小説・文芸の高評価レビュー
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「星がひとつほしいとの祈り」と「長良川」は、
どちらも涙なしには読めませんでした。
表題作は、広告代理店で働く女性が、マッサージ師から「ある過去の物語」を聞かされる不思議な構成のお話です。
語られたのは、戦時中の盲目の少女と、彼女にフランス語を教えに来た家庭教師との儚い恋。そして、その彼女を近くでどんなときも献身的に支え続けた女性の物語。
決して幸せな結末ではないけれど、
明日をも知れぬ刹那的な時代だからこそ、
その恋や友情が、かけがえのない尊いものに感じられました。
「長良川」は、深い夫婦愛を描いた物語。
亡き夫との思い出の地を娘夫婦と訪ね、過去の会話を思い返すなかで、自分がどれほど夫に -
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ネタバレ国際貢献のボランティアに打ち込むも、心が傷つき無気力となったみのりに、祖父の生き様が交差し、再び「使命」を見つけて行くお話。みのりの心理描写が丁寧で、とても文量が多いが、丁寧である分、読後の充実感が大きかった。
悩んで立ち止まるみのりと悩みながら突き進む玲、悩まず突き進むムーミンの関係が印象的。みのりと玲に亡くなったムーミンの声が降ってきて背中を押してくれるのは、二人の中にムーミンの純粋な「初心」が生き続けていたからかな。
また、各章に挟まれる清美の戦前戦後を生き抜く壮絶だけど素朴な描写が、陸が描いたものと分かる仕掛けには、陸の「清美の記憶を引き継ぐ」という素直な「タラント」が伝わってきて感動 -
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いい本だったなぁ。しみじみと胸に沁みて読み終わるのが寂しいぐらいに。上手いなぁ木内さん。こんなにも多様な味わいのある言葉を駆使して豊かな物語を編むことができる作家さんなかなかいないんじゃないかな。毎日大した時間も労力もかけられてないようなろくでもない大量の新刊が次々出てすぐに返品されて廃版になるような現代において、これほどまでに誠心誠意、精魂こめて一冊の物語を紡ぎ、版元が確かな目でそれを見極めて社運と財力を賭けて刷って本にしてようやく世の中に出回り、その本を人々が楽しみに待ち、ありがたく手にして、辛いことも少なくないだろう日常の折々に楽しんだ時代に思いを馳せる。江戸時代の識字率や豊かな読書文化
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火付盗賊改方長官、鬼の長谷川平蔵、通称「鬼平」の活躍を書くシリーズ、今回は特別長編で鬼平の過去の因縁にも繋がる。
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火付盗賊改方は、鉄砲洲の笹田屋に押し入ろうとする盗賊一団「池尻の辰五郎」の現場に先回りした。辰五郎は潔く自害して果て、一味は捕縛され全員が死罪となった。
…冒頭が、同心の細川峯太郎のダメダメっぷりでちょっとげんなり(-_-;)。お役目で賭博場を見張っていたらそのまま夢中になってしまい借金を重ねるし、以前の話で鬼平に叱り飛ばされたっていうのに相変わらず昔の逢引相手(峯太郎が同心で既婚と知らなかった)に未練たっぷり、たまたま入った飲み屋「豆甚」で行き合った年増女(といっても -
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ネタバレすごい小説だった。
新川帆立さんの小説は3作目。3分の3で面白い。
元彼の遺言状はちょっとコメディ要素もあったが、ひまわりと本作はとにかく凄い小説だった。
少年に娘を殺された母親が、少年院から出てきた少年を殺すという事件が起きた。殺された少年(かつて少女を殺した少年)を少年A、少年Aの居場所を母親に密告した少年を少年Bとされた。
少年犯罪なので、世間は少年Aですら誰かわからないのである。
裁判を通して少年犯罪の被害者にスポットを当てていく話かと思って読み始めたが、そんな浅いものではなかった。
ライターが取材をしていく方式。
はじめはその時期に少年院に入っていた6人への取材(一人は少年Aなの -
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久し振りに読み応えある作品が読めて、満足度高いゴールデンウィークを過ごせました!
