あらすじ
日本からの密偵に通訳として帯同した細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。桃源郷の噂に騙されて移住した孫悟空。地図に描かれた存在しないはずの島を探し、海を渡った須野。日露戦争前夜、満洲の名もなき都市に呼び寄せられた人々は、「燃える土」をめぐり殺戮の半世紀を生きる。広大な白紙の地図を握りしめ、彼らがそこに思い描いた夢とは・・・・・・。第13回山田風太郎賞受賞作。第168回直木三十五賞受賞作。
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Posted by ブクログ
歴史に疎く、これまで戦争を扱った作品はほとんど読んでないので、この作品は敬遠していた。
でも、高木という男の戦争に対する心情を読んだ瞬間から、物語の中へ完全に没入した。
そこからは面白くて途中でやめられず、朝方まで一気に読んでしまった。(それでワールドカップは起きられず…)
「満洲」の架空の都市を舞台に、理想の国家や都市を築こうとする人々と、その裏にある戦争の狂気が描かれている。
「自分の命よりも重要。でなければ滅びる」という高木の心理が心に突き刺さる。
自分の命より国が大事だなんて今の時代にはとても理解できない。
歴史の知識としては知っていたつもりだったけど、一人の人間の切実な思いとして読まされると、その異様さに改めて言葉を失う。
戦争の中で、なぜこんなにも人間性を失ってしまうのか。おかしいと思ってる人もいたはずなのに。
まさか事実であってほしくないと思っていた作中の出来事が、検索してみると日本人が実際に行っていたことだと知り、大きなショックを受けた。
本物の歴史の中に、架空の街や、架空の人々が必死に生きている。
この史実と虚構のブレンドが絶妙で、気づけば私のような歴史に疎い人間でも夢中になっていた。
さらに、私の大好きな「クセの強い変な人間」もしっかりと登場するので、純粋に面白くてページをめくる手が止まらなくなる。
気づけば『一人 小川哲さんフェア』も12冊目。小説ではこの作品が最後になってしまった。
歴史ものということで最後まで避けてきたけど、これまで読んできた小川作品の魅力がたくさん詰まっていた。
寝不足だけど、早く下巻を読みたい。
Posted by ブクログ
上巻は下巻のための下拵えという感じ。主に満州を舞台に日露戦争前後の日本人やロシア人や現地人の登場人物が揃えられたという感じ。タイトルの地図と拳を思わせる地図や暴力・戦争の話が出てきたがこれからどうなっていくんだろう。細川は今後どう動き、須野や明男はどう巻き込まれていくんだろうか
Posted by ブクログ
出てくる地名や川の名前に場所の注釈が無く
自分の不勉強のつけがとうとう回って来たなと思いながらも
背表紙に世界地図を描き、地名を調べながらプロットしていく始末(架空の地名も幾つかありました)
やっているうちに、楽しくなってしまい
この1冊のプロになってやるというスイッチオン
知らない単語に丸をつけ、余白に解説を書き込む
上下と読み切るまでに四日と時間を要しましたが、圧巻の小説でした
同じ直木賞受賞作品でもある「同志少女よ敵を撃て」でお馴染み、歴史的事件をミクロな視点で描く本作品は、それぞれの正義、視点が描かれており最後まで楽しめました
また、日露戦争について学び直すきっかけにもなり面白さもさることながら、為になる1冊となりました
大河ドラマ好きにおすすめ!
