小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
『月夜行路』
秋吉理香子
秋吉理香子が描く『月夜行路』は、人生に行き詰まった主婦が、文学に深い造詣を持つトランスジェンダーのスナックのママとともに旅へ出る物語だ。主人公は家庭の中で自分の存在が薄れていくような感覚に悩み、心のどこかで「このままではいけない」と思いながらも動けずにいる。そんな彼女の背中をそっと押すのが、繊細で聡明なママの言葉だ。二人は主人公の“別れた元カレ”の行方を探すために旅に出るが、その道中はただの思い出探しでは終わらない。ゆく先々で不可解な出来事や小さな事件に巻き込まれ、旅は次第にミステリーの様相を帯びていく。そこで頼りになるのが、ママの文学の該博な知識だ。古典から現代 -
Posted by ブクログ
『シェイクスピア全集 夏の夜の夢』
白水uブックス
恋人たちのすれ違い、妖精たちのいたずら、そして森の夜の幻想が入り混じる、シェイクスピアの代表的な喜劇。アテネ近郊の森を舞台に、若者たちの恋愛模様が魔法によってかき乱され、思いもよらない展開へと転がっていく。妖精パックの悪戯が物語を軽やかに動かし、現実と幻想の境界が曖昧になるような夢幻的な雰囲気が魅力。白水uブックス版は翻訳が読みやすく、古典劇のリズムを保ちながらも現代の読者がすっと入り込める文章になっている。恋愛劇としても、幻想文学としても楽しめる一冊で、静かな午前に読むと気分がふわっと軽くなる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレテオがポルティオにフィンセントの絵を披露するシーン
じゃがいもを食べる人々の説明シーン
タンギー爺さんが登場するシーン
忠正がフィンセントに伝えたセーヌ川の舟になればいいと伝えたシーン
星月夜を忠正が目にしたシーン
フィクションだとしても、フィンセントが37で亡くなったことは紛れもない事実。
ラストにかけて、フィンセントの孤独が痛々しく胸に突き刺さってどうしようもなく切なく、悲しいやり場の無い気持ちで涙が止まらなかった。
フィンセント・ファン・ゴッホを知るきっかけが、この本でよかった。リボルバー読み進める!
林忠正のことももっと知りたい…… -
Posted by ブクログ
社会学をはじめとする学問は、圧倒的多数のもの、マジョリティのものを集め、分析し、傾向や性質、本質などを明らかにするもの。この本は、マイナーなもの、その他に分類されるもの、カウントされないものに焦点を当て、大切なものや共通点を見出そうとしている。何かに傷ついた時、傷つけられた時、大抵は「怒る」「泣く」という感情が出るが、自分と心を守るために「笑う」という感情が出ることがある。それを失礼とか、おかしな奴とかいうことではなく、そういうこともあるよなと俯瞰することで、本当の気持ちみたいなものにより近づくかもしれない。また、本当に個人的に「良い」と思っていることは誰も傷つけないが、一般的に良いとされてい
-
Posted by ブクログ
娘が母親を殺害した事件を題材としたノンフィクション作品。
作者とあかりさんの面会や文通での記録を通して、幼少期から犯行に至るまで、刑の確定後の心境などが描かれている。
作中には実際に当時行われたラインのやり取りも記載されており、あまりにも生々しく読んでいるだけで心拍数が上がるほどのストレスを感じた。
母は何に囚われていたのか。
それは愛だったのか。
(個人的には精神的な疾患だったのだとは思うが)
読者からしたらあまりにも異質なものであるが、あかりさんは幼少期から当たり前のようにそれを受けており、常に母に怯えながら期待に応えないといけないと感じ続ける日々がどれだけ酷か。
作中に母か自分のどち -
Posted by ブクログ
ネタバレ江戸時代、土佐の船乗りが嵐にあい、無人島に流れ着き生きていくサバイバル小説。
たった4人で、森も川もないため飲み水もない。
もちろん無人島なので人もなく、野菜も果物もなく、生き物らしい生き物は大量のあほう鳥だけ。道具もないので火も立てられない。とても生きていけるとは思えない。
漂流者たちは基本的に皆善人であり、しんどすぎる運命に翻弄される彼らの人生と、その中で僅かに見える希望との落差の連続に泣けてしまった。
驚くべきはこれが実話であること。フィクションならまだもう少し生きられそうなマシな設定にするのではないだろうか。
実話であり、その物語が今読めるということは…是非結末は調べずに読んで欲
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。