あらすじ
思いがけないきっかけでよみがえる一生に一度の恋、そして、ともには生きられなかったあの人のこと――。大胆な仕掛けを選考委員に絶賛されたR-18文学賞大賞受賞のデビュー作「カメルーンの青い魚」。すり鉢状の小さな街で、理不尽の中でも懸命に成長する少年少女を瑞々しく描いた表題作他3編を収録した、どんな場所でも生きると決めた人々の強さをしなやかに描き出す5編の連作短編集。(解説・吉田伸子)
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Posted by ブクログ
町田そのこさんの人情ストーリーですね。
町田そのこさんのデビュー作品です。
とにかく新人のデビュー作品とは思えない、バイタリティーと筆圧、構成力で読み手を圧倒します。
町田そのこさんは1980年生まれですから、まだ若く綺麗な人です。
そんな人が、連作短編とは言え、女性の情念を深く描かれているのに驚きました。
どちらか言うと、私はこの手の作品は、苦手なのですが、読むうちにぐいぐい惹き込まれました。
また、男性の幼稚さを垣間見れる、世事に長けた物語構成には、脱帽です。
『コンビニ兄弟』から、町田そのこさんを読み始めたので、そのギャップに困惑しましたが、これが町田そのこさんそのものの作品なのですね。
連作短編五話です。
目次
カメルーンの青い魚
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
波間に浮かぶイエロー
溺れるスイミー
海になる
町田そのこさんは、福岡の出身で、私と同じ郷里なので親近感が強いのです。
これから応援したいですね(=^・^=)
Posted by ブクログ
どの章も惹き込まれるストーリーだった。
登場人物は特に晴子と芙美が好きだったな。
晴子はおばあちゃんが自分の元にいなくなっても自立していこうという姿勢が感じられて応援したくなった。自分をいじめてきた奴に馬乗りになって殴るなんてかっこよすぎる!
そして魚のチョコレートグラミーに例えるなんて、なんてロマンチックなんだろう。
芙美は口が悪い時はあれど、あんなに優しい嘘をつけるなんて。誰にでも出来ることではない。あの人柄はおおらかを超越していた。
連作短編小説、いいなぁ。
章と章が少しずつ、ゆるやかに繋がってる。
個人的に晴子のその後がちょっとだけでも知れて満足!
町田そのこさんの作品、もっともっと読みたいな。
Posted by ブクログ
『環境』という名の『水槽』の中で、上手く泳げなかったり、迷子になったりと生きづらさを抱えた女性達を描いた連作短編集。
趣向を凝らした最初の一行。
登場人物を魚になぞらえたり、差し歯がとれた、フルーツガム、孵化した、椅子に座っていられないなど印象的な言い回しにガッチリと心を掴まれる。
各話の主役は異なるが、前話の登場人物との意外な繋がりが判明したりと、設定がサプライズ的に明かされる仕組みには思わずにやり。
どんでん返し的な演出も、アンニュイな世界観に華を添えている。
迷える主人公達の側にいる数少ない理解者達。
彼らとの交流の中で一縷の希望が生まれる流れが大変美しく、特に前述のどんでん返しを利用した希望の生み方には感嘆した。
水槽から出ていく選択をした人も、留まる選択をした人も、全ての登場人物達を応援したくなる、濃縮された人間ドラマが魅力的だった。
Posted by ブクログ
えぇ〜!これがデビュー作!?
衝撃…そして、納得。
私がこれまで読んできた町田そのこさんの作品、その原点がここにあるような気がした。
どの物語にも、人の温かさがある。
人生は、思い描いたようには進まない。
みんな、迷ったり、傷ついたり、時には道を外れたりしながら進んでいく。
だから、どの物語にも人間らしさを感じるし、自分が悩んだり苦しんだりしてることも受け入れられる。
そして、前に進める気がしてくる。
デビュー作なのに、すでに私が知ってる「町田そのこさん」そのものだった。
Posted by ブクログ
繊細でありながら、小説に惹き込ませる力がすごい!これがデビュー作だなんて、すごい!
