感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みやすく、本当に面白い。
中学の朝の読書時間や、家で寝るのを惜しんで読んだ依頼のわくわくがあった。
内容もはっとするようなややミステリーじみた仕掛けや、人生の機微、生き方、死についてが描かれていて、とても好みだった。
特に冒頭の「カメルーンの青い魚」がジェットコースターのように走り出して加速するような面白さで、その後もぐっと読めたし、オムニバスに見えて全てが繋がっていて、長編好きにもありがたかった。
他の作品も読ませていただきます。
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町田そのこ先生は本当に世界観の作り出し方が上手いなと改めて感じさせられた。「カメルーンの青い魚」で出てきたシングルの親子。その2人が暮らすすり鉢状の小さな街を主にして作られた話の連作集なのだけれど、その街でしか生きられない人やその街では生きられない人等それこそ水槽の中を泳ぐ魚たちのように色々な種の人物が出てきてどの話にも惹き込まれてしまった。読み進めていくひとつひとつの話の中でさっちゃんやその街の面影を感じる度に懐かしむような気持ちになった。住む街を水槽に例える、という言葉選びの秀逸さと、悩みもがきながらも水槽の中で暮らす魚たちがそこで生きていくことを決める生の力強さの描き方とが本当に才の塊だと思う。人物の心情の描き方がとても上手く、同じ境遇に立ったことがないはずなのに全ての感情に共感できるような気にさせられた。
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こんなにも美しく切ない小説があったなんて。
町田そのこさんの作品を初めて読んだが、とても好きな文体、世界観だった。人は皆それぞれ弱いところがあって、どこかへ逃げ出したい時もあるけれど、そんな中でも自分の性格、状況を受け止め精一杯生きていこうとする登場人物に惹かれた。
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ちいさな水槽で生きていける人もいれば、そこでは息ができない人もいる。
「カメルーンの青い魚」
どんなに大切でも傍に居続けられない、そこから離れてどこか遠くに行かないと息ができない人、りゅうちゃん。どれだけ生き苦しそうにしていても傍にいてくれたら私は幸せだったと想うサキコが、それでもその苦しさ辛さを全部受け止めて手を離す様子は切なく暖かい。
そんな二人の生き方をはじめに、少しずつ絡み合ってる小さな街で生きづらさを抱えた人たちの苦しさには胸がつまる。
この場所で、ここではないどこかの場所で、息苦しくても生きているのだからどこにいても、生きていこうとする人たち。
辛いこと苦しいことをきれいさっぱりなくすことはできないけれど、生きていこうとする力強さがとても素敵な1冊だった。
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チョコレートグラミーという熱帯魚の名前が入った美しいタイトルに惹かれました。
チョコレートグラミーは、親が口の中で稚魚を育てて外敵から守るマウスブルーダーで、縞模様の入ったミルクチョコレート色の魚なのだそうです。
まだ見たことのないもの、知らないこと、気づいてないこと、わからないことがわたしにはたくさんあり、それが少し怖いです。
人は、生まれる場所や環境を自分では選べないし、生まれ持った性分は変えられないし、どんなに努力しても叶えられないこともあり、直面する人生の危機が見えないのが不安なのです。
でも、この小説を読んで思ったのは、夜空を水槽に見立ててチョコレートグラミーを泳がせることができるように、絶望的な深い闇の中にも永遠の命を見出せるのではないかということです。
闇が深いからこそ見える美しさがあるということです。
この作品は5編の連作短編集です。
想像力に溢れた文章と巧みな構成で、物語の中に引き込まれました。
5編それぞれの最初の一文がどれも素晴らしかったです。
なかでも特に好きなのは、5編目の「海になる」の書き出しです。
「今日はわたしの誕生日で、とてもいいお天気の日曜日だから、死ぬにはぴったりの日だなと思った。」
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5話それぞれに、生きづらさと一筋の光があった。
