あらすじ
太陽神につつがなく運行してもらうためには、生贄を捧げなければならないーー。
生贄制度が残り、王と神官が絶対権力を持っていたマヤ文明。
父と母を殺され、姉を生贄にされ、自らも生贄として殺されかけた少年・スレイは、ウェラス族のヘルマスに救われなんとか命をつなぐ。
生き残れ、地獄のようなこの国で。稀代のストーリーテラーがおくる、前代未聞のマヤ文明サーガ!
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Posted by ブクログ
この物語は、たぶん、あなたが想像しているような「単純な復讐劇」じゃない。
もちろん、血と、炎と、激情はある。
でも、その場面に至った人物のそれぞれが 深く掘り下げられている
「見かけ」だけじゃない人生の奥深さを、遠慮なく見せつけてくる。
淡白な文体。
次の瞬間、何が起こるか分からない。
まるで、この世界を支配する法則が、唐突に切り替わるように。ページをめくる手が止まらないのは、その静かな筆致の向こうに、人生の真実が詰まっているからだ。
Posted by ブクログ
マヤ文明、生贄、国の滅亡と重いテーマではあるけれど、登場人物みんな魅力的で、それぞれの関係性や繋がりも深掘りされていてのめり込んでしまいました。
だからこそ旧知の仲だったり、かつては同志だった人たちがそれぞれの考える正義や信じる道を選んだ結果争うことになってしまうのがとてもやるせなかった。
和解してほしい人たち、この人は生き延びてほしいと思った人がどんどん命を落としていく…
生い立ち、立場、選択、何かがどこかで違っていたら全く違う人生を歩んでいたかもしれない。
ファンタジーだからといって死んだと思っていた人が終盤になって実は生きていました!と登場するなんてご都合展開もなく、命を落とした人はそれで終わり。
淡々とあっさりと人が死ぬ描写が、かえって戦争での死が特別ではないことを物語っているようでした。
主要人物はもちろん、一般市民や一兵士など、1人1人に人生があるんだよなあと思いを馳せる、壮大な作品でした。
Posted by ブクログ
登場人物各々の人生が眩かった。呆気なく死んでいったイチ雑兵にも人生があったんだろうなと思いが巡る。彼らの生まれや立場が違えば、また違った歴史もあったのかな。どの人物をとっても、より深く知りたいと思える。死霊大槌は怖い。重くてデカいけど本棚に居てほしい一冊。
Posted by ブクログ
現代から見たら野蛮で未開な風習のある古代マヤ文明
その中で生きる人々を感じる中で、現代社会だって未来から見たら野蛮で未開なんだろうと感じる
当然とされていることを疑い、自分も誰かを犠牲にして、誰かの権利を蔑ろにして生きているのではないか。
古代マヤ王国人から見ても野蛮で、食糧として日常的に人肉を食する部族の一員だったドルコ
王国に捕らえられ言葉や暦、信頼できる人物との出会いや戦いを経て、彼は変化し最後は最高神官からの脅しにも屈しない
彼の変化はそのまま人類の変化のようであり、その変化は良いことなのかという疑問を投げかける
学び、知ることを始めたらもう元に戻ることはできず、進むしかない
進む先にあるものは今だって誰も分からない
その中で良き人であろうとするレリィの存在は、進み続けるしかない人類を止められたのかもしれない
「一人一人が自分を変え、世界を変える」
膨大なエピソードが一冊にギュウギュウに詰め込まれていて、一気に読んでしまった。
希望を言えば一つ一つの話を丁寧にもっと読みたかった気もする。
そして、最高神官のバディで無双するのも見てみたかった笑
Posted by ブクログ
物理的な本の厚みを忘れるくらい物語の推進力が途切れない
神話的存在(ジャガー神)や生贄儀式など、現実と幻想が交差しつつも、文明そのものが物語の骨子として存在するため、惑わないし迷わない
いつの世も盛衰を経ての今であり、1秒先は過去になる
現在進行形で繰り返されてもなお、人間社会の欲望と矛盾は、人類の行く先に予断を許さない
Posted by ブクログ
確かにファンタジーだけど今まで読んだことのないファンタジーだ!これは何!とまず思いました。
精霊がいる洋風な世界観だったり、妖怪や鬼が出てくるようやな和風なファンタジーが多いなかで、「マヤ文明」のファンタジー小説。
マヤ文明×ファンタジーってこんなにハマるんだ!と驚きました。
生贄や、月の満ち欠けを重要視する世界観。
生贄を手に入れるために引き起こされる争い。
ファンタジーというと読みやすかったり、
どちらかといえば明るいイメージを持たれがちだと思います。
しかし本作はめちゃめちゃ骨太なファンタジー。世界観はもちろん作り込まれていて、その上で冒険したり争ったり。普段ファンタジーを読まないでも人でも作品入りやすく、のめり込むはずと思いました。
そしてわたしはスレイとディノのコンビがめちゃめちゃいいなと思いました。出会いは偶然かも知れないけれど、
最後に明かされるディノの出自を聞くと、2人が出会ったのは必然だったかもしれない、そう思いました。
私はこの2人が好きな登場人物なのですが、
本作は好きな登場人物が読む人によってかなり分かれそうだなと思いました。
みな、良くも悪くも自分の思うままに行動していてそれぞれが魅力的な人物だと思うからです。
他の読者のの推し人物も知りたいです!
Posted by ブクログ
エルテカという膨大な国が滅びていく話。
マヤ文明がベースに入っているので、そちらの文化や儀式もしっかり組み込まれています。
フォスト・ザマが王になる手前くらいまではグイグイ世界観にのめり込んで行けたし、この先どうなるんだろう?とワクワクでしたが、最後が若干消化不良…
レリィの志はわからなくもないけど、終わり方には納得できず。
カザム・サクがあそこで死ななかったなら、もっと違う結末だったのかな、なんて思いました。