小説・文芸の高評価レビュー
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Posted by ブクログ
凄まじく面白かった・・・意味わからんくらい面白かった。
登場人物に言わせるセリフや心の動き、どうつながってるの?!と手に汗握る。
読みながら先を予想するのが止まら位
ほんのちょっとした伏線(?)。というか描写、引っかかり気になる描写も全部理由があって。
予想しきれない、なんとなく予想ついても、重ねて重ねて出てくる謎、それが一つにつながっていく感じ、これー!!
そして作品全体から出てくる雰囲気・・・全てが好みすぎた。
構成も上手すぎる。
あの地図を握りしめていた心のうちを思うとなんとも切なくなる。
いろんな思いがあったはずだ。
登場人物のいろんな人の思いを想像せずにはいられない。
知りたい気持ちは止められない。もう本当にこれ。
変な家2だけ未読だからこれも読もう。 -
Posted by ブクログ
いよいよゲド戦記初期三部作の締めくくり。大賢人となったゲドとエンラッドの王子アレンが不吉な予兆の原因を突き止めるための旅に出る。
どれほどの期待も裏切らないファンタジーの傑作。人生に疲れた大人にこそ読んでほしい。
ゲド戦記は決して派手ではなく影の濃い物語だけど、世界の秘密が本当に隠されているような骨太なファンタジーだ。ゲドとアレンは果てを目指して旅を続けるが、死の影はますます濃くなっていく。魔法使いでもない少年のアレンから見れば、徒に彷徨っているだけで不安だけが募る。ほとんど魔法も使われないし、ただ重苦しい時間が過ぎていくのだけれど、読んでいて引き込まれる。
自然や宇宙のような計り知れないもの相手にするということは、ただ忍耐強く待つしかないのだろう。ゲド戦記の魔法は便利だけど万能ではない。ル=グウィンの魔法に対する解釈の鋭さが圧倒的な存在感を生んでいると思う。
『老人と海』も自然と人間の関係を描いているが、ゲド戦記は人間の心にもフォーカスしている。現代社会を生きる我々にも、自然との関係を考えるための優れたメタファーとなっているように思う。地に足の付いたファンタジー。
現代では「心が生み出すもの」は嘘や空想と軽んじられるが、この物語は、生きることと死ぬこと、心の光と闇、言葉の持つ力を現実よりもまざまざと描き出している。
ファンタジーは創作であるが嘘ではない。この世には実際に、心の奥深くにある人間の真実を汲み上げることができる魔法使いのような人がいるのだ。魔法使いではなく巨匠とか呼ばれるが。
それぞれの場面に出てくるイメージも豊かで本当に素晴らしい。ロークの城や森、海に浮かぶ島々、様々な民族、虚無に包まれた冥界や、美しくも恐ろしい誇り高き竜の一族。それらが現実に根付いた強靭な哲学に、温かみや冷たさ、読者を遊ばせてくれる余白を生んでいる。読んだ後にもゲドが語ること以上に、語らないことが胸に迫ってくるのだ。
宮崎駿が枕元に置いていることでも有名な本書だが、ジブリファンならいくつもの場面に重なるものを感じるだろう。『風の谷のナウシカ』や『もののけ姫』はもちろんのこと、最新作の『君たちはどう生きるか』まで、ファンタジー作品の一つの基準になっている。
他にも多くの作品に影響を与えていると思うが、この本には他には超えられない、それこそ魔法のようなものがあると思う。古典は生まれたときから古典だそうだ。この本は古典として永く読み継がれていくのだろう。 -
Posted by ブクログ
面白かった!読後感がいい。さわやかな感じ。
第1話 投石器と目される器械の前で、刑事たち阿多と白崎は戸惑っていた。中世ヨーロッパの攻城戦で使用された投石器を使ってみようというイベントが開かれる予定だった。石鳴採石場という場所で、長男の陽平が殺された。父と長男次男三男は採石場に泊まったが、大きな音で目覚めたら長男がいなくて外で死んでいた。手がかりがなく凶器博物館を訪ねる。
第2話 女性の絞殺死体。29歳。父親の遺産を受け継いだ直後。大家さんが発見した。被害者は被害者のものではないブラジャーで首を絞められていて、下着が家の中には見当たらなかった。盗まれたのだろうか。
第3話 2ヶ月前に廃業した淡島金物店。裏口のドアの鍵が溶かされて、中から施錠されていて、警察が開けたところ中に遺体があった。おもちゃも散乱していた。ヒットしなかった特撮ヒーローの武器黒斧剣ヴェリギオスが凶器である。金物店の中には包丁がたくさん転がっている。なぜこれを凶器としたのか。
