あらすじ
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。
カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が“出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。
信じるとは、許すとは、愛するとは。
男と女の欲望のブラックボックスに迫る、
著者新境地となる恋愛小説。
わたしの心と体を通ってきた、無数の、犯罪の名前が付かないたくさんの傷のことを考えた。苦しかった。読めてよかった。
――高瀬隼子(作家)
僕はこの物語を、生涯忘れることはありません。
――けんご(小説紹介クリエイター)
女性が置かれている地獄のある側面が突きつけられる。
――スケザネ(書評家)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
女の生きにくさを、日頃気づかないようにして生きている女性は多いだろう。
気づくと余計に生きるのがしんどいから。
そして、「女」であることしか経験できない(ことが多い)から、「気づけない」ということも言える。
男として生きる経験がないと、女としての生き苦しさは認識しにくい。
でも、この本のように、客観的に突きつけられると、自分のことも見つめ直さざるを得ない。
それは、一歩進むには大切なことであっても、現実を知ることは自分の傷つきを知ることでもあるのだから。
Posted by ブクログ
題名の意味を考えながら読むけれど
結局しっくりくる答えは判らないままだった。
ずっと正解が何かもわからない中で生きていかなければいけないことが、日常には山ほどある。
どの側面を見て、信じて生きていくか。
「信じることって、その人に期待してしまっていることなのかもしれない」というようなコメントを
芦田愛菜さんが何かの映画の登壇の中で言っていたけれど、
相手に期待したい部分を勝手に「信じている」と伝えて安心したい、結局は傲慢なんだろうな、という真実を突きつけられるような読後感だった。
すごく繊細で、一穂ミチさんの血や涙が沢山注がれて作られた作品のような気がして
安易に感想を述べられない。
Posted by ブクログ
一穂ミチ初。
主題である性犯罪(盗撮)を起点に巡りめく人間模様。勧善懲悪では無いしかといってもちろん容認することはできない煮えきらない物語。人それぞれだよでは済まされない出来事に対する価値観や行動は、読み手にその先の思考を促す。
第一部は事件をめぐって新夏と啓久の関係性の趨勢。第二部は啓久のその後と周囲への違和感。女性の日常に蔓延る不安と恐怖。男性の無遠慮。
ことの大小に関わらず起こっているんだという無力感に苛まれるが、やはり第二部莉子から啓久への言葉、カテゴライズされたフィルタを外した「尊重されている」という気持ちを育むことが肝要なのだろう。好奇の眼に晒される現実は完全には拭えないかもしれない、でも個人として尊重する、される関係性が人生の拠り所として前を向きて暮らしていけるようになりたい。そうありたい。
Posted by ブクログ
重いテーマであったが一気読みしてしまった。いつもはあらすじを見て何となく結末を予想するが、この作品に関してはどういった結末になるのか全く予想出来ず、第1章の後半、ラブホテルの行でなるほどこれで落ち着くのかと思いきや、そうならない所に現実感を感じ、苦しい気持ちになった。ハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、何となくモヤモヤした感は残りつつ、でも実際にリアリティのある結末であったと思う。
主人公である新夏と啓久が身近に居そうな若者であり、家族や友人・知人の言葉に時に反発する所も随所にあり、ご都合主義で終わっていないところも高評価になった理由である
最近、一穂氏の小説を読む機会ができたのだが、ストーリー展開が非常に好みであり、凄く力のある作家さんであると感じている
