【感想・ネタバレ】袋小路の男のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年10月20日

こういう、どうしようもない、抗えない、恋かどうかすら分からないけれど離れられないって話、すごく好きです。同時収録の話も大好き。

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Posted by ブクログ 2024年03月06日

うん、好きだ!

3編からなる短編集。
『袋小路の男』と『小田切孝の言い分』は
同じ男女を描く視点違いの2編。
この2つ好きだわ〜。
名前はつけられないような関係性。
とくに“バカだな”のくだりがしびれた。

『アーリオオーリオ』は叔父と姪の文通で、
星座や星がキーワードになっている。
こちらも静か...続きを読むな物語で素敵だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月14日

なんかもぞかしいというか、厄介というか、お互いにどっちもどっちな気がする。人の恋愛を見てもぞもぞしたい人にはいいかも

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Posted by ブクログ 2023年02月06日

最初の2つは同じ登場人物を視点を変えた話で、そんな構成ありかよ!最高。と思いました。絲山さん2冊目にして何となく男の登場人物の傾向が分かった気がする。どっちつかずでダメだけど、セックスや結婚がセットにならない、友達とも恋人とも違うぬるま湯のような関係が心地よい。十円玉の温度で手のあたたかさを知る、す...続きを読むごい一文だった。アーリオ オーリオは美由の瑞々しい感性がが光る作品だった。時間のかかる手紙でのやりとり、哲と美由の距離感と星の話がリンクして美由の淡い恋心が流れ込んでくるようだった。かなり好き。

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Posted by ブクログ 2022年11月23日

2005年(第2回)。4位。
「袋小路の男」日向子は高校の先輩に恋をした。しかし、大学に入りOLになっても、いわゆる友人以上恋人未満。その中で恋(日向子は浮気という)もしたけど。なんかさ、思い出すよ、若いころ。なんだかうまくいかない恋ってあるよ。
「小田切孝の言い分」男の側からの日向子との関係。
...続きを読むアーリオオーリオ」中学生の姪と文通する30代男。パスタばかり食べてるらしい。これは、唐突に終わった感が。
不思議な世界観で、機会があれば読んでみたい作家かなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年09月26日

表題作の『袋小路の男』、『小田切孝の言い分』『アーリオ オーリオ』の3編。 
前2作は、12年間思い続け手を触れたこともなく「10円玉の温度で暖かさを感じる」。こういう男女の関係を純愛というの?女性が男性に振り回されている感はありますが、一線を超えたらこの今の関係が崩れてしまうのを恐れているのでしょ...続きを読むうか。もどかしいけれど、なんだか懐かしい感覚も抱きました。
『アーリオ オーリオ』は叔父と中学生の姪が手紙でやりとりをするお話。微笑ましい。

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Posted by ブクログ 2022年09月24日

読書開始日:2022年9月19日
読書終了日:2022年9月24日
所感
【袋小路の男】
【小田切孝の言い分】
小田切孝は虚勢を張る。
つい弱音を吐くと、メッキが剥がれ、人が離れていく。
わたしは小田切孝がハリボテだと気づいているが、愛しているから離れない。
小田切孝もそれに気づいているから離れない...続きを読む
でも近づきすぎると、小田切孝が自身の弱さを目の当たりにし、わたしもわたしで小田切孝の弱さを受け止めきれないかもしれないと不安に苛まれ、先に進まない。
それでも時間をかけ、進まないことこそが二人の関係性とお互いが気づき、袋小路のぺんぺん草になった。

【アーリオ オーリオ】
素敵なお話のようだったけど、理解ができなかった。
きっと自分は譲側であり、小島側なんだと思う。
でも哲のような、自然の中でも見えない自然にまで興味を示せる人間は、好奇心があってカッコイイと思う。

袋小路にはまってる。
反時計廻りに回った
なんて無謀なんだろう、なんて素敵なんだろう

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Posted by ブクログ 2022年01月21日

究極の片想いの話。

二人称のあなたで語られる事で、読者それぞれのあなたに重ねて物語を読むことができる。

小田切が入院して弱っている時、包み込んで抱きしめてあげたいけど、それは「してあげること」だから許されない。限りなく似ているのに、違うことだから...
彼女にしか許されないことをしてあげたいのに...続きを読む、今の関係が壊れることを恐れてできないもどかしさがうかがえた。