第4話 博物館にバイトに来ているカンナちゃんが、昔千手さんに謎解きしてもらった事件の話。
ついでに殺人者のシチューもゲット! -
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一九五〇年代の在日朝鮮人の帰還事業で、日朝・日韓問題について書かれた本は小難しくて読者が少ない。戦後タブーとされてきた問題だからでしょう。
「そもそも何故日本に朝鮮学校があるのですか?」なんて学校の先生に質問しても教えてくれない。差別問題が絡むからでしょう。この小説を読んだ人でさえ知らないんじゃないかな。
孔仁学という少年は、朝鮮学校の中等部を卒業し、公立学校へと進学した。目的は、日本の大学で学びたいからだという。だから大学の受験資格が何としても必要だった。物語は日本人目線で書かれている本ではなくて、問題となっている地方の方たちの当初の物語の舞台になっており現実的です。長編小説ですが、問題の本質を戦前から戦後まで説明するとなると説明不足は否めない。戦後の朝鮮を「地上の天国」などという偽書を信じ帰国を勧めた仁学と、帰国した玄勇太が物語の最後にやろうとしたことが一筋縄ではいかないことは、今の日本の現状を鑑みればわかる。
帯に、「今なお続く差別の源流と流転の果ての希望を濃密に描く」と書いている。
久しぶりに興味深い本を読ませてもらったが、根が深くて苦しい!
月村了衛氏の著書は、本質を鋭く抉るところに面白さがあると思う。
上記には「地上の天国」と書きましたが、正しくは「38度線の北」です。
僕が伝えたい事は、「あなたも読んでください」と言うことだけ。あとは原稿とキャプションに書きました。
深掘りすると戦後政治の一端が見えてくる。
帯の裏表紙には「差別も資因も、なくならないのか
1959年大阪。在日朝鮮人への蔑みと暴力がはびこる街で、復興を遂げ平等を実現し「地上の楽園」と称される北朝鮮への「帰国運動」が過熱していた。高校生の孔仁学は、ヤクザの抗争に巻きこまれ窮地に立つ親友・玄勇太に「帰国」を勧める。
北朝鮮行きを決めた勇太だったが、帰国船内の食事の貧弱さや寝床の汚さに、「楽園」への違和感を覚え始め・・・・・。」 -
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個人が運営するサイトのBBSに集う、年齢も性別も職業も違う5人。
「ここではないどこかから、おいしいものが届く」
管理人の〈さしおか〉が始めた「おいしいもの便」を通じて、それぞれの抱える問題や苦悩に向き合っていく物語です。
「おいしいもの便」に実在の店名や商品名が使われていたり、手紙を遣り取りする場面ではそれぞれの筆跡に応じたフォントが使われていたり、(好意的な意味で)斬新な作品だと感じました。
連作短編ならではのクロスオーバーも随所に仕込まれていて、各章の登場人物のその後が窺い知れることで、物語全体の解像度も高まります。
食べ物の描写はもちろん、全体のコンセプトやシナリオも面白く、特に母娘の確執の氷解を描いた最終盤はウルっとさせられました。 -
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「エレガンス」で「このミス」8位にランクインした石川さんの最新作。
戦時中の連続不審死事件がテーマだった前作とはガラっと変わって、AIという最先端テーマを扱ったサスペンス。
ネットに突然現れ拡散された謎の生成AI「アニマ」を使った原発テロが計画・実行される。
原発に爆弾が仕掛けられ、東日本が壊滅の危機にさらされることに。
未曾有の事態に、国が極秘で開発を進めていた生成AI「エクスマキナ」の力を使って対処しようとするが…
後半にかけてどんどん緊迫感が増していき、夢中で読み進めてしまった。
10年前なら完全にSF作品だっただろうが、AI時代の今なら、「もしかして本当に起こりうるかも」というリアルさがある。
AIがどれだけ進化しても、AI自体に“善悪”を判断する力はなく、そこは人類の倫理観・良心に期待するしかないのだろう。
これまでの技術の兵器運用の歴史を見る限り、AIの技術発展についても、不安は拭えない。
悪意をもってAIを利用しようとする人は確実に出てくるだろう。
それでも、最終的には人類の善性・良心といったものを信じたい。信じてよいのでは。
本作を読み切ると、そんな風に思えた。 -
Posted by ブクログ