Posted by ブクログ
恋人とは、血縁でも制度でもなく、好意と信頼だけで成り立つ関係だ。その関係が家族へ移行しようとした瞬間、盗撮という性犯罪が発覚する。
本作は、その事実を前にして下される選択と、そこに絡みつく感情の複雑さを真正面から描いている。
別れるか、許して共に生きるか。選択肢は単純でも、感情は決して二分できない。30歳という年齢的な焦り、昨日まで確かに存在していた愛情、「これを失っていいのか」という現実的な打算。
それらが絡み合い、主人公・新夏の思考は堂々巡りを続ける。その姿は、読む側の倫理観や価値観を容赦なく揺さぶってくる。
犯罪という明確な「線」を引ける出来事でありながら、それ以前から積み重なっていた違和感を、私たちはどれほど見過ごしてきたのか。本作は、言葉にしづらかった諦めや不均衡、関係性の中での搾取感覚を、逃げずに言語化してくれる。
後半で描かれる啓久視点は決定的だ。もしこの章がなければ、深く考えたほうが損をするという結論に安易に回収されていたかもしれない。個人の思想と、どうにもならない諦観。その重さを知ることで、簡単に善悪を裁くことの危うさが浮かび上がる。
答えは示されない。それでも、新夏の決断を見届けたいと思わされるのは、これは物語であると同時に、誰の身にも起こり得る現実だからだ。
読み終えたあと、他人の選択を軽々しく評価できなくなる。その感覚を残してくれる一冊だった。
Posted by ブクログ
これは重い。
行為なり、言葉なり、直接自分が受ける事で傷つくのと違い、結婚間近の恋人が犯した性犯罪をどう受け止めれば良いのか、消化出来るのか、理解出来るのか…。人によって、その性別、性格、価値観、判断基準によって、その後の想像される未来は異なる訳で、では2人の関係をどうするのか、の判断は異なってくるのだが、主人公新夏はある日突然、この正解の見えない悩みの中に放り込まれ苦しむ事になる。
本作の彼氏は、前夜の飲み会の酔い、ノリが醒めない出勤時にスカートの中をスマホで盗撮。本人は、病的に繰り返す様な人等とは違うとの意識でいるが、その安易な愚かしさがどれだけ周囲を傷付けるのかを理解出来てない事の愚かしさが突きつけられてくる。
最近、やたらと首長とかのセクハラやら痴漢、盗撮等の性犯罪報道が後を絶たず情け無い中、読む価値のある一冊と感じる。
Posted by ブクログ
男性がとにかく汚く穢らわしく思う作品。
ただ現実問題、それは事実であることも改めて感じた。
一度大きな過ちを犯した愛した相手を信じる事の怖さを知った。
物語の始まりは、彼氏にプロポーズをしてもらった翌日の朝に彼氏(婚約者)がその日の電車で「盗撮」した事が発覚する。
一生を約束した彼が、数時間後に捕まることから展開される。
この物語は、2部構成になっており、
前半は、カメラマン見習いの新夏と、その彼女にプロポーズをした男性、啓久の2人を軸として
主に"新夏視点"で話が展開していく。
盗撮、いわゆる性犯罪をした啓久に対して、新夏の想いは揺れる。
なぜ盗撮をした?謝って許される?私に色気がないから?
結婚はどうする?私はもう愛していない?私はまた信じられるの?
そんな混沌とした感情を携えながら、
啓久との対話を通して、彼と、彼との未来について考えてゆく。
後半は、"啓久視点"で描かれている。
性犯罪者というレッテルを貼られて生きるという苦痛。
そして、自分は加害者であるという事実が
啓久をあたかも被害者にさせる。
ただし、周りの人間はあまりにも残酷であり、冷酷であり、そしてシンプルであった。
法を犯したクズ野郎である。ただそれだけ。ただの事実。
様々な人間と相対する事により、
自分が周りの人間にどう思われているかを啓久は知っていく。
あなたは、【恋とか愛とかやさしさなら】
それらがあれば、愛を誓った彼が、
翌日性犯罪者となっても信じることができますか?
信じると答えた貴方へ。
この本にはこう書かれています。
「信じる」という行為はひたすらに純度を求められる。
純白以外の白は全て黒である。
ここでもう一度。貴方は彼を信じられますか?
