小説・文芸の高評価レビュー
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いじめを受けて、学校に行けなくなった雪乃。
そんな雪乃を見て、父親である航介は仕事を辞め、妻の英理子を東京に残して、祖父が暮らす長野で雪乃と新生活を、それも今までやったことのない農業を始めることに。
母親は東京で、父親は長野で農業を、雪乃はまだ学校に行けないでいるが…。
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学校に行けなくなった、ではないと思う。
学校に行くことをやめた、ではないかと思う。
ずっと惰性で続ける方が楽で、適当に誤魔化すことのほうが簡単。
でも我慢する心は確実に疲弊していって、気付かないうちに壊れてしまう。一度壊れるとなかなか治らない。
そうなる前に、学校に行くことをやめることができた雪乃はとても偉くて強い -
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書店で必ずあるのがNHKテキストのコーナー。そこに「筒井康隆」と大きく書かれた薄い本が山積みで置かれていた。なぜ筒井康隆の本がNHKテキストなのか?と混乱しながら本を手に取ってみたら、別冊NHK100分de名著のシリーズ関連図書とのこと。他にも、有名人の本がいくつも置かれていた。この本は、今年のお正月にNHKで放送された内容を基に纏められたもの。筒井康隆大好き人間4人とカズレーザーが出演していたとのこと。4人それぞれが自分のスタイルで筒井康隆作品を解説する。そう言えば、昨年もNHK-BSで筒井康隆の特集番組が組まれていた。一時期、「残像に口紅を」がSNSで話題になり、どの書店でも文庫本がこれも
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『店長がバカすぎて』
それでも本を愛する人々の、優しくて熱い物語
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1.まえおき
早見和馬さんの小説『店長がバカすぎて』を読みました。
タイトルだけ見るとコミカルな印象ですが、その実態は、本と書店を愛する人々の情熱と、彼らが直面する厳しい現実を描いた、読み応えのある作品です。
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2.作品の舞台と主人公
物語の舞台は、東京・吉祥寺に本店を構える中規模の書店。
主人公は、その書店で働く20代後半の契約社員の女性です。
彼女が書店員を志したきっかけは、幼い頃に父と訪れた神保町で、一人の女性店員に勧められた絵本との出会いでした。
本との温かい思い出が -
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この本を読まないまま死ななくてよかった。途中から泣いてばっかりだった。読んだことがないのに懐かしくなるような小説。母娘の確執は深く語られないけれど、食器を引き合いに出して語られる「おかんと私の価値観は正反対」という言葉が効いている。
作者の小川さんについては全然わからないけど、食べることも作ることも好きなんだなあと伝わってきた。いくら料理が上手くても、飲食店のトイレが汚いとすべてが台無しになる、という一言の説得力よ。紹介されるひとつひとつのメニューも、ほとんど野菜だけで味を整えるジュテームスープも、そしてエルメスを解体するシーンも、食材に、食事という行為にリスペクトがないと思いつかないし書けな -
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個人の独立と依存、どちらを欠いてもわたしたちは生きてゆけない。
依存感情は異常だ、誰にも抱きたくないと思っていると同時に、誰かに依存することで楽になりたいと思う私にとって、どこか安心する言葉だなと、
私のプライドなんて取るに足りず、ないほうがいいと思っていたんだけど、本文の最後で「プライドというのは、〜他者から贈られるものだと、わたしはおもう」と描かれていて驚いた、過去に他者から大切にされた経験をもって、粗末にしてはいけないという感情を抱くことになるそうだ、わたしが必死に排除しようとしていたものは何だったんだろうね、自身に価値を見出すことなんて無価値で、自身のことを何もないと思っていたほうが -
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パーマーエルドリッチの次はこちらを。
序盤から引き込まれて一気に読んでしまった。
ディックファンと言いながらまだ数冊しか読めていない新参者の私。
1番好きな作品は変わらずユービックなんだけど、もしSFに慣れていない友人にディック作品をどれか一つ勧めるとしたら、絶対これを選ぶ。
サイエンス感満載な用語は全然出てこないし、日常的な雰囲気の中にディックが紛れ込んでくる感じ、ぜひぜひSF処女たちにおすすめしたい。
それにしてもそう、まさに私が好きな類のお話だよ、こういうお話をもっともっと読みたいんだー!
あと映画好きなら誰もが知るあの映画の発想って、もしかしてこの本から着想を得たのか…?
なん -
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