あらすじ
1932年、満洲国建国。明男が建築学徒として携わった仙桃城は、立派な都市に発展した。一方、乱暴な支配に苦しむ地元住民との対立は激化。明男がダンスホールで出会った孫丞琳も、抗日軍の一人だった。細川は、リットン卿の調査を受け、戦争構造学研究所を設立。十年先の未来を予測しようとするが・・・・・・。人はなぜ拳を振りあげ、戦争へと向かってしまうのか? 圧倒的スケールで描き切る歴史×空想巨編! 第13回山田風太郎賞受賞作。第168回直木三十五賞受賞作。
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Posted by ブクログ
上下巻にわたる長編小説ですが、そのボリューム以上の圧倒的な読み応えを感じる作品でした。めちゃくちゃ面白かったです。
史実とノンフィクションの要素の融合具合や物語全体の仕掛けも見事で、物語として脚色しすぎていない感じがむしろリアルさをもって胸に迫ってくる作品でした。
登場人物も個性的な人物が多く、特に細川の発言や行動は理知的なのに何故か予想不能で、ストーリーとしての面白さに登場人物の魅力も掛け合わさっていて、全体として違和感のない作品に仕上げてしまう小川さんの精緻な技に感動しました。これを機に小川さんの他の作品も読んでみたいと思います。
Posted by ブクログ
神父や孫悟空等、主人公達が、それぞれの思惑の中で、様々な視点や時間から戦争にどう関わっていくのか最後まで夢中になって読み進めてしまった。物語の最後、地図というもののもつ意味について考えさせられ、読み応えのある物語だった
Posted by ブクログ
かなりの文量があったが、あっという間に読み終えた。激動期の満州を舞台とした物語で、大河ドラマを見ているような感覚だった。
史実にある程度基づいているため、世界史で学んだ出来事が多く出てきた。歴史が点と点ではなく、流れる大河のように一つに繋がっている感覚を得れることができ、少し賢くなったような気がした。
知的好奇心が刺激される素晴らしい本であった。
Posted by ブクログ
大作すぎる
天才?
ずっと飽きないし、面白いし
こんな言葉しか出なくて情けないが
本当に素晴らしい
戦争、歴史についてもっと知りたくなった
登場人物が多くてこんがらがるが、読み進められる
ずっと意表をつかれるのすごいわ
実際にこんなだったのかな
満州鉄道の話は興味深い個人的に
中国の歴史知りたいー
Posted by ブクログ
日中戦争の泥沼に突っ込んでいく日本軍。
混迷を極める中国戦線の前線近くに日本が満州国の理想郷となるべく作った人口の都市、仙桃城はあった。
計画に携わった天才建築家の明男は理想とはかけ離れた建築を要求する関東軍と自らの思想の乖離に苦しみながら、街のシンボルとなる公園の建築を手掛ける。
しかしそこも戦乱の兆しがすぐそこまで迫っていた。
日本、中国、ソ連がいずれも現代につながる形で変貌していく。
意外と知らなった日中戦争がなぜ米英との関係悪化につながったのか、そしてそうなる事を知りながらなぜ日本は南方を攻めたのかが理解できた。
後半でぞっとしたのは八路軍の自国民に対する振る舞い。敵は日本軍であるはずなのに、仲間であるはずの同国民に対して再教育という名の拷問と洗脳を繰り返すさまが恐ろしかった。
戦争ではどの国が悪辣だったという話になりがちだが、戦争という極限状態ではちょっとしたことがきっかけでいかなる集団も驚くほど残酷になれると思ったので、覚えておきたい。
最後の最後の終わり方は見事。
Posted by ブクログ
最高に面白かった。
なんという参考文献の量!