人それぞれに事情があって、お互いが生きていることで、優しさを分け合うことで、人を救うことができるんだと思わせてくれる連作短編集。
Posted by ブクログ
一度電子書籍で読んだことがあるので再読。
定期的にこの本の世界観を全身に浴びたくなるのはなんでだろう。
琴線に触れる感動とも悲しさとも呼べない感情が毎回溢れてくる。町田さんファンも初めて読む方にもオススメしたい。
Posted by ブクログ
随分前に購入したけれど読み切れてなくて、再度読み始めたら、あっという間に読んでしまいました
必要な嘘があるということ、いなくなった人を大切に思う気持ち、考えさせられました
私もその時がやってくるまで、自分の大切なものが分からなくならないように頑張って生きていこうと思います
Posted by ブクログ
永遠だと思っていたものって多分たくさんある。なのに、びっくりするくらいにあっさりと、なくなっちゃってる。
実家の子供部屋で姉とずっと喧嘩をしていると思ってたし、大好きだったあの人とは死ぬまで一緒にいると思ってた。
実家を出て親がいない場所で過ごし、大好きだったあの人のことは大嫌いになって別れた。
永遠なんてどこにもなくて寂しくなる。だけど、永遠を突き出されると息苦しくなる。そんな矛盾が自分の中にずっとある。
同じ場所にいたくない、ここじゃないどこかに行きたい。だけど、変わるのは怖い。私を知らない人だらけの街で生きたい。だけど、ずっとそこで暮らすのは怖くて寂しい。そんな思いにぐちゃぐちゃになって夜中飛び出したくなるときが結構ある。
この本を読んで、なんやこの気持ちって私だけちゃうんやって心が軽くなった。大人になっても迷っていいし、もがきながら生きていけばいいんや。と息がしやすくなった大切な一冊。
Posted by ブクログ
①カメルーンの青い魚
りゅうちゃんは、ここで必死にヒレを動かして、生きてくれた。私の為に、苦しいのに一所懸命ヒレを動かしてた。りゅうちゃんが生きていく為にヒレを動かしたら、私が傷ついた。
りゅうちゃんがここでどれだけ生き苦しそうにしていても、傍にいて欲しかった。同じ水の中にいれば、私は幸せに泳いでいられたの。
メダカに例えた2人の関係性。お互い大好きで大切なのに、一緒にいると互いを苦しめてしまう。おそらく2人は種類の違うメダカ。終わり方が悲しく、でもそれが2人が選んだ生き方なのだと思った。啓太という存在がちょっとした仕掛けになっているのもポイント。
短いながら心に残る話だった。
②夜空に泳ぐチョコレートグラミー
この町は水槽だ。
私は晴子のチョコレートグラミーになってあげるからね。
啓太と同級生の晴子の話。
「孵化」した晴子の覚悟がかっこいい。
本作におけるチョコレートグラミーが何を意味するのか、その物悲しさ、儚さ、愛の美しさがとても良い。
③波間に浮かぶイエロー
あなたがわたしのことを一生想うんなら、わたしも一生覚えています。この世のどこかにわたしのことを好きなひとがいて、わたしのことをいまこの瞬間も想っているんだなあって。
雨降りの朝とか、最悪な一日の終わり、自分が嫌になっちゃった瞬間なんかには思い出します。わたしのこと好きな男は何してるんだろうって。だから俺は、彼女が生きている限り、生きていられる。
恋人が突如自死してしまい、その理由を求めて街にたどり着いた沙世、
ブルーリボン店主の「おんこ」の芙美、
昔の芙美との約束を果たすために店に来た妊婦の環の3人の話。
それぞれが抱える想いが複雑に絡まっていて、いちばん重みのある話だった。
一作目同様に潜んでいるトリックも物語をより深いものにしている。
サキコが登場し、場を明るく和ませてくれるのは息抜きポイント。
ハナヒゲウツボみたいな生き方、雄性先熟という見方、亡くなっても誰かの中で姿を変えて生きているという見方のどちらも素敵。
④溺れるスイミー
水の流れの急な『瀬』と、ゆっくりと流れる『淵」。水流が僅かに留まるそこで、魚たちは休息を取るのだ。
楽な場所を求めて彷徨うことよりも、あの町での呼吸の仕方を覚えなきゃいけない。
水槽の中で、群れの中で、ひとところで生きていくのが苦しい唯。
共生ができない、他者とは異なる性質を持つという意味で唯は群れの中のスイミーなのだろう。
絵本のスイミーは群れの中で他者との違いに悩み、居辛さを感じているが、自分の存在意義を見つけ、最後にはれっきとした群れの一員となる。