■勝手に予告編
無人島へ向かう船に揺られた男女7人の仲間たち、そのうちの1人は殺意を抱えている。
島に着いた彼らは、次々と何者かの手によって命を落としていく。殺意を抱えた者の手ではなく…。
唯一のヒントは『第一発見者である』繋がり。
その意味を知った時、それは偶然か必然か、あなたの目にはどう映るのか?
小さな切れ端をかき集め、数年にわたる謎に光を差すのは誰なのか?
■読後の感想
面白かったの一言に尽きますが、どう面白かったのかと問われたら、太田愛さんの『犯罪者』、乃南アサさんの『音道貴子シリーズ』、そし -
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再読。色々とそれらしい解説はあるんだろうけど、素人としては、谷崎潤一郎の性癖大公開スタイルはほんと愛せるワ〜って感じ。潔い。
「己は絶対無条件で彼女の前に降伏する」
やっぱり格が違うというか、ホンモノすぎてちょっと笑ってしまう。ほんとうにすべてを捧げて崇拝する感じ。愚かだと鼻で笑ってやりたい気もするけれど、愚かさに抗えない感じがこの作品のすきなところだなあ。歪んだもの同士でも、くっつけたらぴったりはまっていい感じになるかもしれない。この場合は、ぴったりはまるように片方が努力しなきゃいけないんだけど、でもたぶんそれさえも悪くないはず。それにしたって、谷崎潤一郎はほんとうに文章が読みやすくてきれい -
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223P
竹取物語は話も知ってるし、映画でも見たし、古文の授業でもやったけど、改めて読んだら、本当に面白いな。日本最古の物語が花鳥風月の月がテーマのSFっていうのが美しいなと思う。日本人は昔から自然を愛でる民族なんだよね。西洋SFが「未知への征服」だとすると、竹取物語のSF性って「異界への哀しみ」なんだよね。そこがすごく日本的で、美しい。あと改めて読むと、かぐや姫って「男性たちの欲望を全部すり抜ける存在」でもあるから、現代的に読んでもかなり面白い。求婚者たちへの無理難題も、ただの意地悪じゃなくて、「所有されない」というフェミニズム的な意思表明に見えてくる。
日本最古の物語の竹取物語は「何 -
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唐突にオカルト雑学の垂れ流しが始まるので、どう楽しめればよいか最初わからないだろう。
要するに60年代作者がオカルティズムにはまり、ある程度体系・連結させた情報を紹介する本である。
オカルトと聞くと、自分は未確認生命体・UFO・幽霊・スピリチュアル的なものを想像するが、この本の中では宗教や錬金術・悪魔崇拝など特に中世のものに偏っている。
ジル・ド・レェやパラケルススのような実在していた、あるいは可能性の高い人物を中心にその内面を探りながら紹介しているため、リアリズムに富んでおり、昨今エンタメとして昇華されきっているオカルト本とは一線を画す。 -
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『内田)最近はよく「ナラティブ」という言葉が使われますけれど、それを「物語」とか「幻想」とか「フィクション」と言い換えてもいいんですが、要するに、脳内に形成された「現実を解釈するためのお話」です。客観的実在の裏づけがないにもかかわらず、この「物語」が大量の感情エネルギーを動員することがある。そして、その物語に引きずられて、劇的に現実が変わることがある。感情が歴史を変えることがある』―『第一章 情念と政治』
養老孟司と内田樹。この二人の先達の言葉を聞いている時、思考という脳の働きを越えて意味が直接響いて来るような感覚に襲われることがしばしば起こる。展開する論理に共鳴していることはもちろんだけれ -
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ネタバレ【感想】
「俳優(わざおぎ)」の語源となった山彦海彦の神話から始まり、能狂言、歌舞伎、新劇、アングラ、演芸、テレビ…と、昭和までのあらゆる日本芸能の歴史を、昭和43年の紅白歌合戦を取っ掛かりに一気呵成に語り尽くしている。
河原乞食たる芸人、という著者ご本人のアイデンティティに基づく視点、軽妙な語り口、圧倒的な知識量、どれを取っても、この本の著述自体が見事な芸である。
今後も折りに触れ読み返したい。というか、いつかこういう本が書けるようになりたい、と強く思うのであった。
【今後の行動変容】
松井須磨子や小山内薫など、初期新劇・初期アングラの歴史と、演劇と社会主義運動の歴史は深堀りしたい。
また