小説・文芸の高評価レビュー
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作者がこれまでネットの掲示板などでみかけた「おかしな」ものを収集したもの、という体のモキュメントホラー。『近畿地方のある場所について』も図版などにあまり偏らずテキストで勝負していた方だと思うけど、本作は更に文章一本での勝負になっていて、「何か変」の各エピソードの出来がいいのと、掲示板の文体のパスティーシュが上手で臨場感も半端ない。「何か変」というだけでそれが結局何かわからない、という不可知こそが実は一番怖いんだな、ということがよくわかる。自販機の時刻表について情報交換している板とか、本当に偶然ネットで見つけたりしたらちょっと怖いよ。前半はそんな感じで、昔読んだ「新耳袋」という結論のない怪談集の面白さを味わわせてくれるが、中盤から後半にかけて、本作は複数のネタが表題の「濁唾濔蓏(ダクダデイラ)」の謎にややまとまっていくので、散文が散文のまま終わる「新耳袋」のような怪異「集」とは異なり、それは残念といえば残念なのだが、その「濁唾濔蓏」の終章にあたるエピソードが強烈に面白いので文句が言えない。通常の小説でも、連載と書き下ろしでは、全体の構成が変わるように、カクヨムのようなプラットフォームではPVが重視されるので、単発の散文よりは「次に興味がつながる」こういう収斂の仕方になっていくのだろう。
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やっぱ柄杓一本きりじゃ、伊勢まで行けないよねぇ…3人娘の伊勢道中はやかましくて楽しかった。
お以乃は一膳飯屋こいこいの娘。弟の貫太はおてるちゃんを女房に迎えるという。友達のお蝶がまた色恋沙汰でもめてやってくる。そこへお志花もやってきた。3人でお伊勢参りに行くことにする。
とりあえず川崎宿を目指すが、なにしろ出立が遅かった。お蝶は指の股に靴擦れができてじくじくする。川崎のお宿はいっぱいで、しけた宿屋に泊まらざるを得ない。3人は手形を持っていない。窓から夜桜が綺麗に見えた。
翌日、神奈川宿で買い物しすぎてお蝶は荷物いっぱい。女の子たちがお手伝いしましょうかと訊いてくる。巡礼だという。喜捨を弾んでやった。保土ヶ谷宿を目指す。すでに駕籠を頼む有様である。喜捨を弾んだ女の子たちと一緒になるが、お蝶は影でチョロいと嘲笑われていた。
小田原宿。保土ヶ谷宿で無一文のすってんてんになった3人は川越えの銭が払えない。地元のおばあさんの後をついて川をわたる。団子屋さんでお爺さんが倒れる。転んで骨折していた。お団子屋で3人はしばらくあんま業を営みながら路銀を稼ぐ。お団子屋さんも手伝う。
箱根では温泉に。さて女3人旅。どうやって関所を越えるか。教えてもらって偽造手形を作ってもらう。無事関所を抜ける。お以乃は長五郎と恋に落ちる。小間物屋が朝顔の品評会に行くことになり、その間店を任される。ずいぶん儲けて、高欄つきの台で大井川を渡る。
七里の渡しを越える。保土ヶ谷宿で3人を落としいれた女の子たちに復讐する。宇治につく。 -
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ネタバレ面白すぎる、これぞSF!
ワクワクと冒険、苦難…未知の宇宙…
主人公話し口調がカジュアルだし、ユーモアがあって飽きずにずっと読んでいられる。
最初は宇宙で遭難系の話かな…とか1人で孤独に宇宙の難題に立ち向かう系の苦しい話かなと思っていたので、ロッキーとの出会いでは思わず胸が高鳴った。
え!?そういう話!?地球外生命体と会えるの!?
感激した。
もうワクワクが止まらない。エンドも良かった。
SF王道突っ走ってくれた。最高。
今年のベストはこれに決まり。
それにしてもロッキーが可愛いすぎて…
映画ではどんな風に出てくるんだろう?