戦後80 年ということもあって、
太平洋戦争や日ソ戦の本を
読んでいたことも、
この本を手にするきっかけだった。
総力戦研究所は「日本必敗」の
結論を出していたし、
東條も米国との戦争は回避したかった
かもしれないが、
もし米国と戦わなければ
中国の利権は失っていただろうし、
ましてや満州からも手を引かなければ
ならなかっただろうから、
いずれにせよ日本は戦争への道を
突き進んでいたはず。
勝てる見込みのない日露戦争に勝ってしまい、
やっとの思いで手にした満州に固執したことが、破滅の元凶だったんだ。
あの頃我々リーベンクイズが
大陸でやった蛮行から目を逸らしてもいけない。
そんな因縁の地の歴史を下書きにしながら
これだけ壮大な物語を創作できるなんて、
まさに天才の仕事としか言いようがない。
執筆に3年かかったというのも頷ける。
小川哲の著作、全部読もうと決めた。
Posted by ブクログ
圧巻だった。世界大戦下の満州で、明男や細川、そして石本までもがこんなにも必死に生きていた。戦争とは?都市とは?地図とは?多くの思考のもと練り上げていく事象に、ただただ惹き込まれた。『ゲームの王国』も実際の歴史を背景としてフィクションを盛り込む手法だったが今回はさらに洗練された印象だ。満州を舞台にSF要素もあり、ジャンルを飛び越えた作品だった。
ラストが物語の印象的な出来事とリンクして感動を誘うのだが、これだけの長い物語を読んできたからこそ感動できるのであり、読者に対するご褒美だと感じた。
Posted by ブクログ
上下巻の下巻。
とにかくすごいものを読んだという実感が
頭を覆って言葉がうまく出てこない。
人がいる。
建物が立つ。
街ができる。
国が興る。
どれもが人の営みだけれど。
どれもが人の営みだから。
さまざまな思想がそこには宿る。
いろいろな人物が登場したけれど、
個人的には安井が深く印象に遺った。
Posted by ブクログ
満洲という激動の土地を舞台に、理想と暴力、計画と衝動がせめぎ合う壮大な物語。その完結編である下巻は、上巻で張り巡らされた思索と葛藤を、より深く、より鋭く掘り下げていく。
読み進めるうちに感じるのは、この作品が単なる歴史小説ではないということだ。そこにあるのは、「国家とは何か」「理想はどこまで暴力を正当化するのか」「人は歴史の歯車なのか、それとも抗う存在なのか」という根源的な問いである。登場人物たちは皆、巨大な時代のうねりに翻弄されながらも、自らの信念を握りしめて立ち続ける。その姿は、英雄的というよりもむしろ痛切で、人間的で、だからこそ胸を打つ。
タイトルにある「地図」と「拳」。地図は未来を描く理性と設計図であり、拳は現実をこじ開けるための力だ。しかし本作が鮮やかに描き出すのは、その二つが決して単純な対立ではないという事実である。理想は時に暴力を孕み、暴力はまた新たな地図を描かせる。下巻ではその循環がより露わになり、読者は登場人物と共に「正しさ」の揺らぎを体感することになる。
特筆すべきは、群像劇としての完成度の高さだ。複数の視点が絡み合いながら進行する物語は、ひとつの結論に収束するというよりも、歴史そのもののように重層的に広がっていく。その構造は決して易しくはないが、読み終えたとき、世界の見え方がわずかに変わっていることに気づく。これは物語が読者の内面にまで踏み込んできた証だろう。
上下巻に分かれる分厚いページの重みは、そのまま思索の重みでもある。しかし決して読みにくいわけではない。むしろ文章は静謐で力強く、理知的でありながら、確かな熱を宿している。読み手を信頼している筆致だ。
読み終えた後に残るのは、単純な感動や爽快感ではない。もっと静かで、しかし深く沈み込む余韻だ。歴史を振り返ることは、過去を裁くことではなく、現在の自分を見つめ直すことなのだと、この作品は教えてくれる。
『地図と拳』下巻は、物語の完結であると同時に、問いの始まりでもある。理想を描くことの責任と、力を振るうことの代償。その両方を真正面から見据えた、重厚にして誠実な傑作である。
Posted by ブクログ
