あらすじ
――容姿とか性格とか 自分のここ嫌い、でええやん。
しんどかったら あきらめて おどろ?――
日常にこそきらめきを見出す。
俳優・坂口涼太郎が、日々のあれこれを綴る人気連載がついに書籍化。
「ちはやふる」、NHKテレビ小説「らんまん」「あさイチ」でもおなじみ!
歌人にしてクセメン俳優・坂口涼太郎、初のエッセイ。
――「諦める」とは「明らかにする」こと。今あるものに目を向けて、自分の性格や経済力や現実にも目を向けて、今ある環境と状態を明らかにして、お金がないのに引っ越そうとする暴挙になんか出ず、手の届かない憧れをちゃんとあきらめて、今ある環境の中で工夫して生活していこう。私はこれを「あきらめ活動」略して「らめ活」と呼ぶことをここに宣言いたします。私はこれからも、「らめ活」をあきらめへん。
――想像すること、妄想することには制約もモラルもありません。可能性は無限大。自分の感情を解放して、悲劇があったりなかったりするけど、今日もなんとか生きていて、めんどくさがらずにお茶碗洗えてるやん、靴下に穴空くぐらい頑張ってるやんという生活にカムバックするあなたは間違いなく最優秀人生の主人公賞受賞です。
ほんまに、おめでとうございます。
★「普通って、ほんとは、いろんな努力の上に成り立つものなんだろう」(読者コメントより)
やさしくて親しみやすい関西弁で、語りかけるように綴られるエッセイは、初執筆ながら初回からたちまち読者をつかみ、講談社のwebマガジン「ミモレ」の人気連載に! 「声を出して笑ってしまい、仕事後に読んで正解でした」(読者コメント)という爆笑エピソードがあるかと思えば、人間関係の本質を突くような回には「いまの気持ちをあらわす言葉がでてこない。癒されたり、ぐっときたりしてます」という書き込みも。
テーマは、働き方、家事、人間関係、美容、ファッション、社会問題……と多岐に亘りますが、通底しているのは「あたりまえの日常こそが人生の舞台だ」という、お涼さんのポリシー。いろんなことがあるけれど、明日もなんとかがんばろう。読めばきっとそう思える1冊。
【本人コメント】
私はいろんなことをあきらめてきました。
あきらめたら、あきらかになったこと。
あきらめたら、らくになったこと。
あきらめたら、うまくいったこと。
これはあらゆることをあきらめてきた私の「あきらめの記録」です。
あきらめることをあきらめない、煩悩まみれで怠惰で無謀で、ちゃぶ台の前でだるまのように転げ回りながら生活する私の「生活記」です。
あなたもあきらめて、私と一緒におどりませんか?
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大事に貯めてきた言葉のおもちゃ箱が開き、次々と言葉達が歌い踊りだし、パーティーを開催し、そこに一夜の物語を生み出しているようであった
エッセイは苦手で、物語ほどその人の感性が発揮されないのではないかといつも考えてしまう
そんなわたしがこの本を手に取ったのは、範疇遊泳の舞台がきっかけである
あの日、あまりにも輝いていた著者が本を出したというではないか
冒頭にと記載した通り、一言でまとめる事もできるが、まとめきれない思いが言の葉として溢れ出して、それが文章という木となり、その森を探索しているような気分であった
ここまで、自分の詰め込みたいを体現しているのに、文章としてまとまっていることに驚かされた
P171で描かれる俳優のあり方について描かれている場面では、まさにわたしが舞台が好きな理由がぎゅっと詰まっていた
観客として、安心しきって、全体重を乗っけて、劇場の中で生み出される物語の世界に溶け込み漂いたい
これを実現するには、劇作家の素敵な脚本とそれらを立体的なものにするための表現者が不可欠なのである
いま生きているという偶然を〜というP201の言葉は特にお気に入りである
出逢うべくタイミングで出逢い、別れるべくタイミングで別れる
どんな瞬間も、どれだけ否定しようと肯定しようと自分だけのものであるからこそ、全力で駆け抜けていきたい
否定しても仕方がないので、折り合いをつけて、次に全力になるための「らめ活」には大賛成だ
