あらすじ
太陽神につつがなく運行してもらうためには、生贄を捧げなければならないーー。
生贄制度が残り、王と神官が絶対権力を持っていたマヤ文明。
父と母を殺され、姉を生贄にされ、自らも生贄として殺されかけた少年・スレイは、ウェラス族のヘルマスに救われなんとか命をつなぐ。
生き残れ、地獄のようなこの国で。稀代のストーリーテラーがおくる、前代未聞のマヤ文明サーガ!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
国が終わる瞬間、宗教が始まる瞬間に立ち会えた感覚。
生贄を捧げるという祭儀自体をやめることが野蛮なことと言われる世界。
視点が変わるごとにそれぞれの登場人物が好きになる。
Posted by ブクログ
マヤ文明やアステカ王国を下敷きにした、架空の古代文明の物語。
家族を殺され、儀式の生贄にされそうななった少年、スレイが主人公。運良く助け出され、数奇な人生を歩んでいくことになる。
600ページ以上あり、あまりの分厚さに怯んでしまう。が、面白くてサクサク読める。
スレイは、状況に応じて柔軟に事に対処できる能力があり、飄々と、たくましく生きていく様がとても良い。
他の登場人物も魅力的だ。エルテカ国の横暴な王、謎めいた神官、スレイの親の仇ですら、悪いだけではない、様々な側面を見せてくれる。皆が、それぞれの思想、正義で動いているから、勧善懲悪ではなく、混沌としていて面白い。
話し言葉が今風なのも、サクサク読める要因になっているかも。血生臭いシーンや重い展開の緩衝材にもなっているし、何よりも面白い。最高神官が、「冗談じゃないっすよね」とか言う。
終盤、2つの山場がある。エルテカから、スレイの故郷である小さな島を守る戦い。数で圧倒するエルテカに、様々な工夫で対抗するスレイ達。手に汗握った。戦いの中スレイは、親の仇である戦士、シベリアとサシで戦い、ほぼ引き分ける。スレイは片目を失うが生き延び、シベリアは死ぬ。このシベリアという男、スレイの親の仇なのに、何故か嫌いになれない。仕える王の命令で動き、たくさんの人を殺して来たが、卑怯や横暴とは無縁、清々しいほど戦いに生きた戦士だった。
そして、エルテカの最高神官であり、後に王となった女性、フォスト・ザマ。幼い頃から死神に追いかけられといると感じていた。王が暗殺されてしまい、その後継となるが、反エルテカの勢力に捉えられ、無人島送りに。死神が私に追いついた、という表現がせつない。最後に、自分を捉えた戦士との決闘を望み、もう少しで勝利というところで力尽きてしまう。
2人とも、主人公であるスレイの敵だったけど、何かが少し違えば、そうじゃない世界線もあるだろうに、という妄想をしてしまうぐらい、魅力的だった。
スレイは仲間や友人にも恵まれ、この先もきっとたくましく人生を切り開いていくんだろうな、という感じで、物語は幕を閉じる。
600ページを読み切った達成感もあるけど、想像以上に面白かった。迷う事なく、星5個!