晴子には啓太が、桜子には清音が、唯子には宇崎が...生きづらさを自分一人で抱え込むのは本当に辛い、だからこそその痛みを分かち合える他者の存在ってすごく大きいな〜〜と改めて。
私は特に『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』が大好き。いつも守ってくれていたおばあちゃんがいなくなった今、自分の力で殻を破っていこうと不器用ながらに変化する晴子と、その姿を素直にかっこいいと思える啓太。片親である母親が、父親探しを諦められていないことへのもどかしさを感じつつ、いざと言うときに助けになれるようにバイトをし始めた啓太と、その意図を見抜いて素敵だと言える晴子。
苦しみを乗り越えることは簡単じゃないけれども、その苦しみに向き合うために、前を向くために、互いの存在が作用していて。夜、展望台でのシーンは切なくも温かくて胸が震えた。
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ボロボロのみずぼらしい身なりをして、空腹を抱え、荒れ果てた地方の街を、圧倒的な絶望感を抱えながら裸足でトボトボと歩いているような、、、そんな気持ちになってしまいました。
そんな気分にさせてしまう文書力が凄すぎます。
現在週に一度、日経新聞のエッセイで読んでいる町田さんの素顔に近い部分は、「九州に住んでいる、食べることが大好きで、ウィットに富んだ文章を書く人」という印象を抱いてしまいます。
過去に読んだ「ぎょらん」と「コンビニ兄弟」。同じ町田さんの作品なのだけれど、私にとってはまるで別の作家さんの作品のように思えてしまいます。
「ぎょらん」を読み始めた時、どうにも読むことが苦痛に思われてきたのです。特に最初の2篇。登場人物たちの「とても正気の沙汰とは思えない暗くてグロテスクな生き様」、「救いようのない悲しみと苦しみ」がリアルに描かれている。リアルに見えるというだけではなく肌でも感じられ、音も聞こえ、匂いもしてきそう。しかし、徐々に読む印象が変わってきました。圧倒的な筆力に脱帽しました。それが町田さんとの出会いだったのです。
この作品は「ぎょらん」に近いのかもしれません。ストーリーの圧倒的な暗さと感じる無力感、寂しさといった感情に呆然としてしまいました。
作品全体の構成でも、町田さんの圧倒的な筆力に翻弄されてしまいました。カメルーンの青い魚」で先づガツンとやられてしまい、読み進めて少しづつ平衡感覚を取り戻してきた、と思っていたら徐々に精神状態が不安定になり、最後の作品で息の根を止められてしまうかのような、そんな感覚でした。脳が壊れてしまいそうでした。
町田その子さん。恐ろしい作家さんです。
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解説にもありましたが、各短編の出だしがすごすぎる。まんまと心をつかまれました。短編だけど、つながっていて、心があたたかくなりました。設定はどれも重めだけど、その中でも希望を見せてくれていて、ページを捲る手が止まりませんでした。52ヘルツよりすきかも。
「仕掛け」もいいスパイスになっており、最高でした。天才。
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町田そのこさんのデビュー作だとか。
本当に?って疑いたくなるような出来栄えにビックリ!
初めて町田そのこさんの小説を読んだ時は、重いテーマに、町田そのこさん好き!とまではいかなかったんだけど、いくつか読んでいくうちに、今は大好きな作家さんになったな。
繋がりのある短編集の今作も、闇があったりと読んでハッピーっていうのではないんだけど、グサグサと惹き込まれてました。
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本当に処女作か5回くらい疑って、周りの友達に読むよう沢山奨めた。すごくいい本で、読んで良かったと思うし、出会えて良かったとも思うし、これからも好きだなあと思う
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大好きなやつだった。
生きづらい人達の前向きな話し。淡々としたテンポで進む感じもよく、烈子ばあさんと晴子のとこなんか、スッキリしたりプッと吹き出したり切なくなったり、感情が忙しかった。
桜子の旦那と晴子の父以外、全員幸せになればいいのになんて感情移入したりした。
匿名
短編集なにの長い長編を読んだみたいでした。
物語の登場人物が繋がってるのでそんな感じがするのかもしれませんが、読み終えた後の感動は凄かったです!