全部全部この目でみて、体験して、選択できる人間でありたい
出会えてよかったと思える1冊だった
次回は、この言葉達を抱いて、さらなる感性の高まりのもと、楽しめるだろう
楽しみである
舞台を、劇場を丸呑みする恐ろしいほどの表現者に出会えることを心待ちにする
Posted by ブクログ
『ウッ!リコリータ!』が刺さりました。
(これ、わたしやん。わたしのこと書いてはるわ…)って、めりめりジャック・ニコルソンになりかけてた、いや、なってる時もあったかもしれない自分を振り返って、穴があったら入りたい気持ちになりました。
だけど、今それに気づけたから、気づかせてもらえたから、これからは今までよりも少し、人との距離感に心を配れるように努力ができる。
色んなことをあきらかにしてあきらめて、わたしも「らめ活」してLove Myselfの精神で生きていけそうです。
お涼さんの文章は、ハイテンションなときも真剣なときも、まるで言葉ひとつひとつに温度があるみたいにするする〜っと心に馴染んで、やさしいお出汁のうどんみたいで、満たされて泣けてくる感じでした。
作中で、川上未映子さんの『きみは赤ちゃん』を布教されているとありましたが、わたしは『ちゃ舞台』を布教したいと思います。
この本に出会えてよかった。
Posted by ブクログ
エッセイを読むのが苦手な私も声を出して笑いました。読み終わるのがもったいなくて少しずつ読みました。
この本が出来るまでのYouTube動画もオススメです。
本屋さんで芸能人コーナーに置いておくのは勿体ない。是非とも文芸フロアのエッセイコーナーへ常に置いていて欲しい。
レッツ、らめ活!!!
Posted by ブクログ
お涼さんのことが大好きになったし、わたしもお涼さんのように生きたい!
これからの人生、どれだけゆるやかにふざけて生きられるかだよな。
「ちゃんとしなきゃ」「誰かのために」「嫌われたくない」… 全部、「らめ活」で捨てちゃえ。
Posted by ブクログ
面白かった!何より楽しみながら文章を書いているのが伝わってきた。どのページを開いても面白い表現を見つけることができるくらい、ユニークな文体のお涼節が散りばめられている。帯には『クセメン俳優』とあるが、文章もクセだらけ。一文が近代文学くらい長かったり、それでいて現代のSNSとも通づる軽やかさがあったり。これでもかというサービス精神でボケまくっているので、何度も笑わされた一冊だった。
特にたとえの語彙力が半端なくて、ありとあらゆるものを純粋な心でスポンジみたいに吸収しているお方だと思う。それを自分の言葉にしているのがすごい。ダンスや演技でいうエチュードのように、変幻自在に言葉を操っていてうらやましかった。
内容も面白く、まずは生い立ちから俳優になるまでのことも書いてくれているので、坂口涼太郎さんをもっと知れたのも良かった。特に後半、「あこがれの春」の章はとても印象的。あこがれの窪塚洋介さん、藤井隆さんとの出会い、リスペクトしていたメイクさんとの別れ、ディズニーランドと俳優の仕事の距離感、川上未映子さんの本の紹介など、体重の乗った文章に心打たれた。各エピソードの最後にある短歌も、良い。
Posted by ブクログ
神童詐欺をしていた少年Aが、ミュージカルの世界に足を踏み入れ、俳優の道へ。時には悲劇のヒロインになりきってみたりと坂口涼太郎という物語から目が離せない!面白いけど、泣ける...読み終えた後心持ちも足取りも軽くなる素敵なエッセイでした。
Posted by ブクログ
ほんタメの紹介で読み始めたエッセイです。すごく良かったのでタレント本コーナーだけの展開ではもったいない。
自暴自棄になっていた時期に書店で自分を復活させるために摂取しないといけないのは「ことばじゃないとだめだった」というのがジーンとしてしまった。言葉の力って偉大よな…
結構傷つきやすくて感情の起伏が激しいのに、はっちゃけたエピソードが多くてめっちゃ面白い。
自分とは違う身体について考えすぎるぐらい考えて、考えることをやめたらあかんのちゃうかというところは本当にそう!と思いました。