Posted by ブクログ
小川哲の直木賞受賞作。
満州というかつて様々な国の思惑が重なった地図に、様々な背景の人間が心を描く群像劇。
全部読み終えた今、高木が小刀を頑なに手放さなかったのは何故だろうと考えてみる。小刀が指す意味は『拳』であり、つまり戦争である。高木は葛藤の末、その拳を手放さなかった故に細川が命の危険に陥るものの、細川はその拳を回収することに成功する。
この物語において、戦争は決して肯定されるものではないが、その拳がなければ高木が決死の戦線に向かって死線を守ったように、今がこの形で存在していたかはわからない。戦争において、拳は必ず必要なものなのだ。
しばらくして、その細川によりオケアノスの意味を持つ名前を授かった須野明男が生を受け、明男はその小刀に興味を持つものの、母の恵子により取り上げられてしまう。
つまり、明男が請け負った使命は、拳を使用せずにオケアノスを目指すことだ。オケアノスを発見することはかのアレキサンダー大王すら成し遂げていない偉業であるにも関わらず、その手段である拳は取り上げられてしまった。そこで、明男は次なる手段として『建築』を習得していくことになる。
以上の流れから、小刀とは拳、つまり戦争の象徴であり、小刀を持たない明男は、戦争とは無縁の、平和を建築するための人物として育っていくこととなる。
さて、明男はこの惨劇の製造機である戦争のその先に、平和を築くことはできるのだろうか―――
Posted by ブクログ
途中から急激に面白くなっていく印象
明男と丞琳の出会いとか、細川の思想とか。
満洲が今後どうなっていくか、関東軍がどんなことをするか、という大まかな歴史を知っているからこそ、副題の年号が1932,1937,1941年に近づいていくほどドキドキした。
今後満洲がどうなるのか、細川や明男、丞琳やクラスニコフはどうなるのか、下巻も見守りたい。
Posted by ブクログ
上下まとめて。
本当に小川哲氏は小説家として懐が深い、守備範囲が広い。
次々と繰り出される引き出しからはいつも違うものが飛び出してくる。
本書では、旧満州を舞台に太平洋戦争をまたぐ半世紀を等身大の視座で描ききり、いわば直球の真っ向勝負。
物語の骨格を形成するような基準や軸がいくつか現れるが、いずれも本筋を貫く大黒柱というものではなく、あるいは散漫であるという印象を受けながらも、容貌をゆるりと変えながら連綿と続く、ある意味でクロニクルらしいトーンに仕上がっているという見方もできる。
それらの中でも、"予測"が、最も強く印象に残るキーワードか。
戦時下という、剥き出しのアイデンティティが曝露される状況で示される各キャラクターの生き様に、否応なしにすべての読者は沈思し黙考を強いられることだろう。
「はたしてそれは勇敢ゆえの行動だろうか。それとも臆病さのせいだろうか。」
「都市という衣を引き剥がした、仙桃城の本当の姿が写しだされているように感じたからである。」
「『アカシアだけではない。この世界の「自然」は本当に素晴らしい建築だ』」
「人体の設計者が神であるというならば、神が大学で建築学を履修していないことは確実である。」
「『国家も建築だ。ゆえに、国家の図面を引くのも建築家の仕事なんだ』」
Posted by ブクログ
1889年。時代は日露戦争
支那人(中国人)と日本人の高木、細川がロシアへの侵入捜査を開始する。
ハルビンへ茶商人として到着する。
ハルビンに到着するないなや、身体検査があるとのことで、先に銃は海へ投げ捨てたが、短刀は自害する為に、軍人としての誇りの為、捨てる事ができなかた。
案の定、見つかってしまい覚悟した所、細川が私の物ですと、罪を被った。なぜ、暫く独房にいれられて、
自害でもしようかと思ったところ、細川が短刀をもって無事に戻って来た。
1901年。満州に線路設計を作るため、派遣されたドイツ人の、クラスニコフ
通訳の林と共に中国を回る。中国では人身売買が行われており、クラスニコフらは、捕まってしまう。
そんななか支那人共のいざこざにより、脱出成功するが、倒れていた支那人に、対しクラスニコフは、見捨てる事が、できず助ける。、
楊日鋼は神=善、拳=悪という教えの中から