映像も見なければ… -
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先日読んだブレイディみかこ氏の本でも再三言及されていた、政治家の説明責任(accountability)が全く果たされていないのに、国民の自己責任(responsibility)は年々重くなる一方の、現代日本を嘆き、危機感を吐露している本。今まさに起こっているのは、耳障りのよい短い断言を信奉し、背後にある深刻な問題(経済政策、安全保障など)に目を向けることのなく、詭弁を真実の言葉として信じ、国民が舐められていることに気づかない(あるいは気にしない)国民の多さだろう。この本でもメディアの無能さがさらけ出されているが、オールドメディアと言われて若い人の信任を失ってしまうのも当然。だからといってネットメディアが信頼できるということには当然ならない。アルゴリズムによって(あるいはそれを利用するテック権力者によって)極めて偏った情報にしか触れていないのだから。戦前の強権的軍国主義に戻りたいと本気で思っているとは思いたくないが、誘導されているのは間違いないだろう。国旗損壊罪にしろ改正皇室典範にしろ、通ってしまうんだから。次は「(旧宮家や皇族批判を取り締まる)不敬罪」か?
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まず、読みながら一番に思ったのが、この物語の構成だった。
とても上手く組み立てられているなぁ、と。
鏑木慶一の脱獄からの逃亡生活の物語である。
たくさんの人と関わり、その中で絆が生まれていく。私も引き込まれてしまった。
どんどん読み進めることができるぐらい、描写に臨場感がある。
読んでいる私まで、鏑木慶一に感情が入ってしまって、心が辛くなる気持ちさえ持った。
雪山で死のうとした渡辺淳二とのシーンでは、本当に切ない気持ちになった。鏑木慶一はどんな気持ちで生きてきたのかが窺える場面、そして彼の優しさと強さ、温かさを一番感じられた。
警察に追われ、切迫した場面は私までドキドキした。
登場人物たちの葛藤も上手く描かれていた。
最後はなんか納得出来ない部分もあるが、著者の「あとがき」を読んで、流石!と思った。結末があれでなければならなかったのか、と。
人の人生、社会の問題、信じる強さ、温かさや優しさ、時には腹立たしさ…色んな気持ちにさせてもらえた一冊だった。
そして、現実問題として「冤罪」こそが罪であり、悪だと感じた。
人の人生まで理不尽に取り上げられる、恐ろしくて憎むべきもの。
つくづくそう感じた。 -
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お話の主要な場面に「猫」が登場するアンソロジー。
内容はミステリーだったり、エッセイだったり。。
どれも秀逸で、面白く読むことができました。
最初の作家さんの、親の影響で猫を飼っていて、仕事の中で余命いくばくの猫に遭遇して・・のお話も良かったし、ミステリー好きとしては、ロックの仲間割れを招いた猫の話、離婚話で持ち上がったある疑惑から、猫が切欠で現実味が帯びる話はゾクッとするものがありました。
その中でも、一番好きなのは、野良ちゃんを見守るご家族のエピソードが詰まった、感動&笑いのお話。とても良かったし、私がポチっとしたこの電子書籍代も、猫ちゃんの治療の還元に役立てば大変うれしいです笑 -
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最終巻では東京中を大混乱に巻き込み、息つく間もない展開に心臓が持ちません!
