【感想・ネタバレ】破獄のレビュー

あらすじ

昭和11年青森刑務所脱獄。昭和17年秋田刑務所脱獄。昭和19年網走刑務所脱獄。昭和22年札幌刑務所脱獄。犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚佐久間清太郎。その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。読売文学賞受賞作。

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Posted by ブクログ


4回の脱獄王の物語でした。
読んでいると、なぜ脱獄を繰り返したのかが気になる所でした。
戦中と終戦直後の刑務所のリアルな部分(看守不足や食糧不足、司法、GHQ等)に突っ込んで居て面白いと思いました。

看守が佐久間との心理戦において葛藤するシーンが多く、巧妙な脱獄方法と佐久間の体力には目を見張るものがありました。
佐久間の物語終盤の心情の変化に感動しました。

全体的に丁寧に描写されていて良かったです。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

四度の脱獄をした囚人の英雄譚だと思っていたが、そうではなかった。
戦中戦後という時代に翻弄され困難な状況にも関わらず、脱獄囚を通じて、法と秩序を守る看守や刑務所長が、社会秩序のために奔走する話だった。 
網走刑務所は、北海道の極寒の立地上、逃亡するのは難しいにも関わらず、脱獄する囚人。そして、その過酷な刑務所が、戦中戦後の食糧事情において、ほかの刑務所と比べ格段に良かったという点。感慨深い。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

首都圏を環状に回る武蔵野線。始発を出て次の駅。府中街道を北へと歩けば、高く聳える壁が右手に見える。その向こうで、かつての脱獄王が懲役を果たした。青森、秋田、網走、札幌と、手錠足枷もろともせず、難攻不落の獄舎を抜け出した。中にいれば食いはぐれはない。外に出れば、食うにも困る。雨風凌げる屋根も壁もない。猛獣も棲息する地域。襲われる恐怖。それでも、逃げることに執念を燃やした。何を思い、何故最後は止めたのか?戦前から戦中、戦後へと、受刑する側もさせる側も、時代に翻弄されながら、厳しさから暖かさへと変わって行った。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

吉村昭さんの小説は本当にハズレがありません。
綿密な取材や時代考証を経て作り上げられる作品は完全なるノンフィクションと信じて疑わないようなリアリティがあり、そして人間味がありありと描かれています。

本作の中心人物、佐久間の終始漂う不気味さと、その奥には必ず秘めたる真髄があることをしっかり印象付けて400ページを超える間、まったく飽きさせず、最後に急展開を見せる。
出来すぎた物語ですが嘘くささを感じさせない。

この上ない満足度を味わさてくれる吉村作品です。

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2025年03月10日

Posted by ブクログ

戦前から戦後の刑務所の設定だが、まるで現代かのように時代を感じさせない。
刑務官の仕事は大変だ、敬意を持った。
無期刑囚の佐久間が、彼の持つ頭脳と強靭な体力を犯罪で使わずにいたら、相当優秀な人物として有名になっていただろうと思うと悲しい。
鈴江府中所長にもっと早く出会えてたら、佐久間は4回も脱獄しなかっただろう。

引き込まれるように読みふけった1冊でした。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ


表題の通り、戦前から戦後にかけ4度の脱獄に成功した佐久間(仮称)を話の中心に据え、刑務所内の人間関係を丁寧に描写しているが、国内情勢・司法環境の遷移を緻密な調査をもとに数十年のスケールで厚みのある肉付けがされている。ドキュメンタリーとして非の打ち所ない読み応えある作品である一方、とにかく読み易さが目に付いた。『漂流』も名作だが、本作はドラスティックな展開に読み疲れも少なく非常に楽しめた。

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2023年11月07日

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白鳥由栄と思って、読み進めた。
佐久間の人間性は特異かも知れないが、実はかなり今でも通じる人間の根底にあるものだと思う。
脱獄させないために手錠足錠をとること人間らしく扱うことが、更正につながる。この考えは、教育界にもつながると思う。

