小説・文芸の高評価レビュー
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ネタバレ一家3人を惨殺した容疑で死刑囚となった少年の脱走劇。
本当に彼が犯人なのか。
もう一気読み!
これから読まれる方はぜひ作者のあとがきまで読んでほしい。
冤罪で死刑宣告を受けた人も現実にいることを知ってほしくて、あのようなラストにしたと。
現代ではDNA検査など科学的捜査も進み、昔と違って自白が必ずしも有罪の決め手にはならないとはいうが・・(憲法38条で強制や拷問による自白は証拠とすることができないと定められているのですね)。
少年が逃亡先で出会う人たちとのオムニバス形式の物語一つ一つがとてもよかった。
中でも怪しい新興宗教に誘われてしまう田舎のパート主婦の話が好きだった。パート主婦のそ -
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めっちゃおもしろかった。今まで読んだ町田そのことテイストがかなり違って、ドキドキハラハラする話だった。
宗教はどの国にもあり、ある程度は必要なものかもしれない。人々は、信仰する対象があるだけで安心するし、その信仰心から決心がついて事がいい方向に進むこともあると思う。日本は無宗教の人が多く、その感覚はあまりないかもしれないけど、助けを求めている人は意外とたくさんいるし、助かるためなら周りが見えなくなってもおかしくない。
古の時代から、友情はきっと大切なものだったし、素敵なものだった。その友情を、歪んだ形でも守り抜きたいと思うほどの思いの強さと、それを今の時代までつなげていくホラー感で、最後ま -
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石屋に嫁いで17年。
この本は、読まなきゃ、と思っていた一冊。
そして読後、感想をめちゃくちゃ考え一生懸命書いていたら、いつの間にか寝落ち。
全て消去。
は?
この経験皆さんありますか?
絶望しました。うっかりすると全部消えてしまうのですね…(-_-)
さて、気を取り直して感想を。ちくしょ〜。
この本は、姑の「絶対にお父さんと同じお墓に入りたくない!」「樹木葬にして!」という遺言から墓じまいへと話が進むのだが、まあ色んな問題が寄せ集まってくるのです。
主人公は松尾五月61歳。(この方の夫の母の上記の遺言から騒動が勃発。)五月は娘が二人いるのだが、二人共未婚。片方は結婚後 -
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「ごんぎつね」と「でんでんむしのかなしみ」が有名な新美南吉さんの傑作選
どれもよかった
自然描写が繊細で美しく、一つひとつの葉や風や川の流れに惹き込まれる。
そうしてはじまる、いろいろな物語の、ふとした隙に「お母さん」というものが出てくる。
ちよっと気を抜いて読んでるときにふと、あーここでも出てきたなとなる
胸がキュッとなるような苦しさ、せつなさ
なにがしかの喪失を感じる
新美南吉さんの年表史を読み、4歳でお母さんを亡くされたことを知る
その後もいろんな悲しみを経験し、悲しみを受け入れ、死をも受け入れていく、そういう新美南吉さんだからこそ、こういった童話が生まれたんだろうなと思っ -
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寺地さんの小説が好きだ。でも、エッセイも大好きになった。とても面白い。寺地さんとは同じ年生まれなので忍者ハットリくんやスチュワーデス物語など楽しんできたものが同じでものすごく嬉しい。小説でもここでも、本はたくさん読んでるからえらいとかすごいとかではないと書かれている。同じように映像や音声だとついていけないので(耳だと覚えられない事も多い)自分のペースで楽しめる本が合っていて好きで楽しい。
そして同じように、年を取ることが悪い事だとは全く思わない。当たり前に誰でも年取るからね。
「教官、共感しないでください」「夢の退職願」を読んで、すごくすてきな人だと感じた。
今日、久しぶりに会った孫にこの間選 -
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第二次世界大戦前の1925年にドイツで生まれたドイツ人の“ぼく”とユダヤ人の幼馴染、フリードリヒとの日々を通じて当時のヒトラー政権下のドイツを描く作品。
これはできるだけ多くの人に読んで欲しい
当時のドイツにいるユダヤ人たちの状況がとてもリアルに描かれているのではないだろうか。
とてもつらい。つらいけど、きっとそうだったんだろうな、と思う。
訳者あとがきによると、著者はフリードリヒたちと同じ1925年生まれ。おそらく作品内のほとんどが著者自身が体験したことだろうと書かれている
120ページで主人公の父が、フリードリヒの父親であるシュナイダーさんに「(中略)早く、でておいきなさい!」と言う -
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読もう読もうと思って、なかなか読めなかったのだけど、やっと読めた。
ニ章の話が特に好きだった。
エピローグを書くか書かないか、読者の解釈に委ねるのかどうか、好みが分かれるのかなぁって思ったけど、私はとても清々しい気持ちで読み終えることができたので満足。
まさか、そこにユリさんが・・・が一番の驚き。
好きを仕事にした人たちの苦悩も、歳を重ねながら折り合いをつけて、
最終的に、これだってものになったらいいよねと思う。
絵は、死すことはない。
画家が果てたとしても、見る人がいる限り未来永劫に生き続ける。
芸術の秋だし?美術館にでも行こうかなぁ。 -
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やばい、この本は。圧倒されたし、涙が出た。
主人公の芦沢理帆子は、天才カメラマン芦沢光を父に持つ。父の影響で、『ドラえもん』が大好きな彼女は、藤子・F・不二雄がSFを「少し・不思議」と解釈していたのを真似て、周囲の人々に「SF=スコシ・ナントカ」という個性を当てはめている。
理帆子は高校で不思議なオーラをまとう別所あきらに「写真のモデルになってほしい」と声をかけられ、彼と親しくなっていく。彼を通じて父の友人である松永の私生児、松永郁也と、彼の世話をしている多恵に出会う。
理帆子の元彼の若尾大紀は本当にどうしようもないやつで、言葉が通じない子供。読んでて本当にイライラするけど、辻村さんの人