4巻まで読んでくると、蠱毒〈コドク〉参加者の善人たちに情が移ってしまい、死闘の果てに討ち死にされるたびに心がかき乱されます。
主人公は嵯峨愁二郎ですが、もう一人の主人公と言ってもいいのが、 双葉。彼女の存在が蠱毒の旅に、一条の明かりとなって道を照らし続けます。双葉、彩八(いろは)ら女性陣の活躍も胸を打ちます。
そして郵便屋さんの大活躍も!前島密はじめ、駅逓局員に着目した作者に拍手です。
『イクサガミ』天、地、人、神、とここまでの大長編を、途中で破綻させずに臨場感を持って描写し、一人ひとりの登場人物の背景を描ききり、見せ場をつくる構成力。最後まで読者を引き込んでいく作者の膂力に脱帽です。終わり方も心憎い。
バトルロワイヤル的な小説は苦手だった私ですが4巻夢中で読み切りました。
死闘だけではない、壮大でドラマティックな時代小説です。
明治という時代の変革期に廃刀令が施行され、刀剣のみで闘う武士が終わりを告げる哀感が胸に沁みます‥。
※オーディブルで。 -
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現在の小夜子と過去の葵、二つの時間軸が交互に描かれる作品。「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが うんと大事な気が今になってするんだよね」(P112)という一文が強く印象に残った。読み終えてからこの言葉を振り返ると、葵の過去の経験が色濃く反映されていることに気づき、大きな重みを持って響いてくる。
「ひとりぼっち恐怖症」(P110)という言葉は、時期は違えど、現在の小夜子と過去の葵、双方に通じるものだと感じ、この点には強く共感できた。
葵はナナコに、小夜子は葵に依存し、離れたくないと思っていた。そして、2人とも自分がどうすればいいのか、誰かに「正解」を求めていたのではないかと思う。
葵は学生時代、小夜子は主婦という違いはあるけれど、人と関わって生きていく以上、嫌なことや傷つくことを完全に避けることはできない。それでも、人は誰かと関わりながら生きていく。その中で、怖くても一歩踏み出していくしかないのだと思った。
人との関わり方について深く考えさせられる作品だった。自分自身にも重なる部分があり、共感できるところも多かった。読み終えてからもいろいろと考えさせられる、とても好きな作品だった。 -
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主人公の達家尚成は、共同体の拡大、発展には背を向けた人間である。「手は添えて、だけど力は込めず」をモットーにして、のらりくらりと生きる主人公が、自分と同じ境遇(ゲイ)だが、自分のために共同体の拡大、発展に寄与する会社の人間や 、カテゴリーこそ違うが、性の悩みを持つ人間に出会う日常物語である。本書を読んで、自分のしたいと思う生き方と達家の生き方は相容れないが、その交わらないような立場の考え方を学ぶ事ができて良かった。特にLGBTQに対しては今まで偏見は無かったが、当人たちからすると、自分たちのような「中立だが異性愛者」は敵対すべき社会の歯車の1つなんだなと痛感した。物語の終盤に、達家が、同性愛者でも子供を授かれるような仕組みとして、「体外受精」「人口子宮」などを推していたが、個人の意見としては、生命に対して倫理観より、これらが実現することにより、LGBTQも異性愛者もフラットになり、ひいてはこれらの言葉が自然消滅するような社会のほうが望ましいと感じた。
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『運命の人』というタイトルを目にしたとき、私はどこか甘美でドラマチックな恋愛物語を想像していた。あるいは、主人公を翻弄するファム・ファタルのような存在が現れる展開かもしれない、と。しかし、最後に本を閉じたときに胸に残っていたのは、そうした男女の愛を超えた、爽やかで温かい人生の肯定感だった。
本作は、まさに「運命に導かれた男」の物語である。主人公の歩んできた道を辿ると、育った環境や憧れの映画スター、初恋の相手、そして出会う人々や出来事のすべてが、後から振り返ればひとつの「運命」として鮮やかに繋がっている。
特に印象的だったのは、主人公の愚直なまでの素直さだ。大好きな任侠映画に夢中になり、高倉健の鍛え抜かれた肉体に憧れて体を鍛え上げる。難しく考えるのではなく、「好き」という純粋な衝動に従って行動を重ねていく姿は、どこか愛おしい。良いことも悪いことも誤魔化さずに真摯に受け止め、ただ目の前の「好き」を追いかけていく。その積み重ねが、結果として彼の人生を豊かな方向へと切り拓いていく。
人生の選択や未来について難しく考えすぎてしまう。けれど、この物語は教えてくれる。人生はもっとシンプルでいいのだと。好きなものを真似し、憧れに向かって身体を動かし、訪れる出来事に愚直に向き合っていけば、結果オーライとなる。
読み終えた今、自分のこれまで歩んできた道のりや、日々大切にしている習慣を愛おしく振り返りたくなる。自分の「好き」という感情に素直に生きることこそが、最高の運命を引き寄せるのだと、明日からの元気をそっと与えてくれる極上の自己啓発小説だった。
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