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2023年08月06日

Posted by ブクログ

「吉村昭」の長編小説『破獄』を読みました。
『新装版 逃亡』に続き、「吉村昭」作品です。

-----story-------------
驚くべき手口に、大胆な実行力で、四回の「脱獄」成功。 
犯罪史上に残る無期刑囚を描いた「吉村」記録文学・畢生の大傑作。

昭和11年青森刑務所脱獄。
昭和17年秋田刑務所脱獄。
昭和19年網走刑務所脱獄。
昭和22年札幌刑務所脱獄。
犯罪史上未曽有の四度の脱獄を実行した無期刑囚「佐久間清太郎」。
その緻密な計画と大胆な行動力、超人的ともいえる手口を、戦中・戦後の混乱した時代背景に重ねて入念に追跡し、獄房で厳重な監視を受ける彼と、彼を閉じこめた男たちの息詰る闘いを描破した力編。
読売文学賞受賞作。
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1983年(昭和58年)に発表され第36回読売文学賞(小説部門)を受賞した作品… 1985年(昭和60年)と2017年(平成29年)にテレビドラマ化されたらしいです、、、

脱獄の常習犯である「佐久間清太郎」と、それを防ごうとする刑務官たちとの闘いを描いた犯罪小説… そして、戦前から戦後の混乱期にいたるまでの刑務所の実態を克明に描いた歴史小説でもありましたね。


四度の脱獄を実行した「佐久間清太郎」、大戦下から戦後へと変遷した社会、そして戦争と刑務所の係わり方… その三つの視点から展開していく物語、、、

脱獄を成し遂げた手法は彼でなければ実行できないものでしたね… 非凡な頭脳と行動力、そして看守たちの心理を鋭く見抜き、いつの間にか看守たちよりも優位に立ち、自分の思うままにコントロールしてしまう神業とも思える能力には感服しましたね。

戦争と刑務所の在り方については、知識もなかったし、考えたこともなかったので、とても興味深かったですね、、、

そして、イソップ寓話の『北風と太陽』を彷彿させる終盤の展開からは、人間関係の在り方の基本を教えられた感じがしました… 会社における上司と部下の関係もこんな感じなんですよね。きっと。

相変わらず「吉村昭」作品は面白いですね、、、

綿密な取材に基づくリアリティのある描写が魅力ですよね… 何とも言えない満足感に浸ることができました。


以下、主な登場人物です。

「佐久間 清太郎」
 主人公。7月31日生まれ。準強盗致死罪による無期刑囚。
 5尺2寸の小柄な体型だが、肩幅が広くて腕力がある。斜視。
 幼いころ両親と死別して親戚に預けられ、成人した後魚の行商から豆腐店を営むようになっていた。
 布団を頭からかぶって寝る癖があり、看守が注意しても直さない。

「桜井 均」
 青森県警察部刑事課長。のちに青森警察署長。
 昭和8年に発生した未解決の事件を独自に捜査。
 粘り強い捜査により佐久間を逮捕するに至る。
 佐久間の破獄との連絡を受けて、県下に住む妻子のもとに戻ると考え、部下を張り込ませる。

「板橋 長右衛門」
 岩手県警察部刑事課長で、全国最古参の刑事課長。
 面識のあった桜井の要請を受けて、別件で逮捕した佐久間を青森県に移送することを同意する。

「山本 銓吉」
 網走刑務所長。
 司法省の信頼に応えるため、移送されてきた佐久間に対して、厳重な管理をすることを決める。

「内野 敬太郎」
 網走刑務所看守部長。柔道・剣道の有段者。
 沿岸を防備する第31警備隊に依頼された道路工事のため、駆り出した囚人たちを監視する。
 のちに人員不足のため、刑務所内の工場で働く200人の囚人を1人で監視することになる。

「亀岡 梅太郎」
 札幌刑務所戒護課長。囚人監視の最高責任者。前職は網走刑務所看守長。
 網走に在籍していたが、当時は庶務課長だったため、札幌で初めて佐久間を担当することになった。
 慢性的な食糧不足と老朽化した建物、さらに進駐軍との交渉で苦労する。

「オックスフォード」
 大尉。軍政部保安課長。
 日本人は残酷であるとの考えから、当初は佐久間に対して同情的だったが、
 実情を知るにつれて再び逃走されることを恐れ、府中刑務所に移送するように手続きを取る。