この物語から学ぶ事は、大きく下記の2点です。
①性に関わる犯罪を犯すという事はどういう事なのか
②一度裏切った人を信じる難しさ
Posted by ブクログ
とっても難しかった。
いや、昨日自体は比較的スラスラ読める。
あっという間に読み終わった。
だけどすごく難しい。
盗撮自体も、付き合うのか、別れるのかも、
その後の交流も、会社の人との付き合いも
全部がわからない。
盗撮することだけが間違っていて
あとは全て答えがない。
間違うことは誰にでもあるけど間違っちゃいけないこともある。
痴漢も盗撮も被害にあったことはあるけどいずれも声は上げられなかった。年をとった今も無理だと思う。
被害者の女の子のような声をかけられることもある。
客引きやキャバへの誘いからの舌打ちはよくあること。
絶妙に感情移入させられて、難しさだけが残って
一生考え続けることになるんだろうなと思います。
マイナスに聞こえるかもしれませんが、とても意味のある作品だと思います。
Posted by ブクログ
読む前は「恋人が盗撮したなんて、別れる一択でしょ!」って思っていたけど、いざ読んでみると難しい問題だなぁと。
同じ状況でも人によって感じてるものが違くて、加害者も全てが悪な人間ではなくて。
出来心ってなんなんだろうね。
本屋大賞の作品って、読み終わった後「面白かった〜!!!」で終わることが多かったんだけど、この作品は色々考えられる作品だったなぁ。
Posted by ブクログ
甘ったるいタイトルだな~と粗筋見たらただならぬ内容に即購入。同じ男としても何でこんなに報道等でも"よくある話"なのか許せない。勿論性犯罪に軽い重いはあるが、軽犯罪だからでは済まない。出来心とは?別れればいい、けど本当に好きなら?でも以前以後では世界か変わってしまってる。それを彼女の一瞬の表情で互いに理解してしまうリアル。性犯罪は悪。その中でも答えの出ないところに視点を置いてる。
Posted by ブクログ
プロポーズの翌日、彼が電車の中で盗撮する、、、その事実に驚愕する彼女やそれぞれの家族、職場の人々、各々の気持ちや葛藤が繊細に描かれていて、とても考えさせられました。
Posted by ブクログ
引き込まれるように読んだ1冊。
自分のパートナーとの間に、築いてきた関係性・信頼性が揺らぐような出来事があったら....と思わず想像してしまい、考えさせられました。
家族にもおすすめしたいな。
Posted by ブクログ
体験したことないことだけど
なぜかリアルだなと感じました。
一言で表せない気持ちになりました。
写真に移すと、
私の胸からなくなってしまう、
私の中にいて欲しいという感覚。
新鮮だけど少しだけわかる気がしました。
自分だったらどうするだろう、それを色んな立場で考えさせられました。
Posted by ブクログ
出版は去年だが、まだ読んでなかったので読むことに。
内容は、主人公・新夏がプロポーズされた翌朝に、恋人が盗撮で捕まる。
そこから二人だけでなく家族や友達等周りの人のいろいろな感情が描かれている。
結果はハッピーエンドではないし、タイトルからも想像がつかないが、なかなか考えさせられる作品。
後半の「恋とか愛とかやさしさより」は、恋人のその後を恋人目線で、被害者の女の子とのなんとも不思議なやり取りが描かれている。
被害者の女の子の微妙な家庭環境、容姿に対するコンプレックスなどを大人からの目線と女の子世代からの目線で上手く表されていると思う。
「すっごく感動した」とか「とにかく面白い」ということではなく、「生きるっていろんなことを経験することなんだなあ」と思うような作品を著者は描かれているように思う。
年末か年明けすぐには「アフターユー」も読みたいなあ・・・
Posted by ブクログ
これは猛烈に後をひく。
「素手で殴っても、バットで殴っても暴行は暴行」
盗撮もレイプも性加害者である事は同じ。
そして、
デジタルタトゥーの恐ろしさ。
今年最後にエライ物語を読んでしまった。
瀬名さん、どうして…
Posted by ブクログ
「悪い人」に傷つけられたりせずに生きていきたい。でも、現実には「ただの人」が「悪いこと」をしている。
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爽やかな文体なのに絶妙に重い。特に後半なかなかキツかったー。
法律なんて国や時代によって違うし、同じ行為でも罪になったりならなかったりする曖昧なものなのに、こんなに苦しまなきゃダメかのかなぁと思ったりなどもした。
法に裁かれていないだけで、もっと人を傷つけたり悪どいことしてる人もいっぱいいるのにねー
Posted by ブクログ
一つの犯罪から生じるエピソードの物語。
正直言って読むのは辛い。誰も幸せにならない。
出てくる人物が皆辛い思いをする。
でも、読んでしまう。
軽い気持ちでやってしまった犯罪の重さをこれでもかと描いている。
重い気持ちになるのに、この先どうなるのか気になるので、どんどん読み進めてしまう。
ストーリーは辛いが、それでも最後まで読み進めてしまうのはさすがです。
でも、やっぱり2回目読もうとは思わない…
Posted by ブクログ
途中から気になって
恋とか愛とかやさしさなら、が終わるまで一気読みしてしまった。うん、別れて正解。義母も怖いしそんなジャムも要らない。でも、恋とか愛とかやさしさより、を読んでみると考えさせられる、というかみんなにみんなの事情があるんだな、と思った。でも、盗撮は悪いけれどせめて転職した会社の人に盗撮がバレていないで欲しかった。
Posted by ブクログ
これ自分が新夏ならどうするかな??