現状、「瀬」が苦痛で、群れの中で呼吸がしづらい唯は確かに溺れたスイミーだろう。それでも水槽で生きる道を選んだ。宇崎くんと「しるし」の存在が道標になってほしい。
Posted by ブクログ
実にうつくしかった。
人間のここにいたいけどいられない衝動、知りたいのにもう知ることの出来ないことに対する感情をこれほどまでに言語化できるのか。
カメルーンの青い魚ではサキコにとってたった一人の唯一無二の存在であるりゅうちゃんが描かれる。
りゅうちゃんはずっとサキコといてくれる訳じゃないしセックスだって優しいわけじゃないし、仕事は何をしているか分からないけどサキコにとっては彼の代わりはいないし、彼しかいない。
サキコは何があってもりゅうちゃんを信じている。
そんな気持ちがわたしにもわかる気がする。
悪いところをあげればきりがないけれどこの人しかいない。
彼の匂い、声、言葉ぜんぶを思い信じて過ごし続けるサキコが印象的だった。
夜空に泳ぐチョコレートグラミーでは最初の近松晴子が孵化したという文章がかなり惹きつけた。
今まで殻にこもり親鳥に守ってもらっていた雛が親鳥を失ったことで覚悟を決め、自分で生きていくことを覚悟した瞬間が描かれている。
晴子は不器用ながらも人と関わること、小さな水槽で息をすることを覚えていく。
その様子は一見強くなったように見えるけれど、弱いままの晴子が自分がこれから生きていくために、どこでもひとりで生きていけるように強く見せているようなそうするしかないような感じを感じる。
啓太もそれを間近で見て、晴子の覚悟を感じて、自分も母親であるサキコのわがままに向き合おうとするのがまたいい。
彼もまた大人ぶっているだけでまだまだ弱い。
最近存在を知った得体のしれない父親に会いに頼りないさっちゃんと行くだなんて無理だと反発して酷い言葉を浴びせたのは隠れて泣いているさっちゃんが大好きだからこの街でないと生きていけないさっちゃんを守るためだったのだ。
この部分を見ると啓太はりゅうちゃんからさっちゃんを守るという役割を与えられたのかなと思う。
りゅうちゃんは自分では守るためには置いていくしかなかった。
でも啓太には背中を押すことができる。
さっちゃんに見えた違うところでも生きていけるという覚悟は晴子の覚悟に近いものがあったのでは無いだろうか。
波間に泳ぐイエローでは環さんが1番自分に近いのではないかと思う。
どれだけ嫌なことがあってもどれだけ人に嫌われてもこの世の中にあの人だけはわたしのことを好きでいてくれてるんだと思うと楽になる。
環さんはおんこになった芙美さんを受け入れられずに上手く接することができないけれど、そんな環さんでも好きだった女は見捨てたりできないと優しく待ってくれる芙美さんがなんだかかっこよく感じた。
芙美さんは男として生きることも合わなかったし、女とて生ききることも出来なかったけれど、おんこという名前を付けて自分なりのスタイルを自分で作って生きていくというのが凄くよかった。
別に元からある枠に収まらなくたっていいのだ。
芙美さんはブルーリボンに出会ってそれに気づいたんだろう。
わたしは女として生きることに違和感を感じたことはないし、男として生きたいとかも思ったことがないけど、これから先の人生でああわたしこの枠に入っていると息がしづらいなと思うことがあるかもしれない。
そう思った時に、この話を思い出したいなと思う。
芙美さん、いや文雄さんが見たのはただオスからメスに変わっていくウツボではなく、息がしづらかった今の自分に新しい選択肢をもたらしてくれた希望だったのではないだろうか。
環さんの話も興味深かった。
自分が若い時にした過ちが歳をとってかえってきたのだ。
環さんは自分のことをバカな少女のままだと言う。
だから係長の奥さんみたいにはできない。
子供を守れない。
38になってもまだ子供を守るために不倫なんて許せない。
当たり前だ。
これから育てるはずだった愛する人との宝物が一気に重荷になるだろう。
不倫相手から彼を取り戻したいだろう。
環さんはここには戻ってこないと言って出ていったがその後どうなったんだろう。
覚悟のできた彼女ならきっとどんな結末でも受け入れられるだろう。
帰ってくる場所があるのだから。
溺れるスイミーでは父と同じように「ここ」には収まっていられなくてここではないどこかを求めてふらふらと出かけてしまう唯子が描かれている。
置いていかれる悲しみを知っている彼女はここではないどこかを求めながら、父の気持ちを理解していく。
彼女が特段悪い所のない立野さんと結婚することに抵抗したのはそれだ。