普通サイズの上下巻の本なのに、大河小説を読んだくらいには体力を失った。
長い年月「地図」を仕事としていたので、書名に「地図」という文字が入っていると、つい手に取ってしまうのだが、重苦しい本である確率が結構高い。
この本も、日露戦争を前にした時期から第二次世界大戦後までの長い年月を、ほぼ満州を舞台に書かれている。
最初から最後まで通して細川という男が出てくるところから、いかに短い期間に立て続けに日本が戦争という大きな波に翻弄されていたのかが、恐ろしいほどにわかる。
満州の東側の海に浮かぶ青龍島(チンロンタオ)が描き込まれた地図。
ないはずの島が、どうしてその地図に描き込まれたのか。
それを探るミステリだと思ったのだが、どっこい、テーマは時間で場所は仙桃城という街だった。
けれど、わかりにくいのだ。
パーツパーツは面白いのに、あまり有機的に組み合わさっていないというか。
その他の登場人物として括るには背負っているものが大きく、主たる人物にしては掘り下げが浅い。
そんな登場人物が結構中盤に多くて、共産主義者が、その挫折者が、憲兵が、中途半端に物語に介入してくる。
個人的にはその部分も面白く読んだけど、でもこの本の分量なのだったら、書くべきことはここではないだろう。
逆に、もっと長く深く全6巻くらいで書くべき作品だったのかもしれない。
でもたぶん、出版社がそれに応じることができなかったのだろうことも、想像に難くない。
何なら青龍島をめぐる謎も出版社から「ミステリ要素を入れてくれ」と言われたのかと思ったぐらいなのだが、解説を読むとミステリではなくSF要素を入れるよう要望があったらしい。
SF部分というか、まったくのフィクションとしては戦争構造学研究所という存在なのだけど、そのような組織が日本国内にあったということはあるらしいし、細川が作ったこの機関がさほどフィクション部分を強調しているわけでもないので、いかにも中途半端。
仙桃城における孫悟空とその娘孫丞琳の愛憎。
都市における建築物の意味――明男の半生。
高木と細川が夢見た満州の未来。
これらを別の作品として書いて、サーガのようにゆるく繋げたほうがわかりやすかったのではないかなあ。
実はこの物語の最初(ないはずの島を描いた地図の謎)も、最後に戦火の中ずっと仙桃城になる前の町――李家鎮の地図を描き続けたのも、クラスニコフ神父だった。
もともとは測量士だったのだが、ロシア正教の伝道師として満州に派遣された(満州の地図を作るため)神父の存在は、長く続いた物語の中であまりにも控えめだ。
参考文献のリストの膨大な量に比して、作者の思いが存分に投影されたとは思えないので、いつかきっと、もっと深く静かに沁み込むような長大な作品が書かれることと期待する。
その時まで私の体力が残っているかは…自信ないけど。
Posted by ブクログ
久しぶりに上下巻の小説を読んだ。人々の苦悩や思考がすっと頭に入ってくる。書き手の体幹のようなものを感じたし、安心して最後まで読みきれた!おもしろかった!
Posted by ブクログ
面白かったー。満州のある土地をめぐる群像劇。それゆえに物語に終わりはなく、据わりが悪い気もするが、そういうのがリアリティなのかも。キャラクターごとストーリーの主題があってそれがしっかり解決される物語が好きな人には向かなそう。
個人的には戦争構造学研究所の行く末に関しての石本と須野正男のやりとりが白眉。敗戦を予言することは侮蔑的で、それこそが戦争構造学の限界である。そしてその指摘もきっと戦争構造学にとっては侮蔑的なのだ。そういった分断が世界の課題なんだろう。
解説で情報開示の手順に言及があるのが新鮮に感じた。
Posted by ブクログ
この本を読んで、祖父母やまたその親たちは戦時中や戦後にどういう生活を送っていたのか知りたくなった。
まだ、知っている人が生きているうちに聞きたいことは聞いておかないといけないな。。
Posted by ブクログ
拳とは暴力、すなわち戦争のこと。
これは、地図と戦争の物語。
細川〜〜〜!上巻の時から好きなので、活躍(及び暗躍)が沢山見られてとても嬉しい!
