小説・文芸の高評価レビュー
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大阪の警察官2人が関西弁をしゃべり、メシを食いながら、犯罪事件解決に奔走する、いつも通りの黒川博行作品。相変わらずブレない。そして、犯罪につながる現代社会システムのヤミにも迫る。本作品のヤミは金取引と宗教法人。さらに警察が犯罪捜査に多用するNシステムの説明は教科書ともいえるくらいの詳しさ。車を使った犯罪を考えている人は、絶対に知っておくべき。ITを使った車両ナンバー検索はここまで進んでいるのだ。
主人公2人の警官が追うのは連続強盗殺人犯。単独で緻密で残酷な計画を実行し、殺人と大金取得を繰り返す冷酷な犯人。と、その犯人に対して、組織の行動力と推理力で勝負する警察。この一進一退の攻防による緊迫感 -
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重くて、キツイ気分になるので、薬丸岳さん、しばらく休憩しようと思ったのだが、やはり、読んでしまった。
医者になるための大学受験、予備校からの入学の不正、脅迫、嫌がらせなど、絡んでいく。知らない世界なので、面白かった。ちょっと残虐な内容もあり、読むのがきつかった。物語は、さすが、薬丸岳さん、読ませます。次へ次へと読み進めてしまいます。謎解きミステリー要素あるけれど、いろんな人たちの心情に迫っていて、増愛がえぐい。だけど、奥の奥には愛があると思う。裏の裏の裏側?どうなってるの?いつも、重いテーマで、読むと、悲しくて、やりきれなくて、疲れるけれど、ついつい、また、読んでしまいます。薬丸岳ファンです。 -
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ネタバレ最近ちょくちょく韓国発の作品が増えてきて、早川書房やるな…!という感じ。
早川書房は安定して面白い作品を邦訳してくれるから助かるぜ。
短編集なのに、全体としての主題が全くブレないのは凄かったな。あとがきで語っていたように、ずっと同じことを考え続けてきたのだろうな、というのがしっかりと伝わってきた。
ある社会形態と個人の生態が矛盾するとき、その個人は時に異物とされることがある。
奈須きのこに言わせれば「怪物」なんだけど、社会形態に慣れている私たちにとって「怪物」と一緒に暮らし続けることはできない。もしそれを可能とするのなら、私たちが「怪物」になるか、「怪物」が「怪物」であることをやめるかしか -
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読み終わってから知ったのだが、これがデビュー作⁉︎完成されすぎでしょ…と引いてしまうくらい、エンタメとしての満足感が高い。
ある理由から天職だった火消しを辞めて燻っていた主人公が、少ない予算の中、火消メンバーを集めてチームを再建するというあらすじ。
これだけ聞くと池井戸潤作品かな?(偏ったイメージですみません)と思うかもしれないが、舞台は江戸。
宵越しの金は持たず、焼ける前に使えと言われるほど火事が多かったそうで、源吾たち「ぼろ鳶衆」はそんな江戸の街を火の魔の手から守るために奔走する。
普段時代小説はあまり読まないのだが、前述した通り、盛り上がりが約束されているような王道ストーリーで、かつ -
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私は自分の人生にすごいことが起こることを知ってました。ベガのこの言葉は最高である。本書主人公はまさにこのベガであると私は思う。
兎にも角にも良い本であった。
上っ面は、明るくほのぼのとした黒人高齢女性のサッカーチームの活躍の話であるが、その背景が思い起こされるに連れ、色々考えさせられ、とても複雑な思いが生じた。
白人による人種差別、黒人社会の男尊女卑、高齢者たちの生きづらさ、これら3つの難を受けている黒人高齢女性の明るくて逞しい姿には感動する。
しかし、
黒人と白人という大きな視点で穿った見方をすると、白人により招かれたアパルトヘイトという黒人の大悲劇、そして本書にある白人が黒人を助け友 -
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世の中のはぐれもの達が偶然の出会いから繋がり、過去と向き合い、今と戦い、未来を選び取っていく。道尾秀介さんの描く登場人物達はとても生き生きと今を必死に生きており、その言葉や動き一つ一つに血と肉が存在するのを読む中でいつも感じることができる。
「詐欺」を働く主人公達の欺く先とは、そして欺いているのは、欺かれているのは、伏線が回収されたときそれは最高の「詐欺」から最高の「マジック」へと姿を変えていった。欺かれた快感をぜひ味わってほしい。
また、登場人物に仕掛けられたトリック、そして読み手に仕掛けられたトリックをワクワクしながら感じ取ってほしい。ヒロインの名前に込められた意味、登場人物達のつながりと -
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職場のストレスで気持ちが溢れだしそうだった時、
尊敬する人のバイブルだと聞いて速攻帰りに買って読んだ本
そんな出会い方も思い出になった
おどろくほど読みやすいのに
胸がいっぱいで読むのに時間かかる
20pの短編なのにどうして毎回こんなに響くのか
文字、言葉の持つエネルギーの壮大さを実感する
短編同士の世界がちょっとずつ繋がっていて
笑みがこぼれた
単に面白みを加えるというだけの意味ではなく、
より物語を自分の身近に感じられる、人と人との繋がりを鮮明にさせる魔法なのだと思った
やっぱり小説って良い
自己啓発本が論理的に記述していることを、
シンプルな言葉で直接的にでなく、間接的に暖かくじん -
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アフター・ユーとは、お先にどうぞ、という意味。つまり、私はあとでいきますから、ということ。
以前、ホテルのエレベーターを降りる時、外国人の男性に順番を譲られて先に降りたことがあります。その時に、手のひらを出して言われました。
大切な人を見送る時、私もあとから逝きますからねと言ってあげてください。あちらでまた会えますからね、と。
愛する人をこの世に残して旅立つ人はもちろん辛いでしょうが、残された人はもっと辛いかもしれません。
何気なく過ごしてきた日常から一緒に居た人が急に居なくなるのは、どれほど辛いことでしょうか。。。
このお話の主人公、川西青吾(かわにし せいご)さんは、都内で