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Posted by ブクログ 2021年09月17日

プラトニックながら心は差し出す。
ただ期待したような反応がないだけ。
恋愛って大部分がそういうもんじゃなかろうか。
差し出したものと同等のものが感じられる恋愛は、
相当の観察と場慣れの成果だと思ってる。私は。
(少数派なのかも。わからない。。)
それでもどちらかの熱量が大きくて、その比重のデタラメさ...続きを読むをもろともしない恋愛が、これなんだろう。
何度も傷を作って、泣いて、不貞腐れたり、腹を立てたり。そして落ち着いてホームと言うべきこの場所へまた戻る。そんな長くて辛い恋愛。
その大きな気持ちを受け取る男は、女のことを適当にしているわけではなかった。
《饒舌で自分の思うところはもちろん、関係のない仕事の話や友達の話までもしたがる。概して彼は聞き役に回ることを不快に思わなかった》
から解るように、一方通行と思われた恋愛にちゃんと応えていた。ただ、女が気づかなかった。空回り。

騒がしく空回りしながらも離れない2人を微笑ましく読みました。
小田切孝の言い分 を読んでから読み返すと全然違った話になって、再読おすすめです。

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Posted by ブクログ 2020年10月19日

「袋小路の男」「小田切孝の言い分」
今までこういう話はやきもきしたりじれったいなあと思いながら読んで、最後は(軽い言い方になるけど)こういう恋愛にいい意味で酔って終わることが多かったけどこの作品だとなぜか穏やかな見守るような気持ちで見れたし、爽やかさすら感じる読後感だった
かっこいい小田切からかっこ...続きを読む悪い小田切への変化が全然嫌じゃなく、まさに「嫌いも含めて好き」というやつだった
「アーリオ オーリオ」も素敵だった

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Posted by ブクログ 2020年07月24日

淡々とした文章だけど、降り積もって味わいが出てくる感じですごくよかった。
日向子は「かっこいい」の額縁を作って抱えてそれ越しに小田切を見ている感じ。一途と言えば一途だけど思い込みもあるし流されやすいし、平気で人んちの物パクったりする人間性。小田切は小田切でそんなかっこよくない、日向子以上にいい加減な...続きを読むダメ人間ではある。
あくまで日向子の額縁が前提で、額縁越しの関係だから続いてる関係なのは、二人とも薄々分かってる。日向子はあんなにしたがってるのに、そんな魔法が解けるようなことはお互い絶対しないという……。

長い年月を経て額縁が透明になってしまっても、それを掲げ続ける日向子の覚悟が好き。本当はかっこ悪いところも現実も全部見えてるのに、小田切さんは絶対大丈夫って確信する覚悟。
覚悟じゃなくて残った選択肢がそれしかないだけじゃないか、ということかもしれないけど、それにしたってきちんと自分の手で選び取った、というのが最後の決断で表明されているのだと思う。
そして最後の2行、小田切が自分の表明を受け入れてくれたことを日向子がそっと悟るのがあまりに良かった。関係は変化していないようで、決定的になったのだと感じる。「あなたにとって私って何なんですか」っていう自分の問いに、自分で答えを出したんだね。

アーリオ オーリオもロマンチックでよかったな、星と目に見えないエネルギー、終わりの話。ちょっとづつ距離を詰めてくる無邪気な美由がかわいいし、その純粋な終わりへの恐怖にせつなくなる。
「でもアーリオ オーリオがあるから大丈夫なのです」
彼女はそう最初に書いていた。そう、大丈夫なんだ、自分がいなくなってもそこに世界があるっていうのは、救いじゃないかなと思うのだけど。

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Posted by ブクログ 2019年02月22日

「袋小路の男」というこの本の中に収めてある三つの小説のうち、「袋小路の男」「小田切孝の言い分」という二つの小説は、いわゆる恋愛小説だが、ちっとも恋愛小説ではない。
 同じ関係を男の側と女の側から描いて、二つの話にした感じだが、変な男と困った女の奇妙な関係が淡々と続くだけだ。まぁ、たとえば、高校生向け...続きを読むとはいえない。
 三つめの「アーリオ オーリオ」という小説は中三の少女と叔父さんの話。叔父さんと宇宙の話なんかしているのは受験勉強の邪魔だとしかられた少女が叔父さんに出した最後の手紙には「私が死んでしまっても、世界はこのままなんでしょうか。宇宙もずっとあるんでしょうか。」と書かれている。
 現実の生活の「終わり」に気づくと、現実は揺らぎ始める。自分がいつどこで生きているのかなんて、わかりきっていることだったのに。何万光年という宇宙の時間の、一体どこに私たちはさまよっているのだろう。そんな問いに、ふと取り付かれて小説は終わる。