Posted by ブクログ
すごく面白かった。
マヤ文明の生贄信仰をモデルとした架空の文明の話。
630ページもあるけど、改行がかなり多いから、ページ数のわりに読み進みが早い。
三国志を彷彿とさせる。
ストーリーもポンポン進んでいく。かといって内容が薄いかというとそんなこともない。
と思いきや、終盤は手塚治虫のブッダのような読後感。
スレイとディノ、すごくいい。
最高神官カザム・サクと鰐将軍ドルコも。シベリアも。
フォスト・ザマもとんでもない。
分厚すぎる本は嫌厭しがちだけど、これは大当たりでした。
Posted by ブクログ
ファンタジーなのにあまりにも現実だった。
自分達が生きている世界そのもの。善と悪、敵と味方、あの人達は間違っていたんだろうか?と考えてしまう。戦争も信仰も生活の延長線上にある。読後も終わらない作品。
Posted by ブクログ
ジャガー・ワールド
マヤ文明をモデルにした、その文明や国々の興亡を巡る大河小説です。総ページ632ですが、大きな物語の展開や登場人物たちの冒険でわくわくしながら一気に読み切りました。
マヤ文明にはなかったキリスト教のような半生贄と友愛を説く宗教をからませることで、恒川氏の人類観や世界観も垣間見ることができます。そして、多くの登場人物がそれぞれの生を全うする様子から、生きるということはどういうことか?や文字は人々に便利さをもたらしたが、それは本当に人が生きる上でプラスになっているのか?などの問をつきつけてきます。
竹蔵は、数奇な運命にもまれながら最高神官を経て王にまでなるフォスト・ザマと、軍神と称えられ貴族でありながら自ら戦うシベリアのキャラクターがとても好きでした。
物語の手仕舞いし方もとてもうまく、余韻を持った読後感もとていも好きです。
鈍器本(厚い本をそういうみたいですが)に恐れることなく、是非一気読みしてみて下さい。
竹蔵
Posted by ブクログ
恒川光太郎によるマヤ文明ワールド。
ただただ面白い。同作者の「金色機械」のマヤ版みたいな印象を持ちましたが、あちらに比べていろいろ伏線というかお話が絡みあうみたいな感じもそれほどはしなかったしコメディっぽさも皆無ではあったけど、それでもなお面白い。マヤ文明に対する興味深さがあり、そして圧倒的な読み応え。星5以外つけようもない。
もともと独特な異世界感が持ち味の作家さんだと思っていましたが、マヤという実際に存在した世界に対してもその持ち味は健在。このボリュームのある一冊にして「読み終わるのがもったいない」と思わせる傑作でした。
個人的にはフォスト・ザマの最期が・・哀しくもしびれました・・・
Posted by ブクログ
面白かったー ファンタジーではなく歴史小説!?この時代のって初めてで読みにくいイメージあったケド話し言葉がめちゃ身近な感じで笑ってしまった 本当にこんなふうだったのかも
あと構成も好きです え、誰ってヒトが後々、、、ってゆーの大好きです
Posted by ブクログ
年末年始にかけて楽しみました。
アステカ文明をベースにしているようですが架空の都市での物語なので、歴史に詳しくなくとも最後まで面白いです。
アニメや映画にしてもいいくらい魅力的なキャラクターもたくさんいます。
最初は、生け贄文化や野蛮な感じでグロテスクな感じかと警戒していましたが、そんな印象はなかったです。作者のコントロールが上手いのでしょう。
年のはじめから、今年のベスト3に出会ったかもしれません。
Posted by ブクログ
これは戦士(ジャガー)の物語だ…。良すぎ…。
復讐の物語でもなく、戦争の話でもなく、ただ自分の正義をぶつけ合う「戦士」の話なんだよこれは…。
拳の戦士もいれば、未来の戦士もいるし、思想の戦士もいるわけで、こちらを立てればあちらが立たぬという…これが戦…
個人的にはやっぱり戦闘狂シベリアの話が大好き。「戦いあっての人生だよなあ?」って戦うのほんまにかっこいいです。でもただのバーサーカーじゃなくて自分の中での戦闘の美学みたいなものもちゃんとあって真の戦士だと思った。
人物も複数出てくるし時代も場所も違うんだけどさすが恒川光太郎さん、ごっちゃにならずにすっとはいってきてサクサク読めた!
てか、恒川光太郎さんは始まりと終わりが良すぎる。。。。始まる時も静かで終わる時も静か。でも中身は激アツ。本を閉じたあとが一瞬時が止まる感じがして大好き。
Posted by ブクログ
生贄、戦争、復讐と、とにかく血みどろのストーリー展開を覚悟していたが、とても読みやすい。
様々な登場人物の生き様が順に語られるが、視点を変えると悪人かと思っていた人物がそうではなかったり、ここでこの人達が繋がるのか!といった発見もあり、すぐに世界に引き込まれる。皆慣習やしきたりに翻弄されながら必死に生きているのが分かる。何が正しいかという価値観は時代によって異なるのだ。
なぜか会話が現代風なのも違和感なく、むしろいい味を出している。
説得力のある魅力的なキャラクターが多く、ここ最近で最も熱中した本かもしれない。
Posted by ブクログ
絶対面白いだろうなと思ってた!