「鈴江 圭三郎」
 府中刑務所長。
 明治大学法学部卒業後司法省に入り、佐久間が収容される前の網走刑務所長、札幌刑務所長を歴任。
 昭和22年8月から府中刑務所長に着任していた。
 行刑局長から佐久間清太郎を府中刑務所に移管されることを告げられ、幹部職員と対策を立てることになる。

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2023年03月20日

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網走監獄で購入し、積読にしていたもの。ゴールデンカムイにハマった流れで読んでみると、みるみるうちに引き込まれた。
Wikipediaで佐久間(白鳥)を調べても4回脱獄したことしか書かれていないが、本書のおかげで時代背景を事細かに知ることが出来た。まさか戦争真っ只中の出来事だったとは。

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2023年05月20日

Posted by ブクログ

想像していた以上に面白かった。
最初は4回も脱獄だなんてどうやったのだろうという興味から読んでいたが、それ以外にも背景にあった戦争や食糧不足など当時の生活を沢山知ることが出来て満足だった。
佐久間は体力も記憶力も計画性もあって、その能力を別のことに使えば良いのにと言うのはすごく思った。
壁を何も道具なしによじ登れるのは半端ない。
刑務所で看守は囚人に強く当たっているものだと思っていたが、そんな事はないのだと感じた。
最後の方の場面の鈴江さんの優しさが身にしみた。
佐久間が塀の外で亡くなる事ができて良かったなあ。

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2022年05月11日

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ノンフィクション作家の吉村昭氏の凝縮された文章は素晴らしい。刑務所を4回脱獄した男の昭和の実録。昭和11年青森、17年秋田、19年網走、22年札幌。戦前戦後の世相や社会不安を背景にその囚人佐久間清太郎の生き様を描く。

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2023年01月16日

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ネタバレ

・あらすじ
昭和8年に青森県で起こった強盗致死事件の犯人として逮捕され無期刑判決を受けた佐久間清太郎は昭和11年、昭和17年、昭和19年、昭和22年と脱獄を繰り返す。
4箇所の刑務所を脱獄した佐久間の執念と、戦中戦後の混乱期の世相や治安維持に努めた執行機関の取り組みなどを描く。

・感想
読む前は主人公である佐久間がどうやって刑務所を脱獄したのか、という方法論やその執念がどこから来るのか?などの佐久間の人となりに焦点にあてた作品だと思ってた。
でも実際は、佐久間という脱獄犯を通して戦中戦後の日本の
移り変わりを描いた社会派作品だった。
そうだよね、吉村先生だもんね。

戦中の刑務所や警察組織がどうなっていたのかなんて全然考えたことなかったけど物資不足、人員不足や治安の悪化にこうやって無いものを振り絞りながら対応してたんだなぁ。
刑務所に収監されてる囚人も辛いだろうけど、刑務官もとても過酷な環境で働いてたんだな…そりゃそうだよな。

お互いに反感を持つ刑務官と佐久間。
違反するたびに過酷になる罰。
その度に「絶対に脱獄してやる」という執念を燃やす佐久間、という悪循環。

佐久間の様に反抗心が強く負けず嫌いな性格の人間って不当な扱いをされればされるほど燃え上がるところがある。
佐久間も別に何にでも反抗する人間だったのではなく、「辛い境遇」から抜け出すために必要性に駆られて脱獄してただけ。
だから脱獄の原動力だった「辛い環境」が改善されてしまえば脱獄もしないという終わり(もちろん加齢や疲労による心身の衰えもあるけど)も、何だか日本の社会と似ているな、とも思った。

反抗心とか「何クソ!!」っていう精神って困難な時代を生き抜くには必要なものなんだろうけど、この日本では中々培われないものだよなーと読みながら感じた。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

タイトルや題材から難解な作品かと思ったが、読みやすく、脱獄囚と刑務官の人物描写も巧みで物語に没入できた。

戦前戦中に脱獄を繰り返した脱獄囚のことは知っていたが、読後に凄まじい行動力と智力の持ち主だと思い、インターネットで調べるとモデルの脱獄囚はそれほど脚色されていないことがわかった。

