を違反して奥さんのグレ -
Posted by ブクログ
死と生、というより、自分の人生を深く考えさせられる。
もし自分の大切な人のうちの1人が亡くなったら、会いに行くのか。自分にとって「一番」大切な人って誰なのか。自分が死んだ後、会いに来てくれる人がいるような生き方をしているのか。
誰しもが持つであろう後悔や懺悔、不安、感謝。明日何があるか分からないのだから、伝えたいことは伝えて、会いたい人には会って、やりたいことはやっておかないと、と言うが、実際そんなつもりで毎日を過ごせる人は少ないだろう。どうせまだしばらくは生きるだろうし、と大部分では思っている。それでも、後悔のないように生きたいと改めて思わせてくれる。
ファンタジー要素のある物語が苦手で -
Posted by ブクログ
読み終えた瞬間、もう一度最初から読み返したくなる一冊だった!
短編集で、複数の主人公が登場するけれど、全て同じ世界線で繋がっている。
共通点は、タケトリ・オキナという男性が配信するポッドキャスト「ツキない話」を聞いていること。
物語を追ううちに「あの人とこの人は繋がっていたんだ」「あの後こんな風に続いていたんだ」と思いがけないところで話の続きが知れたり、まさかの関係性が知れたり、驚かされる瞬間が何度もあった。
散りばめられた伏線がひとつずつ繋がっていくたびに、心が痺れた。
自分や誰かの何気ない言動が、誰かの心を動かしたり、元気を与えたり、救ったり、自分の知らないところで誰かに影響を与えなが -
Posted by ブクログ
2025/11/22
Phaさんの本は読んでいるととても気が楽になるエッセイで、まさにタイトルにある通りの話が多く収録されています。
この本を読んでいたとき、自分も気張って色々なことをやっていたので、それぞれの文書を読んでとても気持ちが軽くなりました。
いい意味で手を抜いたり、時にはやりたくないって思ったり、いっそのことやらなかったり…という選択もアリなんだなと背中を押してもらえる内容です。
頑張り方を勉強するのも良いとは思いますが、それだけだと疲れてしまうので、こういう「頑張らない方法」が知れる本はとても貴重なんじゃないかと思っています。 -
Posted by ブクログ
今までの社会派のミステリーとは全く違う染井作品だったが、とても良かった。
いろんな夫婦のさまざまなドラマを見た気分で、とても読みやすく簡潔にまとめられている連作短編集である。
「おかしいのはどっち」〜子連れで再婚した夫は次男が生まれてから長男にだけ冷たくなったと感じたのだが…。
「なぜ出ない」〜一回り年下の妻と不妊治療するのだが…なぜ冴えない自分を選んだのか…。
「プライドは富士山」〜妻から離婚を切り出されたが、プライドが邪魔して…。
「夫婦の再開」〜定年退職後、四六時中家にいる夫に鬱憤が溜まり…。
「薄情者」〜幸せな新婚生活のはずが、底抜けに明るい妻を疎ましく感じ…。
「交換日記