あらすじ
音のない世界でも、きっとメッセージは届くから──ろう理容師を祖父に持つ若手作家。その半生を描こうとする姿が胸に迫る傑作小説!
日本の聾学校ではじめてできた理髪科を卒業した第一号であり、自分の店を持った最初の人。そんな祖父を持つ五森つばめは、3年前に恋愛小説系の文学賞を受賞してデビューした。だが、その後自分の目標を見失い、2作目が書けないでいた。そんな折、デビューしたところとは違う出版社の編集者から声を掛けられ、祖父の話を書くことを強く勧められる……。ろうの祖父母と、コーダの父と伯母、そしてコーダの娘の自分、さらには聾学校の先生まで。三代にわたる希望をつなぐ取材が始まった。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
四世代にわたる長い時間をえがいている
耳が聞こえない、目が見えない、四肢が不自由など障害があることは学校生活や仕事をするうえで苦労することは様々あるだろう
それに加えて、戦争などの時代背景、法律などの社会的不備、自分と異なるものを排除したいという心の動き、どれも生きづらさを強くさせる
それでもより生きやすくなるよう力を尽くした先人がいて、その日々の積み重ねのうえに現在があり、今すぐ変えられなくてもひとつひとつの歩みが次につながるということが大変印象にのこった
人跡繁ければ山も窪む
Posted by ブクログ
感動した。面白かった、なんて言葉ではとても片づけられないくらい深くて、読んで良かったと思う力作だった。ろう者で理容師だった祖父の人生を照らしながら、ろう者の方が生きる世界との隔たり、偏見や差別の歴史、それぞれの家族の思いを繊細に丁寧に書いていて、すごく良かった。どうせ伝わらないと諦めるのではなく伝え続けること、人の思いがつながっていく尊さを教えられた。
Posted by ブクログ
聴覚障害者が理髪店を営業している話だと思ったが違った。
これは小説だが、障害者への差別が過去にあったことをしっかり伝えている内容だと思った。
障害者への差月は読んでいて気持ちがいいものではない、しかしそれに目を背けてはいけないと思った。
普通校から、支援学校にうつってきた正一と池たちが仲間になるというシーンが感動した。
エピソードの1つ1つが心に残る素晴らしい内容だと思った。
Posted by ブクログ
デビュー後二作目が書けなくなった作家が、スランプから抜け出す為にろう者で理髪店を開いていた祖父を題材に本を書こうとした事から始まる実話をもとにしたお話。
それだけで、どんな話か何となくは想像がつくだろう。
だから、私も、そういう話なんだろうなぁと思いながら読み始めた。
だけど、それだけじゃなかった。
何度も何度も『障がい者』をテーマにすることへの葛藤と闘いながらも、取材をする中で自分と向き合い自分の物語を書くために筆をとることにした作者。
思ってもいないタイミングで涙腺を刺激され、自分を含め、今の社会は障がいのある者達にとって、差別的になりすぎていないだろうかと振り返る。
五体満足というのは当たり前じゃないのに、それが当たり前になって傲慢になってないだろうか。
ただ、1つだけ。
正一の最期。
それだけがあまりにも、あんまりすぎて辛すぎる。
それはフィクションであってほしいと願わずにいられない。
Posted by ブクログ
ろう理容師が主人公で、現在進行形の物語だと思っていたが、予想外の話の作りで驚いた。色んな視点からの物語になっている。今は、障害に対しての問題は今でも色々あるが、今では考えられない酷い人権侵害があったのが、意外とそんなに前の話ではないんだと思った。これから先もっと、障害があっても生きやすい世の中になって欲しい。と、私自身が障害者なので切実に思う。
Posted by ブクログ
今、困っている人がいたら助けよう。障害、それも個性。と当たり前のように生活している現代の私に
この物語は衝撃すぎた。
昔はこんなにも障害者は生きづらいものなのか、、、聾唖者はたた耳が聞こえないだけ。と思っている部分もあったが全然違った。
実話に基づく、この物語。
じっくりもう一度読み返してたくなる内容だった。
Posted by ブクログ
人と繋がることで生まれてくる信念というものが丁寧に描かれている本だなぁと思った。
最初はただビックリした。
『耳が聴こえなければ、文字で伝えればいいだろう』そう思っていた自分の鈍感さや想像力の無さに気づいて。
たしかに聴こえなければ、物事や事象を文字とリンクさせることが困難だろうに、言われなければ気づかなかったんだ。
Posted by ブクログ
足踏みしている自分を鼓舞してくれる、静かに熱くなれる物語でした。
障がい者かどうかは関係ない、普遍的に訴えてくるものがあり、今悩みを抱えるすべての人が読むべき作品だと思います。
Posted by ブクログ
駆け出しの作家五森つばめはデビュー後3年、新刊が書けないでいるところに、新しい編集者さんからいっしょに書きませんか?と声をかけられた。以前から自分の中で関心のあった祖父の物語についてプレゼンをする。
亡くなった祖父は、ろうだった。そして日本で初めてろうの理髪師であり、初めて自分で店をもった理髪師でもあった。
取材を繰り返し、つばめは自分の家族の歴史を掘り起こしていく。ろうの夫妻から産まれた父と伯母は健常者だった。こういうろう夫婦から産まれた聞こえる者のことをコーダとも呼ぶ。コーダの大変さを改めて知ることになる。また祖父母の戦ってきたろうへの偏見や差別、特に優生保護法などの苦しみにも直面する。その先にある景色は?