結婚するというのは一見幸せなことに見えるが、一生をその人と過ごすこと、一生ここで生きていくことが決まることだ。
彼女は息のしやすいどこかを求めていた。
宇崎くんは実際そうだったのだ。
宇崎くんと唯子は同じだ。
自分が息のしやすいどこかを求めて色んなところに行く。
ここも違うとわかる度に胸が痛む。
わたしが唯子だったならきっと宇崎くんについていっただろう。
君の行きたいところ、君の息のしやすいところを探してふたりで色んなところに行こう。
俺が連れて行ってやる。
唯子にとってはあまりにも魅力的だ。
ここではないどこかを求めてしまうのを分かってくれるひとが現れたのだ。
でも唯子は父と同じにならないことを選んだ。
置いていかれる悲しみを母に味あわせまいとした。
彼女がした選択が正しかったのかどうかはわからない。
だってその選択は彼女にとってとても辛いことだろうから。
息のしにくいところで息の仕方を覚える。
それは簡単にできることじゃない。
ここで最初の話と繋がってくる。
りゅうちゃんは息のしにくいところでは生きていけなかった。
だから出ていった。
でもサキコは息のしにくいところでの息の仕方を覚えた。
サキコは置いていかれたけれど、りゅうちゃんのことを信じているし、サキコにとってはりゅうちゃんしかいないのだ。
唯子の中で宇崎くんのくれたしるしと曲がった鼻はずっと変わらずに生き続けるだろう。
海になるの話はいちばん考えさせられた。
子供を産めない体になり、4回も流産して、夫に毎日暴力を振るわれる。
そんな生活なら、子供が産めない体なら、もう生きていなくていいんじゃないか。
わたしだってそう思う。
最初の「今日は私の誕生日で、とてもいいお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った。」の1文で一気に心を掴まれた。
彼女にとってこの日々は死んだ方がましな生活だっただろう。
だけど、自ら死を選ぶなんてことはしてはいけない。
死を選びたくなくても死んでしまった自分のつくった命が4つもあるのだ。
清音が触れた奥さんの体は柔らかさなんて無くなった骨と皮だけの枯れた体だった。
死人の匂いがした。
けれど、桜子さんの体はまだあたたかったんだ。
柔らかった。
まだ、生きているの。
清音が桜子さんに旦那の首を絞めてこいと言ったのは、本当に殺させるためじゃない。
生を感じさせるため。
鼓動を感じさせるため。
いつか自分が奥さんにしたように首を絞めさせたら感じる人のいのち。
わたしももう死にたいなとおもうことがあった。
でも、どんな人でも生きているんだ。
清音が海にまいた奥さんはきちんと海になれたんだろう。
最初は本当に桜子さんを楽にしてやろうと思ったのかなと思ったけど、きっと人の命を感じさせるためだったんだろうなと想像できる。
桜子さんはまだ生きられる。
死にたくなかった人じゃないんだ。
ここまで短編小説ごとの感想を書いたが、この小説はひとつのことを教えているような気がする。
ここでは息がしづらい。
ここで息の仕方を覚えるか、ここでないどこかを求めるかは人それぞれだ。
それぞれの登場人物が偶然いや奇跡として絡み合っていく様子がうつくしい。
みな違う人生を生きているし、違う困難にぶち当たっているけれど、みな自分の生き方を見つけていくし、それにはやはりなにか壁にぶつかるしかないんだろうなと思う。
その過程で、誰かひとり信じられる人。
死人でもいい、どこにいるか分からない人でもいいけれど、自分の生きていくしるしを持っていれば、ひとは小さな「ここ」に閉じ込められなくても生きていけるんじゃないだろうか。
Posted by ブクログ
めっちゃおもしろかったです
読みやすかったです
人の割り切れない感情とかのグロくなっちゃいそうな感じを優しい文体?で表現していてすごいと思いました
Posted by ブクログ
短編5作。
ひとつひとつのお話はするすると読めてしまうけど、またひとつひとつ繋がっていて、最後のお話はどこに繋がっていくんだろうと思いながら読んだ。
短編ごとの表題も優しく切なく、ストーリーと繋がっていて最後の読後感まですごくよかった。
匿名
あっという間に読了
初めて町田さんの本を読みました。解説やレビューでも注目されているように書き出しの文が秀逸で目を引きます。ぐんぐんと読み進められてどの瞬間も面白かったです。まだまだ読みたいと思える作品でした。お気に入りです!