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Posted by ブクログ 2019年01月25日

人の数だけ、絆の形 や 独特の距離感 があっていいんだと、肯定してくれる
女と男 双方の視点から書いているのがいい

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Posted by ブクログ 2018年11月18日

新聞の読書コーナーでその存在を知り、「ピース又吉がお勧めするスゴ本25選」に入っていたので買うに至った一冊。
二人の微妙な距離感を描いた三つの短編。同じ男女をアングルを変えて描いた『袋小路の男』と『小田切孝の言い分』は、恋人とは呼べない男と女の微妙な距離感が印象的。仕草の意味もクセも知り、一緒にいれ...続きを読むば無言でもいい、でも身体を合わせるどころか手をつないだことさえない。ややもすれば辛くて苦しいものになりそうな二人の関係を淡々と描いているのに、なぜか明るい空気さえ漂って、こんな関係もアリだよね、と思わせてしまう。
『アーリオ オーリオ』は、清掃工場に勤める男と姪の中学生との手紙のやり取り。特に40代男子はこの微妙な切なさにやられる可能性大。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月13日

人を好きになるって理屈じゃない!
袋小路に住んでいる小田切を好きな日向子。
小田切は日向子の名前を直ぐに忘れるし逢うといつも説教するし約束も平気ですっぽかすし…なんでこんな男が好きなのか最初は全く理解できなかった。
でも物語が進み小田切なりの言い分を読むと、他の人には決して入り込めない二人なりのバラ...続きを読むンスがあるのだと分かった。
この二人が持つ絶妙な距離感は二人にしか分からないだろう。
離れてもいけないしくっつきすぎてもいけない。
そのさじ加減は二人以外ではあり得ない。
これって頭で考えるのではなく、心や肌で感じる距離感なんだろうな…。

ラストの短編も伯父と姪のもどかしい距離の取り方に唸った。
リアルタイムのメールではなく、敢えてアナログな手紙でのやり取りは、送ってから届くまで3日間のタイムラグがある。
この3日間の時差が二人の間にある淡くて穏やかな優しい雰囲気を醸し出している。

今回の短編集を通して、人と人との距離感についてしみじみ考えさせられた。正解なんて他の誰も知りようがない。
絲山さんの作品は相変わらず読後の余韻がたまらなくいい。

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Posted by ブクログ 2024年04月08日

3つの話から構成されていて初めの袋小路の男がラブレター?で2つ目がそなアンサー的な話になっている
不思議な関係の2人の物語
出会ってしまったが結ばれる事なく続いていく、これはもはや純愛なんだろうかと思いました
くっついたらいいのにと思ってしまいますが、そうならないのが不思議な関係なんでしょうね
3つ...続きを読む目のお話は別の話と思うのですが、何か関係が隠されてるのでしょうか?
最後がすっと終わってしまいよくわかりませんでした

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Posted by ブクログ 2023年11月11日

なんとやっかいな…指一本触れられないからこそ、前にも進めず嫌いにもなれず、諦めもきれずに生殺し 実際そんなに大したことない男でも、恋する女の献身的で盲目的な恋愛には、厚さ15cmくらいあるフィルターがかかっていて、周りの声もまったく耳に入らない そうなんだよねえ、知ってます 感情を持て余しすぎて自己...続きを読む消化不全に陥って、むしろ冷静に置かれた状況や自分の感情を冷静に捉えている日向子の分析や思いに多分に共感して読んでいて苦しくなりました

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Posted by ブクログ 2022年12月15日

最近仕事忙しくて本読めなかったけど、合間に読みました。短編が3つ。1つ目と2つ目は同じ登場人物の話。恋愛小説ですが、心理描写は細かくしているものの、全体的には淡々と簡明に書いている印象。共感とかはなかったけど、詩的で良いんじゃないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2022年06月29日

 切ない平行線。互いの心情は包み隠さずストレートに表現される反面、男女が心身共に交わる事なく時が流れる。読み手のその時の感情によっては歯痒くも感じられる場面が次々と繰り返されるものの何故か納得感も覚えさせられ、物語と読者との距離も接する事なく一定の間隔を保ったまま結びの行までだどり着いてしまうような...続きを読む不思議な短編たちでした。
 気付かぬうちにするりと読み進めえられるのは話の展開だけでなく文章の書き方が上手なのかもしれない。滞りなく文字を追う目が先に導かれていった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年06月14日

