小説・文芸の高評価レビュー
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平野啓一郎さんがこれまで講演で話されたことや、文芸誌などに寄稿された文学・文豪・文学作品への批評やエッセイなどを収録したものとなっています。その冒頭に収録されている或る研究集会の基調講演のテーマが「文学は何の役に立つのか?」ということで、これがそのままこの本のタイトルになっています。
このタイトルを少し噛み砕くと、「文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな価値があるのだろうか」ということになるのかと思いますが、この本を読んで私なりに思ったのは、以下のことでした。
文学は、①社会の不条理に気づかせ考えさせてくれること、②人間関係の機微を巧みな表現で心を動かされること、③現実社会からの解放す -
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この本は、高校野球をやっていた人にも読んでほしいし、その両親にも読んでほしい一冊。
主人公は、幼少期に父を亡くし、母子家庭で育ち、飛び抜けた野球センスで中学時代は名のある選手になるが、中3で怪我を隠しながらピッチャーをする中で、高校では、手術をし野手に専念。ただ、ピッチャーのスカウトで入学した高校というのもあり、高3でピッチャーをまたやり始める。
母は、裏の父母会だったり、ママ友の付き合いなどが書れている。
実際に私も高校まで野球をやっていたが、自分の両親もこんな気持ちだと思うと、余計に感情移入してしまった。
物語の結末は、主人公が甲子園がかかったところでピッチャーで出場をし、アルプス -
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ネタバレずうのめ人形→そう ぶんぜ
この言葉通り消えた記憶は全部嘘。都合のいいように書き換えられた記憶。だからずうのめ人形の本体はそっちじゃなかった。今回も最後の紐解きが凄かった!途中から彼が彼女で彼女が彼で、あの人がこの人でわーーーーって駆け抜けて、、、スカッと!するかと思った!が!私は真実が歪んで他人の記憶に残ってしまった事がもどかしくてもどかしくてもやもやして読み終わり。そっかー井原くんが上手く話せないってことは、もう彼女の本性を知り得る人は1人もいないから、なんで呪いが解かれたかもわかってないんだ。ヤングケアラーさせてる母親、中学生と風呂入りたがる父親、被虐待児の歪んだ愛着。可哀想な私。その拠 -
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ネタバレ一度は静まったはずの天炉のバッタ。
けれど物語は、まるで風が巻き戻るように、
再び羽音が空を覆うところから始まりました。
この巻があるということは、きっとまだ世界には揺らぎが残っている――
そんな予感を胸の奥で鳴らしながら、私はページを開きました。
バッタたちは、生き抜くために、より大きく、より強く変わっていた。
その変化を知ったアイシャは、御前会議で
「国中のオアレ稲を焼くべきだ」と進言します。
それを実行できるのは、皇帝か香君の言葉だけ。
オリエとマシュウは策をめぐらせ、
香君としての言葉が民に届く場を用意しようとします。
しかしその思いを察したイール・カシュガは、
オリエに毒を盛ると -
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タイトル通り、阿川家の食への情熱と遍歴を垣間見れる一冊。
父親の「1回たりとも不味いものは食いたくない」との口癖は、執念とも取れる情熱であり、娘にとっても強烈な一言なのだろう。
たとえ傑作を作ったと思っても、一口食べて「よし、明日はなんか美味いものを食いに行こう」なんて言われたら悲しくなる。
今では笑い話として執筆されているが、トラウマとなって残っている思いなのだろう。
青パパイヤのサラダ、ぶりの照り焼き、塩にぎり、かつお節弁当、クリームコロッケ、デビルサンド、白味噌雑煮、ミルクトースト、中華粥、角煮など、調理過程から香り漂うような料理が目白押し。
しかし、料理以外で好きなのはラ -