どれも前向で自分の心を強くしてくれた気がします!
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
町田そのこ先生の連作短編集。彼女のデビュー作でもあります。
デビュー作?と聞き返したくなるほどの完成度です。
どの短編もぐっと引き込まれる魅力があり、切なくて愛しくなります。
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人が生きることを魚が泳ぐことになぞって表現した短編小説5本からなる本。
文章はきれいだと思いつつ、そこまで引き込まれることなく、かるーい気持ちで読んでいたら、3本目に揺さぶられて泣く。笑
するすると読めちゃうけど、人によってどれかの話はすごく響くタイプな短編集なのかなと思った
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第2編がかなり好みでした。
やっぱり、少年時代を彷彿とさせる不安定さや、世界の狭さを逆手に取ったジュブナイル系は本当に好みだなって思います。
キャラクター構成力を全体構成で敬って、キャラクターに深みを出させるのは上手いなと思いました。
また、描写できない場面は割り切って話が進んでいくことにテンポの良さを感じ、小説構成力の高さに読みやすさに驚かされました。
実際にこの小説を読んで考えることも多く、自分と照らし合わせることはできなくても人に優しくなろうと思える作品でした。
町田その子さんの描く、どこか不安定ながら地に足をつけて歩いていく現代人的な主人公に毎回共感を覚えさせられます。
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5編の連作短編。
どちらかというと短編があまり得意ではないのですが、
この作品は夫から
読んで感想を聞かせてほしい
と言われ、今回手にとりました。
解説にもあるように
冒頭や終わり方が素晴らしい作品もあり、
ところどころ涙を流しながら読んでもいたのですが‥‥‥
読み終わった後の1年後、2年後、そのまた先まで繰り返し思い出す
そんな心に響く作品を求めすぎているのか、
4作品目までは、どうも深くまではささらず。
瞬間的に私の中を通り過ぎていく作品なのかなぁと感じていました。
しかし、最後の5作品目「海になる」で
さまざまな感情、思いが溢れてしまい
この先もずっと
私の心の中に留まるであろう作品となりました。
女性には辛い描写もありますが、
「海になる」美しい作品でした。
最終的な評価は
☆3.6の4になりました。
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繋がりと優しさに涙。
失恋1作目。ナイスチョイスだった。
ほんわかしていて、なんだかみんな力強い。そして何より優しい。
本文への入り方もくすっと笑えて親近感。
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大きなみたらし団子にかぶりついたら、差し歯がとれた。え〜これって読む本間違えた?なんて考えながら読み進めて行くとどの物語にも人生で迷子になっている人にそっと寄り添ってどんな生き方を選んだとしても生きて行く。生き続ける事が大切なのだと教えてくれた。冒頭の一文を読んだだけで物語りが見えて来るとは何と書き出しが素晴らしいのだろうか。どの物語も絶妙に重なりあって物語にどんどん引き込まれてしまいました。
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5つの目次。2つ目を読みだしてすぐは別々の話の短編集だと思っていたが、登場人物の人生が重なり合っていた。その重なりは、知人から「あの子も元気にしているよ」と聞き、あぁ元気なら良かったと思う気持ちにも似ていた。
落ち込んだ時って周りの人が幸せそうに見えるけど、そんな周囲の人々も悩みや苦しみがありながらも生きているのだと、この本は教えてくれる。
最終話の「海になる」はパーッと眼の前に広がる海とそこで新しい人生をスタートさせる彼女たちの力強さを感じ、涙があふれた。