マヤ文明が舞台の話。
いつの間にか異世界に入ってて、その世界のルールに振り回される話が恒川さんの特徴で、今作もその通りな話で最高です。
食人、生贄、王政と現代からすればこんなの完全に異世界ですから。
登場人物を現代人の喋り方にしてるのが、日常から異常さを際立たせてて良いですよね。心臓を抉り出して捨てた人体を食うの嫌だわ〜うちの子なんか嫌がって食べないもんとかどんな会話やねんって笑っちゃいます。
マヤ語を完全な日本語にするとか無理だろうし、取っ付きにくいであろうキャラクター同士のやり取りを分かりやすく崩しすぎてもないのが上手い。
主要なキャラクターが固まってて、生贄、戦士、賢者、神とストーリーが進むにつれてキャラの背景が挟まれる作りが楽しすぎました。
敵だと思ってたのにこんなことがあって、こういうことしてたんやなってわかるとみんな死んでほしくなくなる。シベリアはめっちゃ好きになったし。
フォストもめっちゃ良いキャラですね。1番好きかもしれない。
映画で紀元前とかマヤ文明が舞台のやつが結構あるから、かなり想像しやすかったです。
アポカリプトを見よう!
Posted by ブクログ
こいつもカタルシスやなぁ。読後の余韻。
滅びの園レベル。いいものを読みました。ちょっと口調が現代寄り過ぎな感じはあったけどw
個人的に気に食わなかったのは、最高神官同士の弁論の際、ヘルマスをはじめ散々公平に審査するとか豪語してたくせに、ウェラス文字の件が逆鱗に触れたことでカザム・サクを殺してる件。どこが公平やねん。思いっきり私情で殺してんじゃん。ドルコやスレイよりも実力的に圧倒的強者として描かれたキールなど、ウェラス族は一線を画した存在みたいになってるけど、むっちゃ人間なのね。
Posted by ブクログ
恒川光太郎久々の新刊である。
マヤ文明を舞台にした、多様な身分、価値観を持つ人々が起こす王国の崩壊を描いた長編クロニクル。
鈍器本でありながら軽快な文体と爽快な物語があっという間に結末まで連れて行ってくれる。
その中で、生贄の賛否や国のあり方が作品を通じて議論されてきた。後半の賢者二人による論戦は圧巻である。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の論戦を彷彿とさせる。
物語の濃密さもさることながら、この作者は物語の結びがあまりにも美しい。遠大で壮大な時代の流れを感じさせる読後感。『スタープレイヤー』シリーズや『箱庭を巡る巡礼者たち』が好きな方は是非手に取って欲しい。
Posted by ブクログ
小さな島で過ごしていた少年の平穏な日々は、エルテカ王国の襲撃によって壊れてしまう。捕獲された少年は生贄として館に囚われの身となってしまうが、謎の女性の助けを経て、新たな生活の場を得るようになる。やがて成長するとともにエルテカで暮らすようになった彼は、遠国パレンザへの遠征のために組織された大軍勢の一員となる。そこで彼はひとりの男に目をとめる。軍団長の中のひとりが、父親を殺した男だったからだ。復讐心を抱きつつも遠征ははじまり――。
というのが本書の導入。導入どころか、長い長い物語の導入の導入くらい。マヤ文明に材を採った架空の国家を舞台にした歴史ファンタジーで、ある程度、中心となる人物はいるので、狭義の群像劇とは呼ばないのかもしれませんが、様々な視点による様々な思惑が重層的に織りあげられ、魅力のある壮大な世界が形作られていきます。著者のドライなまなざしも世界観に合致して印象的でした。
