小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ書店ガールの4作目。
主人公が交代。
亜紀に憧れているアルバイトの愛奈と、
別の書店の契約社員の彩加。
愛奈は就職活動の時期を迎え、積極的に活動を開始する友人たちについていけず、
彩加は正社員採用と同時に駅中店の店長を打診される。
二人ともいろいろあるが、
愛奈は万引きにあったり、理不尽な客にあたったりとへこみながらも
自らの考えでフェアを開催して就職活動にも前向きになれるし、
彩香も伯母の書店がカフェ併設になることを手伝い、
隣のパン屋の店主と親しくなりながらも、駅中書店の店長となる。
お仕事エンタテインメントというよりも、成長物語かな。
隣にパン屋があるブックカフェ、うらやましいかぎりだ。
それと、
文庫の最新刊が『ソロモンの偽証』というところに時代を感じた。 -
Posted by ブクログ
この本には恩義がある。
私は小学生の頃小説が読めなかった。「かいけつゾロリ」や「ダレンシャン」とかも含めてだ。
読むと文字が視界を滑っていき、全くどこを読んでいるのかが分からなくなった。
中学生の時この本と出会った。といっても国語のテストで一部が使用されていたのを(テストなので渋々)読んだのがきっかけだった。どの章が使われていたかも、何のテストだったかも忘れてしまったが、是非この本を読んでみたいと近所の本屋に行ったことはよく覚えている。名著なので当然置いてあった訳だが、見つけた時は本当に嬉しかった。
この本でやはり一番面白いのが幽霊ポストだろう。なぜ少女つぐみがまりあに対し、あの様ないたずらをしたのか。それは祖父を失ったまりあを心から慰めたいと思ったからだ。けれどつぐみのプライドがそれを許さなかった。だからあの様ないたずらを仕掛け、真意をまりあに解釈させた。(最後の手紙がその種明かしとなっている。)
文章のみでここまで人間の複雑性を表現できることに感動し、以降本を読むのが好きになった。ありがとう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『ぼくん家の神さまたち』は、以前刊行された『ぼくんちの宗教戦争!』を改題した新装版とのこと。
簡単なあらすじは、小学5年生の征人が主人公。両親と幼い妹・ミッコの4人暮らし。ところが父親が交通事故に遭ったことをきっかけに、平穏だった家庭が崩れ始める。
苦しい現実から救いを求めるように、父と母はそれぞれ別の「神さま」を信じる…別々の宗教にのめり込み子供達を取り込もうとするので、家族はバラバラに対立状態になる。幼い妹の精神状態もギリギリとなり、征人は友だちの協力で家を出ることを決意する。
記憶にまだ新しい安倍首相の暗殺事件…宗教二世の屈折した犯人によるものだった。
我が家はノンポリで無宗教(お墓は浄土宗のお寺だけど)だけど、親が元々宗教や政治関係にどっぷり染まっている家庭に生まれた人が、自然と信仰してしまう例を知っている。しかしこの小説のように両親がそれぞれ違う宗教を支持しており、子供に信仰を強要し巻き込もうとする。時には体罰まで与えたら、逃げ場が無く、従わざるを得ない。おまけにこの小説では片想いの女の子や担任の先生まで、父親の信仰している宗教の信者なのだ。
また、家族に不幸なことが続き、宗教に救いを求めることも多いと聞く。ただ単に信仰してるだけならまだいいかもしれないが、お布施として家の財産をそっくり寄付するなんてことも…。
思い悩んだ主人公の征人は、両親にある日懇願する。
『二人にお願いがある。宗教の活動をやめてほしい。それができないなら、せめてお父さんもお母さんも同じ神様を信じて欲しい…』
何か宗教を信仰している人を否定するわけでは無い。信仰は自由だ。だからこそ宗教問題はなかなかナーバスな問題ではある。こういったテーマで小説を書いたこと自体、貴重なことかもしれない。 -
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めっちゃ面白い!まさに「小川哲神回切り抜き集」
クスッと笑えるものからスン…っと落ち着いてしまうものまで色々ある
最初は、何も考えずに笑える文章が細切れに書かれてるのかと思ったけど、哲学とか概念に関して触れてる文章が多くて、1話1話は短いとはいえ読み応えがある
あと、ちょこちょこ出てくる文章で、小説という矛盾を孕んだ存在がこの人は大好きなんだろうなと思わされた
小川哲という人間の考え方というか物の見方というかスタンス結構好きだなーと改めて思ったので、次は『言語化するための小説思考』読みます!
哲学やら思想について考えるのは好きそうだけど、神様とかスピリチュアルめいたことは全然信じて無さそうだった笑
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Posted by ブクログ
ネタバレ誰も救われない物語だった。今回も最後はとてもえげつない終わり方で、湊かなえさんの作品らしい読後感だった。
事件関係者それぞれの視点が順番に描かれていく構成が面白かった。一方で、読んでいて強く感じたのは「知識がないこと」と「先入観で判断すること」の怖さ。HIVをはじめ、シングルマザー、ニートや引きこもりなど、世間から正しく理解されていないものが物語の中で描かれていた。知らないからこそ恐れ、決めつけてしまう。そんな人間の怖さを感じた。
直樹と母親の関係も歪んでいて、母は息子を大切に思っているようで、自分の理想を押し付けているようにも見えた。「育て方が悪かった、失敗した」と子供に言えてしまうところも怖かった。
修哉も勉強はできるのかもしれないが、自分より劣っていると思っている人間を馬鹿にするところが気になった。勉強だけで人を測ることはできない。母親に気づいてもらいたいという動機で幼い女の子を殺そうとし、ましてや同級生を殺してしまった彼を見て、「馬鹿はどっちなんだ」と思ってしまった。
本当に嫌な気分になる小説なのに、なぜかまた読みたくなる。この「イヤミス」の病みつきになる感じが、湊かなえさんの作品の魅力なのだと思う。
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