これは恋愛?純愛?なんとなく綺麗だけど、実は、ものすごくドロドロで。

わかるようなわからないような…引きづりますね。

2話目でただの閉塞感は薄まりましたが。

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Posted by ブクログ 2022年05月29日

「袋小路の男」には三作品が掲載されていて、一番初めの物語、「袋小路の男」は書き方、いや主人公の語り口調がとても好きだと思った。その理由はなぜか、大抵改行があまり行われていない文字の羅列は、開くたびに時折うっとなってしまうことがある(そんなこというなら小説なんて読むな、という話であるが)が、絲山秋子さ...続きを読むんは違う。
この改行のない文章は、主人公思考の過程を表しているのではないか、思考が思考を呼び、その思考はたしかに存在しているにもかかわらず、この主人公の身の一つとなる構成要素の一つとなる。
文字の繰り返し、会話、文字の繰り返し、会話、このリズムは、自然と私たちの頭の中に入ってきて、スッと消えて入っていく。

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Posted by ブクログ 2022年02月27日

最近、積読を積極的に消化しようキャンペーンをやっていて、この本も随分と前に古本屋で購入してあった本。
まず、袋小路の男と小田切孝の言い分。
デカダンス的な男女の何とも割り切れない十数年。2人が、世の中で名前がついている関係にならないのは、2人がどこまでも自己愛から抜け出せないエゴイストだからかなと思...続きを読むいます。別にそれが良いとか悪いとかじゃなくて、2人はその自己愛の依存関係が心地良いのだから、そういう関係性もあるのだろうけど。臭いモノを、臭いとわかっていながら何度も嗅いでしまうような、そんな気持ちで読み進めてしまった物語でした。
私が好きだったのは、アーリオ オーリオの方。
中年独身男と姪っ子の文通のお話なのですが、中学生の伸びやかな、ともすると宇宙大の思想と、まだ何者にもなっていないただ歳を重ねた少年としての哲が、手紙を通して触れ合う様が美しくて、美しくて、夢中になって読んでしまいました。大人になれば、何かの役目や責任を引き受けなければなりません。それは社会にとって必要不可欠な尊いことなのだけど、親であるが故に子供の将来を心配するがゆえの制限は、1人の人間であるはずの親の思考そのものにも制限を与えていて、本来自由であるはずの思考の世界がどんどん枠にはまっていってしまうものなのだなぁと思いました。それが普通の大人になるということなのかもしれませんが、その不自由さに敏感でありたいし、その制限の逃げ場を常に用意しておきたい。それが私にとっては、読書であり、音楽であり、映画であると思いました。

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Posted by ブクログ 2022年01月06日

家にあった本。意外や川端康成文学賞作品。

十年に及ぶ女性の片思いのの物語と思いきや、実は両思いだけどなかなか交際には発展しないもどかしい二人の距離感を、時に暖かく描いている作品。

淡々と読みながらも、ホントふとあったかい表現がうまく使われてます。直接的な表現は少ないのでぼーっと読んでると見落とし...続きを読むてしまいそうな。

特別結論に向かうような作品ではなくゆる~い感じなので、はっきりしたエンディング好きな人はちょっと物足りないかも。

でもまぁどっちかというと女性向けでしょうか。

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Posted by ブクログ 2021年10月30日

大谷日向子の心境はさぞ辛いだろうなと思う。

読んでいる私からすれば、日向子と小田切、お互いの胸の内を読者として知っているから、これはこれでいい関係かもしれないと思うけれど、片思い中の当人にとっては、たまったもんじゃない。ただ、答えが出たら、そこで何かが終わってしまうかもしれない怖さもあり、改めて恋...続きを読む愛の複雑さを思い知る。

はっきりさせていないが、これは恋愛でしょう。
日向子はわかりやすいし、小田切にしても口は悪いし、駄目な部分も多々あるが、クズでもない。日向子への気遣いを持とうとしている時点で、「それだよ、あなたの~は」、と私は思ってしまうが、人の恋路に口出しは無用。だって、相手の心の内を微妙に勘違いしながらも、それでもなんとかなる人間の奥深さを感じたし、絲山さんの書く、人間心理の描写の巧みさもすごい。

それに、辛いだろうなと思う場面もあるが、それと対照的に心底楽しそうだなと思う場面もあり、そこでの幸せそうな日向子を見ていると、求めたいものがあるから、辛いことにも耐えられるのかもしれないなんて思い、そういえば遠距離恋愛していた頃、仕事終わりに、夜中車を走らせて待ち合わせしたことをふと思い出したが、なんでこんなことしてんだろうとは微塵も思わなかった。だから分かる部分もすごくあるし、私も当時の自分の世界が崩壊するのがすごく怖かった。

ちなみに、もう一つの短編「アーリオ オーリオ」は、まだ見ぬ世界の夢と不安に揺れ動く中学生の姪と、それによって違う未来が見えようとしている孤独な男との、ささやかな交流が味わい深い作品となっております。