長編三、四冊分はある大作ですが、軽快さも併せ持った作品なので(もしかしたらその軽快さに引っ掛かりを覚えてしまうひとはいるかもしれませんが)、分量ほどの〈長さ〉は感じないのではないか、と思います。物語で描かれる世界は大きければ大きいほどいい、というひとには特におすすめしたい作品です。著者の恒川光太郎さんは、短編の名手として知られる方(『夜市』が有名ですし私自身も特別な思い入れのある作品ですが、個人的には、『白昼夢の森の少女』や『竜が最後に帰る場所』、『無貌の神』なんかも推したい)ですが、『滅びの園』や本書など長編も傑作揃いです。ぜひみなさんも読みましょう。
Posted by ブクログ
結論:古代マヤ文明を舞台にしながら、人間の本質を描いた重厚な物語でした。
『ジャガーワールド』を読んで、古代マヤ文明についてもっと知りたくなりました。
生贄や食人といった文化が存在し、科学的なアプローチが乏しい時代背景の中で、人々が何を信じ、どう判断していたのかが描かれています。
特に印象に残ったのは、人間の動きが現代とほとんど変わらないと感じた点です。
裸の王様のような人物に対し、他地方への侵略がほとんどうまくいっていないにもかかわらず、遠征は成功だったかのように報告する場面はとても象徴的でした。
時代や文明が違っても、人間の本質は大きく変わらないのだと思わされます。
物語の後半は、三国志のように国と国との争いへと展開していきます。
戦略や思惑が交錯し、物語に重厚感が増していきました。
歴史大河のような読み応えがあります。
また、登場人物それぞれの個性が際立っており、「この人物はどうなるのだろう」と気になって、気づけば一気に読み終えていました。
文明の壮大さと人間ドラマの両方を楽しめる一冊です。
Posted by ブクログ
『「想像して欲しい。生贄のない世界を」
「私たちで世界を変えよう。私たちはそのためにここにいるのだ」』
反生贄思想の謎の少年レリィの言葉
サリュザ島のスレイ
神官フォスト・ザマ
戦士シベリア とドルコ
放浪の青年ディノ
それぞれの信念のもと、この世界を生きている
誰が正しい、間違ってる そんな単純なものではない
〈人はなぜ戦うのか〉
『人は集まるとやがて自然にそうなる』
『この世界は、ジャガーの世界』
『ここで生きるには、大切なものを守るには、人生の権利を獲得するには、己がジャガーになるか、さもなくばー』
すごく太い本で、迷いましたが読んでよかったです
Posted by ブクログ
紛うことなき大作。古代文明×冒険ファンタジーにピンとくる人ならとても楽しめると思う。
マヤ文明を下地にした架空の王国エルテカの隆盛と衰退を描いた大長編群像劇。緻密で壮大な世界観と、英傑や神官、王や貴族、奴隷や生贄に至るまで、様々なバックボーンを持つ無数の登場人物の生き様と行く末に心打たれる。
登場人物の多さと複雑な勢力図に少し混乱するが、クライマックスにかけて絶妙にそれぞれの視点が交差して一つの点に繋がっていくのが圧巻だった。
Posted by ブクログ
ファンタジーというより、ほぼ古代文明。古代から見れば近代文明は魔法だし、逆は野蛮に見えるもの。
でも面白い
スタープレイヤーよりずっと好きだな。
恒川さんでは特に無貌の神が好きだけど、未来より古の方が親近感あるし
国取り合戦にアナログな肉弾戦戦闘アクションが新鮮。
支配階級の奢りに対して
自分の中のドス黒い部分が
遺伝子レベルで残虐な末路にスカッとする
残虐な表現はあれど、悪と正義は恒川さんらしさそのままに。群像劇で登場人物は多くも分かりやすく整理されて
凄く読みやすく、ページはさほど黒くないし見た目よりサクッと読めました。
Posted by ブクログ