府中刑務所でのこの人物への扱いは、まさに「北風と太陽」だろう。

いまは網走刑務所は博物館として保存公開されている。脱獄囚の脱獄する様子のモニュメントもあるそうだ。いつか行ってみたい。

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2025年08月29日

Posted by ブクログ

相変わらずの丁寧な調査に基づいており、時代背景やその当時の刑務所の環境も理解でき、興味深かった。太陽政策が全てにおいて通じるかは疑問だが、心を閉ざしている人に寄り添う姿勢は学ぶところがあると感じた。

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2024年10月19日

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昭和の脱獄王をモデルにしたフィクション大作。網走刑務所を訪れた際に、ついでだからと網走市の本屋で購入。
四度の脱獄をした犯罪者とそれを防ごうと奮闘する看守の攻防に戦時中、戦後という社会情勢が複雑に絡み合う。社会面と人間ドラマ、孤独と反発、そして人間を更生に導く人間ドラマ。緻密な取材と文献資料を読み込み、構成したのだと感じずにはいられない作品だった。読後は時代の大きなうねりに巻き込まれた興奮と虚無感、感動が一度に押し寄せた。中々に素晴らしい作品でした。

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2024年08月22日

Posted by ブクログ

昭和の脱獄王がモデルの小説。『赤い人』に続き本書を読めたことは幸いだ。明治時代の集治監とさほど変わらない構造の刑務所建屋に、青森刑務所を筆頭に脱獄を繰り返した佐久間清太郎(仮名)を収監する刑務所職員・看守との息詰まる攻防。そして、戦前~戦中~戦後の行刑史にも多くの紙幅を割いた構成。佐久間に対する量刑は、現在の刑法と比べ重いような気がする。戦中からの食糧難にあっても、受刑囚には既定量の食事を提供しようとしているのに、刑務所職員は一般国民と同じ配給だけというのは、いかにも融通の利かない国民性だと感じた。

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2024年02月21日

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戦前から戦後にかけて4回に渡り破獄を繰り返した無期刑囚佐久間清太郎の物語。ゴールデンカムイの白石のモデルである白鳥由栄がモデルと思われる。青森、秋田、網走、札幌の監獄をそれぞれ奇想天外な方法で脱獄をする。方法もすごいが最もすごいのは看守たちの心理をうまく読み取り手玉に取って行動していたこと。戦争の時代背景も描かれており、戦時中の監獄がどのようなものなのかも描かれており面白かった。戦争が進むにつれ食糧が不足していき栄養不足で死ぬ囚人が増えてい様を読むと戦争なんてするもんじゃないなと思う。

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2023年11月12日

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昭和の脱獄王の話。
佐久間は人情に厚く、自分を人として扱ってくれた人に対しては礼を持って接するが、そうでないと感情を爆発させ破獄にはしる。
国家や社会に異常事態が発生した際に、囚人たちが懲役で軍務や労働力として関わっていたことを初めて知った。

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

すごい奴が世の中にはいるもんだ。最後は少し心が温かくなる。戦前から戦後にかけての混乱も感じ取れて、よかったです。

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2023年09月08日

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実話を元にした小説。

佐久間清太郎は秋田、青森刑務所を破獄し当時一番の体制の網走刑務所に移送される。

極寒の地、網走。破獄は不可能と思われた日、佐久間は破獄する。

捜索もかなわず見つからなかった佐久間。とても冬は越せず死んだと思われていた。
そして、終戦。

突然砂川で佐久間が逮捕されたというニュースが入り、札幌刑務所に収監。
破獄の責任を回避したい進駐軍の考えもあり、府中刑務所に移送。

府中刑務所ではそれまでと違った破獄対策を佐久間に施す。

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

高校時代に友達に勧められて読みました。私のそれまでの読書遍歴に登場しなかったジャンルで非常に新鮮だったことを覚えています。
主人公は牢破りの犯罪者なのに憎めないキャラクターで次はどんな手口で脱獄するのかハラハラさせられます。追う側と追われる側の攻防戦。かと言ってエンタメに終わらない重厚感。
紹介してくれた友人に感謝。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