そしてまた「あの子も元気にしているよ」と彼女たちや彼らの風の噂を待ちたい、そんな気持ちで読み終えた。
Posted by ブクログ
登場人物が少しずつ重なっている連作短編集。
それぞれが生きづらさや苦しさを抱えているんだけど、少しだけ希望が見えてきて生きていこうとする。
幸せそうに見えてもみんな大なり小なり色々悩んで生きている。
当たり前だけど、自分だけが辛いんじゃない。
そして、真っ暗だと思ってたけどちょっと顔を上げたら光が見えたりするんだろうなと。
1番好きなのは“波間に浮かぶイエロー”
“私のことを好きだって言ってくれる人がいるだけで、頑張れる”
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じわじわと誘ってくるような苦しみを日常に溶かした5編がゆるやかに繋がる短編集。
片親、暴力、孤独…そういったどうしても救われないものを日常に溶かして、辛い日々を追体験してじんわり味わせるような書き口。作者はどんな人生を歩んできたのだろうか。
Posted by ブクログ
町田そのこさんのデビュー作だそうです
一人の人物に関わりのある短編集
どれもせつないけど、それぞれが幸せになってくれたらいいなと、心から思えます
Posted by ブクログ
「だって、そうしないと生きていけないと思ったから」
作者のデビュー作。
5編からなる連作短編集でどの書き出しもとても魅力的だった。
人を惹きつける文章と構成力は流石である。
R18文学だが、描写もくどくなく読みやすい。
どの編からでも読めるが『波間に浮かぶイエロー』は是非ネタバレなしで、『海になる』は最後に読んで欲しい。
水槽の中を必死に泳いでいる登場人物たちを眺めるように読み進め、ラストを読み終えた時、水族館を出たような気分になった。
不器用だけど必死に生きている、生きていく一冊。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・文学が好きな人
・切ないストーリーが好きな人
・心あたたまるストーリーが好きな人
・生きづらさを感じている人
居場所を探して
人との繋がりや家族の在り方に揺れながら小さな水槽の一匹だけのメダカと同じで孤独を感じながらも今とは違う自分の居場所を求め広い世界へ飛び出そうとする登場人物達の姿が大きな水槽でのびのびと泳ぐ熱帯魚達と重なりました。
Posted by ブクログ
評価は3.6の星3です。
うん、良かった。と思う。
「良質な物語」
という感じだろうか。
生きづらさ、はこれまでも
いろいろな人が小説にしてきたけど
最近はちょっとやり過ぎ感や
過剰な傾向があるので
そういう意味では素直な感じが
心地よかったのかも。
Posted by ブクログ
『カメルーンの青い魚』
登場人物の関係性が入り組んでて、読み返してみるとなるほど、となる描写がある。これは小説だからできるトリックだった。
『波間に浮かぶイエロー』
深すぎる愛情。あくまで主人公が語り部で、フミさんの愛情深い嘘にやられた。
Posted by ブクログ
短編集だけど少しずつ登場人物が重なっていて、お話が終わってもその後が分かったりして面白かったです。「波間に浮かぶイエロー」が好き。*大事なことほど、頭の中で何度も考えてから舌に乗せなさい。言葉を大切にしなさい *力を尽くして得たものだけが、新しい力をくれるんだよ。
Posted by ブクログ
仕事始まってなかなか時間取れなかったけど読み終わったー!^_^難しいお話であと1回は読まないとちゃんと理解できないかも。。デビュー作って聞いた時はびっくりした!
最後のお話が印象に残ってるかも。
自殺できず悲しんでた主人公だけど(旦那さん鬼すぎ)、死神のおかげで結末ひっくり返ったの、いいな。。
次は"今夜は、鍋"って話を読む(*'ω'*)
Posted by ブクログ
いずれも苦しく切ない人間たちの物語だけど、些細な一筋の光を見せてくれる作品でした。
人間の小さな一歩が美しく描かれています。描いている方の優しさを感じました。
他からどう見えるかは関係ない、希望は自分で見つけるものですね。