小説・文芸の高評価レビュー
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「第三のできごとが起こったのはそのときです。
ニックは『ペン』といいませんでした。かわりにこういいました。『はい、きみの……フリンドル。』
小学校五年生のニックは、新しい言葉を生む実験を始めた。しかし、辞書と言葉を愛するグレンジャー先生が立ちはだかり、言葉の戦争が勃発。「フリンドル」という言葉は定着するのだろうか。
いたずら好きなニックが、授業をわき道にそらしたり、先生をからかったりする場面は子どもが喜んで聞きそう。ペンを「フリンドル」と呼ぶ実験は、一見くだらないけれど、言葉がどのように普及していくかが見せられているようで興味深く読める。
頑なに見えたグレンジャー先生は、やはり卓越し -
Posted by ブクログ
『愛する人や街』がいるという、力強さ
留吉、弾馬、銀治、与市、そして燐丞。
彼らの胸に秘めた思いが、しっかりと描かれていた短編集。
罪を犯したから…火消だから…医者の家系だから…。
誰かと出会い、誰かを助け、愛しあう。
本当ならば、思うがままで生きたい。
だけど自分が持つ傷や家系などの葛藤に本心を蓋をしてしまいがち。
そんなままじゃ前に進めない。そんなんでいいのかな。
世のため人のために救いたいから
火消(燐丞は医者兼火消)になってるんだから矜持は大事でしょ。
だから荒れ狂う火と戦う。
特に印象深い弾馬の回(恋大蛇)。
紗代の弾馬に対する愛は自分の人生を委ねたいと願ってることに心が震えて -
Posted by ブクログ
ネタバレまったく違うところで、いろいろなことが起きている
数ページで別の人物と場面に変わるのはまるで映画を見ているようで楽しい
登場人物が多いのに混乱しないのは、それぞれの登場人物の設定や特徴に際立つものがあるからだと思う。
最初は違う場所にいた人同士がつながったところで思わず「あー!」と声を出してしまった。
『ひとじち』になっているのに、今夜お寿司食べられるのかな(257p)と呑気で緊張感のない麻里花や、警察がわらわらと囲んでいるのに『どらや』のお菓子の方が気になる優子。
3つある『どらや』の行方や如何に!まじでおもしろい。
エンタメ角川はやっぱりおもしろい! -
Posted by ブクログ
-皆を喜ばせる存在。
皆に奉仕する存在。
愛され、
すべてを剝ぎ取られ、
美しさだけを纏い、
見世物となる者。
大正時代を舞台に、同性からも持て囃されるほどの美しい少年のその『美』と抗い、向き合う、痛くも幻想的なお話でした。
『見世物』というとこの話とは逆に『フリークショー』というのが先に浮かぶのですが、行き着く先は同じように思いますね。
ルッキズムとも言える。
姉のことで悩み本音を出そうとしない朔哉の苦悩は時代もあるだろう。
彼の優しさが青路と友情で垣間見えた最後が嬉しい。
花が生える恐怖も同級生が花を奪う気持ち悪さも、私にとって初めて味わうホラーでした。
-
Posted by ブクログ
森鴎外の家の息子の類の一生。面白かった。
森林太郎と志げとの間に類は生まれた。父は陸軍軍医総監、陸軍省医務局長。類には姉がいて、茉莉、杏奴、兄の於兎は離れに暮らしている。
類の成績は良くない。ことに算数。父に教えてもらえばわかるのだが。
於兎がドイツに留学。茉莉も夫が留学中のパリへ。父はイギリスの皇太子が正倉院にいらっしゃるので、博物館長として奈良へ出張。だが父はげっそりして帰宅。病気なのだそうだ。父が亡くなる。
類は中学生になった。小さな一軒家で使用人と家族と暮らしている。兄の於兎は東京帝国大学医学部の助教授を勤めている。類は中学を中退する。類は絵を描くようになった。茉莉が離縁されて帰っ -
Posted by ブクログ
『ブルックリン・フォリーズ』を読んでポール・オースターにハマり、『ガラスの街』、『幽霊たち』、『鍵のかかった部屋』とニューヨーク三部作を読んで、一作飛ばしてオースター5作目となる本作を読んだ。
ニューヨーク三部作のようなメタ的な作品ではなく、程よくエンタメしていてどちらかといえば『ブルックリン・フォリーズ』に近いが、人間ドラマには全く収まっていない。登場人物が少ない分、主人公の内面がフォーカスされ、極限的な状況と強烈な人物の洪水によって現実離れした魔術的な魅力を持った作品となっている。
物語の前半は、全てを失った天涯孤独の青年が友人や恋人など周りの人たちの力も借りながら自分のアイデンティティ -
Posted by ブクログ
『龍の守る町』の続編。
5年前の大水害で義父母を救助出来なかった秋月龍朗は、後悔と自責の念に加えて水恐怖症に陥り、現場を離れて今は司令室にいる。
仕事のできる仲間たちに少しでも近づけるように日々頑張っていた。
そんな中、再び線状降水帯が発生し…。
誰かのためにと奮起する。
それは突然に起こる。
いついかなるときでも…
まだ大丈夫、ここは安心だから、と勝手に解釈していると、とんでもないことになってしまう。
大災害とはそういうことだ。
防災を侮ってはいけない。
今作では、秋月が再び現地で死と向き合いながらも救助に向かう。
古い体制に縛られるより、通信機能の不備を補うアプリの開発することが -
Posted by ブクログ
ネタバレ夏に読むのにぴったりの恋愛小説。
杏子サイダーって、本当にあるのかな? と思って調べてみたら、実際にあるみたい! どんな味なのか気になる。
読み進めていくと、嫌でも約束について考えさせられる。
これまでに私は、いくつの約束を交わしてきたのだろう。
守れた約束もあれば、破ってしまった約束も、叶わなかった約束もある。
そして、今も信じている約束がある。
守れないのならば、約束なんてしない方が良かったのか。そう後悔したこともある。けれど、そうではないのだ。たとえ叶わなかったとしても、約束したことに意味はある。
だって、約束は生きていく上での希望であり、救いであり、支えにもなるのだから。
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。