最も愛する現代作家の一人恒川光太郎氏の新作。お得意の幻想譚ではなく、これはマヤ文明の中の一王国の滅亡の様を描く一大叙事詩であり、戦士たち、預言者たち、為政者たちの群像劇。大作歴史小説の味わい。これ、マヤやアステカの知識があればもっと楽しめたのであろうな。もちろん知識が無くてもこの豊饒な物語は十分楽しめる。恒川氏の凄いとところは、一人の人物人生の歩みを描いている部分。読む側としては具体的で生き生きしたイメージを喚起されつつ読み進め、その長い年月をともに歩んだつもりになって頁を戻ると、それがほんの二、三頁だったりするところ。よくぞこんな短い紙幅で豊かな時の流れを描くものだ。同じ物語をたとえば北方謙三先生が書くとしたら全六巻とかになるのではないか(それを読むのもまた楽しいのだけれど)。さて恒川氏、今後このような路線で長編大作を書き続けるのだろうか。一ファンとしては初期のような幻想譚ももっと読ませてほしい。
Posted by ブクログ
エルテカ王国の崩壊に関わる、それぞれの志、それぞれの運命を重厚に描く物語
よって複数人の視点を通して展開されます
個人的には天界の少年レリイの行く末が気になりますが、物語的には敢えてぼかすことに意味があるのかもしれませんね
この余韻もまた恒川ワールドの真骨頂でしょうか
Posted by ブクログ
本作の舞台はマヤ文明
紀元前1000年頃から16世紀頃までメキシコを中心に実在していた謎多き文明
そこを舞台に、「エルテカ」という架空のひとつの王国が滅びゆくさまがこの「鈍器本」には描かれている
その重さ577g
分厚くてもちにくいし、そこそこ重たい
私は左手で本を持って読むが、長時間読んでいるとさすがに左手が疲れてくる
エルテカが滅びるのが先か、私の左手が滅びるのが先かまさに我慢比べの読書だ
そう思った矢先、『ジャガー・ワールド』はやりやがった!
生贄屋敷から逃れた少年
最強無敵の怪力戦士
謎に包まれた最高神官
反生贄思想を語る赤いマントの少年など、作中にさまざまなキャラクターを登場させ、それぞれの視点でエルテカの歴史を見つめていきやがった
ちっ!やられた
これがまた面白い
簡単にエルテカを滅ぼすつもりないようだ
となれば持久戦だな
私も右手に本を持ち替えて果敢に挑む
しかーし、ダメだ!
やはり普段慣れない右手持ちでは読みづらい
仕方なく疲弊している左手にふたたび持ち替えるものの…
く、苦しい…
次第に椅子に座っているお尻は前にずれていき、身体は左へと傾きだす
そして、無念にもノックアウト!
エルテカが滅びる前に、私の左手が滅びてしまった
と、いうことでみなさんも鈍器本に果敢に挑もとする無茶なことはおやめください!
その後は数日をかけて読み、エルテカの滅びゆくさまを見届けました
Posted by ブクログ
久しぶりにファンタジー小説を読みました。
分厚くてずっしりと重い鈍器本なので、覚悟を決めて読み始めましたが、余白が多くて1ページ当たりの文字数が少ないので思ったより読みやすいです。
エルテカ国という巨大な国家が衰退して滅びるまでの物語です。マヤ文明とアステカ文明を下敷きにしていて、祭壇に生贄を捧げる文化があり、人間が殺されて生贄にされたり食人の風習があるのですが、描き方が淡々としていて残酷さはあまり感じません。
多くの登場人物たちの行動は、分かると思うところと分からないと思うところがあり…そういうところに人間らしさを感じました。こういう話は、愚かで残虐な現王と心優しく賢い新勢力の戦い…という形になりそうですが、そんなに簡単な話ではなく。現王の周りにも賢く優秀な者がいれば、新勢力の側にも愚かで日和見主義的な者もいるし、正義と悪との戦いでもない…。国家が生まれ、栄え、そして滅びるという、これまでに何千年も繰り返してきたであろう人間たちの営みを描いた物語でした。
王侯貴族から神官、戦士、平民、奴隷まで、登場人物の話し方や言葉遣いが基本的に全員同じなので最初は違和感がありました。現代人すぎるな…と。しかし、読み終わってみると、現代人風の口調のおかげで遥か遠い世界がぐっと身近に感じられましたし、人間の普遍性みたいなもの(良くも悪くも)がよく分かるなぁと思いました。