神の拳によって、切り開かなければならない事があると「神拳会」に入門する。数々の挫折者が出る中、楊日鋼は鋼の精神、体を手にする。
周天佑は、16歳の時に母を亡くし、父と北京に赴いた。父は豆腐屋だったが、まったく売れず、殆ど腐らせていた。また周も県試の試験に何度も落ちていた。
ふとした事で父と喧嘩になり、謝って殺してしまう。
そして、東北に逃げ込み、説話人として金銭を集めた。そして、説話人として、話題になった。そんなある日、リージャンジェンという、集落にリーダーガンという元役人の家がある事を知った。周はリーダーガンに、なりきった。そこへヤンリーガンが、現われ、
周が記録していた手帳を見つけ、周が偽物を突き詰める。そこで、周は亡くなり、ヘヤンリーガンは名前を捨て、孫悟空として生きていく事になった。
1905年。高木はロシア軍との戦いの先頭に立っていた。弾不足により、銃剣などで戦う事になり、最後は、西洋戦争で父から譲り受けた短刀をつかって絶命した。福田の弟もその戦争によりなくなったと思ったが、戦死者の記録間違いにより、生きていたことが判明。たまたま、細川との出会いもあり、高木はやはり勇敢だったのだと悟った。
1909年。気象学者の須野の元に、満鉄の新井から黄海にある青龍島が実在するか調べて欲しいと依頼があった。地理も船も専門外であったが半年かけて何百頁にも渡り、青龍島がないという事実に辿り着いた。
新井から、なぜ存在しない島が地図に描かれているか調べてほしいという依頼が追加された。
暫くして、須野の所に1人の男がやってきた。細川だった。事情を聞くと、新井が須野に支払われるべき賃金を着服しており、且つ、調査の必要の無い依頼を追加し、長引かせていたのだという。
須野自信は、お金のことよりも、青龍島が何故、描かれたのか を断念する事のが辛かった。
細井は事情を察し、個人的に賃金を払うから、調査を続けて欲しいと約束を果たすのであった。
調査を続けている後、細川の紹介で慶子と出会う。彼女は高木の元奥さんであり未亡人であった。
細川のプッシュもあり、須野は、慶子と結婚でき、息子 明男も誕生した。
満州の調査の為、単身赴任を続けた。
1923年。明男も11歳となり須野や血のつながりのない高木に似ている所が多々あった。
特に慶子は、高木家の短刀に興味を示した時は、必死に止めた。代わりに、懐中時計を渡した。明男は、時間に興味を示し、最終的には、時計なしで時間を計れるようになった。
あまりにも熱中するので、懐中時計を没収し、温度計を渡した。今度は、火事の中に入っていく程、温度計に熱中してしまった。
1932年。林は60歳過ぎ。仙桃城で仕事を終え、鶏冠山の中腹にあるヨハネ教会へ向かっていた。
教会に男2人女1人おり、日本人の為に働かせられていた。そこで、日本人を仙桃城から追い出す為、選炭場を燃やし、炭鉱を、機能させなくする事を計画した。
女性の孫チョンリンが3人の、中では1番切れ者のようだ。それぞれ役割を決め(炭に重油を染み込ます者、炭を投げ込む者、足止めをする者)準備にかかる。
恨みのある日本人の、中には炭鉱に多額の投資をしている孫悟空も、含まれる。チョンリンは孫悟空の子であったが心底嫌っていた。
明男は、仙桃城にダンスホールができたの事で、笠岡教授と石本、満鉄の村越と気乗りしないまま行く事になった。
途中で帰ろうとした明男は村越に捕まり、いいから踊ってみろとホール1番の美女 チョリンと踊る事になる。そこでチョリンもこういう所は軽視しており、一緒に脱出する事にした。たまたまであるが、2人とも宿は鶏冠山ホテルだった。
チョリンの出生については、
「911字文」と名付けられた掛け軸に記載がある。孫悟空は文学に熱心だっが、満州の実質統治者の張から、子供に習わすべきだと言われたが、子供がいないと返答した。張は、ならば作れば良いとなり、
既婚者、妊娠者関係なく、孫と関係を持つ事になった。実際出来た子供たちは、数とは違ったが、
「百八星」と言われ、108番目の子がチョリンなのだ。
(実際は、孫と関係を持つ前に、妊娠中であった為、孫の子供ではない)
いざ炭鉱の火災の時。順当に準備通り進めていたが、炭の格納庫には頑丈に鍵がかかっており、2階窓を小石で割り、火炎瓶を投げ込む策にでた。林の投げた火炎瓶が窓枠に当たり、同志に当たった。そこで策は中止となった。日本人の死者は4人となったが、新聞では20人と報道された。