小田切を庇うわけではないが、印象的な場面をひとつ書いて終わりにします。小田切の生き様を考えると、プロポーズのようにも聞こえてしまうが。


「ありがとう」
消え入りそうな声で日向子が言うと、小田切は、
「俺がこんなとこ来るの、最初で最後だろうな」
と言った。それから声のトーンを変えて、
「最後にしてくれよ」
と低く笑った。

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Posted by ブクログ 2021年04月17日

高校時代から気になっていた異性とのドライ?クール?な付き合いに友達以上の関係性を感じられない主人公は連絡の途絶えた20歳の時に同じ大学の彼氏が出来るが卒業時に別れる、社会人になって東京を離れてもなんとなく恋人でもなかった筈の高校時のドライな彼を思い出す日々。。。

 帰京の際に偶然に彼と出会い、何と...続きを読むなく近くて遠いドライなお友達関係が復活する。彼はバイトをしながら小説を書き作家デビューを目指しているがある時自殺未遂をしてしまう、、、

 彼の棲む家の場所は袋小路だが執筆に悩む彼も袋小路に陥って居りそんなドライな彼に恋心を抱く主人公もまた袋小路に捕まった女なのだ。

 二人ともリスの様にヒマワリの種を食べてグルグル同じ所を走り続けるだろうこの後も、、、

 著者は私の大好きな作家の一人でその作品はせつない恋がテーマとなったものが多く、車・タバコ・アルコール・小説・音楽を小道具として遠距離・事故・怪我・友人等が効果として主人公を際立たせ男女の切なくもほんのり暖かい物語を創り上げてます。

 

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Posted by ブクログ 2020年09月03日

表題作「袋小路の男」は、高校のときに好きになった先輩の小田切孝を見つめつづける大谷日向子の物語です。一方「小田切孝の言い分」は、二人の関係を小田切の視点を中心に、三人称の文体でつづっています。

ある意味では、著者の文章は小田切と日向子の自意識を容赦なく抉っているともいえるのですが、突き放した視点で...続きを読むえがきつつも人間の哀れさのようなものを教えてくれるといったまとめ方には収まらない、不思議な読後感がのこりました。けっして温かいまなざしではないものの、どうしようもない二人をそのままに受け止めるといった感じでしょうか。

「アーリオ オーリオ」は、松尾哲とその姪の美由との手紙のやりとりを中心にした物語です。こちらは二人の心温まる交流がストレートにえがかれている、ロマンティックな内容でした。

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Posted by ブクログ 2020年07月31日

ばかだな、と言われるのが好きだと小田切は知っていて、それで毎回のようにばかだな、と言う。何度言われても日向子は快さを感じた。いつもきっちりしていて虚勢を張っている自分が、ばかだな、という言葉の前で角砂糖が紅茶に溶けるようにほろほろと崩れて、甘い気持ちになる。

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Posted by ブクログ 2019年01月01日

以前から読んでみたかった絲山秋子さん!
初読みです。
ただ…芥川賞受賞作家は…合う合わないがあるし…という事でたまたま出会った約170頁の薄い短編集のこちらを初読みに選びました。
#袋小路の男
#小田切孝の言い分
#アーリオオーリオ
3篇収録。
「袋小路の男」は女性目線の一人称で語られ、「小田切孝の...続きを読む言い分」では袋小路の男=小田切孝の目線も入り、三人称で語られている。
すると、この二作、同じ男女の関係を描いているのに、微妙にニュアンスが変わってくるんですよね。
この二作品は、うん、ちょっと癖になりそうな…面白い余韻が残りました。
でもでも今回声を大にして推したいのは!
「アーリオオーリオ」
この短編! 久しぶりに読みながらきたっ!きたっ!ってゾクゾクする感覚!
いや、内容自体は簡単にいうと淡々とした叔父と姪っ子の交流の話なんです。
どこが?どういう風に?と上手く説明できないけれど…
でも、でも、素晴らしかったのです〜✧‧˚
傑作といってもいいのでは?
私の中では傑作決定ですよ✧‧˚
30分もあれば読める作品なので、絲山秋子さん、興味あるけど未読…の方はぜひ!
オススメいたします。
ただ純文学なので、読書にエンタメ性を求める方はご注意を!

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Posted by ブクログ 2018年10月18日

小田切は著者の理想の男性像で、描かれた関係は著者の理想のあり方なのかもしれない。路地、バー。薄暗さと湿り気と、タバコと少しかびたにおい、昭和の終わりを感じながら読んだ。

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Posted by ブクログ 2018年01月17日

切ない恋の話、かと思いきやそうでもなかった。
互いを分かっているようで分かってなくて、でも一喜一憂したりして、もどかしいようなイライラするような。

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