Posted by ブクログ
ものすごく素直で、気持ちのいいお話でした。
葉真中顕さんの『家族』を読み、あの凄惨な虐待やマインドコントロールの描写に心が削られた後、すべてを洗い流したい時にぴったりの一冊です。例えるなら、からりと澄み切った五月晴れのような心地よさでした。
底なしの暗部を覗き見る読書もいいけれど、時々こうして、波立った心を凪にしてくれる優しい場所に帰ってきたくなります。私にとって、そんなお守りのような本です。
Posted by ブクログ
今まで全く知らなかった。ろう者の方々の壮絶な努力や苦労。実際にあったというその昔の非人道的な扱いを知った時とても胸が締め付けられる思いだった。
その中でも自分以外の人を助けたいという強い想いに、涙無くしては読めませんでした。涙腺崩壊。
Posted by ブクログ
聾学校で始めての理髪科を卒業し店を持った祖父。実話に基づく壮大な物語。苦労したであろう日本初のろう理容師。読んでいてもその話ごとに涙した。自分の知らない事が山ほどあり、それに対して何も出来ないがせめて、思いや心を寄せる人で有りたいと思った。
Posted by ブクログ
物語なのか手記なのかわからないような、不思議な構成のお話し。表紙のイラストとはかけ離れた過酷で重いストーリーだった。スルスル読めるようで読めない、不思議なお話し(2回目)知らなきゃいけないことを知れた。わたしも繋いでいこう。
Posted by ブクログ
涙がもう止まらない止まらない
自分の祖父母に重ねてしまうところもありました。
ろう者である友達にも重ねました。その他障害を持っている友達にも重ねました。なにより自分に最も重ねた気がします。無知ってどれほど愚かなことか、気づけました。諦めないことが大切だとこの上なく分からされました。人は、他の人のために協力するときに1番輝くんだと知りました。
実際に、自分も感情がぐちゃぐちゃで、何をどう伝えたいのかが上手くまとめられてないです。
何が幸せかなんて。幸せに、普遍的なものはない。
4.5
Posted by ブクログ
まず構成がいいですね。こういうテーマは扱いが難しいことは主人公の迷いから分かるし、自分も読んでいて少しずつ扉を開いていく感覚。そしてその落とし所に納得。世の中の様々な環境にある、それぞれの事情を抱える人々すべてに幸せを願いたくなる一冊でした。
Posted by ブクログ
「この人でなければ書けない物語がある。」そのように評されていたのを耳にしていた。その上で読んだ。音のない世界、想像すらできなかったが、この物語に触れて、少しだけ知れた気がする。 自分をみつめるということ、時の流れのなかに様々な人たちの命や想いがあって現在自分があるということ。それをこの人が自分を通して紡いだ物語だからこそ、僕に染み込んだんだと感じた。
Posted by ブクログ
ろう者の歴史、虐げられてきた過去と共に、それでも仲間のために強い信念をもって理髪店を営んできた祖父から、その子供、孫が勇気をもらい、つながっていく物語。すごい本だった。
Posted by ブクログ
え…これノンフィクション??フィクションじゃないの?と思いながら読んでましたね
聾唖の人の権利が生まれたのもめっちゃ最近やん…とおもいながら読み終わりました。
特に号泣したのはおばあちゃんと叔母ちゃんの所!親子で意思疎通ができないところはホント心が痛くなった!
Posted by ブクログ
鈴木保奈美さんの「あの本読みました?」で紹介されていて興味を持って読みました。おすすめ本なのも納得!