それから、半年後。
安井は、陳を使って、実行犯の林を捕まえた。そこで、チョリンの居場所を聞き出し、林と陳を捕まえて、
警察送りはせず、射撃場行き(訓練で人に当てない為の実践)となった。
安井は、鶏冠山を女子供構わず焼き払った事を、長江時代文明と重なった。何も痕跡が残っていないのだ。
鶏冠山集落の文明も同様に焼き払う事を決めた。
チョリンは炭鉱を燃やす事に失敗し、炭鉱が直ぐに元通り稼働し、更には孫悟空の会社、東亜光司が復旧をうけた事により、儲けた。チョリンは、日本人が偽満州を作り、孫悟空を悪に染め、日本人が悪の根源と思うようになった。そこで、東亜光司から、爆薬を盗み、満州鉄道を爆破する事を思いついた。
尋ねた、クラスニコフはチョリンを説得するが、拒否する。また、林がいないか確認した。
林は日本人は日本人に捕まっていたが、偽の合言葉により、チョリンの逃す。逃亡先の東亜光司で孫悟空で出会してしまっが、殺すことも、自爆する事も叶わず、
孫悟空に爆薬はくれてやる故に、線路でも爆破するがよいと言葉を受けた。
一方、細川は、満州鉄道を退社し、戦争構造学なる物を進めると、須野に説明した。須野自身は満州鉄道に残り、新所長横山の下で、不服ながら、業務に就く事になった。
Posted by ブクログ
最初は独特な世界観や登場人物の多さに戸惑い、難しい作品だと感じた。しかし、100ページを超えたあたりから徐々に世界観に慣れていき、気づけば物語に飲み込まれてページをめくる手が止まらなくなった。
名もない人間たちが生き、そして死んでいく。その一人ひとりの人生が積み重なり、一つの国家が形作られていく。その中には、それぞれの思惑や思想、理想や欲望が複雑に絡み合っている。
特に、大義を成すためには犠牲が必要なのかということを強く考えさせられた。大きな理想や国家のために犠牲になるのは、決して「ただの一人」ではなく、その人自身の人生なのだと思う。
上巻を読み終えて、これまで積み重ねられてきたものが、この先の満州でどうなっていくのかが非常に気になる。最初の難しさを乗り越えてからは、一気に引き込まれた作品だった。
Posted by ブクログ
率直な感想としてとても面白かった。
細川と楊日綱(孫)の関係性が好き。高木という一人の軍人の生き様も胸に来るものがある。
作中で登場する戦争構造学がもし自分が通っていた学部のシラバスにあったとしたら、わたしは間違いなく第一優先で受講登録していた。
個人的に異国と地続きという環境がもう恐ろしくて耐えられない大陸恐怖症なので、当時満州に住んでる人からしたらロシアも日本も高慢な侵略者以外の何者でもなかっただろうなぁと思う。
Posted by ブクログ
小川哲の力量を感じる本だった。通勤電車でこの分厚い本を出して読む勇気を誇りたい。
そのくらい必死に読まなければ読みきれない。
しかしながら、日本が世界を舐めてかかっていたその時代の一端を知るいい機会をいただいたと思った。
日本にとって、日露戦争から第二次世界大戦までの長い戦争の時代を感じつつ、
私の長い、分厚いこの本の読書も終えることができた。
終わって思ったこと。長いわ
Posted by ブクログ
満州国の設立前後の時代を題材とした大河ドラマ。日本のあるべき姿に関する議論や満州の住民との関係性が描かれている。
戦争に突き進む政治情勢の中、主人公たちはどのような人生を送るのか、下巻が楽しみ。
Posted by ブクログ
地図と拳(上巻)は、一つの都市を舞台に、人間の理想と暴力、知性と欲望が交錯するさまを壮大なスケールで描き出した、まさに圧巻の歴史群像劇である。
物語は、まだ何ものでもない「土地」に、人が線を引き、名を与え、意味を刻みつけていく過程を丁寧に追っていく。地図とは本来、世界を理解するための道具のはずだ。しかし本作では、その地図がやがて支配や野望の象徴へと変質していく。理性の結晶であるはずの“地図”と、衝動や暴力の象徴である“拳”。その対比が、時代のうねりの中で否応なく絡み合っていく構図が胸を深く打つ。