状況知れば軽い感じもするけど、普通なら被害者は嫌だろうし、周りから見たら軽い重いなく性犯罪者だよね。
それにひらくが気づけてよかった。
ひらくのお母さんとお姉さんが闇深すぎだと思った。
Posted by ブクログ
盗撮をテーマとした物語。
プロポーズしてくれた彼がその翌日に電車内での盗撮で捕まり、幸せなはずの未来は儚くも崩れてしまう。事件後の二人はどうなっていくのか。
犯罪の加害者とその関係者につきまとう苦しみを上手く描き出した作品だと思います。
加害者の恋人がショックの大きさにいつまでも気持ちの整理がつかず、自分を見失って周囲の言葉にゆらゆら揺れ動く様は、何とも心に刺さります。
一方、加害者本人も折につけ犯罪者として扱われ、事あるごとに罪の意識に苛まれ、真の意味での更生とは何かを考えさせられます。
惜しむらくは、全体としてストーリーにまとまりが薄く、書きっぱなし感が残ります。当然、作者の意図的なものではありますが、読後の充足感が小さくなってしまいました。
Posted by ブクログ
自分と重ねてすごく泣いた。
情で支えてるという表現、しっくりきた そして愛情とは呪縛ではないだろうか。
新夏のわかりたいという気持ちがすごく理解できるからすごくつらかった。
実際に盗撮などの性犯罪者は案外「普通」の人なのかもしれない。新夏が啓久のことを理解できないのと同じように啓久も自分自身が分からないというところがリアルだった。
わたしはこの本を読んで何か学ぶ事はできたのかと問うと、わからないけど一穂ミチさんの考えにとても共感できて安心した。
Posted by ブクログ
結婚前のカップルが彼氏の盗撮行為をきっかけにいろいろ考える内容。
お互いの視点で書かれていてどちらも突飛な内容が印象的だったがなんとなく今を適切にとらえていると感じられた。
Posted by ブクログ
ある出来事の前と後では、明らかに自分たちは変わってしまって元に戻れないという言葉が印象に残っている。
何か罪を犯した時、自分がもう2度と同じことをしない、というのは一生かけて証明しなくてはいけないし、それを証明できないかもしれないことに怯え続けることを想像すると辛い。
Posted by ブクログ
プロポーズされた翌日に恋人が女子高生のスカートの中を盗撮し捕まった。「私」は許すべきか、許さないべきか。本の中の人も許すべき、許さないべきと様々な意見があって「どれも分かるなー」と思いながら読み進めた。自分だったら?友達から相談されたら?と自分事として考えたけど、以後一切信用できなくなるし、結婚する前に神様がこいつはあかんと教えてくれたんやと思うようにして、わたしは許せないと思った。
Posted by ブクログ
紹介文の中で 一穂ミチさんが 「自分だったらどうするか 答えの出ない問いかけを何度も繰り返して」とありましたが 正にそんな感じです。
自分だったら…娘や息子の母親としてだったら…とか。
加害者は初犯だからとか2度とやらないとか 社会的制裁は受けたとしても更生の道は残されてる気はするけど 被害者は極端な話し 一生 電車に乗れないトラウマん抱えて生きなければならなくなるかも。
出来心は誰にでもあるかもしれないけど
やっぱり 「やっちゃいけない事はやっちゃダメなんだよ」
登場人物 全て ニカにしろ ニカ母にしろ みんななんかどっか変 と思ってしまいました
葵目線のプロローグも読みました
Posted by ブクログ
本屋大賞ノミネートということで!
なんとなく恋愛の話読みたいなと思って手にとったけれど、全然違った笑
どの登場人物にも100%感情移入できなかったのがもどかしかったけど、自分に同じことが起こったら、、と思うとゾッとした、、
盗撮という事例をつかって、ここまで罪に対する向き合い方とか人の心の機微を描くとは