とても綺麗な短編連作集でした。どのエピソードも出だしの一行で続きが気になりあっという間に読んでしまいました。そしてラストの胸が暖かくなる光が指すような締め。お見事でした。
匿名
今この瞬間に出逢えてよかった
人には浮き沈みがあるが、ひどく沈んでいる時にこの本に出逢えた。壊れそうなほど生々しく辛い事象達がずらずらと並んでいるのに、最終的には力強く前を向いている。まるで今の私に前の向き方を教えてくれる教科書のようだった。ぜひ読んでください!
匿名
短編集なにの長い長編を読んだみたいでした。
物語の登場人物が繋がってるのでそんな感じがするのかもしれませんが、読み終えた後の感動は凄かったです!
どれも前向で自分の心を強くしてくれた気がします!
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
町田そのこ先生の連作短編集。彼女のデビュー作でもあります。
デビュー作?と聞き返したくなるほどの完成度です。
どの短編もぐっと引き込まれる魅力があり、切なくて愛しくなります。
Posted by ブクログ
どの章も、最初の一文で物語に惹き込まれる。
町田そのこの圧倒的言語力が刺さる。
面白かった、とは違う感情だけど、どの章も主人公の壮絶人生物語が巧みに描かれていて、どんな風に生きていたらこんな物語が書けるんだ、と思った。
Posted by ブクログ
理不尽の中でもがき苦しむ主人公がメインの短編集
そこまで辛い目に合わせないで、と、願いながら、そして一縷の光が指してくれるのか?そう思いながら読み進める一冊
Posted by ブクログ
狭い水槽の中で、泳いでいくという覚悟を決めた人たちを描く5つの短編集だった。
これは、いま息苦しい人も自分で泳ぎ方を見つけるべきだ、といった強いメッセージに見えた。
これは割と辛い状況にある人を救うかもしれないなと思った。
どの話も上手いこと魚に例えられていて、今までそんな風に考えたことなかったから、非常に面白かった。
主人公たちは分かりやすい逆境の中にいるけれども、どれも共感できる感情だった。
特に私は「溺れるスイミー」で泣いた。
仲間は穏やかに水槽に向かっていて、自分もあそこにいなくてはと思うのに、離れていくことに安堵してしまう。そして自分が壊れているのではないかと思う。
しんどいよな、私もそうだったからよく分かる。
Posted by ブクログ
それぞれの短編ひとつひとつが繊細。一本の線がある。
そしてどの方向の悩みでも自分と重なる部分があると思う。悩み、苦しみ、辛さ。それぞれの思いと考えがズンとくる。しんどいときに読むとより重なってくるかも。
Posted by ブクログ
短編集が苦手な自分でもいいなと思える作品だった。作中の登場人物はかなり訳ありな事情を持っている人が多く、私自身も共感できるところがいっぱいあって、「生きよう」と強く思わせてくれた。特に最後の話である「海になる」がめちゃくちゃ良かった。
Posted by ブクログ
「52ヘルツのクジラたち」の小魚短編集みたいな作品でした。
「チョコレートグラミー」という魚を知らなかったので、タイトルから内容が全く連想できない状態で読み始めましたが、「泳ぐ(生きる)場所」で繋がった作品達は、水槽から始まって最終的には大海に行き着くように広がっていくようなお話で、素敵な構成でした。
「溺れるスイミー」の“息がしやすい所を探せばいいよ”というメッセージに気が付いたら涙していました。
町田そのこさんは、「どこか歪みがある」「不器用に生きてる」「欠落してる所がある」ような人物達の中にある『尊さ』をとっても綺麗に表現されるので、読んでいて心地が良いです。
良い本と出会えて嬉しい!