登場人物たちは誰もが単純な善悪では割り切れない。彼らはそれぞれの正義と信念を抱きながらも、時代という巨大な奔流に飲み込まれていく。その姿はあまりにも人間的であり、だからこそ痛ましく、そして愛おしい。理想を掲げることの気高さと、その理想が現実に踏みにじられる残酷さ。その両方を真正面から描き切る筆致は、静かでありながら凄まじい熱量を帯びている。
上巻は、いわば大河の源流である。物語は緩やかに、しかし確実に流れを広げながら、やがて避けがたい衝突へと向かっていく予感を孕む。読み進めるほどに、土地の匂い、空気の乾き、時代の緊張が立ち上がり、単なる傍観者ではいられなくなる。歴史とは、抽象的な出来事の羅列ではなく、名もなき個人の選択と葛藤の積み重ねなのだという事実を、本作は力強く突きつけてくる。
重厚でありながら決して観念的に沈まない。知的でありながら血の通った物語として読者を揺さぶる。その筆力は圧倒的で、上巻を閉じたとき、すでに次の展開を求めずにはいられない自分に気づくだろう。
壮大な歴史の中で、人は何を信じ、何を守ろうとするのか。
その問いを、雄弁かつ誠実に描き出した作品。
Posted by ブクログ
日露戦争前の満州を舞台にした出だしを読み始めたとき、こういう作品特有の読みにくさがなくて驚いた。
聞き覚えのない固有名詞が大量に出てくるため、どうしてもすらすら読むことはできないのだけど、必要以上の文章の堅苦しさがなく、作者の書いている映像が脳内にイメージできる。
ただし、読み始めたときは日本の軍人であることを隠して中国に渡った、密偵・髙木が主人公の話だと思ったが、彼は上巻の半分あたりでさっくりと戦死し、ロシア正教の伝道師であるクラスニコフ(隠された任務はロシアの満州における鉄道網拡大のために現地人を取り込むことである、元測量士)や、時の権力者に両親や家財の一切を奪われたため、強くあることを至上とする孫悟空などの群像劇だった。
シーン転換による視点の移動は、物語全体を立体的に把握するのに役立つが、把握そのものに手間取るという弊害もある。
その中で、序章で高木の通訳を務めた細川の存在が大きくなっていく。
物語がどこへ向かって、どこへ終着しようとしているかは、今のところまだわからない。
けれども、きっと大きな満足が得られるのではないかと予想しながら上巻を読み終えた。
Posted by ブクログ
小説を読みなれてない自分にとっては序盤の登場人物が多くて先行きが不安になったが、半分過ぎた辺りからどんどんページが進むようになった。おもしろい!
「君が手にするはずだった黄金について」と同じ人が書いてるはずなのに、全然違う印象だった。
歴史的出来事について、同じ時代を生きた個人の考えに触れることができるのも小説ならでは!
急いで下巻を買いに行く!
Posted by ブクログ
物語を楽しみながらも20世紀初頭の日本の激動の時期の歴史も学べるようでとても楽しめた。
政治、宗教、人種などあらゆる要素を取り入れながらも上手くまとめている印象。
テンポよく進むストーリーや特徴的なキャラクターも魅力だが、日本、中国、ロシア、それぞれの立場でそれぞれの正義があり、一概にどれが正解とも言えず、正義とは何かと考えさせられる一面もある。
Posted by ブクログ
評価が難しい。前半はやや登場人物が物語のための装置のような感じがしてしまい思ったよりは読むのに時間がかかった。もっと高木の苦悩をみたかったよ。
でもこれは都市を中心にしてある時代を切り取った壮大な空想科学小説。これ以上の書き込みは作品として長大になりすぎて成立しない気もする。ただ壮大さ故に世界史の教科書的な概観が多い気もしてしまう。
あとミステリーに慣れすぎて目標が設定された道のりの予想との差異を楽しむような読み方になっている感はある。
この物語の強みは壮大で重厚なテーマの中でキャラクターが持つ狂気を魅力として掴みながら引っ張り回されるような読み方がいいのかもしれない。
Posted by ブクログ
史実と創作の見事な融合と言ったらいいのでしょうか、圧倒的な臨場感に引き込まれます。近代史を再勉強したくなります。頻出する中国語読みが気になって確認のためにページを戻る回数が多くて、読み進めるのに時間が相当かかるのが難点。いざ下巻へ!