青森刑務所、秋田刑務所、網走刑務所、札幌刑務所を脱獄した男の話。あらすじですべて紹介されているのだが、戦時中の状況と、刑務所の看守の苦悩が生々しく描写されており、牢獄の状況が目に見えてくるよう。400ページ以上と長い話になるが、するすると読めてしまった。
脱獄した後で牢獄に戻って来る佐久間の姿や、最後の状況も考えさせられる。

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2022年01月04日

購入済み

切り取り

歴史って、人生って、こんな角度からも切り取れるんだ。筆者の作品は読むたびに気付かせてくれる。戦時下の状況を刑務所から眺めるという発想はこの本を読まなければ一生持たなかったと思う。

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2021年04月11日

Posted by ブクログ

観光で網走監獄に行った時に脱獄のことを展示してたので興味があって読んでみた。
4回も脱獄をした佐久間と対峙した人々の話で、戦時中の刑務所の様子など圧倒的な筆力で読ませる本です。脱獄後も捕まることなく過ごしたのがすごい。北海道の冬や熊も強敵なのに。

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2025年06月12日

Posted by ブクログ

物語の大半は刑務所という閉鎖的空間を舞台としており、戦前戦中の混乱や統制を潜り抜けた情報は僅かであっただろう。これらの時代を緻密に描写する吉村昭の取材力、表現力は畏れ多いと感じる。
彼の文章は滑らかに頭の中を駆け巡る類のものではないが、本書は章立てがされているので途中で区切って読み易い。

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

佐久間がとにかく脱獄する。戦時中の刑務所のことなど考えたこともなかったし、一般市民よりも豊かな食生活を送っていたことは驚きだった。

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

この夏、知床旅行をした際に網走監獄博物館に行った。庭は整備されて沢山のハーブが咲き天気に恵まれた事もあり写真映えする所だった。
しかし、130年前の網走刑務所の建物、歴史は囚人、看守共に過酷な環境であったと博物館の記録で知った。そこで、脱獄を重ねた白鳥由栄をモデルにした小説がある事を知り本書を読む事にした。
読み進めると、博物館で観た当時の模型や映像などが頭をよぎる。そして最後は模範囚となる話に引き込まれた。
網走監獄博物館に行ってから読むか、行く前に読むか、取り敢えず、旅に一味加えてくれる小説であった。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

実話に基づく小説。生涯で4回の脱獄を成功させた佐久間。中には、かの網走刑務所も含まれる。特製手錠を解錠したり、3.2メートル上の天井窓を破って逃げるなど、どのような技を使ったのか、興味深い。
戦争の経過に伴う日本の状況と刑務所事情の厳しさが背景にあり、囚人よりも看守の大変さに驚いた。看守、所長より何枚も上手の佐久間。そんな佐久間に破獄を断念させたのは、厳重に拘束するよりも人間らしく尊重して扱う事だった。
これほどの知恵と忍耐力があれば、まともに生きれば、何でもでき、大成功しただろうに、勿体無い。
でも破獄にしか用いられなかったからこそ、この物語を面白く、彼をさらに魅力的にしている。

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2023年05月02日

Posted by ブクログ

脱獄のことが詳細に書かれていると期待したが、思ったより詳細には書かれていなかった。
戦争中の社会情勢が刑務所にどう影響を与えたかに重点を置かれて書かれている。

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2023年03月16日

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ネタバレ

監獄の話は「海峡の光」に続き、2作目
食糧難で囚人の生活を羨む看守、囚人よりも少ない人数で絶えず緊張感を持って立つ看守など、看守と囚人の立場の逆転していく様は震える

戦後、好景気へ移りゆく社会の中ころりと死ぬ佐久間。仮出所してからの姿は涙が出そうになる

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2022年03月19日

Posted by ブクログ

脱獄を繰り返す佐久間とその周辺にいる看守達との話。と同時にその時期の時勢が紹介される。

有名な話の味噌汁を使って錆させて脱獄という話が出てきます。

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2021年09月09日

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