Posted by ブクログ
読んでいてつらい場面もあったけど、やさしくて、あたたかかった。文章が心地よくて読みやすくて、抽象的なところとかこの登場人物はどこのあの人なのかとかわからなかったところ、終わった後にもう一度読みたいと思った。1番最後の「海になる」がよかった。
海を通じて巡り巡る人の苦しみや優しさが、やがて誰かに辿り着き、救い、育む。
海に対してきれいだけど怖いというイメージが強かったけど、この本によって印象が変わった。
Posted by ブクログ
直接は関係ないけど、とある町のりゅうちゃんとさっちゃん、彼らにどこかで接点がある人々を含めた5つの物語からなる短編集。
町田そのこさんは、はじまりを大切にされる作家さんとのことで、いずれの物語も最初の一文にぎゅっと中身が詰まっています。
自分が生きている世界(今)を水槽に見立て、そこから海に出て生きていくのか、はたまた水槽から出ることなく生きていくのか、それぞれの恋愛と選択、そして結末に想いを馳せる作品です。
個人的には波間に浮かぶイエローが一番好きです。てっきり自分にとってのハナヒゲウツボなのかと思っていたけど、実は他人のためのハナヒゲウツボだったのか、と話の構成に感動しました。
また、町田さんの作品を読んでいきたいと思います。
居場所を探して
人との繋がりや家族の在り方に揺れながら小さな水槽の一匹だけのメダカと同じで孤独を感じながらも今とは違う自分の居場所を求め広い世界へ飛び出そうとする登場人物達の姿が大きな水槽でのびのびと泳ぐ熱帯魚達と重なりました。
Posted by ブクログ
町田そのこさん初めて読んだ。
短編集。登場人物が重なり合っていて面白かった。
内容自体は重いものが多く、苦しくなる時があった。
ぐっと物語に引き込まれる感覚で読めた。
Posted by ブクログ
読み終わって、面白かったなという感覚はなかった。
それは、人間というものを色んな角度で感じたからなのか。
でも読んで良かったと思う。
Posted by ブクログ
読後感はとても素晴らしいのだけれど、章が進むたびに話が重くなっていっている感覚があり、最中はなかなかにしんどかったです。ひとところにいられない魂を持つ人たちの話、『溺れるスイミー』が一番印象に残りました。
Posted by ブクログ
どの話も引き込まれた!!一回途中でやめちゃったけど読み始めたらぐんぐん!!
ふとした人と人との繋がりを大切にしていきたいな。
3つ目と4つ目が一番世界観に入り込めた!
⭐︎印象に残ったフレーズ
この部屋で夫婦という小さなコミニティを構成し、日々を送る。いずれは子を産むこともあるかもしれない。そうしたら三人に増え、もしかしたらもっと増え、そうしたらマイホームなど買い求めたりするのか。そこまで考えて、ふとうすらおそろしいものを感じた。何か大事なものを見落としているような不安がざわりと肌を覆う。理由がわからないけれど、でも怖い。
Posted by ブクログ
最初の一文は、とにかく衝撃的。
そして最後は、ああ、どうか幸せであるようにと願う。
町田そのこさんの心情の書き方や言葉の選び方は、まっすぐだけど、切なさを孕み、登場人物たちは皆、どこかへ消えてしまいそうな人ばかり。いなくならないで、と思う。
小説らしく、こんな人間いる?こんな関係ある?と思うところも沢山ありますが、その切なさの表現は、なぜか共感できてしまう。
ザ・フィクションの中に、読んで良かったと、少しだけ大きな出来事を体験したかのような、不思議な時間を過ごすことができました。