耳が聞こえないろう者の物語で、ろうの祖父母、コーダであった父、駆け出し小説家の孫である私、3世代にわたる想いをつなぐファミリーヒストリーでもありました。
作家のつばめが、ろう者で初の理容師になった祖父正一の半生を追います。父、叔母、祖母、ろう学校で理容を教えた先生、そして祖父の父の手記。
だんだん鮮明になる祖父の信念。差別や偏見が強かった時代に不屈の精神で歩んできたことがわかります。戦うのではなく真面目に実直に仕事に打ち込む姿勢で生き抜く姿に胸を打たれました。正一は最初から強かったわけではなくて、それを支えた人々の思いがあってこそなのだと。
共に歩んだ祖母の喜代子の半生もまた壮絶であります。でも正一と一緒に苦難を乗り越えまっすぐ生きた彼女。最後にご褒美のようなひとときがあって良かった。阿波踊りを踊る場面も良かったです。
つばめに気づきがたくさんあったように、読んでいる私も知らなかった世界の学びがありました。強さと優しさにあふれた一冊でした。読む価値ありです。
Posted by ブクログ
私の親族にもろう理容師がいます。この本を読みながらあまりにもつらい事ばかりで、その親族の事を思わずにはいられませんでした。ここに書かれているような事もたぶんあったかもしれないと思うと心が痛みました。現在では、考えられないほどの偏見、差別が蔓延するなか、理容という技術を身に付け、お店を開くということは大変な苦労だった事だと思います。
聴こえる人と聴こえない人との溝が少しでも埋まればいいなと思います。
Posted by ブクログ
デビュー作以来、二作目を生み出せないでいる五森つばめ。
ある編集者との出会いが縁で、それまで自分の中だけに留めていた、コーダ(ろう者に育てられた聞こえる子ども)である父親をモチーフにした小説を書くことに。
自分の家族のことって案外知らない部分が多いのかも知れないと思いました。
それが、家族が障がいを持っていたとなると、その当時は尚更、公にしない風潮があったのかも知れません。
書かれる家族も嫌がるかも知れない、さらし者にしてしまうのでは等、書く側も書かれる側も、いろんな覚悟が必要なことでしょう。
音のない世界と普通に音のある世界。相容れぬ境界線があってもどうやってそこに交われるようにするか、お互いの色々な配慮やコミュニケーションが必要だと感じました。
圧倒的に生活する上で有利な聞こえる側は、その当たり前で意識もしなくなっている状態のまま接するのは、聞こえない人を気づかないうちに傷つけてしまうのでしょう。
聞こえない人たちの気持ちがわかった、と簡単には言えない。
つばめは、自分の家族の歴史を掘り下げることで色んな気づきがあり、学び、想いを知り、その上で小説を書き上げます。
どんな物語になったのか、読んでみたいです。
Posted by ブクログ
言葉が通じてもすれ違ってしまうことは今までの人生において幾度とあった。言葉があるから喧嘩をしてしまうし、分かり合える事もあるけど言葉が無くても分かり合えることもある。表現するって難しい。
これからも手話の勉強頑張って沢山の人と出会いたい。
Posted by ブクログ
音のない理髪店という小説を五森つばめが描くまでの過程を追うのがこの物語。つばめは、祖父母が聾者、そのため父がコーダ、その娘で、自身はあまり祖父母に関わらずに育ってきた。デビュー2作目が書けないつばめは、理髪店を営んでいた祖父のことを書きたいと考え、父や伯母、祖母、聾に関わる人たちにインタビューする中で、祖父の生きた姿に出会い、自分がその人生を描く意義を見出す。
聾の方たちが現在差別的な扱いを受けていないとは思っていないが、それでも当時よりは良い方向に向かっていると信じたい。聾であることが優生保護法の対象となり得たということに衝撃を受けた。
そんな時代でも、支え、次へと繋げようとする人はいた。その結果が今である。これがつばめのたどり着いた答えだ。そしてこれがつばめの原動力となる。作家としても、生きる上での支えとしても。
手話の意味がとても丁寧に描かれている。その意義も含め、映像化に向いた作品のように思う。
Posted by ブクログ
評判だったので読んでみました。
帯に書かれたような気持ちになかなかなれず。
障害のある人の物語は、「感動ポルノ」と呼ばれないようにするのは難しい。
難しいなと本当に思いました。
Posted by ブクログ
作家デビューしたものの、次作に悩んでいた五森つばめが、
日本初のろう者として理髪店を開業した祖父・正一の半生を描くため、ろう者たちの過去と現在、ろうの祖父母やコーダとしての父・叔母などから話を聞いていく
ハンセン病の人が「優生保護法」の名のもとに強制的な不妊手術を受けたことは裁判などで聞いたことはあるが、ろう者もまたその対象とされていたことは知らなかった
正一も大変ではあったろうが、自身の理髪店を開業できたことは、その時代ではかなり恵まれた方だったのだろう
まさかのヘレンケラーの登場
知らなかったことばかりの1冊だった
Posted by ブクログ
フィクションのような、ノンフィクションのような、不思議な読後感。聾唖の人たちの歴史を垣間見て、障がい者の自立や、繰り返されてきた差別について思いを馳せる。
聴覚障害は「人と人のあいだを隔てる障害」というらしい。老化で聴力が低下すると、意思の疎通がしづらくなり、孤立感を深め、認知症につながったり、うつ状態になったりというのも、近年よく聞くようになった。近くに誰かいるのはわかっても、気持ちを伝え合えないというのは、誰もいないよりも孤独なのかもしれない。私も最近、聴力の低下を感じているので、他人事とも思えない。
ハンセン病の方に対する非人道的な政策は知ってはいたけれど、それ以外にも、当事者たちがなかなか声を上げられない悲劇は、きっと山ほどあるのだろう。その中で、血の滲むような思いで紡がれてきたものを、たくさんの人がそれぞれの形でまた繋いでいく。筆者が小説という形で繋いだように。この本を読む人たちもまた、それを繋ぐ一助になるのかもしれない。
Posted by ブクログ
耳の不自由な方について理解が深まった。ストーリーも良かったが、つばめが何を書きたいか悩んでいる部分については理解出来なかった。自分は物書きではないのでピンとこなかった。