安井は今の感覚で見ると愚かに見えなくもないけど、彼は「大日本帝国の臣民、皇民」の象徴だと感じた。彼ほど純粋に真っ直ぐ天皇への忠誠心を抱いている人間が当時どれくらいいたのか分からないけど、当時国民に求められていた「あるべき姿、思想」がこの安井なのだと思うと背筋が凍った。
明男は、登場当初は超機械的な青年、という感じだったけれど、徐々に彼の感情や思想が明らかにされていって、後半どんどん人間くさくなっていったなという印象。建築への熱意や丞琳への淡い感情(?)など。
上巻の冒頭で、小刀を捨てられなかった高木と、最後に感謝しながら小刀を海に捨てた明男の対比も美しい。戦争の始まりと終わり。
戦後10年の明男と丞琳の場面は朝日のような眩くて暖かい希望が感じられてとても素敵。
Posted by ブクログ
領土わ獲得するために争い合う人間の愚かさ、戦争の悲惨さを痛感する作品。
全体を通じて静かな悲哀に満ちた作品という印象をうけたが、ラストの終わり方は希望を感じさせるようなもので後味が良い。
Posted by ブクログ
地図を描くという行為には、拳(暴力)が伴い、多くの哀しみの上に地図が成り立っていると痛感しました。フィクションだからこそ戦時中の哀しみに深く思いを寄せることができるのかなと感じました。
Posted by ブクログ
読み終わった時、帰ってきた、という気持ちになった。
満州は仙桃城を舞台にした50年がこの中にはあった。
初めこそ視点が移り変わり読み進めるのに時間がかかったが、点と点が繋がり始めてからは夢中になって読んだ。
小川哲さんの作品はこの快感が病みつきになる。
巻末の解説にあったが、
小川哲は「慟哭」を描くスキルを完璧に会得していると。
悲劇の物語だが希望もあり、
この時代の満州の知識も深まった素敵な読書体験であった。
Posted by ブクログ
骨太です!
巻末の参考文献がえげつないほど多い
この膨大なリサーチをもとに描かれた、圧倒的な物語。
舞台は満州、登場人物も多いし、中国人名が読めない覚えられないし・・・
けどそれは杞憂
読み始めると、登場人物やエピソードが面白くて、どんどん読み進められた
当時の満州と日本、戦争とそれに巻き込まれていった人々を緻密にリアルに構築した素晴らしい物語だと思います
直木賞受賞、そりゃ獲るでしょ!
パチパチ!
Posted by ブクログ
日露戦争前後から第二次大戦終了後までの満州の地を巡る人々、国々のが絡み合った歴史を力強く再構築した歴史改変もの。孫悟空という人物が出てきたり戦争構造学研究所と仮想内閣という要素があることで歴史改変SF的ではあるのだけど、史実のifを描くことが主題ではないので満州を巡る歴史や戦争、それらにまつわる人々の人生や感情に深く引き込まれる。
全編に渡る大きなテーマはタイトルにもなっている「地図」と「拳(暴力、戦争)」。戦後80年となる現在も世界では多くの拳が振るわれていることはもちろんだが、この物語ならではということでいうと「地図」の現在についても色々と考えることになった。日本国内に限れば「拳」と共に並べられる文脈は少なくなっていると思うが、例えば毎年規模を増す自然災害の復旧により各地で新たな都市や集落が構想され地図が更新されたり、人口減少が進んでいく中でこれまでの地図通りでなくなったり新たな地図を作らねばならなくなったりしているところは多くあるのだろう。新たな地図を作るとき、その周囲にはどのような人や想いがあるのか、歴史的にも地理的にも思考が渦巻きながら広がる素晴らしい小説だった。
Posted by ブクログ
面白かった。とにかく圧倒的なスケール感。
多くの人物が交差する群像劇が、下巻で一気に広がりと深みを見せ、息をのむような物語の密度に引き込まれた。
10頁にも及ぶ参考文献リストにも驚かされる。
架空の物語でありながら、史実に裏打ちされた圧倒的なリアリティがあり、物語に説得力と重みを与えていた。
決して読みやすい作品ではない。登場人物の多さや専門的な描写もある。
でも一度世界に入ると、ページをめくる手が止まらなくなる。
読み終えたあとには、深い余韻とともに、歴史を“どう描くか”“どう見るか”という視点を問い直される感覚が残る。
歴史小説でも戦争文学でもない。これは、歴史を語る“構造”そのものを問う、唯一無二の物語だった。