Posted by ブクログ
日露戦争~満州事変まで。主要な視点は四つ。①日露戦争の勝利から満州を占領し、満州国を築こうとしている関東軍大佐、福田。②満州鉄道に籍を置き、福田とも付き合いながら、地元の人々を尊重し、袂を分かつことになる細川。③満州の民を我がものとして、富を築こうとしている孫悟空。④その娘で、父への反発もあり、抗日活動に心血を注いでいる孫丞琳。そこに、ロシア人の神父と、満鉄に勤務する気象学者の息子で、温度湿度風力の天才大学生も、絡んでくる。歴史小説はめったに読まない、読もうとも思うこともまあないわたしだけれども、小川さんの小説は、それぞれのキャラクターが立っていて、ごく当たり前の人間として生きているため、ぐっと入り込んで読める。し、とても理解しやすい。日本の行ってきた侵略戦争、そして満州の歴史についてほとんど知らなかったことを、恥ずかしく思う。
関東軍の少尉、安井が、新兵のころの「度胸試し」で、初めて人を殺したときのことが、印象深い。「他人の命を奪うことで、自分の生がすでに自分のものではなくなってしまったことを自覚する」という。生を奪われた状態から、陛下の御心とともに蘇り、真の犠牲的精神を持った「修羅」が誕生する。
国の繁栄のために戦争を正当化するものと、戦争に利益を見出すものと、人々の生活を守ろうとするもの。この先の歴史はわかっている。下巻に入るとおそらく、もっと辛い話が続くのだろう。下巻は1945年までか。関東軍に加担することになってしまった父親と、写真を撮ってあげた満州の子供のことを思う大学生と。二人が、戦渦が進むにつれ、どうなっていくのか、怖いけれど楽しみでもある。
Posted by ブクログ
満州にまつわる物語。歴史小説と思いながら読んでたら「不死身の体」がどうとか出てきて、どういうテンションで読んだらいいのか一瞬悩んだけど、多分面白い。下巻も早く読まないと。
Posted by ブクログ
歴史事実と照らし合わせながら読み進める、当時の空気感が伝わってきて面白い。
場面転換と登場人物が多いので、改訂するならぜひ地図と登場人物紹介と年表を付録でつけてほしい〜。もっと読み易くなると思います。
Posted by ブクログ
所々の言い回しや、展開がはっとするほど聞き込まれる。
文章書くの上手いなあ、と思う。
でもちょっと本読むモチベがなくて、すらすら読んでたら全然ついていけなくなった残念
Posted by ブクログ
建築家の視点から描いた、満州の大地と人々。
歴史を知るという意味では新鮮であったし、すらすらと読み続けることができる。
ただし、おもしろくなりそうな予感はするのだが、上がりきらない。不完全燃焼といった感じ。
Posted by ブクログ
感想は下巻で。
上巻時点で言えることは、めちゃくちゃ硬派な作品。
エンタメではなく社会派と言うやつかも。
満州国の史実も関係してくるのでその辺りの知識が受験世界史で良いのであると把握しやすい。
小川さんの文章自体は、これほど硬派な作品かつ複雑な史実に沿った作品であるのにさすがに大変読みやすい。
Posted by ブクログ
時々無性に満州を舞台にした作品が読みたくなる。そして毎回登場人物の多さと複雑な政治関係理解のためにいろいろ他にも読んで、そして忘れる…。
船戸与一の満州国演義のボリュームがあまりにも凄かったので、そちらと比較すると割とスムーズに読み進めることができた。毎回思う。戦争はしてはいけない。
Posted by ブクログ
日露戦争直前の、各国の思惑が入り乱れる満州という土地で繰り広げられる群像劇。激動の日本史という史実を舞台に架空の物語を挟み込む手法が非常に上手く、空想歴史巨編と言っても過言ではない圧倒的なリアリティとドラマ性を誇っている。どちらかといえば歴史ドラマ的な側面が強く、群像劇視点であるため明確な主人公がおらず、年月の経過による一個人の風貌や心境の変化を掴みにくい点にあり、ガラリと変わる政治情勢が見どころであり、良くも悪くもそれが持ち味なせいかそれに翻弄されっぱなしである。個人のドラマではなく、歴史の大きなうねりを通して浮かび上がる個人の生き様といったほうが正確なのかもしれない。
あと、これは難点の一つなのだが、このタイトルであるならば当時の満州の地図を付けて欲しかったなと思う。ただ、それを調べつつ実際の歴史にあたりながら読む本作は非常に面白く、下巻も期待したい。
Posted by ブクログ
第168回(2022下)直木賞。上下で700頁を超える長編。日清戦争後から終戦まで、満州に造ったとする理想郷の統治。その意味でSF。速いテンポで主人公も明確に展開するので、サクッと楽しんで下さい。