小説・文芸の高評価レビュー
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「あいつに出会えただけで、自分は得をした」
読み終えた今、その言葉が痛いほど胸に響いている。
ラストのページ。
世之介の母親が綴った手紙。
あの一通には、世之介という人間のすべてと、彼を包んできた無償の愛が詰まっていて、気づけばボロボロと泣いていた。
この物語にはモデルがいる。2001年の新大久保駅転落事故で、人を助けようとして亡くなった日本人カメラマンだ。あの事故で助けようとしたのは韓国人留学生だけだと思い込んでいた自分にとって、この事実は大きな衝撃だった。
作中にふわっと韓国人留学生のキムくんが登場するのも、きっと作者の公平な眼差しなのだろう。国籍など関係なく、世之介の周りにはいつも、 -
- カート
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試し読み
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ネタバレグインサーガの第6巻。
ノスフェラスを遠く離れた赤い街道、パロの国境付近。モンゴールの災厄の中生きていたパロの王族アルド・ナリスとそのお守り役ルナンは、パロに忍び込むところであった。2人はパロのクリスタルパレスに行く最中、モンゴール兵士に誰何され、身代わりにルナンの娘リギアを差し出してしまう。
モンゴールの首都トーラスの金蠍宮では、ノスフェラスからアムネリスが父であるヴラド太公により召喚されていた。彼女はパロに行き、クリスタル公アルド・ナリスとの婚約を命じられていた。それを聞いたアストリアスは遁走してしまう。
遠く離れた草原の国、アルゴスではパロの聖王の妹エマ女王とパロのベック公爵が話し合って -
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まず、美しい旅だ。出てくる景色は、険しい道のりだからこそ、より美しく感じるのだろう。
主人公エミルは、なかなかクセのあるお人。だが、最愛の恋人と別れてしまった悲しみ、病気の絶望があるからこそ、そこまで嫌いになれない。
本書にて、旅は新たな視点を与えてくれるというが、エミルにとってはまさに新たな視点を得たからこそ、立ち直る勇気を持ち始めた。その矢先でも、病魔は忍び寄る。影があるからこそ、どこまでも美しい物語だと感じてしまうのだろうか。
旅をすることで、日常から離れ、自然と己を見つめるようになり、新たな自分を発見していく。それができているエミルはすごく羨ましいなと思った。 -
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ネタバレ物語の没入感が尋常じゃない。
主人公二人について、彼らを取り巻く様々な人から語られていき、決して本人たち視点がないことが、この作品の独特な緊張感を生んでいると思う。それぞれの登場人物から語られる証言や憶測をつなぎ合わせて、読者自身が桐原亮司と西本雪穂という人物を浮かび上がらせていく必要があり、その構成が素晴らしかった。
個人的に、桐原亮司にはかなり同情してしまう。父親の性的暴力の現場を目の当たりにした衝撃や絶望感、様々な人を傷つけ、様々な罪を犯し、隠れながら生きてきた彼の苦しみを思うと胸が痛む。雪穂を守るために、陰ながら支え続けた彼の暗く長い人生を想像するとただただ辛い。
一方で雪穂は、亮司と -
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ネタバレ素晴らしい構成の作品だった。
ひとつのエスキースを巡ってばらばらに思われた人や物が全てエピローグで繋がっていく展開が感動的だった。特に4章の赤鬼と青鬼がブーとレイのことであったのが読めず最後にあっと言わされてしまった。順番が逆になるが、漫画家の話も天才と努力家という2つの人物の苦悩や葛藤、そして最後に救いが描かれていて本筋のエスキースから見たらサブエピソードだとしても心にグッとくる内容で全てが美しかった。
この作者は初めてだったが、1日で一気読み出来るほど世界観に呑まれたすごい体験だった。
語彙力が無い自分に辟易するが、感想としては細かく書くより感動が今勝っているという状況である。 -
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ネタバレ「ソフィー」で有名なイギリスの作家、ガイ・バートの大作。「ソフィー」は昨年復刊してたけど、新作としては十数年ぶりの邦訳。
画家として大成したアレックスは、数十年ぶりに故郷のイタリアを訪れる。集大成の個展を開く前に、子供の頃、隣家のジェイミー、その従兄弟のアンナとの三人で過ごした記憶と向き合い、今の自分に何が欠けているかを探すためで…
雰囲気としては、トマス・H・クックやケイト・モートン。クックほどの悔恨はなくて、モートンほど綺麗に過去パートと現代パートがあるわけではないが、この二人が好きなら、今作は非常に刺さるはず。
「ソフィー」は未読のため、この作家の作風なのかはわからないけど、全編に漂 -
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出てくるお母さんたちは、すべて私のことだ。
あまりに重なりすぎて、
当時を思い出すのが辛くて、
読み進めるのがしんどい時もあった。
子供たちの存在を否定することはないし、
たくさんいろんな経験や言葉、気持ちをもらえて
楽しいこともたくさんあったけど、
とにかく「母親」という役割の責任や期待(理想像)が重すぎる。あまりに重すぎる。
「授乳以外は父親でもできる」という、
世の中の父親に向けられた言葉を聞くたび、
母乳も出なかった私は、「母親」ですらないと感じていた。
子供とのごっこ遊びに、楽しさを見出せなかった。
自分の時間が喉から手が出るほど欲しかった。
子供が熱を出すたびに、私だけが仕事を -
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・歴史が苦手である。とっつきやすく世界史を学びたい。
・旅行に行くので、次の旅行モチベを上げるために旅行本を読みたい。
・美味しいものが大好き。
本に対する背景知識なく、上記のようなモチベーションで手に取った。結果は、期待値充足度は40%くらい?
ただし、満足度は100%。これまで触れたことのない世界、究極の一次情報の世界に飛び込めた感覚があった。
この本の素晴らしいところは、歴史的・政治的背景は一定受け止めた上で、その場にいて触れ合った人に対してリスペクトをしている部分。
本をきっかけにYouTubeも何本か観て、本の中の感じそのままでとても興味深かった。
本の中の食べ物だと、幸運にも日 -
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『木になった亜沙』
他人が自分たちの聖域にずかずか土足で入ってくる不条理。誰に迷惑をかけるわけでもないのに、せっかく手に入れた場所を奪われるという悲痛さ。で、自分たちを守るために亜沙は仲間たちと心中することを選ぶ。……え? さっきまで感情移入して見ていたのに、急に引いてしまう。なんでそこまで、みたいな。気味の悪さと理解の出来なさ。宗教団体の集団自決なんかが頭によぎる。僕が歩んできた人生や日常からは想像できない世界観の中で生きている人たちがいる。彼女たちに本当の意味で寄り添うことは僕にはできないんだと感じた。
『ある夜の思い出』
キモい話だったのにラストは急に泣きそうになった。たった一夜しか会
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