Posted by ブクログ
下巻はいよいよ戦争まっただ中となっていき、それぞれの登場人物が揺れ動きながら生きていき、そして死んでしまいます。
タイトルは地図と拳ですが、全編に地図のエピソードが強く意識された作品だと思います。
Posted by ブクログ
タイトルは探究心と戦争の暴力性という人間の根源を現したもの。
それが、満州という地域と時代にスポットを当てて描かれている。
歴史、満州、戦争に翻弄される人々を描いた大作なのだが、論理的な作者なので、次々と変わる視点となる登場人物が駒っぽいのが否めない。
筋書きに従って登場し、筋書きに従って出会ったり結婚し、筋書きに従って死ぬ。そこに歴史、人間関係、戦時の世情と言った理不尽や感情や思惑に巻き込まれる魂の叫びはあるといえばあるのだが、いまいち伝わってこないというか。
怪人物もカリスマ性を持ってる人間も頑固な者もいるが、なぜ、なぜ皆温度感が似てしまっているのか。
『君のクイズ』はとても面白かったが、おそらくそちらは作者のストーリーの論理的構築手腕とミステリというやはり論理的なジャンルが合致したせいかなと思う。
文章や構成はとても読みやすい。
=追記=
この後同じく小川さんの『言語化するための小説思考』を読み始めたら、冒頭から
「僕は小説を読むうえで登場人物に共感するという感覚を抱いたことがなかったので(中略)僕の書いた小説が違法である(=つまらない)と主張する読者がいてもどうすればいいのかわからなかった」
「あるいは僕は小説を読む時情景を思い浮かべるという行為を一切せず言語を言語のまま理解しているので、描写が足りない、という理由で(攻略)」
とあり、なるほどこの作品と読者(私)の溝、キャラの温度感について私が感じたのはそこか!と思った。
小説においても字を字のままに、文章を文章のままに読む人ならばパンチ不足は特に感じず、この作品はある時代のある地域と人々の辿った運命である、と歴史書のように読めるかもしれない。
Posted by ブクログ
満州を舞台に時代は第二次世界大戦、そして終戦へと移り変わっていく。やはりこの作者は小説が非常に上手く、感傷的になりすぎず、さりとて倫理との距離を見誤ることなく、悲惨な戦争の実態とともに物語は進んでいく。戦争による破壊と対になる都市と建築がテーマであるのもバランス感覚に優れており、気候を読み建築の才のある明男は本作における主人公と言っても過言ではないだろう。また端々で暗躍する細川も魅力的であり、それ故に前回と書いたが時代のうねりが巨大すぎてそれに翻弄されるがあまり「個」としての人生やエピソードを見出すことができず、端折られているような感覚になったのは非常にもったいない気もする。史実のインパクトに押される形でドラマ的な盛り上がりも薄く、情緒的な話の好きな自分としては技巧面で唸らされる反面感情面ではいまいちハマりきることができなかった。ただそれをやると上下巻では収まらず、史実ベースの空想大河として視点を変えて読むことで個人的には何とか折り合いをつけることができた。
地政学を元に戦争の行末を検討するための組織「戦争構造学研究所」と、数々の未来の可能性を議論して予知していく「仮想内閣」という設定は非常に面白く、あとがきにもある通りこの部分のSFっぽさはとても良かった。
ただ、タイトルでもある地図と拳は本作のテーマを超えて人類のテーマと言ってもいいほどに逸脱しており、そのスケール感と物語への落とし込みぶりは素晴らしかったように思う。
Posted by ブクログ
満州国、仙桃城をメインの舞台とした物語。
最初は誰の物語なのか分からず読み進めている頼りなさがあったが、1930年あたりから密度のある進捗で読み進めやすかった。
Posted by ブクログ
この2カ月ほど忙しくて読み進めず、義和団の乱から復習して読みに行くけど、真実の悲劇に迫るというよりは、どちらかというとSFなので、気合入れて復習した以上の涙や感動は得られなかったかなと思う。
Posted by ブクログ
第168回、直木賞受賞作。
近代史、特に戦争モノ×SFはシンプルに好きです。
視点が登場人物ごとに変わり、歴史は細かく進む。
面白かったけれど、SF的要素の物足りなさと、ラストのあっさり感は残りました。