Posted by ブクログ
現代から見たら野蛮で未開な風習のある古代マヤ文明
その中で生きる人々を感じる中で、現代社会だって未来から見たら野蛮で未開なんだろうと感じる
当然とされていることを疑い、自分も誰かを犠牲にして、誰かの権利を蔑ろにして生きているのではないか。
古代マヤ王国人から見ても野蛮で、食糧として日常的に人肉を食する部族の一員だったドルコ
王国に捕らえられ言葉や暦、信頼できる人物との出会いや戦いを経て、彼は変化し最後は最高神官からの脅しにも屈しない
彼の変化はそのまま人類の変化のようであり、その変化は良いことなのかという疑問を投げかける
学び、知ることを始めたらもう元に戻ることはできず、進むしかない
進む先にあるものは今だって誰も分からない
その中で良き人であろうとするレリィの存在は、進み続けるしかない人類を止められたのかもしれない
「一人一人が自分を変え、世界を変える」
膨大なエピソードが一冊にギュウギュウに詰め込まれていて、一気に読んでしまった。
希望を言えば一つ一つの話を丁寧にもっと読みたかった気もする。
そして、最高神官のバディで無双するのも見てみたかった笑
Posted by ブクログ
タイトルといい、装丁といい、分厚さといい、ストーリーといい、まさに鈍器。笑
まずこのカバーイラストの緻密な描写!好きすぎる。
マヤ文明をモチーフにしたストーリーで、現実社会から逃避したい方にはもってこいの、異世界に没入できる作品。
登場人物が多く、彼らそれぞれに信念、欲望、迷いがあり、それぞれが淡々と物語られる。だから、私は感情移入はできなかったのだが、その手法ゆえに物語の壮大さを漂わせている気がする。
一番興味深かったのは、ある宗教が誕生する瞬間を見たこと。
最初の教えを説いた人の考えは、賛同者が増えるごとに解釈を変え、当人が意図せぬ方向に流れていく。それはもはや制御できない。人が集まると往々にしてそうなる。
あと、面白かったのは、宗教が全てそうというわけではなく、このストーリーに出てくる宗教には「推し活」を連想させるものがあったこと。
推している人の夢を叶えようとする時の無双感、またそれを喪失した際の絶望感。それが、ある人物を通して描かれている気がする。
ただ、それは、自分が生きていく希望を誰かに預けずにはいられない時代であったり、環境だったりする。
自分で選択することができないから、何かの象徴であったり、大きな動きに乗っかろうとする。
最近でいうところの、衆議院選挙を思い出してしまった。
私たちは、どこまでその人の考えを理解しているのだろうか。
この物語は地政学的な要素もあり、現代社会のあり方を色々と考えさせられるものだった。
Posted by ブクログ
いま、国が数多く存在していることはもしかしたらすごいことなのかもと思った。
読み応え十分で、見た目よりは読みやすかった。シベリア良すぎ、強い男ってやっぱり最強!女戦士ルルカンもかっこよかった。人は何故、戦うのか、本当に自然にそうなるものなのか。
脳死で伝統にこだわりすぎるのは愚かだと思った。破滅しかない。ウェラス族はどうなっていったんだろう。
Posted by ブクログ
エルテカという膨大な国が滅びていく話。
マヤ文明がベースに入っているので、そちらの文化や儀式もしっかり組み込まれています。
フォスト・ザマが王になる手前くらいまではグイグイ世界観にのめり込んで行けたし、この先どうなるんだろう?とワクワクでしたが、最後が若干消化不良…
レリィの志はわからなくもないけど、終わり方には納得できず。
カザム・サクがあそこで死ななかったなら、もっと違う結末だったのかな、なんて思いました。