最初は、怪談や雑誌記事、ネットの書き込みが次々と出てくるので、「これはどこにつながっていくんだろう」と少し戸惑いました。
ただ、何気なく読んでいた話の中に同じ言葉や場所が何度も出てくるようになると、一気に気味が悪くなりました。気付けば自分まで何かを調べているような感覚になっていました。
特に怖かったのは、派手に驚かせるような場面よりも、「これ、本当にどこかで起きていた話なんじゃないか」と思わせる生々しさです。
読んでいる途中から、ただの作り話として割り切れなくなっていく感じがありました。
読み終えた後に前の話をもう一度見返したくなり、「あれもつながっていたのか」と気付く瞬間が面白かったです。
怖かったというより、触れてはいけないものを最後まで覗いてしまったような、嫌な余韻が残る一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミーチャの印象、ひと言で言うと「クソデカ感情マン」でした。愛も怒りも破滅願望も恩義も全部デカい。
重要なキーワードのひとつが「罪」かと思う。無実の罪で囚われるミーチャ。殺人をそそのかした罪の意識に苛まれるイワン。
この「罪」という単語が原文だと何になるのか気になる。「謎解き『罪と罰』」(江川卓さん、新潮選書)によると『罪と罰』の「罪」という単語には作者の拘りがあるらしい。ロシア語で罪を意味する単語はふたつあり、『罪と罰』に採用された単語は人間の決めた法律や社会的規範という掟をこえる行為のことらしい。(もうひとつのほうは神の掟に背く行為を指す)。私のイメージだと『カラマーゾフ』に出る「罪」という単語は、神の掟に背く行為で、良心の呵責と関連のある「グレーフ」なる単語。ちょっと調べるのは時間かかりそうなので、ひとまずぼやくていどで。
個人的に気になる関係性はスメルジャコフとマリア・コンドラーチエヴナさん。3巻にあった2巻のあらすじだと「デート」って言われてたし。4巻でマリアさんがスメルジャコフの世話してるし。
私が何より気になるのはマリアさんの名前。5巻『ドストエフスキーの生涯』によるとマリアはドストエフスキー の母の名前と同じらしい。ありふれた名前だから注目するほどじゃないと思うだろう。でも殺されたフョードルの名前をドストエフスキー自身の名前が同じ点の意味を言及するのなら……わざわざ母親の名前が出てくることも注目したくなるよね。
5巻では、スメルジャコフの犯行は第一の小説で終わる物語だとあったが、案外そうでもないんじゃ。第二の小説でマリアさんは重要人物になるかもしれない。
第二の小説は子どもたちの物語だと言うから、もしかしたらマリアさんの子ども(※さすがにスメルジャコフとの子じゃないと思うけど)がスメルジャコフの分身的存在として登場し、活躍する説もあり得るかも。
5巻の『ドストエフスキーの生涯』だとドストエフスキーの母マリアさんが彼にとって大きな意味のある存在だったことが分かる。母の病死の衝撃により、母と同日に亡くなった国民的大詩人プーシキンの死を翌日まで知らなかったらしいし。母の死のショックでドストエフスキーも病を患った説があるし……。
『カラマーゾフ』の自伝的要素は解題等で繰りかえし言及される。特に父ミハイルの死は『カラマーゾフ』に密接に関わるものだと分かる。となればマリアさんに母と同じ名前をわざわざ付与したのは意図的なんじゃないでしょうか。私はマリアさんが第二の小説のキーパーソン説を推します。
……というのが途中段階の感想だったが。
『ドストエフスキーの生涯』を読みすすめたところ、マリアという名前は母というより最初の妻の名前から取っていると判明。ドストエフスキーの小説にはたびたびマリアという名前が出るそうだ(まだ全部は読めていないので知らなかった)。妻マリアはドストエフスキーの原罪意識のシンボルともあったが。『カラマーゾフ』のマリアさんは案外スメルジャコフの良心や罪の意識の象徴だったりして。
ってか妻マリアさんの連れ子の名前がパーヴェルで、スメルジャコフの名前と同じなの気になる。『カラマーゾフ』のマリアさんはスメルジャコフにとって、母親の代わりみたいな位置づけだったりして?
マリアさんはスメルジャコフが本心を話せる貴重な存在みたいだし。
やっぱり気になるマリアさん!
読む前は「4巻も太いなぁ! 700ページって。悪魔か。長い話苦手な私にこれはキツい……」と思っていたが、普通におもしろくて読んじゃいましたね。
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